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廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その12)
~排出事業者による廃棄物情報の提供~

廃棄物処理法では、排出事業者は委託する産業廃棄物の性状等に関する情報を処理業者へ提供することが求められています。
今回は、廃棄物処理法においてどのように規定されているのか、確認していきます。

【1】法的根拠

廃棄物情報の提供は、廃棄物処理法施行規則 第八条の四の二 委託契約に含まれるべき事項に規定されています。

廃棄物処理法施行規則 第八条の四の二(委託契約に含まれるべき事項)
令第六条の二第四号ヘ(令第六条の十二第四号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 委託契約の有効期間
二 委託者が受託者に支払う料金
三 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その事業の範囲
四 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
五 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本工業規格C〇九五〇号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項
(1)廃パーソナルコンピュータ (2)廃ユニット形エアコンディショナー (3)廃テレビジョン受信機 (4)廃電子レンジ (5)廃衣類乾燥機 (6)廃電気冷蔵庫 (7)廃電気洗濯機
ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨
ヘ その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

七 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項
八 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
九 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

【2】情報提供の様式

平成25年に第2版が公開された、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン― WDSガイドライン ―(Waste Data Sheetガイドライン)(第2版)」においてWDSの様式が示されています。

【参考】
廃棄物データシート(WDS) [PDF 87KB]
廃棄物データシート(WDS)(様式) [xls 62KB]
廃棄物データシートの記載方法[PDF 958KB]
廃棄物データシート記入例[PDF 1640KB]

「2.3 情報提供の方法」で示すWDSの様式は、必要な廃棄物情報に関して具体化した項目を例示したものであり、様式の使用を法的に義務付けるものではない。
ただし、「適正な処理のために必要な事項に関する情報」の提供は法的に義務づけられており、処理業者が当該産業廃棄物の処理を行う上で明らかに必要な情報を排出事業者が当該処理業者に提供しなかった場合は、委託基準違反として刑事処分の対象となり得るので注意が必要である(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金:法第26条第1号)。

(出典)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)

排出事業者の方でご経験がある方も多いと思いますが、廃棄物情報を処理会社に提供する際の書式(WDS)は、処分会社によって異なっています。
なぜでしょうか。

その理由は、WDSの目的にあります。WDSの目的は「適正に処理を行うために必要な情報」を処理業者に提供し、処理会社による安全でかつ確実な処理(適正処理)を実施するために情報提供をお願いする事です。

処理会社によって、前処理方法や処理に関する設備や排ガス処理設備などが異なっていますし、自治体の条例によって排水や排ガスに上乗せ規制があることもあります。このように処理会社によって状況が異なるので、「適正な処理のために必要な情報」も処理会社によって異なり、そのため、廃棄物情報を伝達するツールであるWDSの様式も異なっています。

【3】さいごに

排出事業者の皆様が廃棄物処理を委託しようとしたら、あれこれ聞かれて面倒だと思う事もあると思います。

廃棄物の性状は案件ごとに異なりますし、排出事業者の生産状況によって組成が変わる事もあります。処理会社はサンプル分析や処理試験を行って情報を補いますが、限界があります。お手数と思われる事も多いと思いますが、廃棄物情報の提供にご協力いただけます様、お願いします。

【関連ページ】

DOWAエコジャーナル リスクのクスリ
廃棄物情報提供の必要性


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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