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DOWAエコジャーナル

2022.08.01 国際動向

イタリア ボローニャのゴミの収集事情 その1

海外ごみ事情

今回は、イタリアのボローニャのゴミの収集事情について紹介します。

ボローニャはイタリア北部エミリア・ロマーニャ州の州都、人口は約40万人です。欧州最古のボローニャ大学で有名で、街の中心部には歴史的な街並みが残っています。国内のメインの高速道路と鉄道が交差する地点のため、イタリアでは重要な都市の一つです。

(1)ゴミの分別の仕方

ゴミは、紙、ビン缶、プラスチック、生ゴミ、その他の5つに分別します。日本よりもかなり大雑把な分け方ですが、イタリア人のおおらかな性格からすると、これ以上細かい分類は難しいでしょう。

【紙】

紙製品は全て紙へ分類します。
新聞、雑誌、ノート、段ボール、牛乳パック、紙箱、紙袋、包装紙、ティッシュや紙ナプキン(汚れていないもの)など。
オーブン用のクッキングシートは、紙に含まれずその他の分別になります。

【ビン缶】

ビン、缶、グラス、アルミホイル、アルミ容器、使用済みスプレー缶など。

【プラスチック】

ペットボトル(ボトル、キャップとも)、洗剤ボトル、食品のプラスチック容器、プラスチックの袋、プラスチックの食器、ラップなど。
歯ブラシやボールペン、化粧品の容器などの硬いプラスチック製品はその他へ分別です。

【生ゴミ】

残飯、野菜や果物の皮、卵の殻、コーヒーかす、お茶の葉、ティッシュや紙ナプキン(汚れたもの)、花、木の枝など。

【その他】

どこにも分別できず、リサイクル不可能なものはその他になります。
CD、ビデオ、フロッピー、ライター、おむつ、犬や猫のフン、猫のトイレ砂、陶器、ハンガーなど。

大抵の商品のパッケージには、ゴミ分別のための表記があります。

(写真)お米のパッケージ。外箱は紙へ、中のビニール袋はプラスチックへと記載されています。

実際に暮らしていて、ゴミの分別で悩むことはほとんどありません。判断しにくいものがあるときには、分別ガイドを見れば解決できます。

(出典)ゴミの分別について(ボローニャ市ホームページ)

【参考ページ】

HERA(ボローニャ市ゴミ事業委託業者)ホームページ
サーキュラーエコノミーの5つの「R」

イタリアらしくピザの箱には細かい説明があります。ピザの箱は紙へ分別、ただし汚れている場合はその他のゴミへ分別です。イタリア人は大雑把な人が多いので、きちんと守られていないのが実情です。

分別ガイドから具体的な例を見てみましょう。

  • その他に分別するもの
    古着、ストッキング、化粧品、綿棒、コットンパフ、歯磨き粉、おもちゃ、ゴム手袋、タバコの吸殻、ラッピングリボン、セロテープ、眼鏡、絆創膏、ガーゼ、ぬいぐるみ、耐熱皿、使い捨て剃刀、鏡、スポンジ、爪楊枝、プラスチック製キッチンツール、カバン、玄関マット
  • 生ゴミに分別するもの
    とうもろこしからできたコップ(見た目はプラスチックです)、貝殻

などがあります。
古着は状態の良いものは、リサイクル用の回収ボックスに入れることもできます。

期限切れの薬は、分別ゴミとして捨てることはできません。必ず薬局の前に設置された専用の回収ボックスに入れます。
下記のものは、直接ゴミ処理センターへ持っていくことになっています。電話で回収を依頼することもできます。

乾電池やバッテリー、プリンターのトナー、電球、油、鍋、フライパン、家電製品(パソコン、テレビ、携帯電話、ドライヤー、掃除機、アイロンなど)、家具(ソファ、ベッド、マットレス、テーブル、棚など)

(2)ゴミの回収方法

道路沿いに設置された5種類(紙、ビン缶、プラスチック、生ゴミ、その他)の大きなゴミ箱に、好きなときに持っていくことができます。日中、夜間を問わずゴミは回収されます。

