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法規と条例

土壌汚染対策法 特定有害物質の見直しに関するパブリックコメント

1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等に関して、平成27年10月9日(金)から11月9日(月)までの間、パブリックコメント(民間の意見募集)が実施されています。

【1】意見募集の概要

平成26年9月4日に開催された土壌環境基準小委員会(第2回)において、1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーの土壌環境基準の見直しについて審議され、これらを土壌環境基準項目に追加することとする「土壌の汚染に係る環境基準の見直しについて(第2次答申)(案)」がとりまとめられました。

これを受け、土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について、土壌制度専門委員会で審議され、今般「土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について(第2次報告)(案)」(以下、第2次報告(案))が取りまとめられました。この報告案について広く意見が集約され、それを考慮して第2次報告がとりまとめられます。この後、土壌汚染対策法施行令・施行規則等の改正が行われる見込みです。

【2】意見募集の対象

「土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について(第2次報告)(案)」

【3】募集期間

平成27年10月9日(金)から11月9日(月)

【4】背景

(1)基準値改正の経緯

平成21年11月に、1,4-ジオキサン、塩化ビニルモノマー、1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレンの4項目について、「水質環境基準」への項目追加及び基準値の改正が行われました。また、平成26年11月にトリクロロエチレンについて、「水質環境基準」に係る基準値の改正が行われました。

平成26年3月に1,1-ジクロロエチレンの「土壌環境基準」が見直されました。また、平成26年3月には、1,1-ジクロロエチレンに関し、「土壌汚染対策法に基づく特定有害物質」の見直しその他法の運用に関し必要な事項についてとりまとめられ、平成26年8月に規則が改正されました。

最近の水質環境基準、土壌環境基準と土壌汚染対策法に基づく基準値改正の動向について【表1】にまとめました。

【表1】
水質環境基準 土壌環境基準 土壌汚染対策法
1,4-ジオキサン 平成21年11月30日
新項目として追加
(公共用水域・地下水)
平成26年9月16日
第2次答申(案)
(パブコメ9〜10月)
平成27年10月9日
第2次答申(案)
(パブコメ10〜11月)
塩化ビニルモノマー 平成21年11月30日
新項目として追加
(地下水)
平成26年9月16日
第2次答申(案)
(パブコメ9〜10月)
平成27年10月9日
第2次答申(案)
(パブコメ10〜11月)
1,2-ジクロロエチレン 平成21年11月30日
新項目として追加
(地下水)
(今後検討を進める) (今後検討を進める)
1,1-ジクロロエチレン 平成21年11月30日
基準値改正
(公共用水域・地下水)
平成26年3月20日
基準値改正
平成26年8月1日
基準値改正
トリクロロエチレン 平成26年11月17日
基準値改正
(公共用水域・地下水)
(今後検討を進める) (今後検討を進める)
カドミウム 平成23年10月27日
基準値改正
(今後検討を進める) (今後検討を進める)

(2)土壌の汚染に係る環境基準の見直しについて(第2次答申)(案)〔1,4-ジオキサン・塩化ビニルモノマー〕

土壌環境基準項目(溶出基準)に追加し、その基準値(環境上の条件)を【表2】のとおりとすることが適当である
(理由)

  • 1,4-ジオキサンについて、平成21年11月30日環境省告示による「水質環境基準項目」及び「地下水環境基準項目」とされたこと、既に測定方法があること。
  • 塩化ビニルモノマーについて、平成21年11月30日環境省告示により「地下水環境基準項目」とされ、既に測定方法があること。

1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーに係る法に基づく特定有害物質に追加その他土壌汚染対策の制度運用等について、検討を行う必要がある。

【表2】
土壌環境基準項目 環境上の条件
1,4-ジオキサン 検液1Lにつき0.05mg 以下であること。
塩化ビニルモノマー 検液1Lにつき0.002mg 以下であること。

【5】第2次報告案の概要

(1)土壌汚染対策法への展開について

■1,4-ジオキサン

1,4-ジオキサンは水に任意に溶解することから、降雨などにより下方へ浸透しやすく、地下水に流れがある場合は他の特定有害物質より流出しやすいこと、一般的な水分を含む土壌では土壌ガスとして検出されにくいという結果が環境省の室内実験で確認されています。
そのため、物性が近い第一種特定有害物質に分類することが考えられていますが、土壌ガス調査で有無を確認することが困難とされています。
また、これまで土壌に関する基準がなかったことから、汚染実態が不明確とされています。
以上より、第2次報告(案)における対応方針では、「当面は特定有害物質には指定せず、汚染実態の把握に努め、併せて効率的かつ効果的な調査技術の開発を推進するとともに、合理的な土壌汚染調査手法が構築できた段階で、改めて特定有害物質への追加について検討することが適当」とされています。

■塩化ビニルモノマー

塩化ビニルモノマーは、第一種特定有害物質と物性が同等であること、環境省が実施した室内実験ではカラムによる揮発特性試験で土壌から揮発することが確認されています。このことから、土壌ガス調査が可能と考えられています。
また、土壌ガスの捕集方法のうち、減圧捕集瓶法・減圧捕集瓶を用いた食塩水置換法・捕集バッグ法・捕集濃縮管法の減衰が大きくないことも確認されています。このため、今までの土壌ガス調査を適用して塩化ビニルモノマーの試料採取は可能と考えられています。
分析方法等は【表3】のとおりです。

【表3】
特定有害物質 GC-PID GC-
FID
GC-
ECD
GC-
ELCD
GC-
MS
定量下限値
10.2eV 11.7eV
塩化ビニルモノマー × 0.1volppm

以上より、第2次報告(案)における対応方針では、「土壌汚染対策法に基づく特定有害物質に追加することが適当であると考えられる。その際、塩化ビニルモノマーの物性から第一種特定有害物質に区分することが適当」とされています。

(2)塩化ビニルモノマーの追加に伴う土壌汚染対策法の制度運用について

■塩化ビニルモノマーの基準値(案)

【表4】
項目 塩化ビニルモノマーの基準(案)
土壌ガス調査における定量下限値 0.1volppm
土壌溶出量基準 0.002mg/L以下であること
土壌含有量基準 なし
地下水基準 0.002mg/L以下であること
第二溶出量基準 0.02mg/L以下であること

■調査対象とするタイミング

法第3条(ただし書きの確認を受けている場合は、その確認が取り消された時点)
法第3条の調査義務は有害物質使用特定施設を廃止する際に生じます。そのため、有害物質使用特定施設の廃止を行った時点で、塩化ビニルモノマーが特定有害物質に追加されていなければ、土壌汚染状況調査の途中で追加されたとしても、調査対象物質に加える必要はないとすることが適当とされています。
ただし、法第3条第1項ただし書きに基づき、都道府県知事の確認を受け、土壌汚染状況調査の実施の一時的免除を受けている土地については、確認が取り消された時点で塩化ビニルモノマーが特定有害物質に追加されていれば、土壌汚染状況調査の調査対象物質とすることが適当とされています。
法第4条
法第4条調査では、都道府県知事から調査命令が発出された時点(又は土地の形質の変更の届出から30日)で塩化ビニルモノマーが特定有害物質に追加されていなければ、土壌汚染状況調査の実施中に追加されたとしても、調査対象物質に加える必要はないとすることが適当とされています。
法第5条
法第5条調査では、都道府県知事から調査命令が発出された時点で塩化ビニルモノマーが特定有害物質に追加されていなければ、土壌汚染状況調査の実施中で追加されたとしても、調査対象物質に加える必要はないとすることが適当とされています。
一方で、既に調査命令が発出された土地で、塩化ビニルモノマーによる汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものとして令で定める基準に該当する土地であると認めるときは、塩化ビニルモノマーが特定有害物質に追加された後に、再度調査命令を発出することが適当とされています。
法第14条
塩化ビニルモノマーが特定有害物質に追加された後に指定の申請が行われ、区域の指定を行う場合、塩化ビニルモノマーを調査対象物質に含めた調査結果によって申請が行われる必要があるとされています。

■区域指定及び解除について

既に土壌汚染状況調査の結果を報告済みである場合は、塩化ビニルモノマーに係る調査のやり直しは求めず、報告結果に基づき区域指定の公示を行うことが適当とされています。
また、土壌汚染状況調査の全部又は一部の過程を省略して要措置区域等に指定された土地については、その指定を解除する場合には、当該省略した調査の過程を改めて実施する時点より前に追加されていれば調査対象とすることが適当とされています。
なお、要措置区域における指示措置は区域指定した場合に出すことから、特定有害物質への塩化ビニルモノマー追加の施行時に、既に汚染の除去等の措置が指示されて、汚染の除去等の措置を講じている途中等である場合には、塩化ビニルモノマー追加に伴う措置のやり直しは求めないことが適当とされています。

(3)施行について

1,4-ジオキサンは、新規に規制対象等に追加される物質であることから、準備期間として1年間の期間を設けることが適当とされています。

詳しくは、環境省ホームページをご確認ください。

(お知らせ)土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について(第2次報告)(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について

【参考資料】

環境省ホームページ
土壌環境基準小委員会(第2回) 議事次第・配付資料
土壌環境基準等の見直しの進め方について
中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度専門委員会(第2回) 議事次第・配付資料


この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
永瀬 が担当しました

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