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有機化合物の命名法 ~エチレン骨格~

廃棄物処理法、土壌汚染対策法、水質汚濁防止法などの規制物質にはエチレンやトリクロロエチレンなど、似たような名前の物質が多くて、まぎらわしいかもしれません。
でも、有機化学の命名法を知っていれば、その違いの理由がわかります。高校で有機化学を勉強しなかった方にぜひお伝えしたい!と思い、コラムで取り上げることにしました。

今回はエチレン骨格について説明します。
まず、今回の基本形であるエチレンの骨格を覚えてください。
エチレンは、炭素が2つで、2重結合がある形です。

それと、塩素(Cl)はクロロということ、
1、2、3、4を、モノ、ジ、トリ、テトラ、ということも覚えてください。

■覚えること

エチレン
クロロ 塩素
1,2,3,4 モノ、ジ、トリ、テトラ

これを組み合わせていきます。

塩素数:0

塩素が1つもついていないものは、基本形の「エチレン」

塩素数:1

エチレンの水素が1つ、塩素に置換したものは、「クロロエチレン」、別名塩化ビニル

塩素数:2

エチレンの水素が2つ塩素に置換したものは「ジクロロエチレン」
これは、塩素の位置によって別物になるので、シス-1,2-ジクロロエチレンと、トランス-1,2-ジクロロエチレンと、1,1-ジクロロエチレンの3種類があります。

左から、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トランス-1,2-ジクロロエチレン

化学が苦手な方は、1,1-とかシス、トランスというのはとりあえず気にしなくてもいいです。
塩素がついている場所が違うことを、区別してるんだなとだけ思っていてください。

塩素数:3

エチレンの水素が3つ塩素に置換したものは、「トリクロロエチレン」

塩素数:4

エチレンの塩素が4つ塩素に置換したものは、「テトラクロロエチレン」

エチレン7姉妹のように、見えてきましたか?
姉妹と一緒で、似ているけども性格は違うんです。

化学的性質を一覧表にしました。

塩素の数 水への溶解度 沸点(℃) 20度で 土壌汚染対策
法指定基準
(mg/L)
エチレン 0 131mg/L(25℃) −104 気体 なし
クロロエチレン 1 8.8g/L(25℃)
→8,800mg/L
−13.3 気体 0.002
1,1-ジクロロエチレン 2 2,420mg/L(25℃) 32 液体 0.1
トランス-1,2-ジクロロエチレン 2 4.52g/L(25℃)
→4,520mg/L
48.7 液体 0.04
(シス-1,2-ジクロロエチレンとトランス-1,2-ジクロロエチレンの和)
シス-1,2-ジクロロエチレン 2 6.41g/L(25℃)
→6,410mg/L
60.1 液体
トリクロロエチレン 3 0.1g/100mL(20℃)
→1,000mg/L
87 液体 0.01
テトラクロロエチレン 4 0.015g/100mL(25℃)
→0.15g/L
→150mg/L
121 液体 0.01

塩素数が増えると、沸点(液体から気体になる温度)が高くなっていきます。

水への溶解度は、データが20℃と25℃のものがありますが、おおむねクロロエチレンが一番水に溶けて、塩素数が増えると水へ溶ける量が少なくなっていきます。

水に溶けにくくなっていくということは、塩素数が増えると水ではなく油と仲良しになっていくのがわかります。娘の成長を見守る、親の気持ちに…なってきます。きっと。そのうち。


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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