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DOWAエコジャーナル

2021.09.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その12
自然由来の土壌汚染 その1

土壌汚染対策法

1. 土壌汚染の由来による種類

土壌汚染とは、土壌中や地下水中に有害物質が基準を超え存在する状態のことをいいます。(「土壌汚染」の定義は、実務者のための土壌汚染対策法基礎1を参照)
土壌汚染対策法では、土壌汚染を由来によって種類分けをして呼び方を変えています。これは、同じ有害物質による土壌汚染であっても、由来によって汚染状態の特徴が異なり、取るべき対応にも違いが出るためです。

図1:土壌汚染の由来による種類

2. 自然由来の土壌汚染とは

土壌汚染というと、工場等から有害物質の漏洩による汚染のイメージがありますが、このような「人の手による汚染」の事実がなくても、特定有害物質が基準値を超えて検出される事があります。その土地が地質的にもともと特定有害物質を含んでいる場合です。

このように、土壌汚染が人為的な原因によるものではなく、その土地の地質に由来する場合を「自然由来の土壌汚染」といいます。

土壌汚染対策法の制定当時は自然的由来による汚染は法の対象外とされていましたが、平成23年(2011年)に改正され、自然由来の土壌汚染も土壌汚染対策法の規制対象となりました。

(参考)土壌汚染対策法の施行について(平成15年2月4日 環水土第20号 環境省環境管理局水環境部長通知)

これは、たとえ自然由来の汚染であっても、健康被害の防止の観点からは、汚染の状態は人為的汚染と区別する理由がないためです。
ただし、自然由来の土壌汚染は、「比較的低濃度である事」「該当地周辺も同様の地質が広がっている」という点から、土壌汚染状況調査や措置、搬出等において人為的汚染地とは区別されます。

また、自然由来の汚染土壌で盛土や埋め戻しを行った土地も、「自然由来盛土等」による汚染がある土地として扱われます。

図2:自然由来の土壌汚染

3. 自然由来の土壌汚染が見られる場所

土壌汚染対策法で規制対象となっている特定有害物質のうち、シアン化合物を除く重金属類は自然界にもともと存在しています。重金属類は、火山による噴出物や岩石、堆積物の中に含まれることが多いため、火山噴火物の堆積層・火山岩・鉱山・海成の堆積層などが存在する土地で見られます。

4. 自然由来の土壌汚染の特徴

自然由来の土壌汚染には、人為的汚染とは異なる以下のような特徴があります。

  1. 含まれる有害物質は、砒素、鉛、ふっ素、ほう素といった重金属類等(第二種特定有害物質。シアン化合物を除く)である。
  2. 低濃度で広範囲にわたる汚染である。

一つ目の特徴である有害物質については、自然界にもともと存在する物質による汚染であることから、検出されるのは砒素、鉛、フッ素、ほう素などの重金属類等となる点です。

二つ目の特徴である汚染の状態については、自然由来の土壌汚染がもともとの地質的な広がりであるため、対象地を含む周辺地域が広く同じ汚染状態にある点です。また、汚染濃度も比較的低い点も特徴です。

その土地が自然由来の土壌汚染に該当するかどうかは、上記の特徴の他に、土地履歴・周辺の地質状況・周辺の事例などから総合的に判断されます。

5. 判定基準

  1. 自然由来の土壌汚染の判定基準
    • 検出される特定有害物質が、重金属類(第二種特定有害物質。シアン化合物を除く)
    • 汚染の状態が、土壌溶出量基準値のおよそ10倍以内、第二溶出量基準は超えない。土壌の全量分析含有量が自然由来の目安値を超えないものであること。
    • 汚染の分布が特定有害物質の使用履歴のある場所等と関連がなく、局所的でない。
  2. 自然由来盛土等による土壌汚染の判定基準
    • 調査対象地と専ら地質的に同質な状態で広がっている、自然由来の汚染のおそれがある土壌が地表から10mまでの深さより浅い位置に分布していること。
    • 次のいずれかの土壌であること。
      • 自然由来の汚染がある場所から900m未満の移動による掘削・盛土である。
      • 基準不適合の状態が同じであることが確認された土地間で移動した土壌であること

【参考】

環境省ホームページ
土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン
改正土壌汚染対策法について(平成31年4月)

大阪府ホームページ
自然由来による土壌汚染の判定方法(土壌汚染対策法)

国土交通省ホームページ
建設リサイクル推進施策 通達・基準・マニュアル
建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版) 平成22年3月

