『「地下水保全」ガイドライン~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』が公開されました。
平成27年3月に公開された、『「地下水保全」事例集~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』に引き続き、『「地下水保全」ガイドライン~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』(以下、ガイドライン)が公開されましたので、ご紹介します。
地方公共団体等を主な対象として、地下水をめぐる最近の動向と地下水保全に向けた技術的、法・制度的課題、地下水保全のあるべき基本的な考え方と、地下水の適切な保全管理のための方策が取りまとめられています。
【1】背景
高度経済成長期に深刻だった、地下水の過剰採取による広域の地盤沈下は沈静化しつつあるものの、以前は広域の地盤沈下が深刻だった大都市地域では地下水採取規制などにより地下水位が回復・上昇するなど、地下水を取り巻く環境に変化がみられています。さらに、ヒートアイランド対策、再生可能エネルギーとしての利用や防災利用など地下水の多面的な利用が広がっているいる中で、地下水の有効利用を図る方策の確立が求められています。
水循環基本法が平成26年7月に施行され、水循環の重要な構成要素である地下水の利用環境についても、保全管理が求められています。
【2】目的
水循環基本法第1条と水循環基本計画の基本方針に規定されている「健全な水環境の維持・回復」の観点から、地域の地下水の保全と持続可能な利用を図るための方策を示す事とされています。
水循環基本法 第1条(目的)
健全な水循環を維持し、又は回復させ、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上に寄与することを目的とする。
出典:『「地下水保全」ガイドライン~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~
【3】基本理念
水循環基本法を踏まえ、ガイドラインでは、基本理念として5項目が挙げられています。
- 地下水の公共性
- 健全な水循環の維持・回復
- 地下水域の総合的な保全管理
- 地下水環境・機能の保全と持続可能な地下水利用
- 水文化の継承
水循環基本法 第3条(基本理念)
- 健全な水循環の維持又は回復のための取組が積極的に推進されなければならない。(第1項)
- 水については、その適正な利用が行われるとともに、全ての国民がその恵沢を将来にわたって享受できることが確保されなければならない。(第2項)
【4】地下水保全と持続可能な地下水利用のための方策
地下水の実態把握と予測、連携による体制づくり、地下水環境の保全管理方策についての事例が紹介されています。
予測に関しては、地中熱利用、防災利用、消融雪利用など、新たな水需要についても勘案する必要があるとされています。
【5】参考に
「保全」安全を保つこと(大辞林)
●つまり、地下水保全とは?
→地下水の安全を保つこと、と言えます。
●なぜ地下水の安全を保たなければいけないか?
→水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いものなので、その恩恵を将来にわたって享受できるようにするため
●どうやって保全するのか?
→総合的に管理を行い、適正に利用する
ガイドラインでは、健全な水循環の維持・回復と地下水の保全(第2章)、地下水保全と持続可能な地下水利用のための方策(第3章)として、考え方と事例などがまとめられています。
詳しくは、環境省ホームページをご覧ください。
環境省ホームページ
『「地下水保全」ガイドライン~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』について
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました