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廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その4)
~特別管理産業廃棄物の排出元施設限定~

前回、特別管理産業廃棄物の定義の概要について説明しました。
今回は、特別管理産業廃棄物の排出元施設限定について説明します。

【1】まず施行令をチェック

特別管理産業廃棄物の排出元施設限定について規定されている、廃棄物処理法施行令第2条の4の確認をします。

廃棄物処理法施行令第2条の4には、それぞれの特別管理産業廃棄物毎に成分、排出元施設について記載されていて、別表も合わせると非常に長い条文です。長いというだけで心が折れそうになりますが、順に見ていくしかありません。がんばりましょう。

長い条文をどうやって読んでいけばいいのかのイメージが掴めるように、エコジャーナル読者の皆様に馴染みが深いと思われる「廃油」を例として、以下説明していきます。

【2】廃油の規定を例に

廃棄物処理法施行令 第2条の4第5号ヌに廃油:「次に掲げる廃油及び当該廃油を処分するために処理したもの」についての規定があります。

条文には(1)から(12)まであり、廃溶剤について成分と施設をもって限定しています。原文から成分の限定と施設の限定を抜き出すと、以下の表になります。

<成分の限定> <施設の限定>
(1) トリクロロエチレン 別表第3の11の項
(2) テトラクロロエチレン 別表第3の12の項
(3) ジクロロメタン 別表第3の13の項
(4) 四塩化炭素 別表第3の14の項
(5) 1・2 -ジクロロエタン 別表第3の15の項
(6) 1・1 -ジクロロエチレン 別表第3の16の項
(7) シス- 1・2 -ジクロロエチレン 別表第3の17の項
(8) 1・1・1 -トリクロロエタン 別表第3の18の項
(9) 1・1・2 -トリクロロエタン 別表第3の19の項
(10) 1・3 -ジクロロプロペン 別表第3の20の項
(11) ベンゼン 別表第3の21の項
(12) 1・4 - ジオキサン 別表第3の11の項

(1)~(12)までの成分によってそれぞれ、施設の限定に関しての規定が異なっています。

【3】トリクロロエチレンを含む廃油を例に

成分によって異なる施設の限定について確認するために、廃棄物処理法施行令 別表第3を確認することになります。
例として、(1)のトリクロロエチレンに関して説明します。

トリクロロエチレンに関しては、別表第3の11の項を確認します。

廃棄物処理法施行令 別表第三の一一の項
水質汚濁防止法施行令(昭和四十六年政令第百八十八号)別表第一(以下「水質汚濁防止令別表第一」という。)第十九号ト及びチ、第二十三号の二、第四十一号ロ、第四十七号ニ、第五十号、第五十一号ホ、第六十六号、第六十七号、第七十一号の二イ並びに第七十一号の五に掲げる施設並びにトリクロロエチレンによる表面処理施設

別表第3の11には、「水質汚濁防止法施行令の別表第一」のうちのいくつかの施設と、「トリクロロエチレンによる表面処理施設」が記載されています。

したがって、今度は「水質汚濁防止法施行令の別表のうちのいくつかの施設」について確認をしなければいけません。長くなりますが、該当部分を抜粋します。

【4】水質汚濁防止法施行令の別表第1をチェック

第十九号ト及びチ
十九 紡績業又は繊維製品の製造業若しくは加工業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ト 染色施設
チ 薬液浸透施設
第二十三号の二
二十三の二 新聞業、出版業、印刷業又は製版業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 自動式フイルム現像洗浄施設
ロ 自動式感光膜付印刷版現像洗浄施設
第四十一号ロ
四十一 香料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設
ロ 抽出施設
第四十七号ニ
四十七 医薬品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ニ 混合施設(第二条各号に掲げる物質を含有する物を混合するものに限る。以下同じ。)
第五十号
五十 第二条各号に掲げる物質を含有する試薬の製造業の用に供する試薬製造施設
第五十一号ホ
五十一 石油精製業(潤滑油再生業を含む。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ホ 潤滑油洗浄施設
第六十六号
六十六 電気めつき施設
第六十七号
六十七 洗濯業の用に供する洗浄施設
第七十一号の二イ
七十一の二 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する研究、試験、検査又は専門教育を行う事業場で環境省令で定めるものに設置されるそれらの業務の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設
第七十一号の五
七十一の五 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン又はジクロロメタンによる洗浄施設(前各号に該当するものを除く。)

引用が長くなりましたが、トリクロロエチレンを含む廃油が発生する施設が、これらの施設と表面処理施設に該当すれば、特別管理産業廃棄物(特別有害廃棄物)であり、以上の検討の結果、特別管理産業廃棄物に該当しなければ、(普通)産業廃棄物ということになります。

【5】施設の限定に関しての確認の流れ

【6】さいごに

特別管理産業廃棄物の定義については、条文の参照が多いので非常にとっつきにくいと感じますが、法令は整理されて記載されているため、半日程度時間を確保して、心を落ち着けて該当箇所を順に確認して行けば、理解は難しくないと思います。

次回は、特別管理産業廃棄物の判定基準について説明します。


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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