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 B&Gコンサルティング 藤巻 が担当しました

2021.08.02 法律

法文読解 基礎力養成講座 その3 ~及び・並びに 使用方法と例文解説~

前回までは「又は・若しくは」の使用方法と例文解説を見てきました。今回は契約書などでよく見る「及び・並びに」の使用方法と、廃棄物処理法の法文の具体例を見ていきたいと思います。

1. 「及び」

「及び」というのは英語でいえば「and」、「両方」という意味で(併合的接続)、「A及びB」というのは、AもBも2つともという意味です。日常的には「~と」と使っているものです。

前後の語が同じ種類のもの、同じレベルのものであるときは、「及び」でつなぎます。
語句を三つ以上ならべるときは、はじめの語句を「、」でつなぎ、最後の語句を「及び」で結びます。「A、B及びC」ということになり、AとBとCの3つ、という意味になります。

【日常例】

こちらの商品は、オンラインストア及び一部の大型店舗のみの販売となっております。

(解説)

ある商品は、オンラインストアと一部の大型店舗で販売されているということです。

【条文例】

(定義)
第二条 (1~3 略)
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)

(解説)

廃掃法でいう廃棄物のうち、「輸入された廃棄物」の定義のなかで除外されるものの一つに、「船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物」というものがありますが、乗り物という意味では同じカテゴリーである「船舶」「航空機」を接続する、という意味です。
なお、この二つの言葉は、航行(航路を行くこと)という言葉にかかっています。

さらに、次に説明する「並びに」があります。これは「輸入された廃棄物」から除外されるものとして、「第1号に掲げる廃棄物」と「船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物」と、さらに「本邦に入国する者が携帯する廃棄物」の3つがありますが、すでに同じ文章なかで「及び」を使用しているため、大きな接続に使用する「並びに」を使って、3つの言葉を接続しています。詳しくは次の「並びに」の説明をご覧ください。

2. 「並びに」

「又は」の場合と同様に、この併合的接続が2段階に分かれることがあります。この場合には、「及び」に加えて、「並びに」という接続詞を使います。ただし、選択的接続の「又は」「若しくは」の場合と異なり、「及び」というのは小さい接続に使い、「並びに」は大きな接続に使われます。「(A及びB)並びにC」という具合です。

この場合は、大きい接続を示す「並びに」に注目して文章を読み進めることがポイントです。

【日常例】

このスタジアムでは、サッカー及びラグビー並びに陸上競技が行われる。

(解説)

球技種目であるサッカーとラグビーを「及び」でグループ化し、陸上競技という球技とは異なる種目を「並びに」でつなげています。

【条文例】

(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

(解説)

廃掃法の目的は、廃棄物のA「排出抑制」とB「適正処理」というグループと、C「生活環境の保全」とD「公衆衛生の向上」というグループの2つがある、という意味になります。
つまり、記号であらわすと、「(A及びB)並びに(C及びD)」となります。
前者は廃棄物について、後者は生活環境について、と前者と後者でグループのカテゴリーが違うのがわかります。

3. まとめ

その1からその3まで、「又は」「若しくは」「及び」「並びに」という四つの接続詞について説明をしてきました。接続詞は、文章を分かりやすくするために用いられるアイテムです。法律の条文を読む際には、これらの接続詞を手掛かりに、どの言葉・どの言葉のグループがつながっているのかを意識して見ていきましょう!

【参考文献等】

  • 「企業活動の法律知識新訂第88版」 経営法友会大阪部会編著
  • 「はじめての民法第3版」 尾崎哲夫著 自由国民社
  • 宅建通信学院

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2021.07.07 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その8
調査のまとめ・調査に関連する罰則

土壌汚染対策法

実務者のための土壌汚染対策法基礎講座のその6・その7で土壌調査についてご説明してきました。
今回は、土壌調査についてまとめるとともに、罰則についても説明介します。