(写真)道路に並ぶ5種類のゴミ箱。高さは1メートル以上あり、かなりの大きさです。

ビン缶用のゴミ箱は全て一緒で、ビンと缶に分ける必要はありません。
ゴミの分別ガイドには、中身は必ず出すように書かれています。中をきれいにすすぐ必要はありません。

(写真)ビン缶用のゴミ箱 上から投げ入れる形になるので、入れるときにはかなりの騒音です。

紙とプラスチック用のゴミ箱も、入り口が大きくありません。紙もプラスチックも、潰してなるべく小さくしてから入れるよう、ゴミの分類ガイドでは奨励されています。

(写真)紙用のゴミ箱

(写真)プラスチック用のゴミ箱 入り口は大きいレジ袋にいっぱいに詰めると通りません。

(写真)生ゴミ用のゴミ箱 密閉されているので、臭いはそれ程気になりません。

この記事は イタリアの日常生活の記事を執筆する、イタリア在住フリーライター 菜々ヴェラルディ が担当しました

2022.07.01 サーキュラーエコノミー

LIB(リチウムイオンバッテリー)とは? その1 用途と構造

DOWAの取組LIBリサイクル

現在、世界中で広く使われているリチウムイオンバッテリー(以下、LIB)。みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

身近なところでは、スマートフォンなどに使用される小型電池に加えて、電気自動車(以下、EV車)の普及による大型電池の需要が高まり、LIBの生産量は増加し続けています。

そこで今回は、LIBについての説明、メリットやデメリット、そしてDOWAグループでの処理・リサイクルの取り組みについてご紹介していきます

1. LIBの使用用途

LIBは、その名の通り電極にリチウム(※1)が使用されている二次電池です。

※1 リチウムとは、原子番号3の元素であり「水兵リーベぼくの船〜」で覚えた方も多いでしょう。あらゆる金属の中でもっとも軽い元素です。従来までの陶器やガラス用途から、二次電池の用途が増加傾向にある。

この二次電池とは、いわゆる使い切りの一次電池(乾電池)とは異なり、充電すれば繰り返し利用できる電池のことです。

大容量かつ軽量であるため、使用用途の範囲が広くさまざまな場所で使用されています。
たとえば、私たちの日常生活の中では、スマートフォンやパソコン、そしてデジカメに限らず、音楽プレーヤーやドローンなどの電子機器にも使用されています。

様々な場所で使用されるLIB

(素材)かわいいフリー素材集 いらすとや

これまでは、スマートフォンやパソコンなどに使用されている小型の民生用(※2)で使用されることがメインでしたが、マンションや産業用の非常電源など用途が広がっており、特に近年はEV車の普及に伴い、車載用のバッテリーとしての使用用途が増えてきています。

※2 民生用とは、スマートフォンやパソコンなどの電子機器にて、一般家庭での使用を目的としているもののこと。

2. LIBの構造

(出典)写真AC 写真素材:蓄電池設備

LIBにはセル、モジュール、パックという3つの単位があります。

セルは単体でバッテリーとしての機能を果たす最小単位となり、スマートフォンで使用されているLIBは、一般的にはセルの形で内蔵されています。
これに対して、モジュールは複数のセルを接続してケースへ収めたものです。
そして、パックは複数個のモジュールとセンサー、コントローラーを接続してケースへ収めたものを言います。

セル、モジュール、パックとなるにつれて、だんだんバッテリーの規模が大きくなるイメージで良いでしょう。
車載用のパックはリチウムイオンバッテリーとしては大型、数十~460kg程度のものもあります。

参考資料:「先進・革新蓄電池材料評価技術開発(第2期)」中間評価分科会 プロジェクトの概要(NEDO)

この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました

2022.06.01 国際動向

オーストラリアのメルボルン、ウィンダム地区の住民に優しいごみ処理事情

海外ごみ事情

ごみ処理に関して、日本に帰った時によく感じることはごみの分類の仕方が細かすぎることと、ごみの出し方が面倒くさいことです。それはたぶん現在住んでいるオーストラリアのメルボルンのごみ処理システムが合理的で、捨てる側に負担を感じさせない形、つまり住民に優しいごみ処理システムになっているからではないかと思います。
メルボルンでも地域によって差がありますが、メルボルンの西部にあるウィンダム地区について、ごみ処理システムの詳細をお伝えします。

一般ごみとリサイクル用ゴミ箱

オーストラリアの各州都は東京の23区のようになっていますが、23区でいう「区」は「自治体(Council)」と呼ばれます。ここではこの自治体を「地区」と呼ぶことにして進めていきたいと思います。

さて、オーストラリアでは、ごみ処理など住民の生活に密接に関わる行政は各地区によって多少異なります。ウィンダム地区の各家庭には、市役所から2つのタイプのゴミ箱が支給されます。一つは一般ごみ、もう一つはリサイクル用のゴミ箱です。

