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より良い世界を目指して。身近なコットンについて私たちが考えたいこと

みなさんが着ている服が、どこで、どのように作られたか考えたことはありますか。衣服の素材の中でもコットンは、一年を通して身につけることができる天然素材。リーズナブルに手に入るので暮らしに欠かせない存在ですが、その背景には地球規模の環境問題を抱えているのです。

地球と生産者に負担をかけるコットンの生産現場

コットンを育てるのに使われる殺虫剤は、世界で最も多いと言われています(*1)。世界の耕作地の2.5%がコットンの栽培に用いられるのに対し、世界使用量の約16%の殺虫剤が使われていて、落葉剤や除草剤を含めた農薬全体では約8%を占めています(*2)。コットンを育てるために、自然環境に大きな負担を与えていることが分かります。

表:世界の農薬販売額の作物別比率

作物 2004年 2006年 2007年
果物・野菜 29 30 30
穀類(注8) 16 16 17
大豆 10 10 10
トウモロコシ 9 9 9
綿花 8 8 8
8 8 8
甜菜 2 2 2
菜種 1 2 2
その他の作物 14 15 15

(日本オーガニックコットン協会より)

こうした労働環境で働く生産者の健康被害も深刻です。コットンの産地のほとんどがインドなどの発展途上国。防護服を手に入れることができず、識字率も低く安全についての注意書きを読むことができないために、殺虫剤の使用を直接の原因とした死者数は毎年2万人にのぼっています。大人より安い賃金で働かされる子どもたちがいることも大きな問題で、こうした健康被害を多く受けるのは子供たちなのです(*3)

落葉剤を使用していないコットン畑(日本オーガニックコットン協会より)

落葉剤を使用したコットン畑(日本オーガニックコットン協会より)

また、ジーンズ1本を作るために必要な水の量は7,500リットル。これはひとりの人間が7年かけて飲む水の量に相当します(*4)。インダス川では、コットンの栽培に多量の水を引いたことで水位が低下し、殺虫剤や化学肥料で汚染されたために、絶滅危惧種のインダスカワイルカが急激に減少するという深刻な被害が引き起こされているのです(*3)

豊かな生態系を保つオーガニックコットン

コットンの抱える様々な問題を解決する取り組みの代表格として、オーガニックコットンがあります。オーガニックコットンとは、コットン栽培から糸や生地を製造するまでに使う化学薬品を最小限に抑え、不当な労働の搾取をせずに作られた製品のことです。

薬剤を使わない代わりに、テントウムシの力を借りて虫を駆除したり、肥料には落ち葉や牛糞を使い、水は雨水でまかないます。化学薬品が土壌に流れ込むことがなく、河川の水量は保たれるので、豊かな生態系を保つことができるのです。

また、生分解性が高い天然素材のコットンは化学繊維とは違って、今大きな問題になっているマイクロプラスチックによる海洋汚染を防ぐことができます。
オーガニックコットンを選ぶということは、地球全体の環境を守ることに繋がるのです。

SDGsが掲げるより良い世界をつくるために

2015年9月、国連のサミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、持続可能でより良い世界を目指すための国際社会全体で取り組むべき17の目標が掲げられています。

これらの目標を達成するためには、人や社会、地球環境に配慮した行動を行うことが大切だと考えられています。「長く使えるものを選ぶ」「使わなくなったものはリサイクルする」「できるだけフェアトレードのものを選ぶ」といった私たち一人ひとりの行動を通して、SDGsが掲げる持続可能な世界の実現に貢献できるのです。オーガニックコットンを選ぶこともその一つ。手に取った洋服がどうやって形になったのか、考えるところから始めてみませんか。

【参考資料】

*1 WWFホームページ
生きている地球のためのより良い生産(2012年)

*2 日本オーガニックコットン協会ホームページ
綿花栽培に農薬はどれほど使われているのか?

*3 OurWorld 国連大学ウェブマガジン
モンサント社の綿花事業における失態

*4 国際連合広報センターホームページ
国連、ファッションの流行を追うことの環境コストを「見える化」する活動を開始


この記事は エコジャーナルサポーター 持続可能な地域や
暮らしをつくるために、共感し合えるアイディアや価値観を
伝えていきたいと、日々挑戦している
  a.fujino が担当しました

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