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廃棄物に塩素が入っているかどうかを聞かれたのですが、どうしてですか?

Q:廃棄物を排出する際に、処理業者から廃棄物に塩素が入っているかどうかを聞かれたのですが、どうしてですか?

A:

廃棄物の情報をお伺いする際に、処理に際して注意すべき元素が含まれているかどうかについても情報をいただいています。廃棄物処理法では廃棄物の適正な処理のための情報を提供する必要があることが規定されています(廃棄物処理法第3条)。

廃棄物処理法 第三条(事業者の責務)

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

2 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器等が廃棄物となった場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。

DOWAグループでは廃棄物情報シート(WSDS:廃棄物安全データシート)への記載をお願いしており、その中で「注意成分」として当社が特に注意している成分をお聞きしています。

これは、安全かつ安心な処理を行うために必要な情報であり、廃棄物を排出する場合には、事前情報と変わりがない事等について、ご確認いただければと思います。

当社が特に注意している成分は下記の通りです。

フッ素 塩素 臭素 ヨウ素
硫黄 ホウ素 窒素 セレン

■注意する理由

  1. フッ素、塩素
    大気汚染防止法で定められた「ばい煙発生施設」(廃棄物焼却施設など)では、排ガスから発生する有害物質に規制がかかります。その中にフッ素、フッ化水素、塩素、塩化水素が含まれており、法律順守の観点から、受入時点でフッ素や塩素に注意しています。
    また、水質汚濁防止法の「特定施設」から放出される排水には排水基準がかかります。フッ素には排水基準がかかり、特に排水を伴う水処理施設を持つ廃棄物焼却施設や最終処分場などの処理施設では受入から管理しています。
    加えて、フッ素、塩素は廃棄物焼却施設などのガス洗浄施設への負荷が高く、かつ腐食性も高いことも注意する理由です。
  2. 臭素、ヨウ素
    臭素、ヨウ素は蒸気に混じると着色の原因となります。そのため、特に規制は無いものの、廃棄物焼却施設などの煙突からの蒸気に色が付くことを避けるため、受入段階で管理をしています。
  3. 硫黄
    ばい煙発生施設においては硫黄酸化物(SOx)が規制されています。硫黄は燃えて酸化した際に硫黄酸化物が発生してしまいますので、受入段階で管理をしています。
    また、硫黄が含まれる廃棄物は、組成によっては硫化水素が発生する可能性があります。硫化水素は有毒なので、安全上の観点でも注意が必要な物質です。
  4. ホウ素
    ホウ素には排水基準がかかります。
    また、最終処分場からの放流水基準にかかる場合があり、埋め立てる焼却灰を排出する廃棄物焼却施設も含めて、スムーズな処理を行うためにもこれらの施設の受入時点で管理しています。
  5. 窒素
    ばい煙発生施設においては窒素酸化物(NOx)が規制されています。窒素は焼却の過程で酸化すると窒素酸化物が発生してしまいますので、受入段階で管理をしています。
    また、最終処分場では放流水の基準にかかる場合があります。
  6. セレン
    セレンには排水基準がかかります。
    また、最終処分場の放流水の基準にかかる場合があり、埋め立てる焼却灰を排出する廃棄物焼却施設も含めて受入時点で管理しています。

■さいごに

廃棄物を処理する際には、上記の他にも、発ガスの有無、臭気など様々な情報をいただいています。
お取引の際には色々と情報をお聞きすることもございますが、安全かつ法律を遵守するための対応ですので、引き続きご協力をお願いいたします。


この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました

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