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DOWAエコジャーナル

2024.06.03 法律

改正省エネ法の報告義務について

カーボンニュートラル

「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」は、一定規模以上(原油換算で年間1,500kl以上使用する)の事業者等が、エネルギーの使用状況等について定期的に報告し、省エネ取組の見直しや計画の策定等を行うことを規定した法律です。

1. 改正の背景

2050年カーボンニュートラル目標や2030年の野心的な温室効果ガス削減目標の達成に向けて、徹底した省エネに努めるだけでなく、非化石エネルギーの導入拡大を進める必要があるため、2022年に「エネルギーの使 用の合理化に関する法律」から、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」へ改正され、2023年に施行されました。

2. 改正のポイント

改正された省エネ法では、「エネルギー」の定義を拡大し、非化石エネルギーを含む全てのエネルギーの使用の合理化を求める枠組みに見直されました。そして以下のような措置が講じられています。

  1. エネルギーの使用の合理化
    非化石エネルギーを含むすべてのエネルギーの合理化が求められます。これに伴い、非化石エネルギーが報告対象に加わりました。
  2. 非化石エネルギーへの転換
    特定事業者は、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期計画の作成及び非化石エネル ギーの使用状況等の定期報告を行うことなどが求められます。
  3. 電気の需要の最適化
    特定事業者等は、再エネ出力制御時への電力の需要シフトや、電力の需給ひっ迫時の電力の需要減少を促すため、電力の需給状況に応じた使用電力の抑制や増加の実績報告を行うことが求められます。

令和5年(2023年)度提出分から新しい様式に基づいて中長期計画書を提出することとなっていました。令和6年(2024年)度提出分は、中長期計画書に加え、定期報告書についても、新しい様式で提出することとなります。

3. 規制対象者

工場・事業場の設置者と貨物/旅客輸送事業者、荷主が対象とされています。
努力義務と報告義務、それぞれの対象者は以下の図をご確認ください。

(出展)改正省エネ法に基づく措置等について(資源エネルギー庁 省エネルギー課 令和5年2月)

4. 報告方法

報告の届出はEEGS(webサイト)から行います。

(出展)省エネ法がかわります(経済産業省資源エネルギー庁)

5. 各対象の報告義務

具体的な規制の対象者や報告義務の内容などは、それぞれ以下のパンフレットをご覧ください。

省エネ法の手引き 工場・事業場編
省エネ法の手引き 荷主編

以下に、各対象の報告義務について手引きを元にご紹介します。

5-1 事業者の報告義務

事業者の義務は、年間エネルギー使用量に応じて定められています。

(出展)省エネ法の手引き(工場・事業場編)~令和5年度改訂版~

5-2 貨物/旅客輸送事業者の報告義務

貨物/旅客輸送事業者については、輸送能力が規定の数値以上の事業者が、特定輸送事業者として指定され、報告義務の対象となります。

(出展)エネルギー使用の合理化等に関する法律 省エネ法の概要 【輸送に係る措置】
(国土交通省 総合政策局 環境政策課 令和2年3月)

5-3 荷主の報告義務

荷主については、輸送料が3,000万トンキロ以上の場合、「特定荷主」と指定され、報告義務の対象となります。

(出展)省エネ法の手引き(荷主編)~令和5年度改訂版~

【参考資料】

経済産業省 資源エネルギー庁
省エネ法がかわります
改正省エネ法に基づく措置等について(令和5年2月)

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2024.06.03 国際動向

スペイン・バルセロナの多様なゴミ収集事情

海外ごみ事情

バルセロナは、人口165万人(2023年現在)、穏やかな地中海気候とピカソやダリ、建築家アントニオ・ガウディを目当てに、ヨーロッパをはじめ各国からの観光客が絶えないスペインの地方都市です。
市中心部のショッピングエリアは、100年ほど前から整備された碁盤の目状の街区ですが、旧市街は迷路のような路地が入りくみ、新開発が進む高層オフィス街区や山間部など、多様な街並みを形成しています。

■街区に合わせた多様な収集システム

そんなバルセロナでは、2022年から2030年までの計画で、持続可能な未来に向けた新しいゴミ収集システムが始動しました。街路には新しいデザインの大型分別コンテナ(上の写真)が設置され、日中・夜間を問わずゴミを回収する廃棄物収集車両は66%が電動化され、周囲の人への安全機能も搭載されていて騒音も少なくなりました。

また、新しい大型コンテナだけではなく、道が狭く車両のアクセスが難しい街区、商店街で人通りが多い街区など、街区の事情に合わせて空気圧式収集ポストや、移動式プラットフォームなどを設置しています。一部では戸別収集の試みも始まり、商業地区では手動収集も毎日行われています。

上の写真は、2種のコンテナからのゴミ収集の様子です。右側は埋め込み型の小型ゴミコンテナを引き上げてゴミを車に積載しています。

空気圧式収集ポスト(下の写真)は、景観に配慮する場所に設置されている悪臭が発生しないコンテナです。コンテナは地下パイプのネットワークに接続されていて、投函したゴミ(一般ゴミと生ごみ)は中央の吸引ポイントに吸引収集されます。

街路の狭いエリアではこれまでの固定式コンテナが排除され、毎日定時(6時~11時、18時~23時)に新しく移動式プラットフォーム(下の写真)が広場などに設置されることになりました。一般ゴミや生ゴミは毎日、プラスチックや瓶、段ボールなどは週5日のみ、捨てることができます。

(参照)Plataformas móviles | Limpieza y Residuos | Ajuntament de Barcelona

また一部のエリアでは、新しくゴミの戸別訪問回収の試みが始まりました。収集カレンダーに従って該当する日に廃棄物を分別(有機物、包装、紙とボール紙、廃棄物とガラス)して戸外に置いておくと、定時に収集車が回収します。共同責任に基づいた消費と廃棄を推進するため、分別に責任を持たせることが狙いです。
昔に戻る施策のようにみえますが、調査結果では戸別訪問回収が最もきちんと分別してもらえる回収方法とのことです。

■ゴミの5大分別

(参照)Buscador de residuos | Ayuntamiento de Barcelona

バルセロナのゴミの分別は分かりやすく色分けされています。

  • 茶色-オーガニック(生ゴミ、コルク栓、汚れたキッチンペーパー、庭の廃棄物など)
  • 青色-包装材・紙・ボール紙・段ボール
  • 緑色-ガラス
  • 黄色-プラスティック・アルミ(ペットボトル、ビニール袋、飲料缶、シート、アルミホイル、発泡スチロール、小型スチールケーブルなど)
  • 灰色-その他一般廃棄物(タバコの吸い殻、掃除の残骸、使用済みの鉛筆、髪の毛など。おむつや動物の糞も捨てられますが、「衛生廃棄物」と書かれた黒い袋に入れること)

灰色のコンテナには、適切に分別されていない廃棄物が大量に混在するため、エコパークに運ばれてさまざまなプロセスを経てリサイクル可能な材料を分別し、リサイクルできない廃棄物は埋め立て地に送られるか、焼却されるそうです。

■壊れた電化製品や廃油などの収集施設グリーンポイント(punto verde)

コンテナに捨てることができない廃棄物(バッテリー・廃油・電球・電化製品・スプレー・インクカートリッジなど)は、地区ごとに設置されたグリーンポイント(上の右の写真)や移動式グリーンポイントへ持っていきます。

グリーンポイントは月曜から土曜日まで開いていて、管理者が施設内のゴミの分別を指示してくれます。移動式グリーンポイントは廃棄物収集車のことで、学校や広場に定期的に一定時間停車してゴミの回収を受け付けます。

このグリーンポイントへ廃棄物を年に15回以上持っていくと、水道料金と一緒に支払っているゴミ処理のための市税と環境税に対する最大14%の割引が受けられるグリーンポイントカードのサービスも始まりました。
2020年から、バルセロナ市民は家庭廃棄物の適正収集・処理のための市税と都市廃棄物処理処分料としての環境税を支払っています。このポイントカードも、分別収集を推進するための施策の一つです。

また、壊れた家具などの粗大ゴミは、週に1度に20時から22時までの間に自宅前の路上に出しておくと回収してくれます。

■協同組合と連携した衣類のリサイクル

衣類のリサイクルにも積極的です。
衣料回収用のオレンジ色のコンテナが、地区のグリーンポイントや公園脇などに設置されています。洗った不要な衣類を、汚れないように紙袋などにまとめて投入します。

コンテナの管理と古着の回収は、ロバ・アミーガ(衣類の友達)協同組合が行っています。収集された衣類は繊維処理工場に運ばれ、選別・分類後に再利用と繊維のリサイクルが行われます。再利用として、社会福祉の人々への寄付のほか、ロバ・アミーガの中古衣料品店で手頃な価格で販売されています。

協同組合の発表によると、2022年は、カタルーニャ州で 3,030個のオレンジ色のコンテナと、568の自治体と協力企業に配置された回収ポイントを通じて、1,390万4,774キログラムの衣類を回収したということです。

バルセロナでは、持続可能な地球環境を守る取り組みを様々な施策を通して行っていますが、その達成は、私たちひとりひとりの日々の行動、責任あるごみの分別と廃棄にかかっていますね。

この記事は
バルセロナ在住フリーライター MikWak が担当しました

2024.06.03 サーキュラーエコノミー

対談企画 サーキュラーエコノミーは誰のため? その3 サーキュラーエコノミーは顧客価値

対談

細田 衛士(ほそだ えいじ)様

東海大学副学長、政治経済学部経済学科・教授
慶應義塾大学名誉教授
中部大学理事、学事顧問、名誉教授

1993年より国税庁中央酒類審議会 新産業部会リサイクルワーキンググループ座長、1995年通商産業省産業構造審議会廃棄物小委員会委員、2000年運輸省FRP廃船の高度リサイクルシステム・プロジェクト推進委員会委員、2003年環境省政策評価委員会委員、2011年中央環境審議会委員、2011年林政審議会委員、2023年「サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ」事業における総会、ビジョン・ロードマップ検討ワーキンググループの委員などを歴任

喜多川 和典(きたがわ かずのり)様

公益財団法人 日本生産性本部 エコ・マネジメント・センター長
上智大非常勤講師

長年にわたり、行政・企業の環境に関わるリサーチ及びコンサルティングにあたる。
経済産業省循環経済ビジョン研究会委員(2018年度~2019年度)、ISO TC323エキスパート(2019年~2023年)、NEDO技術委員などを歴任
おもな著書に、「サーキュラーエコノミー 循環経済がビジネスを変える」勁草書房、「環境・福祉政策が生み出す新しい経済 “惑星の限界”への処方箋」岩波書店 等がある。

自動車を生まれ変わらせる

喜多川

ヨーロッパの自動車メーカーである、ルノーや、ステランティスグループが、中古車から車を製造し始めています。

イタリアに初のサーキュラーエコノミーハブを開設して、材料の回収と持続可能な再利用の産業化を目的としたセンターオブエクセレンスを構築し、同事業は前年比18%の売上成長を実現しました。
(出典)Stellantisが2023年通年で、記録的な純収入、純利益、 製造用フリーキャッシュフローを達成(Stellantisジャパン株式会社)

上田

ステランティスは、フランスの自動車メーカーとイタリアの自動車メーカーが合併して2021年に誕生した多国籍企業で、『アルファ ロメオ』、『シトロエン』、『DSオートモビル』、『フィアット』、『ジープ』、『プジョー』など複数のブランドを有しているのですね。

(出典)Our Brands | Stellantis

喜多川

彼らは、中古車と廃車のみをモノとしての経営資源として投入し、車、部品、素材を製造します。それらは、 メーカーレベルの品質保証がなされた製品となります。

細田

解体業者が担っている機能も取り込むんだね、自分たちの中に。

喜多川

現在EUで検討されているELV規則の法案に基づいて定められるEPR(拡大生産者責任)における生産者の責務(リユース・リサイクルによる資源循環)を、自分たちの工場の工程に取り込むことで、リユース・リサイクルが外部コストでなくなり、収益をあげるための内部価値に転換させたサーキュラーエコノミーの好事例と言えましょう。

【参考】欧州委、循環性の高い自動車設計・生産・廃車に向けた規則案を発表(独立行政法人日本貿易振興機構)

ルノーはこれまでのところ、サーキュラーエコノミー型の工場を欧州内のみで展開していますが、ステランティスは今後、欧州外にもサーキュラーエコノミーハブを設立する計画を示しています。計画通り実施されるのであれば、ステランティスグループのサーキュラーエコノミー戦略はグローバル展開ということになる可能性があります。

彼らは、サーキュラーエコノミー政策に基づいて自分たちを変えるつもりはない、常にマーケットベースで考えて、消費者がどういう考え方をしているかによって動いていると言っています。
しかしそうは言っても、1つ気になるのが、ELV規則で新車の製造に必要とされるリサイクル材利用量の算定が与える影響です。

例えば、中古車とか廃車だけを自分たちの工場に受け入れて、100%中古の部品を使ってリユースベースの車を造るとします。そうすると、車の再生材利用の割合は100%になりますね。

EUのELV規則では、プラスチックは再生材を25%以上使用することが義務として設定される可能性がありますが、いくつかのサーキュラーエコノミー型工場で生産した車の再生材利用率が100%とカウントしてよいとなるならば、他の新車を作っている工場で生産する車は再生材利用率25%をクリアしなくても、OEMとしては義務をクリアした事になるんじゃないかという懸念です。

これと同じような考えが実際に、EUの容器包装及び容器包装廃棄物に関する規則では採用されようとしています。

【参考】EU、包装材のリサイクルや再利用、過剰包装禁止を義務付ける規則案で政治合意(独立行政法人日本貿易振興機構)

この規則案では、リサイクル材の利用率は個別製品ごとに目標値をクリアしなくてもよいとの方向で検討が進められています。

例えば洗剤のボトルには60%の再生プラスチック使わなきゃいけない、と規定されていても、個別に全部のボトルに再生プラスチックが60%以上含まれている必要はなく、洗剤品目に属する製品の平均として60%を超えれば法の要件を満たすことになるという意味です。つまり高級ブランドでは再生プラスチックが10%しか入ってないものがあっても、大衆ブランド製品では70%以上再生プラを使っていて、全体で押しなべて60%を超えればいいとなります。

だから自動車も、全体で平均した再生材利用率という事になれば、ステランティスやルノーのような再生工場を運営していれば、利用率がぐっと上がりますね。ただし、これまでのところ、ELV規則案ではリサイクルプラスチックのみを算定の対象としており、リユースのプラスチックは算定対象に認めていません。とはいえ、こうしたルールは現実的な事情によって変更されることもあるのではないかと一応気にかけておくべきではないかと思います。

逆に日本が再生材利用率25%を達成するのは至難の業です。これはヨーロッパの自動車メーカーにおいてもほぼ同じなのでこのあたりの動きが気になります。

細田

再生プラスチックなんか、まず集められない。

喜多川

日本にも再生プラスチックを作っている会社がありますが、到底間に合いません。
ヨーロッパでは、全ての製品、容器包装も、車も家電も、何に対しても再生プラスチック使うことが要求されてきています。高品質なプラスチックは取り合いになっているので、日本が高品質の再生プラスチックを輸入するのは、ヨーロッパに限らずかなり難しいと思います。

上田

今までは、再生材は見えないところに使われていた印象ですが、再生材利用率が上がると、使われる範囲が拡大していきそうですね。

喜多川

そうですね、僕が買った車、ルノーなのですが、ダッシュボード脇のプラスチックは再生プラスチックなのではないかと思いました。購入後、ダッシュボードとの隙間が変形してきて、最初は虫一匹通れるような隙間が小ネズミだったら通れるくらいにまで広がりました。最終的には部品交換してくれましたけど、最初の内はディーラーの整備部門に持ち込んでもドライヤーをかけて一生懸命直そうとしていました。

製品に対する要求水準が、日本人とフランス人などのラテン系の人とは随分違うのではないかと思いました。

細田

製品の要求水準も違うけど、自分の車だってEUの人達はちょっとくらい車をぶつけても全然気にしない。バンパーはそのためにあるんだって感じでしょ。

日本の要求水準が厳しいことはいいところでもあるんだけど、サーキュラーエコノミーはある程度許容度がないと難しいんじゃないかな。ただ、例えば日本も再生紙が普及し始めた頃は、真っ白じゃないと嫌だと言われたけど今はみんな普通に使っているし、変形したキュウリもお店で売られるようになってきたみたいに、少しずつ変わっていくのだろうけど、そういう市民の許容度というか、マインドセットは、EUやアメリカと日本は違いますね。アメリカはEUよりも、さらに許容度が高い。

喜多川

そういうところはカルチャーと繋がっていて、日本人は、分別はきれいにする、製品は綺麗じゃなきゃダメ、とかいろんな特徴があって、そこをどうやってサーキュラーエコノミーの方向に収束させていくかは、日本は日本のやり方で、ということになると思います。

サーキュラーエコノミーは顧客価値

喜多川

ヨーロッパでは顧客価値をベースに、サーキュラーエコノミーを考えようという姿勢が非常に強いんです。
例えば、ヨーロッパは、修理する権利を法制化しようとしており、修理するときに条件によりますが、メーカーにパーツがなくて直せないということを許さない方向で考えています。

例えば、ステランティスグループのサーキュラーエコノミー型の工場は他社の車も受け入れます。そして、他社の車を修理するためにどうしたらいいのかとその車を作った自動車メーカーに問合せた場合、その自動車メーカーはそれを修理するための情報を提供しなければならない可能性が出てきます。

上田

競合に自社の車の情報を渡さないといけないのですか?

喜多川

本来、各メーカーにとって知的財産権に当たるような知財であっても、それを修理して顧客にリーズナブルな形で価値ある製品を提供できる場合には、その情報を提供することが知的財産権よりも優先されるとの判断が適用されるケースが今後出てくるものと思います。

細田

それは法的にはもう合意されているんですか。

喜多川

かなり整備されつつあります。
知財などや企業にとっての秘密情報を、「出せない」と言える権利と、 「出さなければならない」義務とが交差することになるわけですが、そこで重要な概念として「顧客価値」優先が語られるようになってきています。

細田

少し話は変わるけど、EUというのは、既存の決まりにこだわらないところがあるよね。
例えば、アパレル事業者が売れ残った服や靴などの衣料品を廃棄できなくなるという規則ができてきているけど、「捨てちゃいけない」というのは所有権に対するすごい制約だと思うんですよ。

【参考】EU、エコデザイン規則案で政治合意、未使用繊維製品の廃棄禁止へ(独立行政法人日本貿易振興機構)

資源は捨てちゃいけないぞとなったら、節約して利用するか、 サーキュラーエコノミー的に高度な資源循環するかしかないじゃないですか。これはとても面白い。

修理する権利

喜多川

アメリカでは、修理する権利に関する法案づくりに着手している州が増えているのですが、その修理する権利を1番求めているのは、車のユーザーなんだそうです。

【参考】修理する権利: 米国における最近の動向(The World Intellectual Property Organization (WIPO))

新車を買おうとしても、半導体不足などで納車は3ヶ月後とか6ヶ月後になる。ならば古い車を修理しようとしても、スペアパーツがないから直せないと言われてしまう。そこで修理する権利だ!ってことになるのだそうです。

細田

日本で「修理する権利」が整備されたら、安い電気製品が売りにくくなるだろうね。

上田

直すよりも買ったほうが安いですよ。

細田

それは経済システムの問題だよね。
作って壊すというシステムの中で修理しようとしても高くつくけど、 修理を前提にしたシステムを組んでおけば、修理するのが当然安くなる。それはもう経済システムの作り方の問題なんだけど、日本はとにかく、作って壊す、ということで経済成長してきたので、もうずっと日本人の、我々の頭にこびりついているんですよ。

日本はGDPが世界4位になりましたね。ICT投資をサボってきたとか、それが故のGDPの低下はまずいんだけど、 これだけ豊かな社会で、スーツは何着持っているんですか、何着着るんですか、靴は何足持つんですかって。
靴なんか修理して履き続けたらいいじゃないかと思うけど、作って捨てるビジネスモデルが頭にこびりついてしまっている。

喜多川

例えば家電も、多くの場合に去年のモデルは安くなるように、必要かどうかは別として、新機能や流行のデザインを施した新製品を出すことによって古いものを陳腐化させるようなビジネスモデルは多分、日本の家電メーカーぐらいだと思います。ヨーロッパでは、毎年新しい製品が出て1年前の製品を陳腐化させる売り方はやっていません。

定番の冷蔵庫とか洗濯機を出し続けながら、必要に応じてきちんとメンテナンスして、故障しても修理して使い続けられるようにしていくようにすることで、単に売れなくなったから儲からない、のではなく、それ自体がビジネスモデルとしてきちんとマネタイズできて成立するようなビジネスモデルを開発していく、という風に展開していくことが、サーキュラーエコノミーです。

細田

そして、それを評価する消費者がいないとダメなんだよね。消費者がそれを選ばないと、そうなっていかない。
例えば、イギリスのアクアスキュータム(Aquascutum)に行くと、10年前に買ったのと全く同じコートが売っているし、修理もできるんです。

上田

アクアスキュータム(Aquascutum)は、トレンチコートが有名なイギリスの老舗ファッションブランドですね。

(出典)STORY(アクアスキュータム)

細田

高度経済成長の時の私たちの幻想ですよね。豊かになることを目指して、作って・作って・作ってしまった。当時は耐久消費財がどんどん入れ替わる時でもあったので、やむを得ないところもあるんだけど、今はいろんなものが普及しているので、この先もっともっとはないでしょう。大事に使うことをユーザーが評価して、豊かな精神性、果実を積み取っていかないと。

上田

精神性ですか?

細田

今日はちょっと早く仕事を終わって、シアターに行きましょうよとかね。
そうやってエンジョイしているのが、EUの羨ましいところだと思うんだよね。
せせこましくみんな残業しない。

上田

残業、、、しないように頑張っていますが、仕事をしても、仕事をしても終わらないのです。

細田

僕の教え子がフランスに行っていましてね、フランスはバカンスが4週間なんですよ。さらにバカンスの前に仕事をしようと言うと、嫌な顔をするそうなんです。「俺、 2週間後にバカンスだから、そういう話はやめてくれ」って。
それで、バカンスから帰ってきたら、今度は、「バカンスから、帰ってきたばかりだ」って。
バカンス前後の2週と2週とバカンスの4週、合わせると8週間ですよ。でも、フランスの生産性は日本より高い。

喜多川

フランスの生産性の方が高いということは、日当たりでは日本の倍以上の生産性になりますね。

細田

1つには、日本は無駄な時間を過ごしているということありますよね。海外は時間で終わりますから。

上田

私自身、無駄な仕事をしている認識はないのですが、外資系の会社に勤務している友達と話をした時に、日本人は完璧を求めるから完成度を上げるための時間がかかってしまうのではないか、という仮説に至りました。

細田

経済学的に言うと、何かの取り組みをした時に、最初の方は生産性が高いけど、その後、生産性はだんだん下がってくる。

EUでは、まず概念設定があって、目的は何で、それを達成するためにこういう規則を作る、という風に動いていきますよね。だから、規則に多少穴があっても、全体的に動いていって新しい経済を作る方向になっていくじゃないですか。でも、日本人は、神は細部に宿るじゃないけど、細かいところにすごく時間かけるから、生産性は上がらない。
例えば、ごみを資源として細かく分別するとか、それも大事なことだから、この折り紙の文化をどう変えるかは難しいんだけど、でもやっぱり改善の余地はものすごくあるよね。

喜多川

日本だけじゃなくて、ドイツ人も完璧主義者ですよ。日本の100点主義とはちょっと違うかもしれないですけど。

細田

日本とドイツは、ちょっと違うね。ドイツ人は、理性があってその理性で理詰めて解いていったことをベースに完璧を求めるというカントの世界じゃないかな。

例えば茶道のお手前というのがあります。お茶はどう飲んだって構わないんだけど、理性は関係ない精神性の世界というか、美意識ですね。

一方ドイツの場合は、ロジカルに詰めていって正確性を求める。
結果は同じだったとしても、そこに至るまでの精神性の違いがあるんじゃないかな。

上田

精神性が違うとやり方も違ってくる、という事なのですね。

【参考記事】

Stellantis Fosters Circular Economy Ambitions with Dedicated Business Unit to Power New Era of Sustainable Manufacturing and Consumption | Stellantis(October 11, 2022)
SUSTAINera: Circular Economy for a Sustainable Automotive Future

ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回の記事もお楽しみに!

2024.06.03 サーキュラーエコノミー 廃棄物管理

シュレッダーダストとは?

DOWAの取組リサイクル廃棄物処理

シュレッダーダストについて、処理の流れや制度の背景などを踏まえてご紹介します。

●シュレッダーダスト(SD)について

①シュレッダーダスト(SD)とは?

廃棄物から有価物を取り出した残りを破砕した破砕くず、又は、破砕した後に有価物が取り除かれた破砕くずのことです。自動車や家電のリサイクルなどで発生し、プラスチック、ゴム、残った金属など様々なものが含まれているのでマテリアルリサイクルが難しいものです。

エコペディア:シュレッダーダスト

写真:シュレッダーダスト

②車の処理で生じるシュレッダーダスト(ASR)

自動車から発生するシュレッダーダストはASR(Automobile Shredder Residue)と呼ばれます。
自動車からは、以下のような処理フローでASRが発生します。

鉄やアルミ等の金属を取り外す破砕する鉄、ステンレス、銅、アルミ、SDが発生

ASRは年間約57万トン発生(2019年度実績)しており、比重を0.26とすると、約219万m3発生していることになります。
※比重はJWNETの重量換算係数の表を参考にした

出典:経済産業省・環境省 自動車リサイクルの現状

●SD処理の制度

・各種リサイクル法で定められた処理方法

現在、車は年間で約360万台が廃車になっています。

かつて、シュレッダーダストは埋立処分場において埋立されるのが主流でしたが、埋め立てる土地にも限度があり、埋立容量がひっ迫してしまうという問題を抱えていました。そのような背景からシュレッダーダスト等の適正な処理・リサイクルが求められ、2005年から自動車リサイクル法が施行されました。

自動車リサイクル法では、自動車の製造業者が破砕業者からASRを引き取り、再資源化可能な施設(指定引取場所)でリサイクルを行う仕組みになっています。法施行後、ASRのリサイクル率は95%を超え、埋立処分場や焼却場に直接搬入されるASRは大幅に減少しています。

出典:自動車リサイクル促進センター ホームページ

家電については、その適正処理、リサイクルのため、家電リサイクル法が制定され、有価物の回収が行われるとともに、残渣として発生したシュレッダーダストのリサイクルも進められています。DOWAグループでもリサイクル施設を有しており、シュレッダーダストの再資源化を実施しています。

この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました

2024.05.08 国際動向

欧州視察のホテルにて 〜資源循環と脱炭素の取組み〜

海外ごみ事情

2023年11月27日~11月30日の日程で、経団連の「サーキュラーエコノミーに関する欧州ミッション」に参加しました。経団連のHPで概要についてはまとめられておりますので、興味がございましたら、ご一読いただければと思います。

(参考)一般社団法人 日本経済団体連合会
サーキュラーエコノミーに関する欧州ミッションを派遣

さて、そのEU視察中に資源循環や脱炭素の観点で日本との違いなどを感じたものについて紹介したいと思います。

ペットボトルじゃないの!

日本でビジネスホテルなどに宿泊するとサービスでペットボトルに入った水やお茶をプレゼントされることがあります。部屋に1本、2本と置かれている経験もあります。

今回、宿泊したブリュッセルのホテルでは、ペットボトルではなくガラス瓶入りの水(500mL)とグラスが部屋に準備されていたのでいささか驚き、おしゃれだとも思いました。

使ってみるとやはりガラス瓶なので重たく流石に外に持って行くことはできませんでしたが、プラスチック削減につながる取組みだと思いました。

(出典)Steigenberger Icon Wiltcher’s – Brussels | H Rewards

余談となりますが、日本でもペットボトルを廃止してウォーターサーバーで提供する取組みや、今回のようにガラス瓶へ切り替えたりする取組みもあるようです。また、使い捨ての歯ブラシやプラスチックストローのほか、シャンプーなどを充填式にすることでの容器の削減など、プラスチック削減のために様々な取組みも進められています。

(出典)CSR | 【公式】ワシントンホテル株式会社

こんなに暗いの!

もう一つ驚いたことが、明かりです。先ほどのホテルでのことですが、夜、部屋の電気をつけても薄暗く、目が慣れてきてもそれだけでは本も読みにくい状況でした。最初は補助灯のみが付いているのかと思い、室内の主電灯のスイッチを探し回るほどでした。

ただ、手元の照明をつけてみると周辺がいい具合に明るくなり、問題なく過ごすことができました。改めて部屋を眺めてみると、暗さの中でポツンと明かりがある風景は上品で、これを楽しむのも悪くないと思いました。

ヨーロッパの明かりが暗い理由としては、ヨーロッパの人たちの瞳の色が薄く、強い光に弱いことが大きく関係しているようです。また、薄暗さの中で雰囲気を楽しむことも大切にしているようです。

今回、ペットボトルや部屋の明かりから、何気ない普段のくらしの中で使用される「もの」や「エネルギー」について、ヨーロッパは日本よりも使用量が少ない印象を受けました。

ガラス瓶や明かりへの価値観の違いなど背景にはあると思いますが、この「もの」や「エネルギー」への依存度の違いは、資源循環や脱炭素の取組みに関しての社会的な同意の得やすさや達成のハードルの高さにも影響すると思いました。
そういう点で、ヨーロッパは日本よりも率先した取組みも苦ではないのかもしれません。

この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 山野 が担当しました

2024.05.08 リスク管理 廃棄物管理

廃試薬を排出する際に注意することはありますか?

廃棄物処理

Q:廃試薬の廃棄を処理業者へ依頼する際に、注意することはありますか?

A:

その試薬についての情報を事前に処理業者へお伝えください。また、複数の試薬ビンやボトルを段ボールに入れる際には、割れないようにしっかりと梱包をお願いいたします。

■試薬の排出時に実施いただきたいこと

①事前情報の提供

試薬は危険物や毒劇物に該当する物質など様々な種類の試薬が、1度に排出されることが多くあります。
それらの試薬の処理が処理施設の事業の範囲に含まれていることを確認し、適正処理が可能かを判断する必要がありますので、廃棄試薬について事前に情報提供をお願いします。

当社では、試薬に関しては、試薬名称、廃棄物の種類(廃酸/廃アルカリ/廃油など)、容器の種類(瓶、ポリ容器など)、内容量、危険物の種類、注意成分(重金属、ハロゲンなど)の有無などについて情報と、それぞれの試薬のSDS(MSDS)も事前に提供していただいています。

情報共有の重要性は他の廃棄物でも同様ですが、試薬は特に多種類のものを一度に廃棄することが多いため、想定外の廃棄品が無いように情報提供をお願いします。

②排出時の確認

排出時には、事前情報と同じものであることをご確認ください。もし事前情報と異なる試薬だと、処理施設の事業の範囲に含まれれない場合には処理ができなくて返却することとなったり、事前情報よりも濃度が高いなどの場合には、処理施設で排気ガスや排水に異常が出るなどの環境事故につながる可能性があります。

③漏洩対策

廃棄時に段ボールなどに複数の試薬を入れる際には、試薬瓶同士がぶつかって瓶が割れてしまわないように、梱包材などを使って梱包をお願いします。

もし試薬瓶が割れてしまうと漏洩につながるリスクがあります。また、複数の試薬瓶が漏れると中で段ボール箱等の中で化学反応が起きてしまうリスクもありますので、十分な安全対策をお願いします。

この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました

2024.05.08 サーキュラーエコノミー

対談企画 サーキュラーエコノミーは誰のため? その2

対談

細田 衛士(ほそだ えいじ)様

東海大学副学長、政治経済学部経済学科・教授
慶應義塾大学名誉教授
中部大学理事、学事顧問、名誉教授

1993年より国税庁中央酒類審議会 新産業部会リサイクルワーキンググループ座長、1995年通商産業省産業構造審議会廃棄物小委員会委員、2000年運輸省FRP廃船の高度リサイクルシステム・プロジェクト推進委員会委員、2003年環境省政策評価委員会委員、2011年中央環境審議会委員、2011年林政審議会委員、2023年「サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ」事業における総会、ビジョン・ロードマップ検討ワーキンググループの委員などを歴任

喜多川 和典(きたがわ かずのり)様

公益財団法人 日本生産性本部 エコ・マネジメント・センター長
上智大非常勤講師

長年にわたり、行政・企業の環境に関わるリサーチ及びコンサルティングにあたる。
経済産業省循環経済ビジョン研究会委員(2018年度~2019年度)、ISO TC323エキスパート(2019年~2023年)、NEDO技術委員などを歴任
おもな著書に、「サーキュラーエコノミー 循環経済がビジネスを変える」勁草書房、「環境・福祉政策が生み出す新しい経済 “惑星の限界”への処方箋」岩波書店 等がある。

カーシェアは何のため

喜多川

ヨーロッパに出張した時に、ベルリンでシェアカーが増えているとテレビニュースで放送されていたんです。ベルリン市の職員がインタビューで「シェアカーが増えると、どういう良いことがあるのですか」と聞かれて「緑地が増える、グリーンスクリーンスペースが増える」と答えていました。

その後、ヨーロッパで車を作っているメーカーの方とディスカッションした時にも、車のシェアは、環境のためではなくて公共の駐車場を減らすことに主眼が置かれてると言っていまして、あぁなるほどなと思ったんです。

上田

公共の駐車場を減らして、緑地にするのですか?商業施設を建てるとか、複合施設を建てるとかではなく?

喜多川

SDGsの観点で、都市の緑地率を高めようとしているんです。地域の緑地率と住民の心身の健康、つまりウェルビーンとの関係が学術的にも明らかにされてきており、緑地率が低いと犯罪も多くなるため治安が悪化すると言われています。また市民も緑地を増やすことを支持しているので、自治体の政策として緑地率を増やす努力をしている、と言っていました。

細田

いや、面白いね。本当に面白い。
日本だったら、公共の駐車スペースを減らして、そこに商業施設を建てましょうとなりますね。今、東京で都心の木を切って再開発しようとしているのは、ヨーロッパの人から見ると信じられないんじゃないかな。明治の時代の先人が考えて植林をした貴重な緑を伐採しちゃうというのはね。

上田

便利だしCO2削減にもつながるから、という目的ではなくて、緑地を増やすために、駐車場を減らす。そのために、カーシェアを導入するという発想の違いは、SDGsに関する指標があるかないか、によるものなのでしょうか。

喜多川

指標が普及しているかどうかは、1つの理由だと思います。
ただ、単に指標の有無ではなくて、ヨーロッパでは市民や市議会の議案としてそういう提案が積極的に出てくる、というところが違いとなっているのではないでしょうか。

サーキュラーエコノミーは地域環境政策

喜多川

日本では国の政策として容器包装リサイクル法や家電リサイクル法、建設リサイクル法といった政策がありますが、ヨーロッパの場合、サーキュラーエコノミーの政策というと、例えば建築廃材をいかに地域の中で循環させられるか、ベルリンならベルリンの都市の中で解体される建築物がいかに次の新しいその建築物の材料にできるか、というような地域での資源循環も重要な視点になります。

上田

リサイクル率だけでなく、地域内での循環に主眼が置かれているんですか?

喜多川

ヨーロッパは、木造建築が少なくて建物も長期間使用されるので、めったに解体されませんが、それでも解体によって発生する廃棄物はものすごい量で、廃棄物に占める割合は建廃が一番多いので、それをいかに建築物に戻せるか、にチャレンジしている。
ドイツ環境庁の方も新しい建築物の10%以上、建築物由来のリサイクル材を用いる政策を実施したいと言っていました。オランダも同じで、アムステルダムのスマートシティの1番の重点ポイントは、建設廃棄物のリサイクルだそうです。

細田

地域の環境政策ですね。

喜多川

そうです。ヨーロッパのサーキュラーエコノミーは、基本的に地域の環境政策として、その地域のサステナビリティ、つまり持続可能性というところが基礎となります。

ヨーロッパの都市は、昔は都市国家的な位置付けだったので、いまだに都市ごとの自治意識がとても強いのだと思います。地域市民というのでしょうか、 環境整備にコミットして、しかも都市や域内のことを考える、というところが根っこにあるのでしょうか。

細田

ヨーロッパの自治意識は地域の中にあって、市民が地域内のことを考えるので環境政策にもそれが反映されますね。

上田

地域の政策というと、日本でも都道府県や市町村など、自治体単位で資源循環や低炭素な社会を目指す活動も増えてきていますが、そういう活動が積み重なっていくようなイメージでしょうか。

細田

例えば、プラスチックの例だと、仙台市や横須賀市や三河安城市などの自治体で取り組みが始まっていて、確かに地域が中心となって実施されているので、市民が協力して動いていくのだけれども、ヨーロッパの自分たちで作り上げるという感覚の自治意識とはちょっと違うような気がします。
アメリカもヨーロッパとまた少し違うけど、コミュニティの意識がありますね。

(参考サイト)
製品プラスチックの分別収集が始まりました!(仙台市ホームページ)
プラスチックの一括収集・リサイクルについて大臣認定を受けました(横須賀市ホームページ)
プラスチック資源一括回収について(三河安城市ホームページ)

上田

自治意識、、、自分たちで作り上げるというというイメージだと、戦後の学生運動のようなイメージでしょうか。反戦運動や反差別運動など、政権に立ち向かっていたのかなと思います。

細田

1969年の10.21国際反戦デーなど、その他にも色々ありました。でも同一陣営内での暴力闘争(ウチゲバ)もあって、 一般の学生が離れていってしまった。

その当時、自治意識のようなものはあったのかもしれないけれど、ヨーロッパで長い時間かけて培われてきた、自分たちで市民として政治的にコミットして自由を勝ち取ってきた経験がないので、続かなかったのかもしれない。積み上げて積み上げて、自分たちでコミュニティの地域政策につなげていくという発想が希薄だったというか。

それが今のヨーロッパと日本のサーキュラーエコノミー政策の違いにもなっているんじゃないかな。

あと、企業が危機意識を持ち始めていて、例えば資源問題が大変だという意識があっても、それが地域政策みたいなこととしてボトムアップで出てくる雰囲気があんまりない。

喜多川

ヨーロッパは、政治に対して機能する民意っていうのが日本よりはしっかりしていると感じます。

細田

でも、一方でね、日本人は真面目だから、レジ袋を有料化すると6割ぐらいは辞退するし、ゴミの分別など行政には協力する。20以上の分別回収をしている自治体もあるけど、ヨーロッパでは難しい。日本の折り紙の文化だと思うのだけど、細かいことはやれるし、3Rを推進しようと言えば真面目にやるのだけど、地域の政策に繋がるような、市民の行動とはちょっと違う。

自分たちの地域の政策概念を自分が体現しているという意識はあんまりないんじゃないかな。

上田

市民として自分の意思がない、ということですか?

細田

政策的に影響を与えるパワーを我々市民が持っているんだという意識があんまりないように感じる。お上が偉い、という意識がまだまだどこかにあるんじゃないかな。

上田

政策的に私は選挙に行かなきゃ!と思って選挙には行きますが、単に投票するだけであって、自分が市民としてパワーを持っている実感はありません。

喜多川

例えば、ヨーロッパだと、サーキュラーエコノミーやサステナビリティなどに関して、地域の中で資源循環をどうするか、とか、モビリティをどうするか、とかテーマごとにいくつかのシナリオを政府側が提示して、そのシナリオに対して投票するケースがあります。例えば5つシナリオのあるうちの上位2つが明確に支持されたとしたら、どちらかを選択するのではなく、その2つのいいところ取りをできないか、市民も集まる会議を開いて議論をして、どうしていくのかを決めていきます。

こうして市民の人たちが明確に支持した政策シナリオであれば、実行するにあたって市の担当者側も自信を持って実施することができます。実施する上で法律上のバリアを乗り越えないと政策シナリオを実行できない場合でも、市民がそのシナリオを支持しているということであれば、その法制度に対する色々な障害を取り払っていくことにもつながるんです。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回の記事もお楽しみに!

2024.05.08 サーキュラーエコノミー

UL2809とは?

DOWAの取組リサイクル

DOWAエコシステムHPのニュースでもご紹介しました通り、当社グループのエコシステムリサイクリングで製造しているシアン化金カリウムがUL2809環境ラベル検証を完了しました。
今回は、UL2809の検証とは何かについてご紹介します。

■ULについて

ULは、製品の試験、検査、認証サービスを提供している、アメリカを本拠地とする企業です。安全性を認証するULマークが有名ですが、ULは様々な製品規格を策定しています。

株式会社UL Japan

●UL2809について

UL2809は、製品中のリサイクル原料についての評価・検証の手順に関する規格です。
エコシステムリサイクリングでは、ISO 14021(タイプⅡ環境ラベル表示)において活用するため、UL2809に基づく検証を完了させました。

●環境ラベルとは?

環境ラベルは環境配慮の姿勢を示す説明、図表などのことです。環境に配慮している製品、サービスを求める際の指標として役立ちます。環境ラベルについては環境省のHPに詳しい説明が掲載されています。

環境省 環境ラベル等データベース

環境ラベルはISOにおいて規格が定められており、以下の3種類があります。

タイプⅠ 第三者認証による環境ラベル(ISO14024:1999)
タイプⅡ 自己宣言による環境主張(ISO14021:1999)
タイプⅢ 製品環境負荷の定量的データの開示(ISO14025:2006)

(出典)環境省 ISOの環境ラベルに関する規格

タイプⅠの第三者認証は、認証機関によってラベル使用が認められる制度です。日本国内では(公財)日本環境協会による「エコマーク」のみが該当します。

タイプⅡの自己宣言は、組織が自ら基準を設け、その基準を満たすことでラベルを付与できる仕組みです。第三者認証機関の設定する製品分類や判定基準に沿う必要は無いため、自社製品に合った内容で環境ラベルを設定できます。上記の図でも記載されているように、認証(第三者による判断)は不要ですが、信頼性の向上のため、ULにおける取組のように第三者が検証することもあります。

■UL2809による検証

UL2809ではタイプⅡのISO14021に基づく環境主張に対し、書類審査や工場監査を通じてULが第三者的に検証します。エコシステムリサイクリングでは、UL2809 Environmental Claim Validation Procedure (ECVP) for Recycled Content(リサイクル材の割合に関する検証手順)に基づき、「シアン化金カリウムについて68%以上のリサイクル原料が使われており、100%リサイクルされた金を使用している」という環境主張を検証いただいています。

ULのサイトでもシアン化金カリウムが掲載されています。

UL SPOT

UL2809の検証が完了した製品は、リサイクルプロセスが客観的に評価されていることになるため、信頼できるリサイクル素材を購入しようと考えている際の目印になります。

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2024.04.01 リスク管理 廃棄物管理

廃棄物の混合による危険性とは

廃棄物処理

当社は、処理工場内で廃棄物同士が接触・混合して危険な反応が生じない様に注意して処理しています。今回は廃棄物の接触・混合による反応の危険性についてご説明します。

■なぜ反応に注意しているのか

適正処理のため

廃棄物処理法上、処理に際しては廃棄物が飛散・流出しないようにすることや悪臭が生じないように措置を講ずることが必要になります(廃棄物処理法施行令第6条第1項第2号)。廃棄物の混合によってガス発生等の危険な反応が生じた場合には、上記の規定を順守することが困難になります。そのためにも、混合による反応を事前に防いだうえで処理する必要があります。

安全確保のため

廃棄物が接触した際には様々な反応が考えられますが、特に発熱やガス発生など、人や周辺環境に被害を与えうる反応に注意しています。発熱は程度にもよりますが、高温で発熱すると廃棄物自体が発火する可能性がありますし、有毒ガスが発生すると作業者に危険が及ぶだけでなく処理施設の外にも影響が及ぶ可能性があります。そのため、保管や投入方法に注意して反応を起こさないようにしています。

■事前情報の重要性

危険な反応を回避するためには排出事業者からの事前情報が重要になります。

廃棄物を適正に処理するためには、各々の廃棄物の特性に応じた処理が必要である。このため、法の委託基準では、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供することとされている。しかし、廃棄物処理過程において、有害特性等の廃棄物情報が排出事業者から処理業者に十分に提供されないことに起因する自然発火や化学反応等による事故や有害物質の混入等の課題があり、廃棄物情報の適切な伝達が求められている。

(出典)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(環境省)

上記は環境省が出している廃棄物データシート(WDS)のガイドラインからの引用です。記載の通り、ガイドライン上でも廃棄物に関する情報提供の不十分さによる事故が課題とされています。廃棄物の反応による安全上のリスクを低減するため、排出事業者の皆様には事前の情報提供をお願いしています。

また、同ガイドラインにも掲載されている廃棄物処理法施行規則では、委託契約で含まれるべき事項が記載されています。以下記載の通り、廃棄物処理法では混合により生じる支障に関する情報を処理業者へ伝える必要があります。

規則第8条の4の2(委託契約に含まれるべき事項)

六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報

  1. イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
  2. ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
  3. ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
  4. ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本工業規格C〇九五〇号に規定する含有 マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項(詳細略)
  5. ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物が含まれる場合は、その旨 ヘ その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

(出典)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(環境省)

■反応の事例

有機性の汚泥と酸性廃棄物が接触し、硫化水素が発生する

想定される反応についての事例をご紹介します。


廃棄物ピット

例えば右の写真は廃棄物を保管するピットです。入荷した廃棄物をこのようなピットに入れると他の廃棄物と混ざることになりますので、事前情報に基づき、混合しても反応しない廃棄物を入れていきます。

硫黄を含む汚泥単独では硫化水素が発生していなくても、保管場所で酸性の廃棄物と接触することで硫化水素が発生する場合もあります。

この場合は、同じピットに酸性の廃棄物を保管しない等の対策が必要です。

■危険な反応を回避するために

廃棄物の組成は発生工程によって様々であり、安全に、適正に処理を行うためには廃棄物同士が混合することによる反応にも気を付ける必要があります。そのため、当社では事前に廃棄物の組成や反応性についての情報をいただき、サンプルを用いた反応性の試験等を経て適切な処理方法を判断しています。

そのためには、事前の情報が非常に重要ですので、廃棄物の組成や反応性に関する情報を営業担当へお教えいただくようお願いいたします。

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2024.04.01 サーキュラーエコノミー 法律

「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」が閣議決定されました

リサイクル

中央環境審議会循環型社会部会静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会で検討されていた、「脱炭素型資源循環システム構築に向けた具体的な施策のあり方について」が環境大臣へ意見具申されました(2024年2月16日)。

参考:「脱炭素型資源循環システム構築に向けた具体的な施策のあり方について」意見具申されました。

今回、その意見具申を踏まえて「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」が閣議決定されました(2024年3月15日)。

参考:環境省報道発表資料 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案の閣議決定について

■法律案制定の背景

資源循環はカーボンニュートラル、経済安全保障、地方創生など社会的課題の解決に貢献でき、再生材の量と質の確保を通じて資源循環の産業競争力を強化することが重要であるとされています。このため、製造業者等に求められる質と量の再生材が供給されるよう、再資源化の取り組みを高度化し、資源循環産業の発展を目指すことが法律案の背景となっています。

(出典)資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案の概要(環境省)

■法律案について

法律案は、温室効果ガスの排出量の削減効果が高い資源循環の促進を図るため、再資源化事業やそのための技術、設備の高度化を促進することが目的とされています。
主な内容は以下の通りとなっています。

○基本方針の策定

再資源化の高度化を促進するため、環境大臣が基本方針を策定することになっています。基本方針では、再資源化事業の効率的な実施、生産性向上そして温室効果ガス削減のための措置などについて定められます。さらに、廃棄物処分量のうち再資源化すべき割合の目標も定められます。

○再資源化の促進

資源循環産業全体の底上げのため、再資源化事業等の高度化の促進に関する廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項が策定され、その達成に必要な措置が講じられます。

判断基準について

  • 環境大臣が、資源循環促進のための廃棄物処分業者の判断基準を定めます。内容としては、製造業者等の再生資源の需要の把握とその供給、再資源化技術の向上、温室効果ガス削減のための施設改善、再資源化率目標の設定とその達成のための計画などの事項が定められます。
  • また環境大臣は、(判断基準と比べて達成度が低いなど)必要な場合には、廃棄物処分業者に対して指導、助言ができるとされています。
  • 特に、一定量以上の産業廃棄物処分を行う「特定産業廃棄物処分業者」の状況が著しく不十分な場合には、勧告でき、従わなかった場合には一定の手続きを経て命令できるとされています(命令違反には罰則有り)。
  • 特定産業廃棄物処分事業者は、毎年度、産業廃棄物の区分毎に処分量と再資源化量などを環境大臣に報告する義務があります(報告内容の緩和規定有り)。他の産業廃棄物処分業者は任意で提出できます。環境大臣は報告された事項について、公表することになっています。

○再資源化事業等の高度化の促進

再資源化事業等の高度化に係る認定を国が行う制度を創設し、廃棄物処理法の廃棄物処分業の許可、廃棄物処理施設設置の許可等の各種許可の手続の特例を設けることになっています。
以下の通り、3種類の認定が規定されています。

  1. 事業形態の高度化に関する認定
    製造側の需要に応じた資源循環のために実施する、再資源化のための廃棄物の収集・運搬事業や処分事業
  2. 分離・回収技術の高度化に関する認定
    廃棄物から高度な技術を用いた有用なものの分離や、再生部品・再生資源の回収を行う再資源化のための廃棄物の処分事業
  3. 再資源化工程の高度化に関する認定
    廃棄物処理施設の設置者による、処理施設における再資源化実施工程を効率化するための設備、工程から排出される温室効果ガス量の削減に資する設備の導入事業

これら特例の認定を受けるには、環境大臣にそれぞれの事業に即した計画を提出することが必要です。
以下の環境省の資料では、①はペットボトルの水平リサイクル、②はガラスと金属(太陽光パネル)、紙おむつのリサイクル、③はAIを活用した高効率資源循環の事例がイメージとして掲載されています。

(出典)資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案の概要(環境省)

■施行日について

この法律は、原則として公布されてから1年6カ月以内の政令で定める日から施行されます。

なお、本法律案は、現在開会中の第213回国会に提出されました。

衆議院ホームページ
●資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案

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