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法規と条例

資産除去債務

【1】資産除去債務とは?

資産除去債務の定義について、まとめました。

定義

  1. 「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。この場合の法律上の義務及びそれに準ずるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務も含まれる。
  2. 有形固定資産の「除去」とは、有形固定資産を用役提供から除外することをいう(一時的に除外する場合を除く)。除去の具体的な態様としては、売却、廃棄、リサイクルその他の方法による処分等が含まれるが、転用や用途変更は含まれない。また、当該有形固定資産が遊休状態になる場合は除去に該当しない。

※資産除去債務に関する会計基準(企業会計基準第18号 平成20年3月31日 企業会計委員会)より抜粋

基準 名称 公布日 委員会
企業会計基準 第18号 資産除去債務に関する会計基準 平成20年3月31日 企業会計基準委員会
企業会計基準適用指針 第21号 資産除去債務に関する会計基準の適用指針 平成20年3月31日 企業会計基準委員会

【2】資産除去債務の対象とは?

法律、契約による義務が生じる費用が対象になります。環境分野については、以下のようになります。

No 費用の内容 義務の根拠
(1) 土壌汚染状況調査に係る費用
※特殊な事例を除き、浄化費用までは想定されません
土壌汚染対策法
自治体条例
(2) 吹き付けアスベストの調査・対策に係る費用 石綿障害予防規則
(3) 現況で使用しているPCB含有機器
※処理待ちで現在、保管されているPCBは、引当金として計上
PCB廃棄物の適正な処理に関する特別措置法
(4) 定期借地や賃貸建物の契約における原状回復に係る費用 定期借地契約
建物賃貸契約

【3】資産除去債務は、いつから適用されるの?

資産除去債務に係る会計基準は、平成22 年4 月1 日以後開始する事業年度から適用されます。ただし、事前の事業年度から適用も可能であり、例えば、以下のような会社では早期適用を公表しています。

資産除去債務の早期適用事例
会社名 内容
日鉄鉱業 資産除去債務の対象:約40年後に閉鎖する鉱山などの11カ所の撤退費用を計上。
静岡鉄道 スーパ-や飲食店の原状回復費用を計上。時期については契約および建物耐用年数から算出。

【4】資産除去債務の計上の仕方は?

有形固定資産を除去(廃棄、売却、リサイクル等)する際に必要な将来発生する合理的な見積費用を割引率を用いて現在価値に割り戻し、資産負債の両建計上し、減価償却費として期間配分します。

【5】そもそも、なぜ資産除去債務を計上するの?

工場を閉鎖する場合等には、法律や条例または契約に基づき、多額の費用が発生するケースがあります。これらの情報が事前に分からなかった場合、費用発生に伴う企業価値の下落は投資家にとり非常に不利益な状況を生み出します。そのため、国際的には、企業が資産除去債務を公開することは一般的になっています。資産除去債務の導入により、日本の会計基準が国際的なこの流れに収斂(コンバージェンス)することになります。


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