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フィリピン共和国(セブ島)におけるごみの分別方法

フィリピン共和国では、ごみ焼却の安全基準を満たす焼却炉がないため、環境面や衛生面の問題を抱えつつも、大部分のごみの最終処分は埋立てに依存しています。

焼却処分を想定して、可燃ごみと不燃ごみに分類できる日本と異なり、フィリピンでは埋立て処分を想定したごみの分別方法が採用されています。

家庭ごみの分別は、自治体により若干の違いがあるものの、生分解性のごみ、非生分解性のごみ、再生利用可能なごみ、その他の4種類です。生分解性のごみと非生分解性のごみとは、簡単に言うと自然に土に戻る性質かどうかで分別されるごみのことです。

今回は、首都マニラに次ぐフィリピン第二の都市で、観光地として知名度のあるセブ島セブ市のごみの分別に関する条例と家庭ごみの分別方法についてご紹介致します。

ごみの分別に関するセブ市の条例

2004年に制定されたセブ市条例No.2013で定められている家庭ごみの分別の種類は下記4種類です。

  1. 生分解性のごみ:biodegradable or compostable wastes,
  2. 非生分解性のごみ:non-biodegradable wastes
  3. 再生利用可能なごみ:reusable or recyclables wastes
  4. 粗大ごみ:bulky wastes

2011年に制定されたセブ市条例No.2343では“No Segregation, No Collection Policy”という、“分別されていないごみは回収しない”というルールの下、生分解性のごみと非生分解性のごみの2種類の分類の徹底を義務付けられています。

また、セブ市条例No.2331では、ごみの分類違反者に対して、1,000ペソ(日本円で約2,000円)~5,000ペソ(10,000円)の罰金、または1~6ヶ月の実刑が課されることが規定されています。

ごみの分別の種類について

ここでは、粗大ごみを除いた、生分解性のごみ、再生利用可能なごみ、非生分解性のごみ、の分類についてご紹介します。

参照元:フィリピン環境天然資源省ウェブサイト

写真のポスターはフィリピン環境天然資源省が制作したもので、左から生分解性のごみ、再生利用可能なごみ、非生分解性のごみの分類例と、処理方法について説明されています。

1. 生分解性のごみ(Biodegradable)

Biodegradable、「バイオ」という語源から推測できるように、生分解性のごみとは、自然に土に戻るごみのことです。(生分解性とは、物質が微生物によって分解される性質を指しています。)

生ごみ等、判断に困らないものもあれば、見た目は同じように見える製品でも生分解性のものとそうではない製品があるので、購入時にパッケージ表示を確認する必要があります。

一例として、プラスチック製のごみ袋を挙げてみましょう。

ごみ袋コーナーの陳列棚ですが、赤線で囲んだ部分に置いてある製品はBiodegradableの表示がある生分解性のものです。

日本のごみ袋のように、袋1枚1枚に表示が印字されている訳ではないので、生分解性プラスチック製のものか、そうでないごみ袋か、ごみ捨ての際に注意が必要です。

  • ごみの種類:生ごみ、生分解性プラスチック製品など
  • ごみの処理:コンポスト施設、埋立て処理

2. 非生分解性のごみ(Non-Biodegradable)

基本的に自然に土に戻らないごみのことを指しますが、製品によっては生分解性の原料と非生分解性の原料が組み合わされているものもあります。例えば、おむつや生理用品、たばこの吸い殻などです。生分解性の原料と非生分解性の原料の部分を分けて捨てられない場合は、非生分解性のごみとして破棄します。

  • ごみの種類:非生分解性のごみ(生理用品、おむつ、たばこの吸い殻も含む)
  • ごみの処理:埋立て処理

3. 再生利用可能なごみ(Recyclable)

写真は現地のスーパーの掲示板に張ってあった案内です。再生利用可能なごみと、リサイクル不可のごみの例が、お店に売ってある商品の写真付きで説明されています。

回収後のごみのリサイクル方法についてもイラストで分かりやすく説明されています。

  • ごみの種類:紙類、プラスチック製品、ペットボトル、缶、ビン、ボトルなど
  • ごみの処理:リサイクル工場やジャンクショップ

ごみの分別の現状

写真はセブ市のビジネス街にあるコンビニエンスストア前に設置してあるごみ箱です。前述の通り、ごみの分別は4種類あるので、ショッピングモールや公共空間には、大抵4種類のごみ箱が設置されています。色別に、緑(生分解性のごみ)・黄色(非生分解性のごみ)、赤(再利用可のごみ)黒(再生利用不可)のごみ箱です。

家庭ごみについては、細かな分別が浸透しておらず、現状は生分解性のごみと非生分解性のごみの2種類のみの分類に留まっている場所も数多くあります。

中規模の商業施設のごみ捨て場では非生分解性のごみ(左)と生分解性のごみ(右)の2種類のごみ捨て場が設置されてありました。

こちらのコンドミニアムでは珍しくも、ごみ捨て場が5つ設置されています。生分解性のごみ、非生分解性のごみは、野良猫対策にドラム缶サイズの容器に入れます。(写真に写っていない角度に)ごみ容器にBiodegradableまたはNon-Biodegradableの表示があるのでそれに沿ってごみを捨てます。

写真のトラックは生分解性のごみの収集車です。ごみの量が多い時には、トラックの両側の仕切りくらいの高さまでごみを積み上げて回収作業を行っています。

まだ課題の多いごみ分別問題ですが、「分別されていないごみは回収しない」というルールの徹底や、NGO団体や自治体の啓もう活動等を通して、分別に対するセブ市の市民の意識も少しずつ変化してきています。


この記事は フィリピン共和国の文化・歴史、
時事に関する記事を執筆しているフリーライター
ケイト が担当しました

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