DOWAエコジャーナル

本サイトは、DOWAエコシステム株式会社が運営・管理する、環境対策に関する情報提供サイトです。毎月1回、メールマガジンの発行と情報を更新しています。

文字サイズ

DOWAエコジャーナル > リスクのクスリ 記事一覧 > 廃棄物の混合による危険性とは

リスクのクスリ記事一覧 ▶︎

廃棄物の混合による危険性とは

当社は、処理工場内で廃棄物同士が接触・混合して危険な反応が生じない様に注意して処理しています。今回は廃棄物の接触・混合による反応の危険性についてご説明します。

■なぜ反応に注意しているのか

適正処理のため

廃棄物処理法上、処理に際しては廃棄物が飛散・流出しないようにすることや悪臭が生じないように措置を講ずることが必要になります(廃棄物処理法施行令第6条第1項第2号)。廃棄物の混合によってガス発生等の危険な反応が生じた場合には、上記の規定を順守することが困難になります。そのためにも、混合による反応を事前に防いだうえで処理する必要があります。

安全確保のため

廃棄物が接触した際には様々な反応が考えられますが、特に発熱やガス発生など、人や周辺環境に被害を与えうる反応に注意しています。発熱は程度にもよりますが、高温で発熱すると廃棄物自体が発火する可能性がありますし、有毒ガスが発生すると作業者に危険が及ぶだけでなく処理施設の外にも影響が及ぶ可能性があります。そのため、保管や投入方法に注意して反応を起こさないようにしています。

■事前情報の重要性

危険な反応を回避するためには排出事業者からの事前情報が重要になります。

廃棄物を適正に処理するためには、各々の廃棄物の特性に応じた処理が必要である。このため、法の委託基準では、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供することとされている。しかし、廃棄物処理過程において、有害特性等の廃棄物情報が排出事業者から処理業者に十分に提供されないことに起因する自然発火や化学反応等による事故や有害物質の混入等の課題があり、廃棄物情報の適切な伝達が求められている。

(出典)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(環境省)

上記は環境省が出している廃棄物データシート(WDS)のガイドラインからの引用です。記載の通り、ガイドライン上でも廃棄物に関する情報提供の不十分さによる事故が課題とされています。廃棄物の反応による安全上のリスクを低減するため、排出事業者の皆様には事前の情報提供をお願いしています。

また、同ガイドラインにも掲載されている廃棄物処理法施行規則では、委託契約で含まれるべき事項が記載されています。以下記載の通り、廃棄物処理法では混合により生じる支障に関する情報を処理業者へ伝える必要があります。

規則第8条の4の2(委託契約に含まれるべき事項)

六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報

  1. イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
  2. ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
  3. ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
  4. ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本工業規格C〇九五〇号に規定する含有 マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項(詳細略)
  5. ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物が含まれる場合は、その旨 ヘ その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

(出典)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(環境省)

■反応の事例

有機性の汚泥と酸性廃棄物が接触し、硫化水素が発生する

想定される反応についての事例をご紹介します。


廃棄物ピット

例えば右の写真は廃棄物を保管するピットです。入荷した廃棄物をこのようなピットに入れると他の廃棄物と混ざることになりますので、事前情報に基づき、混合しても反応しない廃棄物を入れていきます。

硫黄を含む汚泥単独では硫化水素が発生していなくても、保管場所で酸性の廃棄物と接触することで硫化水素が発生する場合もあります。

この場合は、同じピットに酸性の廃棄物を保管しない等の対策が必要です。

■危険な反応を回避するために

廃棄物の組成は発生工程によって様々であり、安全に、適正に処理を行うためには廃棄物同士が混合することによる反応にも気を付ける必要があります。そのため、当社では事前に廃棄物の組成や反応性についての情報をいただき、サンプルを用いた反応性の試験等を経て適切な処理方法を判断しています。

そのためには、事前の情報が非常に重要ですので、廃棄物の組成や反応性に関する情報を営業担当へお教えいただくようお願いいたします。


この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました

【編集者からのおすすめ記事】

※ご意見・ご感想・ご質問はこちらのリンク先からお送りください。
ご氏名やメールアドレスを公表する事はありません。

▲このページの先頭へ

ページの先頭に戻る