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「再生可能エネルギー特別措置法」が施行されました その2

DOWAエコジャーナルの8月号で、平成24年7月1日よりスタートした「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(再生可能エネルギー特別措置法)、いわゆる固定価格買取制度:FIT(Feed-in Tariff)の概要について、ご案内いたしました。

【参考資料】
エコジャーナル2012年8月号記事

今回は、太陽光発電事業における事業リスクについてのお話をさせていただきます。
再生可能エネルギーの事業のなかで、太陽光発電事業は風力発電事業と比較すると事業リスクは小さいと思われている方が多いようです。しかし各方面から検討してみると、太陽光発電事業においても多くのリスクが存在していることがわかってきます。

【一般的なリスク】

太陽光発電をざっとイメージすると、まず、太陽光パネルが並んでいる姿を想像できます。そして、その先に、電力網との接続された状態があります。

まず頭に浮かぶのは、気象、自然災害によるリスクではないでしょうか。強風などの荒天時による設置設備の破損などが代表的です。
また、太陽光発電に限らず、再生可能エネルギーの発電事業に共通するリスクとして系統連系のリスクがあります。系統連系とは、発電事業を行う対象地にある電力会社の電力供給網に発電した電気を供給するための技術を指します。

しかし、気象などの変化に影響されやすい再生可能エネルギーは、安定した供給を行っている電力会社からすると「電力の安定給電を行う」という観点にから不安があります。
そのため、系統連系に関する確認事項が多岐にわたり、手続きに要する期間が以外にかかることや、場合によっては、接続におけるもろもろの条件が整わないために系統連系を断られる場合があります。

系統連系では、このほか、電力供給網から発電予定地までの距離も、事業のコストアップに直接つながってくるため事業計画立案の際に十分注意する必要があります。
さらに屋根置型(ルーフトップ型)太陽光発電事業であれば、構造物強度もリスクのひとつです。大型の工場など既設の設備の屋根に太陽光発電設備を設置することは、設置面積が比較的大きく確保できるため、たいへん有効な方法です。しかし、そもそも工場などが、屋根部に設備を乗せるように設計されていない場合があり、発電設備の設置検討の際には、早い段階で工場など構造物の耐荷重診断が必要となります。

以上のようなリスクは、事業計画のある適度初期の段階で検討されるリスクです。

しかし、太陽光発電事業において、事業の採算性に直接響いてくるリスクのうち、見えにくいリスクもあります。

【発電事業の運用開始後に発生するリスク】

ここにあげるリスクは、発電事業の収益に直接、または間接的に影響してくるものです。そのため、事業計画の際に行われる事業の実現可能性調査(FS:feasibility study)では、下記のようなリスクにも注目していきます。

  1. 故障発生率
    太陽光パネルや、パワーコンディショナーなど、太陽光発電に関する設備における故障、不具合の発生(故障率)に対する検討が必要となります。それぞれ設備ごとに故障率が異なるという報告もあり、この点に注目していく必要があります。
  2. 維持管理・モニタリング
    太陽光発電設備は、さまざまな環境下に設置されるため、その環境に応じた維持管理方法があります。しかし、現在、その管理方法は、まだまだ模索のレベルのところがあります。また、維持管理を行う実施会社についても需要を供給が上回っている状況です。
  3. 経年劣化
    太陽光発電パネルは、仕組みとしては比較的シンプルですが、高温下など劣悪な環境下におかれるため、時間とともに発電効率が低下することが一般的です。これは発電量に直接影響してくる問題で、事業採算性の検討に重要な要素となってきます。
  4. 地域ごとの塩害やその他の環境要素
    設置個所の環境要素は、発電設備のさまざまな機器に影響を与えます。特に塩害などは、設備にさまざまな不具合を誘発するため、設置場所の検討の際には重要です。その他にも太陽光発電パネルが、パネル周辺の温度により発電効率が影響を受けるため、事業計画地の温度環境も重要な検討対象となります。

太陽光発電事業を取り巻く様々なリスク

これらの他にも、電力買取価格(価格見直しによるリスク)や、パネルメーカーのサポート体制(メーカーを取りまく市場競争に伴うリスク)などがあります。

再生可能エネルギーによる発電事業では、これらのリスクを踏まえた緻密な事業計画が必要となってきます。そのため、発電の事業検討の際には、確実なFSの実施が不可欠となってきます。

これらのリスクについては、弊社の技術担当者の記事で詳しく述べておりますので、ご参照ください。

【参考資料】

イー・アンド・イー ソリューションズ ホームページ
「メガソーラー事業とそのリスク」
[ニュースリリース 2012年7月25日付]

【イー・アンド・イー ソリューションズのサービス】

イー・アンド・イー ソリューションズではメガソーラー事業のリスクに対応するため、下記のような項目について事業のリスクチェック、対応策のアドバイス等のサービスも提供しています。

<<業務サービス概要>>

■発電量調査

発電事業の実施計画に基づき、太陽光発電設備を設置した場合における見込発電量の推定

■太陽光発電設備に係る技術検証

発電事業で採用される太陽光発電設備および付帯設備に関し、導入技術の妥当性についての評価

■プロジェクト関連契約の検証

発電事業の電力受給契約、EPC契約、O&M契約、保証契約等の各種プロジェクト関連契約について、妥当性の検証を行うとともに、必要に応じ助言および契約条件の提案

■完工認定、性能認定、約定賠償金水準の条件提案及び条件検証

発電事業設備の完工検査確認、完工認定試験、性能認定、約定賠償金水準の条件等についてレビュー、および、改善のための提案

■環境面の検証

発電事業による環境影響の可能性について検証および検討

■その他

太陽光発電の設置に伴う津波、地震リスクや、屋根型太陽光発電設備の設置に伴う建築構造物評価


鈴木 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ
鈴木 が担当しました

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