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東京都条例「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」について

東京都では、2008年(平成20年)7月「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(以下、「環境確保条例」」が改正され、本年2010年4月より「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」が導入されました。ここまでの経緯と本制度の概要を簡単に取りまとめました。

■そもそもの国際社会における温暖化対策の動向から・・

  • 1992年、「気候変動に関する国際連合枠組条約」(気候変動枠組条約)が採択され、1997年 第3回気候変更枠組条約締約国会議(COP3)で法的拘束力のある2012年までの各国の温室効果ガス排出量の数値目標を設定したいわゆる「京都議定書」が議決されました。
  • 京都議定書では、削減義務は先進国のみに課せられており、途上国に対しては課せられませんでした。しかし、中国やインドなど、人口の多い国では、一人当たりの排出量が少なくても、全体として大きな温室効果ガスの排出量となってしまいます(下図参照)。
  • 2009年12月 コペンハーゲンで行われたCOP15では、途上国も含めた2013年以降の各国の削減義務を定めることを目指しましたが、先進国と途上国との主張に大きな隔たりがあり結局、表現を弱めた「コペンハーゲン合意」となりました。日本は全ての主要排出国の参加による意欲的な目標への合意の参加を条件に1990年比25%削減を表明しています。


図出典:全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)

■温暖化対策の国内動向では

  • 日本では1998年COP3の翌年に、世界で最初の地球温暖化防止を目的とする法律となる「地球温暖化対策の推進に関する法律」(地球温暖対策推進法)が制定されました。2005年には京都議定書発行をうけて、「京都議定書目標達成計画」が閣議決定され、それ以降、自主参加型国内排出量取引制度(環境省:2005年~)や2008年 国内クレジット制度(経済産業省:2008年~)が開始されました。現在、排出量取引の国内統合市場(試行的実施)が行われています。
  • 2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減する目標を明記した「地球温暖化対策基本法案」が3月12日に閣議決定されました。
    基本法案には25%削減の具体策として、地球温暖化対策税(環境税)の導入や、企業に温室効果ガスの排出削減を義務づけた上で削減量の過不足を売買する「国内排出量取引制度」を施行後1年以内に創設することなどが盛り込まれています。

■環境確保条例の「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」について

○本制度の対象事業所とは・・・・

  • 前年度の燃料、熱及び電気の使用量が原油換算値で年1,500kℓ以上の事業所を都知事が「指定地球温暖化対策事業所」に指定。指定事業所は「地球温暖化対策報告書」等の作成義務などが発生します。
  • 「指定地球温暖化対策事業所」が3ヵ年連続して原油換算値1,500kℓを超過した場合に、都知事は「特定地球温暖化対策事業所」に指定します。特定指定事業所に指定されると温室効果ガス排出総量の削減義務が発生します。

○削減義務量の算出・・・・

  • 削減義務量は基準排出量の算定値で決定する。基準排出量は、2002年~2007年度において、連続する3ヵ年度の平均値で算定します。

○登録認証機関・・・・・

  • 削減義務の履行や取引を公正のものとするため、排出量や、削減量の確定は、東京都に認証した登録機関に委託しなければなりません。

○優遇処置・・・・

  • 設備、建築物などが既に高効率の省エネ対策が実施されていると認定された「優良特定地球温暖化対策事業所」に認定された場合、優遇処置を受けられます。
    1. 「トップレベル事業所」:削減義務率が1/2に減
    2. 「準トップレベル事業所」:削減義務率が3/4に減

○排出量取引制度・・・・・

  • 排出量取引制度は、2010年度末までに整備される予定です。なお、現在、排出量取引の方法として以下の4つの方法が明記されています。
    1. 超過削減量:指定温暖対策事業所のうち、削減義務量を超過した企業から直接購入する方法
    2. 都内中小クレジット:都内中小規模事業所のうち、地球温暖化対策報告書を作成している企業が、一定量の温室効果ガス削減量を売買できる方法です。
    3. 再エネクレジット:自然エネルギー販売企業等からの購入します。太陽光(熱)、風力、地熱、小規模水力などは、削減量を1.5倍に換算できます。
    4. 都外クレジット(都外事業所で、一定規模の要件を満たす事業所が削減したものを、都内事業所が削減義務量の1/3を上限として購入できる方法です。

○罰則・・・・・

  • 削減義務未達成に対しては、削減不足量に1.3倍加算した削減量を加算し、命令期限までに削減を行います。これに違反した場合は、50万円以下の罰金や、事業者名等の公表と合わせて、知事による不足削減量調達費用の負担も求められます。
  • そのほか、各手続きの未実施などに罰則が適用されます。

○詳細な情報


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