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廃棄物処理法解説シリーズ(1) ~廃棄物処理責任~

家庭ごみや工場などで発生する廃棄物を処理する責任は、誰にあるのでしょうか。今回は一般廃棄物と産業廃棄物の処理責任について、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、「廃棄物処理法」と記載します。)に基づいて説明します。

(1)一般廃棄物の処理責任

皆さんが捨てている家庭ごみは、廃棄物処理法では一般廃棄物に分類されます。

「一般廃棄物の処理責任」について、廃棄物処理法ではどのように規定されているのでしょうか。

廃棄物処理法第2条の3
国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

廃棄物処理法第4条第1項
市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。

つまり、

  • 国民は、市町村の適正処理推進に協力しなければならない。(協力義務)
  • 市町村は、適正な処理を行うよう努力しなければならない。(努力義務)

とされています。

各市町村は一般廃棄物を適正に処理・再利用するために、ごみの出し方・分別ルールを決めています。国民である私たちは、ごみ出し・分別のルールを守ることで、市町村の適正処理推進に協力する事が求められています。協力とはいえ、不法投棄や不適正処理に当たらないようにするためには、市町村の定めるルールに従う事が実質的には国民の義務だと言えます。

(2)産業廃棄物の処理、事業者の責務

工場の製造過程など、事業活動に伴って発生する廃棄物は、廃棄物処理法では産業廃棄物に分類されます。

「産業廃棄物の処理」について、廃棄物処理法ではどのように規定されているのでしょうか。

廃棄物処理法第3条第1項
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない

廃棄物を発生させた事業者が、廃棄物を処理する責任がある、とされています。

では、“自らの責任における処理”とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。

廃棄物処理法 第11条第1項
事業者が自ら処理を行わなければならない

事業者自身が産業廃棄物を処理しなければならないとされています。

廃棄物処理法第12条第1項(事業者の処理)
事業者は、自らその産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準に従わなければならない。

「自ら処理を行う」場合でも、廃棄物処理法施行令に規定されている「産業廃棄物処理基準」に従わなければいけません。廃棄物を工場敷地内に埋める、たき火で燃やす(野焼き)などの行為は、許されていません。

では、自ら廃棄物処理を行う事が難しい場合には、どうすればいいでしょうか。

廃棄物処理法第12条第5項
事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第十四条第十二項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。

廃棄物処理法第12条第6項
事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

自ら処理ができない場合には、許可を有する産業廃棄物処理業者へ委託しなければならない、委託するに当たっては基準に従わなければならない、と規定されています。

今回は、廃棄物処理法では、一般廃棄物(家庭ごみ)と産業廃棄物のそれぞれについて、処理責任についてどのように規定されているのか、法文を参照しながら確認しました。

【参考資料】

e-Gov ホームページ
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令


森田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
森田 が担当しました

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