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廃棄物を入れたドラム缶が膨張しているのですが、このまま搬出していいですか?

Q:廃棄物を入れたドラム缶が膨張しているのですが、このまま搬出していいですか?

A:

ドラム缶は圧力容器ではありませんので、圧力がかかると破裂や漏洩のおそれがあり危険です。
運搬途中の安全を確保できないため、膨張した状態で搬出するのは控えてください。また、処理における安全確保が難しくなりますので、膨張したドラム缶は受入できません。

■膨張した状態ではどのようなリスクがありますか?

ドラム缶が膨張した状態では以下のようなリスクがあるため、ドラム缶が膨張した状態で運搬する事は非常に危険です。また、処理工場においても安全に処理することが難しいため受入ができません。

1. 運搬中に倒れて中の廃棄物が噴出・漏洩するリスク

膨張して底が膨らんだドラム缶の写真
写真:膨張して底が膨らんだドラム缶

ドラム缶が膨らむと、ドラム缶の上面だけでなく、底も丸く膨らみます。底が丸く膨らむと運搬中に倒れてしまうリスクが非常に高くなります。ドラム缶が倒れた衝撃で蓋が外れて廃棄物が運搬途中の道路に流れ出るなどの漏洩事故につながることが懸念されます。

また、鉄などでできたドラム缶を変形させるほどの圧力がドラム缶内部でかかっているということですので、腐食した部分から廃棄物が噴出して漏洩事故につながるリスクが高くなります。

廃棄物が道路に流れ出ると周囲の環境汚染につながってしまいますので、膨張したドラム缶は搬出しない(運搬車両に積み込ませない)ようお願いいたします。

2. 処理時に中の廃棄物が噴出するリスク

膨張しているドラム缶は鉄などでできたドラム缶を変形させるほどの力(内圧)かかっています。そのため、中間処理工場でドラム缶の蓋を開けた際に、ドラム缶に入っている廃棄物が噴き出してきます。

廃棄物が噴出すると、作業者が廃棄物を浴びて薬傷を負うなどの労働災害につながる可能性があります。

労働災害の防止、作業者の安全確保のため、膨張したドラム缶は受入ができません。

■ドラム缶を膨張させないためにはどうすればいいですか?

ドラム缶を膨張させない様に、適切な環境で保管する必要があります。

1. 外気温に注意する

温度が高くなると廃棄物が揮発してガスが発生しやすい有機溶剤などの廃棄物は、直射日光が当たる屋外での保管を避けて建屋内で保管するなど、適切な管理が必要です。

2. ガス抜きを行う

ドラム缶内のガスが原因で膨張する可能性がある場合、天板の口栓などからのガス抜きが必要な場合があります。ただし、中のガスが有毒であったり臭気が強いものである場合などガス抜きができないこともありますので、ドラム缶の内容物が揮発してドラム缶を膨張させない様に留意する必要があります。

充填時の注意点 ~過充填しない~

充填量が不適切な例の写真
写真:充填量が不適切な例

ドラム缶に充填する際には「天板から10cm以上スペースが開いている状態」とするようにお願いしています。これは、気温の変化で廃棄物が揮発した際に、ドラム缶の膨張を防いだり、ドラム缶の内圧を下げるためのガス抜きを安全に行うためです。
また、充填率を9割とすることで、運搬中の揺れによる漏洩防止にもつながります。

(注1)
液体は写真の様なオープンドラムではなくクローズドラムの使用をお願いしています。
(注2)
膨張の可能性のある廃棄物など廃棄物の性状によって個別に対応をお願いする場合もあります。

ドラム缶工業会が、「鋼製ドラムの取扱上の注意」を公開しています。
ドラム缶使用上の注意がまとめられていますので、是非ご一読ください。

ドラム缶工業会ホームページ 
鋼製ドラムの取扱上の注意


この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました

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