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海岸漂着物処理推進法とは

平成31年1月31日まで、「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」の改定に対するパブリックコメントが実施されています。今回は、この基本方針を定める根拠となっている、「海岸漂着物処理推進法」について説明します。

1. はじめに

「海岸漂着物処理推進法」は、平成21年7月15日に公布・施行され、正式には
「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」です。
平成30年6月22日に一部改正され、法律の名称も「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」と改正されました。

改正前:
「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」
改正後:
「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」

2. 経緯

平成21年7月
「海岸漂着物処理推進法」公布・施行
平成22年3月
「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」閣議決定
平成30年12月25日
「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」パブリックコメント実施

↓

法施行後約10年が経過した現在においても、

  • 我が国の海岸には、国内外から多くの海岸漂着物が漂着している
  • 我が国の沿岸海域において漂流している
  • 海底に存在するごみその他の汚物(漂着ごみ等)が船舶の航行の障害や漁業操業の支障となっている

など、海洋の環境に深刻な影響を及ぼしています。
さらに近年では、海洋に流出する廃プラスチック類(海洋プラスチックごみ)や微細なプラスチック類であるマイクロプラスチックが、生態系に与え得る影響等について国際的に関心が高まり、世界全体で取り組まなければならない地球規模の課題となっています。

出所:海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針改定案より作者抜粋

↓

平成30年6月「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律」(平成30年法律第64号)公布・施行

3. 「海岸漂着物処理推進法」概要

<基本理念>

  • 総合的な海洋環境の保全・再生
  • 責任の明確化と円滑な処理の推進
  • 3R推進等による海岸漂着物などの発生効果的な抑制
  • 海洋環境の保全(マイクロプラスチック対策含む)
  • 多様な主体の適切な役割分担と連携の確保
  • 国際協力の推進
出所:海岸漂着物処理推進法概要

平成30年に一部改正された概要は、大きく6点です。

-1 目的に海洋環境保全が追加されました。
-2 海岸漂着物が大規模な自然災害の場合に大量に発生している旨の追加
漂流ごみ(沿岸海域に漂流しているごみ、海底に存在するごみ)を新たに定義、漂流ごみについても処理の推進を図るように努めなければならない旨を規定
3Rの推進等による海岸漂着物等の発生抑制に関して規定
マイクロプラスチック対策について規定
国は、海岸漂着物などの処理推進に寄与した民間団体や個人の表彰に努める旨を規定
国は、国際的な連携と国際協力の推進荷必要な措置を講ずる旨を規定
出所:海岸漂着物処理推進法の一部改正法 概要

4. 枠組み

基本方針

法の基本理念にのっとり、「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」が定められました。(法第13条第1項)

海岸漂着物対策推進会議

海岸漂着物対策の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るための連絡調整を行うため、海岸漂着物対策推進会議が設置されました。(法第30条第1項)

海岸漂着物対策推進会議の構成
内閣官房総合海洋政策本部事務局長
内閣府政策統括官(沖縄政策担当)
総務省地域力創造審議官
外務省国際協力局地球規模課題審議官
文部科学省生涯学習政策局長
農林水産省農村振興局長
林野庁次長
水産庁次長
経済産業省産業技術環境局長
国土交通省河川局長
国土交通省港湾局長
気象庁地球環境・海洋部長
海上保安庁警備救難部長
環境省水・大気環境局長
環境省廃棄物・リサイクル対策部長(議長)

出所:環境省ホームページ 海岸漂着物対策推進会議・専門家会議

海岸漂着物対策専門家会議

海岸漂着物対策推進会議に海岸漂着物対策専門家会議が置かれています。(法第30条第2項)

地域計画

都道府県は、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するため必要があると認めるときは、基本方針に基づき、単独で又は共同して、海岸漂着物対策を推進するための計画を作成する。(法第14条第1項)

5. 最後に

G7首脳会議がまとめた「海洋プラスチック憲章」に日本が署名しなかったのは、平成30年6月のことでした。海洋ごみやマイクロプラスチックはその頃から報道されるようになってきた記憶があります。平成30年の11月から12月にかけて「プラスチック資源循環戦略」についてパブリックコメントが実施されていました。

現在(平成31年1月)パブリックコメントが実施されている「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」は、「海岸漂着物処理推進法」に基づく日本の海洋ごみ対策に関する基本方針です。

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法規と条例:「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」の改定に対するパブリックコメントが実施されています。

【参照ホームページ】

環境省ホームページ
海岸漂着物処理推進法


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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