DOWAエコジャーナル

本サイトは、DOWAエコシステム株式会社が運営・管理する、環境対策に関する情報提供サイトです。毎月1回、メールマガジンの発行と情報を更新しています。

文字サイズ

DOWAエコジャーナル > リスクのクスリ 記事一覧 > インドネシアのB3廃棄物処理事情

リスクのクスリ記事一覧 ▶︎

インドネシアのB3廃棄物処理事情

先日お知らせしたとおり、インドネシア共和国東ジャワ州ラモンガン県にて、DOWAグループ2拠点目となる総合廃棄物処理拠点、PT. DOWA Eco System Indonesia(DESI)が操業を開始いたしました。

【NEWS】インドネシアの第2処理拠点DESIが稼働を開始しました(2023年1月31日)

現在インドネシア唯一の総合廃棄物処理拠点である、西ジャワ州ボゴール県にあるPT. PPLiに次ぐ2つめの拠点となります。ちなみに「DESI」は、デシィと読みインドネシアでは女の子の名前によく見られます(^_^)。

今回はこれを機に、これまでにも何度か触れていますが、インドネシアにおける有害廃棄物にまつわるあれこれをご紹介します。

インドネシアでは日本における産業廃棄物を、Limbah B3(B3廃棄物=有害危険産業廃棄物)と呼びます。Bahan=物質、Beracun(有毒)dan(and)Berbahaya(危険)の頭文字を取ってB3です。Limbahは廃棄物、特に産業廃棄物を指します。
余談ですが、インドネシアでは略称で呼ぶことが多く、BやKが付いた団体名などがたくさんあり、覚えるのがなかなか大変です。

インドネシアでも環境関連法令はかなり整備されつつあり、B3廃棄物関連では、排出者責任の規定や違反した場合の罰則、マニフェスト制度(現在はFestronikと呼ばれる電子マニフェスト制度が導入済み)、運搬業者や処理業者へのライセンス制度、など日本と同じような規則が存在します。

B3廃棄物については、マニフェスト制度とは別に、廃棄物の種類、特徴、総量、発生日、どの業者に処理委託したか、などの記録を作成して報告する義務があります。

とはいえ、インドネシアあるあるですが、実態は異なることが多々あります。
以下、我々の経験も踏まえて、現場の状況や日系企業が陥りがちなリスクなどに触れたいと思います。

(1)法令

前述の通り、日本と同じような、場合によっては日本より厳しいレベルの規則・規制が整備されています。とはいえ、各法令間で整合が取れていなかったり、担当者によって解釈が違っていたり、何の前触れもなく突然新しい法令が発布・施行されたり、といったことがしばしば起こります。
行政に問い合わせても明確な回答が得られない、それどころか、規則が変わっているにも関わらず、以前の規則に基づいて対応を要求してくる担当官もいます(新しい規制を理解していない、そもそも知らない)。

大事になるのは、自社の事業を行う上で必要な許認可は何か、それはどの法令に基づいているのか、いつまでに取得が必要なのか、といった点を明確にしておくことです。また、その情報を入手できるソースを確保することが重要です。
環境分野で経験のあるスタッフを自社で抱える、あるいは信頼できるコンサルと契約する、などがよいかと思います。それができないと、適当なことを言ってくる担当官や業者などの言うがまま、アタフタと対応を迫られることになってしまいます。

(2)ライセンス

B3廃棄物処理に関するライセンスは、大きく以下のとおり分類されます。

① 運搬(Transport)
② 一時保管(Collection)
③ 中間処理(Treatment) (前処理、焼却処理、水処理など)
④ リサイクル(Utilization)
⑤ 最終処分(Landfill)

一番多いのが、「ウチはB3の許可を持っています」と言ってくる業者が、上記のうち一部分しか許可を持っていないケースです。

特に①の運搬許可を持っている会社は数が多いのですが、運搬許可を持っている会社ができるのは、一時保管や中間処理など②以降のライセンスを保有する企業へ廃棄物を運搬することのみです。委託した業者が自社から廃棄物を引き取った後、適正な処理業者へ運搬しているかどうか、などを確認するのは日本同様排出者の義務として規定されています。

また、各ライセンスで取り扱える廃棄物の種類(Waste Code)が定められており、委託する業者が自社から発生する廃棄物を取り扱えるかどうか、確認する必要があります。

なお、⑤の最終処分のライセンスを保有して廃棄物を受け入れているのは、インドネシア全土でDOWAグループのPPLi、DESIの2社のみとなります。
※特例として、発電所などに、自社発生廃棄物専用の最終処分場を保有する許可が発行されることがあります。

(3)管理体制

現地法人で日本人自らが廃棄物処理に関わっている企業は、非常にまれです。
ローカルスタッフから「許可を持っている会社に委託しています」「この分野は危ないので、この業者を使うしかありません」といった説明を受け、特定の方に任せっきりになってはいないでしょうか?

前述の通り、インドネシアでは排出者責任、廃棄物を適正に処理する義務、違反した場合の罰則(罰金+責任者の投獄!)などが明確に定められています。
よほど悪質でない限り、それらが実行されるケースは多くありませんが、行政からの指示・指導には(たとえ理不尽な内容と思っても)まじめに対応する、あるいはお金を持っている(と思われている)日系企業はターゲットになりやすい、ということを自覚しなければなりません。

大事なのは、廃棄物を自社の敷地から運び出してしまえば終わり、ではなく、その後どういう業者に運ばれ、どういう処理をされているのか、(できればご自身の目で)現地確認を行うことです。日本では当たり前のことかもしれませんが、それをインドネシアの地でも同じように行えるかどうか、そこがポイントになってくるかと思います。

以上、長くなりましたが、インドネシアにおけるB3廃棄物処理の現状が、少しでも伝われば幸いです。

インドネシアにおいては、廃棄物に関するライセンスについて収集運搬から最終処分まで全て保有しているのはDOWAグループの2社のみです(PPLiは全てのライセンスを保有、DESIは現時点で運搬のライセンス保有していませんがPPLiがサポートしています)。

DOWAグループでは、お客様に安心して本業に取り組んでいただけることをサポートしていきたい、と考えています。

廃棄物だけでなく、環境関連で何かお困りのこと、ご相談等ありましたら、お気軽にご連絡ください!

PT. DOWA Eco System Indonesia(DESI) 立川 尊信(たちかわ たかのぶ)
e-mail: takanobu.tachikawa@desi.co.id  Mob/WA:+62-811-3191-901


立川 この記事は
DOWA Eco System Indonesia
立川 が担当しました

※ご意見・ご感想・ご質問はこちらのリンク先からお送りください。
ご氏名やメールアドレスを公表する事はありません。

▲このページの先頭へ

ページの先頭に戻る