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DOWAエコジャーナル > 法規と条例 記事一覧 > 改正水質汚濁防止法(未然防止)のポイント解説(3) ~定期点検、記録の保存~

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改正水質汚濁防止法(未然防止)のポイント解説(3)
~定期点検、記録の保存~

第3回目は、定期点検の実施、記録の保存の義務について説明します。

■改正の概要

改正概要  
(1)対象施設の拡大 第1回解説(2012/04/01)
(2)構造等に関する基準の遵守義務 第2回解説(2012/05/01)
(3)定期点検の実施、記録の保存の義務 今回解説分
(4)その他(既存の施設に対する猶予期 間等)  

1. 定期点検の実施、記録の保存の義務

有害物質使用特定施設等の定期点検は、目視等により、有害物質使用特定施設等の設置場所の床面及び周囲、施設本体、それに付帯する配管等及び排水溝等並びに地下貯蔵施設について、構造等に関する基準に応じた項目及び頻度で行い、その結果等を記録し、これを3年間保存することになっています。

これらの定期点検時、もしくは施設の異常や漏洩があった場合は、以下に示す内容の点検を行い、直ちに補修等の必要な措置を講ずることが必要となります。

定期点検時の記録事項 異常又は有害物質を含む水の漏えい等が
確認された場合の記録事項
①点検を行った有害物質使用特定施設等 ①異常等が確認された有害物質使用特定施設等
②点検年月日 ②異常等を確認した年月日
③点検の方法及び結果 ③異常等の内容
④点検を実施した者及び点検実施責任者の氏名 ④異常等を確認した者の氏名
⑤点検の結果に基づいて補修その他の必要な措置を講じたときは、その内容 ⑤補修その他の必要な措置を講じたときは、その内容

2. 構造等に関する基準と定期点検の方法

構造等に関する基準と定期点検の方法は、有害物質使用特定施設及び有害物質貯蔵指定施設の施設本体、施設の設置場所の床面及び周囲、施設本体に付帯する配管等、施設本体に付帯する排水溝等に対して定められます。これらの構造等基準と点検方法は別個に規定されておらず、構造等に関する基準とそれに応じた定期点検の組み合わせにより規定されます。

(1)施設の設置場所の床面及び周囲

A基準:

1 床面及び周囲の構造に係る点検

1)「1 床面及び周囲の構造」の1)の①~④に係る点検

点検項目 点検頻度
① 床面のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 1年に1回以上
② 防液堤等のひび割れ等の異常の有無 1年に1回以上

2)「1 床面及び周囲の構造」の1)の⑤に係る点検

点検項目 点検頻度
① 措置に応じた定期点検の項目 点検項目に応じた頻度

3)「1 床面及び周囲の構造」の1)のただし書きの①の場合

点検項目 点検頻度
① 床の下への有害物質を含む水の漏えいの有無 1月に1回以上

B基準:

「1既設 床面及び周囲の構造」の1)の②に係る点検

点検項目 点検頻度
① 床面及び防液堤等のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 1年に1回以上
② 施設本体からの有害物質を含む水の漏えい等の有無 1月に1回以上

ただし、同等以上の点検項目及び頻度と認められる点検を行う場合には、この限りではない。

「1既設 床面及び周囲の構造」の1)の③に係る点検

点検項目 点検頻度
① 床面及び防液堤等のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 1年に1回以上
② 施設本体からの有害物質を含む水の漏えい等の有無 1月に1回以上

C基準:

「1既設 床面及び周囲の構造」の2)に係る点検

点検項目 点検頻度
① 床面のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 1月に1回以上

(2)施設本体(地下貯蔵施設本体を除く)

施設本体については、点検のみが要求されており、A、B、C基準の別はなく、異常の有無、漏えいの有無について目視等による点検を年に1回以上行うこととしている。
なお、床面に接して設置されているケースなど、施設の一部で目視等による点検ができない場合は、施設本体に漏えい防止の構造が取られている場合に施設本体からの漏えいの点検(湛水による水位変動の確認など)を年に1回以上行う方法、代表的な部位の点検及び更新等の適正な維持管理により目視できない部位の状態を推測する方法などによって、点検することが考えられる。

ABC基準:

点検項目 点検頻度
① 施設本体のひび割れ、亀裂、損傷等の異常の有無 1年に1回以上
② 施設本体からの有害物質を含む水の漏えいの有無 1年に1回以上

(3)施設本体に付帯する配管等(地上設置)

A基準:

