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ミラノのサステナビリティに焦点を当てた廃棄物処理
家庭ごみの出し方

北イタリアにあるロンバルディア州の州都ミラノ。
観光のほかにも、金融、商業、工業としてもイタリアを代表するインターナショナルな街の一つです。

ミラノの人口は、約137万人。ファッションの都と称され「ミラノコレクション」が開催されており、2026年にはミラノ・コルティナオリンピックが開催予定です。

シェアアプリを使用した車・スクーター・自転車の利用、街のいたるところでEV車を充電するエリアが設置されており、森をイメージしたレジデンス「Bosco Verticale」は、新たなランドマークになっています。
サステナブルに生活することは、ミラネーゼのトレンドの一部になっており、ごみの分別も未来の環境のためにと考え取り組んでいます。

ミラノのごみ処理は民間企業が対応

家庭ごみの収集は市(comune)によって異なり、ミラノは民間企業に委託しています。住民は「Tari」という廃棄物税を支払っており、住んでいるアパートの広さと人数によって税額が異なります。

例:
80平方メートルに一人で住んでいる
年間約169.8ユーロ(約23,336円)
50平方メートルに家族3人で住んでいる
年間約209.5ユーロ(約28,625円)

ミラノ市はサービス契約を締結し、市の環境衛生サービスの管理をAmsa SpA Gruppo a2a.社に委託しています。

契約の対象となる主なサービスは次のとおりです。

  • 家庭ごみの戸別収集
  • リサイクルセンターや処理上への廃棄物の運搬
  • 街と公共の緑地の清掃と洗浄

紙、プラスチック、ガラスなどの分別収集の対象となる廃棄物は、リサイクル専門工場に配送されます。分別されていない廃棄物は、ミラノの北西部にあるフィジーノ(Figino)地区にある廃棄物発電所「Silla2」に運ばれます。廃棄物をエネルギー源として発電し、80,000世帯の十分な年間電力を生成しています。

日常の家庭ごみの出し方

ミラノ市内は、アパート、集合住宅が多く敷地内に分別されたコンテナが設置されています。回収の曜日に合わせて、管理人が敷地の外にごみを出し業者が回収しにきます。

写真左:茶色:コンポスト、緑:ガラス、白:紙
写真右:透明の袋:一般ごみ、黄色い袋:プラスチック・メタル類


左:コンポスト用
右:プラスチック系と一般ごみ用

スーパーや日常の買い物をした際に、レジで袋をくれることはありません。買い物でエコバックを持参していない場合は、10セントでコンポスト素材の袋もしくは紙袋を購入します。そのため、家庭でごみをまとめて出すためのごみ袋はスーパーなどで購入して使用しています。

分別収集

■コンポスト


3.49ユーロ(約480円)20袋入り

普段の食事や料理で出る生ごみ、コーヒー、植物、食事で使用したティッシュや紙ナプキン、植物でできたワインのコルクなどが含まれています。

土に戻る原料を使用したコンポスト用の袋にまとめて、アパートの敷地内に設置されているコンテナに入れます。
コンポスト用の袋は、自然の素材で作られているため少し薄く伸びて破けやすくなっています。

■プラスチック、缶、メタル類

ペットボトル、プラスチック製の食品容器、空き缶、アルミホイル、アルミ容器、プラスチック袋、サランラップなど。
食品のトレーは、洗って乾かしてから処分します。

■紙製品

紙、牛乳パック、新聞、雑誌、本、紙袋、汚れてないピザの箱など。

※紙でも捨てられないもの
・ピザで使用しボックスにソースがついているもの
・クッキングペーパー
・レシート

■ダンボール

ダンボールは、テープは全て取り除きたたむ。
紙と同じ日に回収しますが、紙用のコンテナには入れずにダンボールだけでまとめています。

■ガラス

ボトル、ジャー、花瓶など。
汚れはきれいに落とし乾かして処分します。

■リサイクルで分別できない廃棄物


1.95ユーロ(約270円)20枚入り

オムツ、ボールペン、陶器、デリバリーした汚れたピザの箱、掃除等で使用したティッシュやキッチンペーパーなどの一般ごみ。

ごみ袋は、指定されていませんが家庭でごみをまとめて出すための袋は購入して使用しています。

■衣類、靴


街中に設置されている衣類の回収ボックス

衣類リサイクル専用ボックスが街中に設置されています。
ミラノが契約している委託企業Amsa gruppo a2aが設置しており、衣類のリユースや糸のリサイクルの選択・送付などの対応をしているのはボランティアやNPO団体が担当しています。
また、衣類のボックスはミラノ市内の私の自宅から徒歩10分の間に3ヶ所あります。

■薬


薬局の前に設置されている薬回収ボックス

期限切れの薬など、使用しない薬は薬局に設置されている回収ボックスへ入れます。
こちらも、ミラノが契約している委託企業Amsa gruppo a2aが設置しています。期限切れの薬の中には、一般ごみとまとめて破棄し焼却すると危険なものもあるため別途で回収しています。一般ごみとは違う場所で、通常のごみを焼却するよりも高い温度で薬を焼却処理しています。

■危険物や大型ごみ


写真は収集所の一部

家電、電池、蛍光灯、プリンターのトナー 、危険物(使用済み空のスプレー缶やライターなど)、大型家具、使用済みの油はペットボトルにまとめてごみ収集所に持っていきます。ミラノ市内にごみ収集所は5カ所あります。また、電池は収集所の他にスーパーマーケットでも廃棄するボックスが設置されている場所もあります。

収集所へ行くと、市民か確認するため身分証明書を提示します。土曜日は夜7時まで開いていますが、まとまった不用品を処分するため日中は車で渋滞しています。

処理センターへ持ち込むのが難しい大きな家具や家電は、ごみ処理の業者に連絡をして、引き取りに来てもらいます。引き取り番号を不用品に記載して自宅アパートの前に置きます。すでに税金を支払っているので処分するごみは無料で引き取りに来てくれます。

ごみの出し方については、携帯のアプリ「PULIAMO」があるので簡単に検索することができます。一般的な商品には、パッケージに分類方法が記載されていますが、商品以外の不用品について調べるのに便利です。分別以外にも道路清掃のスケジュールなども調べる事ができます。

ごみの投げ捨ては罰金の支払い

ごみの不法投棄は違法になります。
道端に家庭ごみを捨てると、300〜3,000ユーロ。
車から、ごみを投げ捨てた(カップやペットボトルなど)場合は、216〜866ユーロの罰金となります。

ミラネーゼのごみ処理と環境の考え


ショッピングモールのごみ箱

街のいたるところでごみ箱と灰皿が一緒に設置されているので、ごみを道端で見かけることはあまりありません。スーパーや家電店、ショッピングモールなどでは、必ず分別を目的としたごみ箱が設置されています。

ミラノは、スマートシティとしても力を入れています。環境対策を視野に入れサステナブルに生活する事に注目しているため、ごみの分別もルールに沿って対応しています。


この記事は
ミラノ在住フリーライター
Shino Yamaguchi が担当しました

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