調査・届け出の契機と罰則など

土地の状態 届出・調査の契機 届出 都道府県知事等からの命令 調査に関する罰則 届出に関する罰則
特定有害物質を使用している/していた施設(有害物質使用特定施設)がある土地(法第3条) その施設を廃止する時に調査が必要 調査の報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、報告を行い、又はその報告の内容を是正すべきことを命ずることができ、この命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条)
工場操業中などの場合で申請により調査を一時猶予(以下、「調査一時猶予」)を受けている土地(法第3条) 900m2以上の土地の形質変更をする場合に事前に届け出をし、調査が必要 土地の形質変更前に届出を行う 調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条) 土地の利用の方法を変更する時・土地の形質を変更するときに、届け出をしない、又は虚偽の届出をすると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(第66条)
有害物質使用特定施設が現存し、現在調査一時猶予を受けていない土地(法4条) 900m2以上の形質変更する場合、事前に届け出が必要 土地の形質変更前に届出を行う 都道府県知事等が汚染の恐れがあると判断した場合、調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条) 土地の形質変更前に届け出をしない、又は虚偽の届出をすると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(第66条)
有害物質使用特定施設がない土地(法第4条) 3,000m2以上の土地の形質変更する場合、事前に届け出が必要 土地の形質変更前に届出を行う 都道府県知事等が汚染の恐れがあると判断した場合、調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条) 土地の形質変更前に届け出をしない、又は虚偽の届出をすると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(第66条)
土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると判断された土地(法第5条) 土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事等が判断した場合 都道府県知事等が土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると判断した場合に調査命令が出される 調査命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第65条)

土壌調査から措置のフロー

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2021.07.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その11
要措置区域とは

土壌汚染対策法

1. 要措置区域の指定の要件

基準値(土壌溶出量基準および土壌含有量基準値)を超過する汚染物質が存在し、さらにその汚染物質から人への摂取経路が存在する場合は、要措置区域として指定されます。摂取経路が存在するとは、具体的には「人が自由に立ち入ることができる」「飲用に使用している井戸がある」などで、対象地および周辺の土地の利用状況と合わせて判断されます。

2. 指定されると禁止されること

土地の形質変更(工事等)は原則禁止となります。

3. 指定後にしなければいけないこと

要措置区域に指定されると、汚染の除去等の措置が必要になります。
都道府県知事等から指示措置が発出され、指示措置または指示措置と同等以上の措置を実施しなければなりません。

汚染除去等計画の提出から30日を経過した後でなければ汚染の除去等の措置に着手できません。

指定後にしなければいけないことのフロー図

汚染の除去などの措置は、必ずしも完全浄化(汚染がない状態にする事)である必要はありませんが、汚染が残された場合には、形質変更時要届出区域となります。汚染が除去された場合は、区域の指定は解除されます。

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2021.06.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その10
指定区域の種類

土壌汚染対策法

前回、その9 区域の指定 では、汚染の状況によって「要措置区域」又は「形質変更時要届出区域」に指定される、と説明しました。
今回は、要措置区域と形質変更時用届出区域とがどのように異なっているのか確認していきます。

1. 指定の要件の違い

要措置区域と形質変更時要届出区域とで異なる点は、健康被害が生ずる恐れがあるかどうか、です。
形質変更時要届出区域には汚染の由来によって、複数の種類があります。

区域の種類 指定要件
基準値の超過 健康被害が生ずるおそれ 汚染状況の備考
要措置区域 超過 おそれあり
形質変更時要届出区域 一般管理区域 超過 おそれなし 人為的汚染
自然由来特例区域 超過(ただしシアン化合物を除く第二種特定有害物質による汚染で、第二溶出量基準に適合している) 自然由来の汚染のみ
埋立地特例区域 超過
(ただしシアン化合物を除く第二種特定有害物質による汚染で、第二溶出量基準に適合している)
埋立材由来の汚染のみ。または、自然由来と埋立材由来の汚染
臨海部特例区域 超過
(ただしシアン化合物を除く第二種特定有害物質による汚染で、第二溶出量基準に適合している)
公有水面埋立地であり、工業専用地域または工業専用地域と同等の用途規制が条例により行われている工業港区内であり、事前の申請を行った土地
埋立地管理区域 超過 人為的汚染あり
工業専用地域内

2. 区域による違い

要措置区域では、土地の形質変更が原則禁止されたり、汚染の除去などの指示が出されます。形質変更時要届出区域とはどのように異なるのか、表にまとめました。

要措置区域 形質変更時要届出区域
土地の形質変更 原則禁止 着手日の14日前までに届出することにより可能
(形質の変更に伴う汚染の拡散がないことが条件)※
汚染の除去等の指示
(法第7条1項)
「汚染除去等計画」の作成と都道府県知事への提出が指示される なし
措置実施命令
(法第7条8項)
上記の措置が実施されていない場合は、都道府県知事から措置を命令される なし
区域指定の公示 公示される
要措置区域として、各自治体が管理する台帳に記載され、ホームページから概要を閲覧することができる
公示される
形質変更時要届出区域として、各自治体が管理する台帳に記載され、ホームページから概要を閲覧することができる

