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その道の人に聞く

地質学の立場から見た土壌と土壌汚染―その4

独立行政法人 産業総合研究所
地圏資源環境研究部門 副研究部門長
東北大学大学院環境科学研究科 連携講座教授
工学博士 駒井 武 様

工学博士 駒井 武先生にお話しをお聞きしました。
【産総研】独立行政法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門TOPページへ

駒井先生は、地質の専門であり、その中でも地下水、土壌の汚染リスクの研究に携わっていらっしゃる、地質と土壌研究のプロフェッショナルです。
現在、日本全国の土壌のデータベースの製作をされています。また、「GERAS」というリスク評価システムの開発をすすめておられます。
今回は、その4 として、
・「土壌」に関わる環境的側面と経済的側面
・「土壌汚染」と「リスク管理」の考え方
・改正土医汚染対策法のポイント
についてお話しをお聞きしています。

リスク評価ということで、先生のところで開発された地圏環境リスク評価システムについてお話しをお聞きできますか?

「地圏環境リスク評価システム(Geo-environmental Risk Assessment System、GERAS:ゲラス)
についてですが、実をいいますとこの「GERAS(ゲラス)」は、ぜひ事業者や自治体の方に使って頂きたいと思っています。
その土地がどういう危険性があるかを判断するひとつの方法として有効だと思います。
例えば工場で使っていくのであれば、「この程度の措置をすれば使用上問題がないです」とか「この程度までの措置が必要である」ということを判断するソフトです。
土壌の汚染物質の濃度、土質、地下水の流れなどの情報を入れると浄化目標値が得られます。さらに「地下水は飲んでいない」などのデータを加えることで浄化目標値が上がってきます。

もともと産業系で事業所・工場のリスク管理用のソフトとして開発したのですが、自治体の方が興味をもたれての引き合いが多いですね。全国20カ所くらいの自治体で利用されています。
具体的には「汚染源から300m下流にある井戸水を飲んでも大丈夫か?」とか、将来的どれくらいまで濃度が上がる(あるいは下がる)可能性があるかというような診断をされているようです。地方の自治体の方は地下水を心配していますね。汚染源付近の土壌は撤去という方法で対応できるので対応可能ですが、地下水は見えないので難しいですね。

【産総研
 産総研TODAY—汚染リスク評価技術における本格研究—のページ
 地圏環境リスク評価システムGERASのバージョンアップ

GERAS-3が出るそうなのですが、どのように違うのでしょうか?

GERAS-1は汚染の上に住む住民の曝露リスク
GERAS-2は平面系の移動(拡散)を考慮した周辺の曝露リスク
GERAS-3では3次元展開して、土壌や地下水の実測値に基づく曝露リスク
を算出できるような仕組みになっています。

すごい量のデータを計算するようですが、一般のパソコンであつかえるのですか?

あつかうデータとスピードでいいますと、土地の広さはどんな大きさでも可能ですが、データ量が増えるのでその分計算に時間がかかります。一般のパソコンで計算可能です。「GERAS-2」では、1000m2の土地を評価しても1分ほどで可能です。「GERAS-3」だと3次元データなので広さ1000m2、深さ10mの土壌を10mメッシュで計算させて30分ほどかかります。10000m2(100m平方)だと1日程度かかってしまいます。

ちなみにおいくらくらいするんですか?(笑)

無料です。産業技術総合研究所の成果物なので、無償で配布する予定です。
「GERAS-3」は夏くらいには完成させて、お披露目したいと思っています。10月15−16日に産総研の公開があるのでその前後にセミナーを開催したいと考えています。

お話し頂いた全国の土壌表層データなどとはリンクするのでしょうか?

そうですね、現在製作している土壌データマップの情報は「GERAS」のデータとして扱えます。

ここまでお読み頂きありがとうございます。
この続きは次号のジャーナルで公開致します。

次回は駒井先生の最終回です。次回はこれまで聞き忘れていたことなど諸々質問しています。

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