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水銀廃棄物ガイドライン解説 その4 「運搬・処理に関する改正」
~水銀使用製品産業廃棄物・水銀含有ばいじん等~

水銀廃棄物に関する廃棄物処理法令の改正では、処理に関する改正もありました。
中間処理の方法が新たに規定されたほか、収集・運搬、保管・処分に関し、廃棄物処理法で従来から求められている内容に加えて、水銀に特化した措置が求められることになりました。

今回のガイドライン解説では、水銀廃棄物に関する令改正で処理業者に対して追加的に規定された事項の概要をまとめました。
排出事業者の皆さまが、排出先を検討する際や、処理の現地確認の際に参考になさってください。

※水銀廃棄物ガイドラインには、産業廃棄物に関して定められている一般的な事項も含めて記載されています。今回の改正点だけでなく、一般的な事項も合わせて確認したい場合は、水銀廃棄物ガイドラインをご参照ください。

【1】はじめに

収集・運搬、処分に関して、追加で業者に求められる事項の要点は以下の2点に集約できます。

運搬・処分に関するポイント

  • 水銀廃棄物に含まれる水銀を揮発させない対策をとること
  • 万が一、水銀が漏えい・揮発した場合を想定して対策を行うこと

以下に、それぞれの水銀廃棄物のカテゴリー別に規定されていることをまとめました。

【2】水銀使用製品産業廃棄物

(ア)帳簿
処理業者は、帳簿に、「水銀使用製品産業廃棄物」に係るものを明らかにしなければなりません。
(イ)収集・運搬
品目ごとに形状、大きさ、材質に適した容器に入れるなど、運搬途中に破砕しないような方法で、かつ、その他の物と混ざってしまい、大気汚染防止措置のない破砕施設等で処理されることを防ぐために、他の物と区分して、収集・運搬しなければなりません。
(ウ)保管
運搬途中の保管は、積み替えの場合を除き、行えません。
その他の物と混合しないように、仕切りを設けるなど必要な措置をとらなければなりません。
(エ)中間処理

水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように、必要な措置を講じなければなりません。

水銀使用製品産業廃棄物の選別を行う際には、破損しやすい製品が相互に重ならないように区分し、又は緩衝材を設置するなど破損を防ぐとともに、万一破損しても揮発した水銀を吸収・吸着して確実に処理できる機能のある設備内で選別を行い、製品中に含まれる水銀が大気中に飛散しないようにしなければなりません。

水銀使用製品産業廃棄物の破砕を行う際には、密閉された設備内で処理を行う、排気を集塵機や活性炭フィルターで処理するなど、製品中に含まれる水銀が大気に飛散しないようにしなければなりません。

水銀汚染物を加熱し、加熱工程で発生する水銀ガスを回収する施設では、回収した水銀量や、残渣に含まれる水銀量、施設外に排出するガス中の水銀量の把握を通して、大気中に飛散していないことを確認することが望ましいとされています。

水銀を回収した後のガラスくず等は、水銀が付着している可能性があるので、13号溶出試験による分析を行い、適切に処分または再生しなければなりません。

(オ)最終処分
水銀使用製品産業廃棄物は、安定型処分場へ埋立てることはできません。水銀が付着したガラスくず、金属くず等が安定型最終処分場に埋立処分されることがないように、水銀使用製品産業廃棄物の安定型処分場へ埋立禁止が明確化されています。

【3】水銀含有ばいじん等(水銀汚染物)

(ア)帳簿
処理業者は、帳簿に、「水銀含有ばいじん等」に係るものを明らかにしなければなりません。
(イ)保管
収集運搬途中に積替え保管を行う際には、掲示板の保管する廃棄物の種類に「水銀含有ばいじん等」が含まれる旨を記載しなければなりません。

出典:水銀廃棄物ガイドライン(環境省)

(ウ)収集・運搬
水銀は常温で揮発するため、「水銀含有ばいじん等」に水銀が金属水銀として含まれる場合、性状を踏まえて必要に応じ、蓋付きの容器に入れる、二重に梱包する、シートで覆う等、運搬中に揮発した水銀が運搬用機や梱包から漏れることがないようにしなければなりません。
また、高温下では水銀の揮発が促進されるので、廃棄物が高温にさらされないために必要な措置をとらなければなりません。
(エ)中間処理

中間処理施設では、水銀又はその化合物を大気中に飛散させないために必要な措置を講じなければなりません。

「水銀含有ばいじん等」の処分等を行う場合、密閉された設備内で行う、排気を集塵機や活性炭フィルターで処理するなど、水銀が大気中に飛散しないようにしなければなりません。

水銀汚染物を加熱し、加熱工程で発生する水銀ガスを回収する施設では、回収した水銀量や残渣に含まれる水銀量、施設外に排出するガス中の水銀量の把握を通して、大気中に飛散していないことを確認することが望ましいとされています。

「水銀含有ばいじん等」のうち、ばいじん、燃え殻、汚泥又はそれらの処理物が、埋立判定基準に適合する場合には、管理型最終処分場で処分することができますが、同基準に適合しない場合には、適合するように処理するか、コンクリート固定化を行う必要があります。コンクリート固定化物が、同基準に適合しない場合には、遮断型最終処分場に処分しなければなりません。このように、状況によって必要な処理が異なります。詳しくは、以下のフローをご確認ください。

出典:水銀廃棄物ガイドライン(環境省)

【参考資料】

環境省ホームページ
水俣条約について
「水銀に関する水俣条約」について
循環型社会における回収水銀の長期安全管理に関する研究

国立水俣病総合研究センター ホームページ
水銀と健康


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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