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異常気象について考えませんか その3
~気象災害の影響が大きかった国、日本~

今回は、スペイン・マドリードで開かれている国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)に合わせて公表された、報告書をご紹介します。

ドイツの環境シンクタンクGermanwatchが、"Global Climate Risk Index 2020" を2019年12月4日に公表しました。これは、181カ国を対象に2018年の気象災害の影響を国ごとに分析してランキングしたもので、今回が15回目の刊行となります。

■ランキング

表:2018年に最も影響を受けた国
※CRI scoreは、Germanwatchが異常気象による死亡者数や経済的な損失を勘案して算出されたものです。(CRI:Global Climate Risk Index)

日本がランクインした要因として、2018年の西日本豪雨災害、猛暑、台風による甚大な影響が挙げられています。

  • 西日本豪雨災害
    6月28日から7月8日までの総降水量が四国地方で1,800ミリ、東海地方で1,200ミリを超えるなど、7月の“月降水量平年値”の2〜4倍となる降水量が観測された地域があったほか、九州北部、四国、中国、近畿、東海及び北海道地方における多くの観測地点で、24時間、48時間又は72時間降水量の値が観測史上第1位となりました。
    (出所:平成30年版 消防白書 「特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応」)
  • 猛暑
    異常気象について考えませんか その2 ~猛暑の発生~ でも紹介しましたが、平成30年(2018年)7月、日本列島は記録的な猛暑に見舞われ、熱中症による死亡者数は1,000人を超えました。これは、猛暑であった2010年8月の熱中症による死者765人を上回り、熱中症による月別の死亡者数は過去最多でした。
  • 台風
    9月4日に台風21号が、25年ぶりに「非常に強い」勢力で上陸し、西日本から北日本にかけて非常に強い風が吹き、非常に激しい雨が降りました。(9月30日に台風24号も「非常に強い」勢力で上陸し、南西諸島や東日本の太平洋側を中心に記録的な暴風となりました。)

■Brief Summaryより

  • 気候変動の拡大の兆候は、もはやどの大陸や地域でも無視できない。貧しい国々は災害に対する対処能力が低く(脆弱で)、再構築と復旧にさらに時間がかかる場合があるため、気候変動の影響を大きく受けることになる。
  • ヨーロッパや北米、日本の猛暑により、先進国は今までよりも明確に気候変動による影響を感じている。
  • 気候変動による損失と損害を回避し、最小限に抑えるという適応策の実施を強化する必要がある。

■さいごに

確かに、平成30年(2018年)は気象災害が多い年でした。
温暖化の懐疑論は今ではそれほど主張されませんが、温暖化が進行したとしても、日本は温暖湿潤気候なので、砂漠化する事はなく、蚊が媒介する病気等が北上するかもしれないけれども、東北・北海道では気温が上がることによって、栽培できる作物が増えるし、寒さも緩和されて住みやすくなるから、日本にとっては良いことだ、という予測もありました。そして、それに全面的に賛成はしないまでも、どこか心の中に「だから大丈夫」と思いたい気持ちもありました。

しかし、報告書のKey Messageに「最近の科学は、気候変動と猛暑の頻度・重症度との間に、明確な関連性を発見した。」とあるように、気温が上がるという事は、単に冬温かくなるだけでなく、夏の暑さによる死者が増えることに直結しますし、空気中に含まれる水蒸気量が増加する事で、降雨量が増えたり、台風の勢力が増して被害が甚大になる、という影響が生じて、日本にも被害を及ぼしました。温暖化は他人事ではないという事なのだと思います。

来月も、気候変動に関する研究報告書をご紹介していきます。


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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