一般ごみ用のゴミ箱は、黄色の蓋がついていてサイズは140ℓ。ただし今後は、出すごみの量を減らすように、サイズを一回り小さくした赤い蓋のゴミ箱(120ℓ)に徐々に置き換えられることになっています。

リサイクル用のゴミ箱には青い蓋が付いていて、ここにはプラスチック、ガラス、紙などを入れることができます。集まったごみはリサイクルセンターに持って行かれ、そこで業者がさらに細かく選別してリサイクルしていきます。写真の情報は市役所から配られるもので、余分なものをこのごみ箱に入れないよう指示しています。

オプションとして配布される植物性廃棄物のゴミ箱

ウィンダム地区はメルボルンの郊外にあるので一戸建ての家が多く、たいてい庭が付いています。そうした家庭では、希望すれば刈った芝生や剪定した木の枝葉など「植物性廃棄物」用のごみ箱を利用することができます。1年につき約6,000円で回収に来てくれます。
このゴミ箱には、キッチンから発生する野菜くずを入れることもできます。回収した植物性廃棄物は業者が引き取り肥料などに作り変えられます。

一般ごみの回収は毎週、そして、リサイクルとグリーンごみの回収は隔週ごとに交互に行っています。このカレンダーは青がリサイクル回収日、緑が植物性廃棄物の回収日を示しています。

生ごみを処理する「コンポスト」への助成金

野菜くずなど生ごみを処理するには、グリーンのゴミ箱に入れるほかに、コンポストを利用することもできます。ウィンダム地区当局はコンポストの利用を奨励するため、コンポストの値段の一部を助成金として支払ってくれます。

コンポストには、生ごみや植物性廃棄物を上から入れて堆積させ、そこからできる肥料を集めて使うタイプと、ミミズと土の入った容器の中に野菜のくずを入れ、それを食べたミミズから出される糞を肥料として使うタイプがあります。コンポストは少なからず悪臭を放つので、普通は庭の片隅に置きます。

電気製品と古着の処分は指定された引取り所で

小型の電気製品と古着を処分するには、コミュニティセンターなどが指定されていて、そこに置かれた箱に投函して処分します。

廃棄箱には「あなたの衣服に第2の人生を与えてください」という標語が書かれています。ただし、写真でわかるように、投入箱は投棄された古着などがすでに溢れているし、衣類以外の物も置かれているので、改善が必要だと感じさせられますね。

コンピューター関係廃棄物には専用廃棄箱設置

ウィンダム地区には図書館を備えた「コミュニティ学習センター」があり、その一角にデジタル関係の廃棄物(プリンターのカートリッジ、手のひらに乗るサイズのバッテリー、CD、携帯電話、電球)を分別して捨てる廃棄箱が用意されています。

オーストラリアでは図書館の利用者が多いので、この廃棄ボックスは図書館を訪れるとき、ついでにデジタル廃棄物を処分でき便利です。また鮮やかな色分けと廃棄物の絵が描かれているので分別が楽にできます。

粗大ごみの処理

いらなくなった大き目の家具や、冷蔵庫・洗濯機などの大型家庭用電気製品、また切り倒した木の幹や大枝などは各家庭が地区当局に電話して予約すると、引取りに来てくれます。この引取りは各家庭につき年3回可能です。

粗大ごみの廃棄が年に3回以上必要な時は、直接ごみ処理場に持って行って処分します。この処分には地区当局から無料のチケットが年に数枚支給されますが、チケットを使いきってしまった場合は、ごみ処理場の入口で料金を払えば処分することができます。

まとめ

オーストラリア、メルボルンのウィンダム地区では、いくつかのごみ処理方法が用意されていて、その中から適した方法を選んでごみを処分します。家庭でもごみの分別が必要ですが、それほど細かく分別する必要はなく、回収後に業者がさらに細かい分別を負担してくれます。

また、ごみのトラックが各家庭を回って回収してくれるので、この点でもゴミ出しが楽です。ごみの不法投棄を少なくするには、住民に優しい処理システムが必要なのだと感じさせられます。

【参考サイト】
About Waste and Recycling
WASTE & RECYCLING GUIDE

この記事は
オーストラリア在住のフリーランスライター Setsuko Truong が担当しました

2022.05.09 国際動向

ネパールのゴミ処理事情

海外ごみ事情

1990年の民主化以降、ネパールの首都圏(カトマンズ市、ラリトプル市など)への人口が集中し、経済的な発展と共に環境問題が浮き上がっています。

経済的な発展により、プラスチック・ビニール袋などの家庭ごみや産業廃棄物などが増加しました。2011年に改正された廃棄物処理法によって民間企業によるゴミ処理事業が始まりました。

写真:ネパールのゴミ処理回収トラック

■民族ごとのルールによるゴミ処理

ネパールは50以上の民族で構成されています。

1990年の民主化以前は、それぞれの民族が集落ごとに小さな社会を作って暮らしていたので、ゴミ処理に関しても民族内のルールが成立していました。

他民族の中のカトマンズ盆地の先住民ネワール民族の社会を例題にあげますと、ゴミを専門的に取り扱うカーストが存在していたことで一定のゴミ処理の方法が出来ていました。

民主化によってカースト制度が廃止され、異民族が交じり合う多他民族社会が始まり、ゴミ処理法の秩序が崩れていったのです。

■ポイ捨ての習慣がなくならない

民主化以後、移民社会に加えて農村からの出稼ぎ労働者も増加し、首都圏の人口爆発により、さらにゴミ処理の問題が悪化しました。

農村出身者にとっては、地元では農業中心とした暮らしをしていて、発生するごみは主に有機系であったため、土に返すという方法で処理していました。一方、都市生活で出るプラスチック製のゴミに関しては、どう処理するべきなのか知識と習慣がないため、ゴミの処理方法が問題となり、家にあるゴミを近場の空き地にポイ捨てしたり、それによって街の風紀が乱れてしまったのです。

廃棄物処理法が改正され、民間によるゴミ処理事業が始まりましたが、正しいごみ処理の習慣はネパール国民の暮らしまでには浸透していません。

いまだに道端には捨てられたスナック菓子やキャンディーの包み紙が散乱していて、ポイ捨てをする習慣は無くなっていません。

■ラリトプール市郊外の家庭ゴミ処理の例

ラリトプール市バイシパティ町では、Nepsemyak Sewa Pvt.Ltd(ゴミ処理事業社)が家庭ゴミの回収を担当しています。

【参考】NEPSEMYAK

写真:職員は、袋を持ってゴミ回収に回っています。

以下のようなゴミ出しルールとなっています。

回収日と時間

  • 火曜日と金曜日 時間は午前6時~10時の間
  • 職員は笛を鳴らしながら回収に回ります。
    (時間が定まっていないため、笛で合図をします)

回収方法

  • 中身が散乱しないように袋や空き箱に納めて出します。
  • 透明ビニール袋や指定袋はありません。
  • 分別ゴミのルールはありません。

写真:ゴミ出しのルールが一律でないため、各家庭によって出し方もまちまち。スーツケースなど粗大ゴミも、同様に出されています。

回収場所

  • 以前は、数メートル先の回収車が来る場所までの持参でしたが、現在は自宅前まで来てくれます。

回収料金

  • 月額450ネパールルピー(約477円 2022年5月9日現在)
    専用ノートがあり、1か月ごとに会計職員が各家庭に集金に回ります。

写真:専用ノート

写真:領収書のかわりになる専用ノートは手書きで書かれています。

■安定した回収システムとゴミ処理事業社の雇用形態の充実

ネパールでは貧困層の問題があります。
ゴミ処理事業社の社員雇用形態には、貧困層の社員を雇用し経済的社会的地位を向上させる活動が企業理念となっている団体もあります。

雇用の安定は、職員の働き方改善と労働意欲を獲得し、ゴミ処理事業システムの構築に貢献することに繋がっていきます。また子供のいる職員には、教育環境を提供する制度が設けられている団体もあります。

現在、ゴミ処理事業社が運営している中では、一定のゴミ出しルールなどは国民レベルまで伝わってきていません。改正された廃棄物処理法によりますと、法的なルールはすでに日本並みに定まっています。

将来的には、ネパール人のゴミ処理に対する意識の向上やゴミ処理事業社の運営法などが改善されることで、少しずつゴミの処理の方法がルールにそって一般庶民層まで浸透していくことでしょう。

この記事は
ネパール在住ライター シュレスタユウコ が担当しました

2022.01.06 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その12) ~排出事業者による廃棄物情報の提供~

廃棄物処理法

廃棄物処理法では、排出事業者は委託する産業廃棄物の性状等に関する情報を処理業者へ提供することが求められています。
今回は、廃棄物処理法においてどのように規定されているのか、確認していきます。

【1】法的根拠

廃棄物情報の提供は、廃棄物処理法施行規則 第八条の四の二 委託契約に含まれるべき事項に規定されています。

廃棄物処理法施行規則 第八条の四の二(委託契約に含まれるべき事項)
令第六条の二第四号ヘ(令第六条の十二第四号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 委託契約の有効期間
二 委託者が受託者に支払う料金
三 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その事業の範囲
四 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
五 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本工業規格C〇九五〇号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項
(1)廃パーソナルコンピュータ (2)廃ユニット形エアコンディショナー (3)廃テレビジョン受信機 (4)廃電子レンジ (5)廃衣類乾燥機 (6)廃電気冷蔵庫 (7)廃電気洗濯機
ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨
ヘ その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

七 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項
八 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
九 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

【2】情報提供の様式

平成25年に第2版が公開された、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン― WDSガイドライン ―(Waste Data Sheetガイドライン)(第2版)」においてWDSの様式が示されています。

【参考】
廃棄物データシート(WDS) [PDF 87KB]
廃棄物データシート(WDS)(様式) [xls 62KB]
廃棄物データシートの記載方法[PDF 958KB]
廃棄物データシート記入例[PDF 1640KB]

「2.3 情報提供の方法」で示すWDSの様式は、必要な廃棄物情報に関して具体化した項目を例示したものであり、様式の使用を法的に義務付けるものではない。
ただし、「適正な処理のために必要な事項に関する情報」の提供は法的に義務づけられており、処理業者が当該産業廃棄物の処理を行う上で明らかに必要な情報を排出事業者が当該処理業者に提供しなかった場合は、委託基準違反として刑事処分の対象となり得るので注意が必要である(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金:法第26条第1号)。

(出典)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)

排出事業者の方でご経験がある方も多いと思いますが、廃棄物情報を処理会社に提供する際の書式(WDS)は、処分会社によって異なっています。
なぜでしょうか。

その理由は、WDSの目的にあります。WDSの目的は「適正に処理を行うために必要な情報」を処理業者に提供し、処理会社による安全でかつ確実な処理(適正処理)を実施するために情報提供をお願いする事です。

処理会社によって、前処理方法や処理に関する設備や排ガス処理設備などが異なっていますし、自治体の条例によって排水や排ガスに上乗せ規制があることもあります。このように処理会社によって状況が異なるので、「適正な処理のために必要な情報」も処理会社によって異なり、そのため、廃棄物情報を伝達するツールであるWDSの様式も異なっています。

【3】さいごに

排出事業者の皆様が廃棄物処理を委託しようとしたら、あれこれ聞かれて面倒だと思う事もあると思います。

廃棄物の性状は案件ごとに異なりますし、排出事業者の生産状況によって組成が変わる事もあります。処理会社はサンプル分析や処理試験を行って情報を補いますが、限界があります。お手数と思われる事も多いと思いますが、廃棄物情報の提供にご協力いただけます様、お願いします。

【関連ページ】

DOWAエコジャーナル リスクのクスリ
廃棄物情報提供の必要性

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2021.11.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その13
自然由来の土壌汚染 その2

土壌汚染対策法

6. 自然由来の土壌汚染にかかる法規制

平成23年に改正土壌汚染対策法が施行され、自然由来の土壌汚染も土壌汚染対策法の規制対象となりました。これは、たとえ自然由来の汚染であっても、健康被害の防止の観点からは、汚染の状態は人為的汚染と区別する理由がないためです。

ただし、自然由来の土壌汚染は、前回(その12 自然由来の土壌汚染 その1)でご説明したように「比較的低濃度」で「対象地周辺も同様の地質が広がっている」点から、土壌汚染状況調査や措置、搬出等において人為的汚染地とは区別されます。

① 土壌汚染状況調査

地歴調査等により、当該地の汚染が自然由来であると考えられるとき、土壌汚染状況調査は「自然由来汚染調査」の内容に基づいて行います。

自然由来汚染調査の試料採取の単位区画は、30mの格子(900m2)で調査対象地を区切り、その最も離れた2地点で行います(図1)。

自然由来盛土等の汚染の場合は、盛土部分を30mの格子(900m2)で区切り、格子の中心点で試料採取を行います(図2)。ただし、土壌の汚染状態が均一であるとみなすことができる場合は、いずれか一つの30m格子内を試料採取場所とすることができます。

このように、自然由来の土壌汚染の場合は、敷地内に同質の土壌が分布していると考えられることから、人為的汚染の調査と比べて採取地点数が少なくなっています。

図1:試料採取等区画の選定と試料採取地点の設定

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン 環境省 水・大気環境局 土壌環境課

図2:自然由来盛土等の試料採取等区画の選定と試料採取地点の設定

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン 環境省 水・大気環境局 土壌環境課

② 区域指定

土壌汚染状況調査により特定有害物質の基準超過があきらかとなれば、自然由来の土壌汚染であってもその土地は指定区域となります。ただし、形質変更時届出区域のうち「自然由来特例区域」となり、人為的汚染の場合の一般管理区域よりも、工事や汚染土壌搬出に関する規制が緩和されています。

③ 土地の形質変更を伴う工事

自然由来特例区域では、形質変更を伴う工事を行うにあたり、汚染土壌がその土地の帯水層に接しても構わないという特例があります(ただし下位帯水層については汚染拡散を招かない施行方法の基準に基づく施行が望ましいとされます)。

これは、もともとその土地で同様の汚染が広がっているため、土地の形質変更を伴う工事で汚染土壌が帯水層に触れたとしても、新たな帯水層の汚染を生じさせるものではないと考えられるためと、第二溶出量基準を超えるような高濃度の汚染がないためです。

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン 環境省 水・大気環境局 土壌環境課

④ 汚染土壌の搬出

自然由来等形質変更時要届出区域から搬出される汚染土壌(自然由来等土壌)は汚染土壌処理施設への搬出のほか、自然由来等土壌利用施設への搬出が可能です。

自然由来等土壌利用施設とは

  1. 自然由来等土壌を土木構造の盛土の材料その他の材料として利用する施設
    具体的には、
    • 道路法に規定する道路
    • 港湾法に規定する港湾施設(臨港交通施設)である港湾道路
    等が想定されています。
  2. 自然由来等土壌の公有水面埋立法による公有水面の埋め立てを行うための施設

ただし、「各々の区域の地質が同質であること」などの条件があります。
これは自然由来特例区域から発生する基準不適合土壌は、特定有害物質の濃度が低く、特定の地層に分布していると考えられることを踏まえ、適正な管理の下で資源として有効利用する観点で定められたものです。

【参考】

環境省ホームページ
土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン
改正土壌汚染対策法について(平成31年4月)

大阪府ホームページ
自然由来による土壌汚染の判定方法

公益財団法人日本環境協会ホームページ
平成29年度土壌汚染対策技術セミナー
法に基づくガイドラインの解説(調査編後半)
土地の形質の変更及びその留意事項

この記事は エコジャーナルサポーター
コンサルタント、ライターとして活動中
 B&Gコンサルティング 藤巻 が担当しました

2021.09.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その12
自然由来の土壌汚染 その1

土壌汚染対策法

1. 土壌汚染の由来による種類

土壌汚染とは、土壌中や地下水中に有害物質が基準を超え存在する状態のことをいいます。(「土壌汚染」の定義は、実務者のための土壌汚染対策法基礎1を参照)
土壌汚染対策法では、土壌汚染を由来によって種類分けをして呼び方を変えています。これは、同じ有害物質による土壌汚染であっても、由来によって汚染状態の特徴が異なり、取るべき対応にも違いが出るためです。

図1:土壌汚染の由来による種類

2. 自然由来の土壌汚染とは

土壌汚染というと、工場等から有害物質の漏洩による汚染のイメージがありますが、このような「人の手による汚染」の事実がなくても、特定有害物質が基準値を超えて検出される事があります。その土地が地質的にもともと特定有害物質を含んでいる場合です。

このように、土壌汚染が人為的な原因によるものではなく、その土地の地質に由来する場合を「自然由来の土壌汚染」といいます。

土壌汚染対策法の制定当時は自然的由来による汚染は法の対象外とされていましたが、平成23年(2011年)に改正され、自然由来の土壌汚染も土壌汚染対策法の規制対象となりました。

(参考)土壌汚染対策法の施行について(平成15年2月4日 環水土第20号 環境省環境管理局水環境部長通知)

これは、たとえ自然由来の汚染であっても、健康被害の防止の観点からは、汚染の状態は人為的汚染と区別する理由がないためです。
ただし、自然由来の土壌汚染は、「比較的低濃度である事」「該当地周辺も同様の地質が広がっている」という点から、土壌汚染状況調査や措置、搬出等において人為的汚染地とは区別されます。

また、自然由来の汚染土壌で盛土や埋め戻しを行った土地も、「自然由来盛土等」による汚染がある土地として扱われます。

図2:自然由来の土壌汚染

3. 自然由来の土壌汚染が見られる場所

土壌汚染対策法で規制対象となっている特定有害物質のうち、シアン化合物を除く重金属類は自然界にもともと存在しています。重金属類は、火山による噴出物や岩石、堆積物の中に含まれることが多いため、火山噴火物の堆積層・火山岩・鉱山・海成の堆積層などが存在する土地で見られます。

