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中国版「土壌汚染対策法」

中国において土壌汚染対策法に相当する法律の制定時期は、以前より2015年を目途とするとの方針が出されていました。2011年より開始された第十二次五ヶ年計画においても、「土壌汚染対策の強化」が明記されていますので、その終了までに法律を制定するという流れは確実なものとなりそうです。

中国の土壌汚染対策法に相当する「汚染場地環境保護監督管理弁法」は、2009年に「征求意見稿」(パブリックコメント募集)が出されていましたが、その後、数度に渡る改訂が加えられ、2011年3月に政府内において内容を基本的に承認し、今後さらに改訂した上で時期を見て公布するとの方針が決定されました。

これまで具体的な内容は明らかにされて来ませんでしたが、先ごろ政府関係者から入手した情報によれば、法の大枠は、土地の用途または利用権者を変更する際に土壌調査・修復を実施するという、ごく常識的な内容となっています。また、潜在的な汚染サイトに対しても、政府が調査を要求できることとなっています。

注目すべき内容としては、汚染サイトの情報を、土地所有者等が自らホームページやメディア、あるいは文書を閲覧に供するなどの方法で公表すべきであるとの条項があり、中国における一般市民の環境権利意識の高まりに配慮していることが窺われます。

その一方で、調査・修復の基準値となる「土壌質量標準」の改訂は、2009年の修訂第四版草稿の進展が見られず、関係者から「全国一律の基準制定は難しいのではないか」との話もあります。中国における土壌調査・修復は、リスクベースのアセスメントが実施される流れとなっていて、その方法についても2009年にガイドラインの草案が出されています。ただし、これも関係者の話としては完成版ではなく、アメリカの方法なども参考にしながら改良している段階とのことです。

このように、法制化の道筋が見えても、調査の手法や修復基準といった具体的な内容はまだ明らかになりません。そんな中でも、中国における日系企業としては、汚染を「つかまされない」「見逃さない」「放置しない」といった取り組みによって、事前にリスクを回避するのが賢明な対応です。


西山 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
西山 が担当しました

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