1)「3 配管等(地上配管)」の1)に係る点検

点検項目 点検頻度
① 配管等の亀裂、損傷等の異常の有無 1年に1回以上
② 配管等からの有害物質を含む水の漏えいの有無 1年に1回以上

B基準:

「3既設 配管等(地上配管)」の1)の②に係る点検

点検項目 点検頻度
① 配管等の亀裂、損傷等の異常の有無 6月に1回以上
② 配管等からの有害物質を含む水の漏えいの有無 6月に1回以上

C基準:

「3既設 配管等(地上配管)」の2)に係る点検

点検項目 点検頻度
① 配管等の亀裂、損傷等の異常の有無 6月に1回以上
② 配管等からの有害物質を含む水の漏えいの有無 6月に1回以上

(4)施設本体に付帯する配管等(地下設置)(トレンチ構造・地下埋設)

A基準:

「4 配管等(地下配管)」の1)の①のイからハのいずれの要件にも適合する場合の点検

点検項目 点検頻度
① 配管等の亀裂、損傷等の異常の有無 1年に1回以上
② 配管等からの有害物質を含む水の漏えいの有無 1年に1回以上
③ トレンチの側面、底面のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 1年に1回以上

「4 配管等(地下配管)」の1)の②に適合する場合(②及び③に適合する場合を除く。)の点検は、以下のいずれかで行う

点検項目 点検頻度
① 配管等の内部の気体の圧力の変動又は配管等の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の配管等からの漏えいの点検 1年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度
点検項目 点検頻度
① 配管等の内部の気体の圧力の変動又は配管等の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の配管等からの漏えいの点検 3年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度
③地下配管等からの有害物質を含む水の漏えい等の有無 1月に1回以上※

※有害物質の濃度の測定によって漏えい等の有無の確認を行う場合には、3月に1回以上

「4 配管等(地下配管)」の④に係る点検

点検項目 点検頻度
①措置に応じた定期点検の項目 点検項目に応じた頻度

ただし、消防法第11条第5項に規定する完成検査を受けた日から15年を超えない地下埋設配管に関する点検は、次の①又は②に掲げる項目及び頻度で行うことができる。

点検項目 点検頻度
① 配管等の内部の気体の圧力の変動又は配管等の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の配管等からの漏えいの点検 3年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度

B基準:

「4既設 配管等(地下配管)」の1)の②に係る点検

点検項目 点検頻度
① 配管等の亀裂、損傷等の異常の有無 6月に1回以上
② 配管等からの有害物質を含む水の漏えいの有無 6月に1回以上
③ トレンチの側面、底面のひび割れ等の異常の有無 6月に1回以上

「4既設 配管等(地下配管)」の1)の③に係る点検

点検項目 点検頻度
① 配管等からの有害物質を含む水の漏えい等の有無 1月に1回以上※

※有害物質の濃度の測定によって漏えい等の有無の確認を行う場合には、3月に1回以上

「4既設 配管等(地下配管)」の1)の④に係る点検

点検項目 点検頻度
① 措置に応じた定期点検の項目 点検項目に応じた頻度

C基準:

「4既設 配管等(地下配管)」の2)に係る点検は、次の各号のいずれかに掲げる項目及び頻度で行う

点検項目 点検頻度
① 配管等の内部の気体の圧力の変動又は配管等の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の配管等からの漏えいの点検 1年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度

(5)施設本体に付帯する排水溝等

A基準:

「5 排水溝等」の1)の①の基準に適合する場合の点検(①及び②の基準に適合する場合を除く。)

点検項目 点検頻度
① 排水溝等のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 1年に1回以上

「5 排水溝等」の1)の①及び②の基準に適合する場合の点検

点検項目 点検頻度
① 排水溝等のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 3年に1回以上
② 排水溝等からの有害物質を含む水の地下への浸透の有無 1月に1回以上※

※有害物質の濃度の測定によって地下への浸透の有無の確認を行う場合には、3月に1回以上

「5 排水溝等」の1)の③に係る点検は、次に掲げる項目及び頻度で行う。

点検項目 点検頻度
① 措置に応じた定期点検の項目 点検項目に応じた頻度

B基準:

「5 既設 排水溝等」の1)の②に係る点検

点検項目 点検頻度
① 排水溝等のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 6月に1回以上
② 排水溝等からの有害物質を含む水の地下への浸透の有無 1月に1回以上※

※有害物質の濃度の測定によって地下への浸透の有無の確認を行う場合には、3月に1回以上

「5 既設 排水溝等」の1)の③に係る点検

点検項目 点検頻度
① 措置に応じた定期点検の項目 点検項目に応じた頻度

C基準:

「5 既設 排水溝等」の2)に係る点検は、次の①及び②、又は③に掲げる項目及び頻度で行う

点検項目 点検頻度
① 排水溝等のひび割れ等の異常の有無、被覆の損傷の有無 1月に1回以上
② 排水溝等の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の排水溝等からの地下への浸透の点検 1年に1回以上
③ その他①及び②と同等以上の効果を有する方法による定期点検 点検項目に応じた頻度

(6)地下貯蔵施設

A基準:

「6 地下貯蔵施設」の1)の①及び②の基準に適合する場合(①から③のいずれにも適合する場合を除く。)には、次の各号のいずれかに掲げる項目及び頻度で行う

点検項目 点検頻度
① 地下貯蔵施設本体の内部の気体の圧力の変動又は地下貯蔵施設本体の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の地下貯蔵施設本体からの漏えいの点検 1年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度

「6 地下貯蔵施設」の1)の①から③のいずれの基準にも適合する場合には、次の①又は②、及び③に掲げる項目及び頻度で行う

点検項目 点検頻度
① 地下貯蔵施設本体の内部の気体の圧力の変動又は地下貯蔵施設本体の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の地下貯蔵施設本体からの漏えいの点検 3年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度
③ 地下貯蔵施設本体からの有害物質を含む水の漏えい等の有無 1月に1回以上※

※有害物質の濃度の測定によって漏えい等の有無の確認を行う場合には、3月に1回以上

「6 地下貯蔵施設」の1)の④に係る点検

点検項目 点検頻度
①措置に応じた定期点検の項目 点検項目に応じた頻度

ただし、消防法第11条第5項に規定する完成検査を受けた日から15年を超えない地下貯蔵タンク又は二重殻タンクに関する点検は、次の①又は②に掲げる項目及び頻度で行うことができる。

点検項目 点検頻度
① 地下貯蔵施設本体の内部の気体の圧力の変動又は地下貯蔵施設本体の内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の地下貯蔵施設本体からの漏えいの点検 3年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度

「6 地下貯蔵施設」の2)に係る点検は、「3 配管等(地上配管)に係る点検」又は「4 配管等(地下配管)に係る点検」による

B基準:

「6既設 地下貯蔵施設」の1)の②に係る点検

点検項目 点検頻度
① 地下貯蔵施設本体からの有害物質を含む水の漏えい等の有無 1月に1回以上※

※有害物質の濃度の測定によって漏えい等の有無の確認を行う場合には、3月に1回以上

「6既設  地下貯蔵施設」の1)の③に係る点検は、次の各号のいずれかに掲げる項目及び頻度で行う

点検項目 点検頻度
① 地下貯蔵施設本体の内部の気体の圧力の変動又は地下貯蔵施設本体内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の地下貯蔵施設からの漏えいの点検 1年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度

「6既設 地下貯蔵施設」の1)の④に係る点検

点検項目 点検頻度
① 措置に応じた定期点検の項目 点検項目に応じた頻度

「6既設 地下貯蔵施設」の2)に係る点検は、「3既設 配管等(地上配管)に係る点検」又は「4既設 配管等(地下配管)に係る点検」による

C基準:

「6既設 地下貯蔵施設」の3)に係る点検は、次の各号のいずれかに掲げる項目及び頻度で行う。

点検項目 点検頻度
① 地下貯蔵施設本体の内部の気体の圧力の変動又は地下貯蔵施設本体内部の水の水位の変動の確認による有害物質を含む水の地下貯蔵施設からの漏えいの点検 1年に1回以上
② その他①と同等以上の効果を有する方法による点検 点検項目に応じた頻度

「6 地下貯蔵施設」の4)に係る点検は、「3 配管等(地上配管)に係る点検」又は「4 配管等(地下配管)に係る点検」による

(7)使用の方法

A基準およびB基準(共通):

「7 使用の方法」に係る点検

点検項目 点検頻度
① 使用の方法に関する管理要領からの逸脱及びそれに伴う飛散、浸透、流出の有無 1年に1回以上、使用の方法に関する管理要領に基づき設定

C基準:

「7 使用の方法」の3)に係る点検

点検項目 点検頻度
① 有害物質使用特定施設等に係る作業及び運転に伴う飛散、浸透、流出の有無 1年に1回以上

■関連リンク

環境省ホームページ
水質汚濁防止法の改正について(平成24年6月1日施行)
有害物質使用特定施設等に係る構造等に関する基準の設定及び定期船券の方法について(第2次答申)


加藤 この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
加藤 が担当しました

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