4. 自然由来の土壌汚染の特徴

自然由来の土壌汚染には、人為的汚染とは異なる以下のような特徴があります。

  1. 含まれる有害物質は、砒素、鉛、ふっ素、ほう素といった重金属類等(第二種特定有害物質。シアン化合物を除く)である。
  2. 低濃度で広範囲にわたる汚染である。

一つ目の特徴である有害物質については、自然界にもともと存在する物質による汚染であることから、検出されるのは砒素、鉛、フッ素、ほう素などの重金属類等となる点です。

二つ目の特徴である汚染の状態については、自然由来の土壌汚染がもともとの地質的な広がりであるため、対象地を含む周辺地域が広く同じ汚染状態にある点です。また、汚染濃度も比較的低い点も特徴です。

その土地が自然由来の土壌汚染に該当するかどうかは、上記の特徴の他に、土地履歴・周辺の地質状況・周辺の事例などから総合的に判断されます。

5. 判定基準

  1. 自然由来の土壌汚染の判定基準
    • 検出される特定有害物質が、重金属類(第二種特定有害物質。シアン化合物を除く)
    • 汚染の状態が、土壌溶出量基準値のおよそ10倍以内、第二溶出量基準は超えない。土壌の全量分析含有量が自然由来の目安値を超えないものであること。
    • 汚染の分布が特定有害物質の使用履歴のある場所等と関連がなく、局所的でない。
  2. 自然由来盛土等による土壌汚染の判定基準
    • 調査対象地と専ら地質的に同質な状態で広がっている、自然由来の汚染のおそれがある土壌が地表から10mまでの深さより浅い位置に分布していること。
    • 次のいずれかの土壌であること。
      • 自然由来の汚染がある場所から900m未満の移動による掘削・盛土である。
      • 基準不適合の状態が同じであることが確認された土地間で移動した土壌であること

【参考】

環境省ホームページ
土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン
改正土壌汚染対策法について(平成31年4月)

大阪府ホームページ
自然由来による土壌汚染の判定方法(土壌汚染対策法)

国土交通省ホームページ
建設リサイクル推進施策 通達・基準・マニュアル
建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版) 平成22年3月

この記事は エコジャーナルサポーター
コンサルタント、ライターとして活動中
 B&Gコンサルティング 藤巻 が担当しました

2021.08.02 法律

法文読解 基礎力養成講座 その3 ~及び・並びに 使用方法と例文解説~

前回までは「又は・若しくは」の使用方法と例文解説を見てきました。今回は契約書などでよく見る「及び・並びに」の使用方法と、廃棄物処理法の法文の具体例を見ていきたいと思います。

1. 「及び」

「及び」というのは英語でいえば「and」、「両方」という意味で(併合的接続)、「A及びB」というのは、AもBも2つともという意味です。日常的には「~と」と使っているものです。

前後の語が同じ種類のもの、同じレベルのものであるときは、「及び」でつなぎます。
語句を三つ以上ならべるときは、はじめの語句を「、」でつなぎ、最後の語句を「及び」で結びます。「A、B及びC」ということになり、AとBとCの3つ、という意味になります。

【日常例】

こちらの商品は、オンラインストア及び一部の大型店舗のみの販売となっております。

(解説)

ある商品は、オンラインストアと一部の大型店舗で販売されているということです。

【条文例】

(定義)
第二条 (1~3 略)
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)

(解説)

廃掃法でいう廃棄物のうち、「輸入された廃棄物」の定義のなかで除外されるものの一つに、「船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物」というものがありますが、乗り物という意味では同じカテゴリーである「船舶」「航空機」を接続する、という意味です。
なお、この二つの言葉は、航行(航路を行くこと)という言葉にかかっています。

さらに、次に説明する「並びに」があります。これは「輸入された廃棄物」から除外されるものとして、「第1号に掲げる廃棄物」と「船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物」と、さらに「本邦に入国する者が携帯する廃棄物」の3つがありますが、すでに同じ文章なかで「及び」を使用しているため、大きな接続に使用する「並びに」を使って、3つの言葉を接続しています。詳しくは次の「並びに」の説明をご覧ください。

2. 「並びに」

「又は」の場合と同様に、この併合的接続が2段階に分かれることがあります。この場合には、「及び」に加えて、「並びに」という接続詞を使います。ただし、選択的接続の「又は」「若しくは」の場合と異なり、「及び」というのは小さい接続に使い、「並びに」は大きな接続に使われます。「(A及びB)並びにC」という具合です。

