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DOWAエコジャーナル

2026.01.07 カーボンニュートラル

脱炭素社会の歩き方 ~CFPの第三者検証について

DOWAの取組カーボンニュートラル環境コンサル

排出量取引制度(GX-ETS)が開始されることとなり、CO2などの温室効果ガス(GHG)が、お金と同様の経済価値を持つ社会の実現が、いよいよ現実味を帯びてきました。
そんな「脱炭素社会の歩き方」として、数回に分けて、企業のGHG算定にまつわる動きを取り上げていきます。

当初は、DOWAグループのCFP算定の取り組みの紹介を予定していましたが、前回記事に関連して、EPD(Environmental Product Declaration;環境製品宣言)や、CFP(Carbon Footprint of Product;製品のカーボンフットプリント)の第三者レビューについて知りたいという声を頂きましたので、今回は、予定を変えて、CFPの第三者検証を説明します。

■検証とは

経済産業省・環境省が発行した「カーボンフットプリント ガイドライン」では、検証(Verification)は、「過去のデータ及び情報に関する記述を評価し、その記述が実質的に正しく、基準に適合しているかどうかを判断するプロセス」と定義されています。
同ガイドラインでは、CFPの水準を、「正確性」と「客観性」の二軸から、下図のように整理しており、縦軸の客観性は、“誰が”検証を実施するのかにより、変わってきます。

具体的には、算定者が実施する「自主的な検証」、社内の他者が実施する「内部検証」、社外の他者が実施する「第三者検証」の順番に(つまり、算定者との関係が遠くなればなるほど)客観性は高くなります。

下図では、内部検証であっても、「他社製品と比較することが想定されるCFPの算定において最低限満たすべき追加要件」を満足していますが、内部検証の客観性を、取引先や顧客に証明することは現実的には難しいため、わかりやすい対外的な“お墨付き”として、第三者検証を取得するケースが増えています。
ちなみに、前々回記事で取り上げた「一次データ排出原単位」の活用は、横軸の正確性を向上させるための取り組みに当たります。

(出典)カーボンフットプリント ガイドライン

■CFPの第三者検証の種類

CFPの第三者検証は、対象に着目した場合、下表のように、「製品系」と「システム系」に大別されます。CFPの第三者検証と言えば、一般的には製品系を指しますが、システム系は、社内の算定システムやルールに対して第三者検証を受けることでCFPの客観性を高める手法となります。

システム系は製品系と比べて検証料金が割高となり、システムやルールの構築・維持に要する内部コストも大きくなるため、多数の製品・サービスについて、継続してCFPの第三者検証を受ける必要がある場合などに、採用されています。

区分 概要 第三者検証サービス例
製品系 個別製品の算定結果について実施されるもの ISO14067に基づく製品の第三者検証、ISO14040/14044に基づくクリティカルレビュー、ISO14065に基づくEPD 等
システム系 社内の算定システムやルールについて実施されるもの ISO14067に基づくシステムの第三者検証、EPDシステム認証、第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度 等

ここでは、より一般的な製品系の第三者検証として提供されているサービスについて、代表的なものを紹介します。

■①ISO14067に基づく第三者検証

国のCFPガイドラインが準拠している規格である、ISO 14067:2018 Greenhouse gases — Carbon footprint of products — Requirements and guidelines for quantification(温室効果ガス-製品のカーボンフットプリント-定量化のための要求事項及び指針)に従ってCFPの算定が行われているかについて、第三者検証を行うものです。

公開されているものでは、食品・医療用原料ヘアカラーランニングシューズなど、様々な製品に対して実施されており、検証サービスは、主に国際的な認証機関により、提供されています。

■②ISO14040/14044に基づくクリティカルレビュー

クリティカルレビューは、ISO14067が対象とする温室効果ガス(GHG)のみならず、多様な環境影響領域を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)に用いられる手続きで、ISO 14040:2006 Environmental management — Life cycle assessment — Principles and framework(環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み)及びISO 14044:2006 Environmental management — Life cycle assessment — Requirements and guidelines(環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−要求事項及び指針)に定められた規格に従って実施されるものです。

その中で、クリティカルレビューは、「LCAと、LCAに関する規格の原則及び要求事項との間の整合性を確実にすることを意図したプロセス」と定義されており、内部または外部の専門家によるクリティカルレビューと、利害関係者の委員会(少なくとも3名で構成)によるクリティカルレビューの2種類が規定されています。

比較主張(ある製品と同一の機能をもつ競合の製品に対する優越性又は同等性に関する環境主張)を支援するためのLCA結果の使用に際しては、利害関係者の委員会によるクリティカルレビューが要求されています。

クリティカルレビューは、学識経験者がレビュアーを務めることが多く、学術的に高い水準の算定が求められます。一般社団法人日本LCA推進機構(LCAF)一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)みずほリサーチ&テクノロジー株式会社などが、検証サービスを提供しているようです。

■③ISO14065に基づくEPD

EPDは、ISO 14025:2006 Environmental labels and declarations — Type III environmental declarations — Principles and procedures(環境ラベル及び宣言− タイプⅢ環境宣言−原則及び手順)に基づき、日本では、一般社団法人サステナブル経営推進機構(通称:SuMPO)が運営している環境ラベルプログラムで、かつては「エコリーフ」「CFP」という別名称で、一般社団法人産業環境管理協会(JEMAI)により運営されていました。

プログラムで決められた製品別の算定ルールであるProduct Category Rule(PCR)に従って、GHGを含む複数の環境影響領域について算定を行う必要があり、算定結果の第三者検証と公開までがセットになっています。プログラム開始が2002年で長い歴史があり、2024年までのEPD累計登録件数は、5,965件となっています。建材関係のEPDは、前回記事で紹介したCO2原単位等の策定に要する費用の支援の後押しもあり、2025年11月上旬時点で391件にまで増加しています。

■おわりに

③を除いては、検証サービスプロバイダーは複数存在し、期間、コスト、手順等は個々に異なる可能性があるため、CFPの第三者検証を受ける場合には、どのような製品を対象とするのか、開示先は誰かなど、目的や内容を明確化した上で、できるだけ多くの検証サービスプロバイダーから情報を収集し、自社に最も合ったサービスを選択することが重要と考えられます。

CFPをはじめとした環境情報が経営指標として重視されるようになってきたことから、情報の客観性を裏付ける第三者検証の重要性は、ますます高まっています。

DOWAグループは、1990年代から世界に先駆けて金属リサイクルに取り組むとともに、金属に付加価値を与える技術を磨き続け、最先端の製品・サービスを提供してきましたが、客観性の高い情報開示のために、2023年にはシアン化金カリウムについて、2024年には水アトマイズ粉4製品について、再生資源に関する第三者検証(UL2809検証)を完了しました。

次回は、DOWAグループのCFP算定の取り組みについてのご紹介を予定しています。
当社のUL2809検証の取り組みについては、以下についても併せてご覧ください。

> UL2809とは?
> DOWAエレクトロニクスの製品がUL2809に基づく環境ラベル検証を完了しました

古屋 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ 古屋 が担当しました

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