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まだ見ぬ生物の世界を想像して

生物の世界に魅了された私は、休みの日には山や海に出かけて昆虫・動物・植物を探してまわり、写真を撮影し標本を作って自己満足の世界に浸る、という一見するとかなりヤバイ嗜好を有しているため、なかなか他人からは理解されにくいものなのですが、特に最近は、簡単には行けない場所に棲む生物に興味を持っています。

具体的には深海や極地といった極限環境で生活する生き物で、それぞれの生き物が環境に適応し生存している事実には本当に驚かされます。

例えば深海。地球上においては水深200m以上の海域で定義されますが、この世界では太陽光が著しく減衰若しく遮断され、此処に生きる生き物たちにとってのエネルギー源は地球自身となることが多いようです。

深海底から重金属や硫化水素を含んだ数百度の熱水が噴出する熱水噴出孔には、各種硫化物から有機物を合成するバクテリア・古細菌、そのバクテリアを体内に寄生させて共存するチューブワームと、チューブワームが作り出す環境において、微生物を捕食するエビ・カニ、頭部に透明なドーム状の構造を有するデメニギス等の魚類といった高等生物が食物連鎖を形成し、驚くほど豊かな生態系を形作っています。

熱水噴出孔(右奥)のすぐ近傍に群落を形作るチューブワーム(左手前)
(出典:Woods Hole Oceanographic Institution)

頭部の構造が特徴的な深海魚のデメニギス Macropinna microstoma。緑色の球状部分が円筒形の高感度の眼で、通常の眼の位置にあるのは鼻に相当する器官。
(出典:Monterey Bay Aquarium Research Institute)

こういった生物は、ヒトの生活と全く関係しないように思われることも多いのかもしれませんが、例えば熱水噴出孔近縁に存在する古細菌Thermococcus属は、そのDNAポリメラーゼが分子遺伝学分野の研究やDNA鑑定にも広く利用されており、また極地深海に生息する海綿動物Latrunculia austiniは、難治腫瘍治療薬としての可能性が見出される等、実は意外と身近にありヒトの社会・医療に対して大きく寄与している生物達です。

また、深海の生態系は、太陽エネルギーに依存したヒトが生活する地表の生態系とは大きく異なっており、大きな興味を抱きます。というのも、惑星自身のエネルギーを利用した生態系は、地球の深海のみに留まらず、表面の厚い氷層の下に液体の海が存在するといわれている太陽系惑星の衛星(木星のガリレオ4衛星のうちのひとつエウロパや、土星のエンケラドス)でもまた、同じように生物が存在している可能性があるためです。

木星の衛星エウロパの表面に見られる氷のひび割れ構造。木星の巨大な潮汐力により、表層下部は液体の海が存在し、時折氷の割れ目から下層液体が噴出してできた模様と考えられている。
(出典:NASA/JPL/University of Arizona)

フィクションの世界では、ヒト以上に高度な文化を有する「宇宙人」に興味が偏りがちですが、それが高等生物に限らない地球外生命であれば太陽系外や銀河系外といった遠方というより、むしろ意外とご近所に存在しているのかもしれません。


この記事は
エコシステムジャパン 営業企画部
堀岡 が担当しました

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