この場合は、大きい接続を示す「並びに」に注目して文章を読み進めることがポイントです。

【日常例】

このスタジアムでは、サッカー及びラグビー並びに陸上競技が行われる。

(解説)

球技種目であるサッカーとラグビーを「及び」でグループ化し、陸上競技という球技とは異なる種目を「並びに」でつなげています。

【条文例】

(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

(解説)

廃掃法の目的は、廃棄物のA「排出抑制」とB「適正処理」というグループと、C「生活環境の保全」とD「公衆衛生の向上」というグループの2つがある、という意味になります。
つまり、記号であらわすと、「(A及びB)並びに(C及びD)」となります。
前者は廃棄物について、後者は生活環境について、と前者と後者でグループのカテゴリーが違うのがわかります。

3. まとめ

その1からその3まで、「又は」「若しくは」「及び」「並びに」という四つの接続詞について説明をしてきました。接続詞は、文章を分かりやすくするために用いられるアイテムです。法律の条文を読む際には、これらの接続詞を手掛かりに、どの言葉・どの言葉のグループがつながっているのかを意識して見ていきましょう!

【参考文献等】

  • 「企業活動の法律知識新訂第88版」 経営法友会大阪部会編著
  • 「はじめての民法第3版」 尾崎哲夫著 自由国民社
  • 宅建通信学院

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2021.07.07 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その8
調査のまとめ・調査に関連する罰則

土壌汚染対策法

実務者のための土壌汚染対策法基礎講座のその6・その7で土壌調査についてご説明してきました。
今回は、土壌調査についてまとめるとともに、罰則についても説明介します。

調査・届け出の契機と罰則など

土地の状態 届出・調査の契機 届出 都道府県知事等からの命令 調査に関する罰則 届出に関する罰則
特定有害物質を使用している/していた施設(有害物質使用特定施設)がある土地(法第3条) その施設を廃止する時に調査が必要 調査の報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、報告を行い、又はその報告の内容を是正すべきことを命ずることができ、この命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条)
工場操業中などの場合で申請により調査を一時猶予(以下、「調査一時猶予」)を受けている土地(法第3条) 900m2以上の土地の形質変更をする場合に事前に届け出をし、調査が必要 土地の形質変更前に届出を行う 調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条) 土地の利用の方法を変更する時・土地の形質を変更するときに、届け出をしない、又は虚偽の届出をすると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(第66条)
有害物質使用特定施設が現存し、現在調査一時猶予を受けていない土地(法4条) 900m2以上の形質変更する場合、事前に届け出が必要 土地の形質変更前に届出を行う 都道府県知事等が汚染の恐れがあると判断した場合、調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条) 土地の形質変更前に届け出をしない、又は虚偽の届出をすると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(第66条)
有害物質使用特定施設がない土地(法第4条) 3,000m2以上の土地の形質変更する場合、事前に届け出が必要 土地の形質変更前に届出を行う 都道府県知事等が汚染の恐れがあると判断した場合、調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条) 土地の形質変更前に届け出をしない、又は虚偽の届出をすると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(第66条)
土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると判断された土地(法第5条) 土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事等が判断した場合 都道府県知事等が土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると判断した場合に調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条)

土壌調査から措置のフロー

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2021.07.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その11
要措置区域とは

土壌汚染対策法

1. 要措置区域の指定の要件

基準値(土壌溶出量基準および土壌含有量基準値)を超過する汚染物質が存在し、さらにその汚染物質から人への摂取経路が存在する場合は、要措置区域として指定されます。摂取経路が存在するとは、具体的には「人が自由に立ち入ることができる」「飲用に使用している井戸がある」などで、対象地および周辺の土地の利用状況と合わせて判断されます。

2. 指定されると禁止されること

土地の形質変更(工事等)は原則禁止となります。

3. 指定後にしなければいけないこと

要措置区域に指定されると、汚染の除去等の措置が必要になります。
都道府県知事等から指示措置が発出され、指示措置または指示措置と同等以上の措置を実施しなければなりません。

汚染除去等計画の提出から30日を経過した後でなければ汚染の除去等の措置に着手できません。

指定後にしなければいけないことのフロー図

汚染の除去などの措置は、必ずしも完全浄化(汚染がない状態にする事)である必要はありませんが、汚染が残された場合には、形質変更時要届出区域となります。汚染が除去された場合は、区域の指定は解除されます。

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