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横浜市生活環境の保全等に関する条例について

神奈川県では、「土壌汚染対策法」とは別に「神奈川県生活環境の保全等に関する条例」が施行されていますが、一方、横浜市および川崎市では神奈川県条例とは別に独自の条例を設けており、土壌調査および対策が指導されています(そのため、横浜市内や川崎市内では神奈川県条例に基づく土壌汚染の規制の適用は受けません)。
今回は、平成24年10月1日に改正施行された「横浜市生活環境の保全等に関する条例」をご紹介します。

【1】横浜市生活環境の保全等に関する条例について

横浜市では、有害物質を使用する事業所の廃止時や土地の形質変更時に土壌調査の義務を課す等の規制を設けてきましたが、平成21年11月の横浜市環境創造審議会の結果に基づき、土壌調査の契機、土壌汚染に対する対策や管理方法に関して土壌汚染対策法と同等に行うことが骨子となっています。

【出典】横浜市ホームページ
横浜市生活環境の保全に関する条例の改正について
土壌汚染対策法改正に伴う 第7章「地下水、土壌及び地盤環境の保全」の改正

【2】横浜市生活環境の保全等に関する条例の改正内容

1. 土壌・地下水汚染の把握の機会拡充

横浜市では、以下のような機会に土壌調査の義務が生じます。今回の改正では、従来からあった有害物質の取り扱い事業者の事業所廃止時および土地形質変更時に加えて、2,000m2以上の土地形質変更時において、土壌汚染のおそれが認められる場合にも、土壌調査が必要となりました。

■事業所の廃止時や形質の変更時(面積規模は問わない)に土壌調査が必要となる土地

■事業所の廃止時や形質の変更時に土壌調査が必要とならない土地
ただし、2000m2以上の形質変更時は届出が必要

2. 土壌汚染対策と地下水汚染対策の総合的な取組み

「土壌汚染対策法(以下、法)」では、土壌汚染を原因とする地下水汚染があっても、その時点において周辺に飲用井戸等がない等、健康被害の発生のおそれがない場合は、対策をとる必要がありません。一方、地下水汚染は放置されると拡散のおそれがあり、長期間にわたり滞留しやすいことと、汚染の拡散する地域で新たに地下水を飲用利用する施設や個人の飲用井戸等が設置される可能性も否定できません。

条例改正では、法の土壌汚染状況調査又は市条例の条例土壌汚染状況調査の結果が土壌溶出量基準に適合していない場合には、特定有害物質の汚染が地下水へ拡散するおそれがあることから、対象地の所有者等が土壌調査に引き続いて地下水への影響も調査、報告することになりました。

3. 土地所有者の責務の明確化

従来の条例では、汚染原因者が不明の場合は、調査、対策等の指導を行うことができませんでした。今回の改正では、土壌汚染に関する責任を法と同様に土地所有者等に求めることになりました。

4. 搬出汚染土壌の適正処理

「条例汚染土壌」に関しては、法と同様に搬出前の届出、搬出土壌の管理票の交付や保存、運搬に関する基準の遵守、汚染土壌処理尾業者への委託等々が義務付けられました。

5. 土壌・地下水汚染の情報提供の充実

法では、土壌汚染が確認された場合、健康被害のおそれの有無を判断した上で、区域指定が行われ、台帳による管理が行われます。改正された条例では、法と同等程度の内容で土壌汚染、地下水汚染状況を整理し、台帳やホームページにより積極的な情報提供が行われます。

6. 調査・対策の信頼性の確保

調査や対策についての信頼性の確保のため、土壌調査は法に基づく「指定調査機関」に、汚染土壌の処理は法に基づく「土壌汚染処理業の許可を得た処理事業者」へ委託することが必要になりました。

7. 命令・罰則の規定

従来の条例では、汚染原因者が土壌汚染調査や対策を行わない場合、指導や勧告を行い、勧告に従わない事業者を公表することとしていましたが、命令や罰則等の規定がありませんでした。
今回の改正では、条例に基づく届出が提出されていない場合、虚偽の届出が出された場合、条例に基づく命令に違反した場合等のケースで法と同様に懲役または罰金を科す等の非常に重い罰則が適用されます。

8. 汚染土壌の搬入による土壌汚染の防止

今回の改正は自主調査で汚染が判明した汚染土壌も含め、何人も汚染土壌による埋立て、盛土その他の土地への土砂の堆積が禁止されました。ただし、要措置区域等又は条例要措置区域等において、他の規定が適用される行為や生活環境を保全するために必要な措置(特定有害物質又はダイオキシン類の飛散、揮散、流出、地下浸透又は悪臭の発散が防止されるもの)については適用除外とされます。

9. 横浜市生活環境の保全等に関する条例手続の整理

従来は有害物質特定施設が存在する事業所の廃止時等には、法および条例の両方に対して、土壌汚染に関する手続きが必要でした。今回の改正では、手続き上の過剰な負担を軽減し、迅速かつ効率的に手続が行えるように、法が適用される土地については、法と同様の内容に関しての条例上の手続きは不要となりました。

【参考資料】

横浜市ホームページ
横浜市環境創造局 土壌汚染対策・地盤沈下対策


加藤 この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
加藤 が担当しました

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