※形質変更時要届出区域の中でも臨海部特例区域は、形質の変更着手の14日までに届出ではなく、1年ごとに、その期間中に行った土地の形質の変更の種類、場所等を届出をするのみで良い。

次回は、要措置区域について解説します。

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2021.05.06 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その9
区域の指定

土壌汚染対策法

1. 区域指定までの流れ

土地の所有者等は土壌汚染状況調査の結果を「土壌汚染状況調査」の結果を都道府県知事等に報告します。
自主的に調査した土壌汚染状況調査の結果についても、都道府県知事等へ報告するとともに、区域の指定を申請する事ができます。

詳しくは、実務者のための土壌汚染対策法基礎 その7 土壌汚染状況調査の流れをご参照ください。

都道府県知事等は、報告された「土壌汚染状況調査」の内容が、法で定めた土壌汚染状況調査方法と同等以上の方法で実施されたものであるかを審査し、汚染が確認された場合には、汚染の状況に応じて「要措置区域」又は「形式変更時要届出区域」に指定します。

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図1:土壌調査から措置のフロー

2. 健康被害のおそれの判断

汚染の状況によって「要措置区域」又は「形式変更時要届出区域」に指定されます。「汚染の状況によって」とは、その土壌汚染によって健康被害のおそれがあるかどうかによって判断されます。

健康被害の恐れがあるかどうかは、汚染物質を人が摂取する経路があるかどうかで判断されます。

※画像をクリックで拡大します

図2:区域指定の流れ

出典:「土壌汚染対策法のしくみ」(公益財団法人 日本環境協会)

摂取経路の有無を判断する際には、「地下水等を経由した摂取リスク(土壌溶出量基準)」と「土壌の直接摂取によるリスク(土壌含有量基準)」が根拠となります。

(1)地下水等を経由したリスク

「地下水等を経由した摂取リスク」の有無の判断では、以下の2点が重要です。

  • 土壌溶出量基準を超過している
  • 土壌汚染が存在する土地の下流域に飲用井戸等が存在している

図3 地下水等経由の摂取リスク

出典:「土壌汚染対策法のしくみ」(公益財団法人 日本環境協会)

(2)土壌の直接摂取によるリスク

「土壌の直接摂取によるリスク」の有無の判断では、以下の3点が重要です。

  • 土壌含有量基準を超過している
  • 汚染が表層にあった場合に、汚染土壌がむき出しになっている(舗装されていない)
  • その土地に誰でも立ち入れる状況になっている

図4 直接摂取リスク

出典:「土壌汚染対策法のしくみ」(公益財団法人 日本環境協会)

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2021.04.01 リスク管理

PFOS含有廃棄物の処理で考慮すべきこと

PFAS

[2025.09.30更新]

前回まではPFOSを取り巻く最近の動向と今後の懸念事項を紹介させていただきました。
今回はPFOSを含んだ廃棄物を実際に処理するにあたって考慮すべき事項について説明させていただきます。

PFOS含有廃棄物の処理

PFOS含有製品を廃棄する際は、適切に処理できる処理施設へ委託する必要があります。特に、PFOSはPOPsで難分解性の物質であるため、どんな方法でも処理できるわけではありません。

環境省は「PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」(2022年9月)を示しており、事前確認試験を行って、適正にPFOSを分解処理できることを確認できた施設においてPFOS含有廃棄物を処理すること、と定めています。もう少し詳しくこの技術的留意事項を見ていきましょう。

(1)「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」

PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」には、PFOS含有廃棄物の取扱いについて廃棄物処理法等に従って具体的に解説されています。対象や保管、処理委託、収集運搬、処理方法等について示されています。今回は特に関係があると思われる処理委託と処理方法について取り上げます。

(2)処理委託

PFOS含有廃棄物の運搬や処分を委託する場合は、産業廃棄物についてそれらを業として行うことができ、委託するPFOS含有廃棄物の分類(例えば、廃アルカリや汚泥)がその事業範囲に含まれていることが必要です。もちろん、マニフェストの運用も必要となります。

(3)処理方法

PFOS含有廃棄物の処理方法は分解処理となります。
POPs条約はPOPs該当物質を含む製品及び物品の廃棄に当たり、含有量が少ない場合等を除き、POPsの特性を示さなくなるように破壊又は不可逆的に変換されるような方法で処分されることを規定しています。したがって、PFOS含有廃棄物は分解処理されるべきものであって、その他の廃棄物で実施されているような脱水等の分解処理を行わない性状で埋立処分されることはPOPs条約に照らして不適切と判断されるためです。

分解処理の具体的な要件としては、①PFOS及びその塩が確実に分解されること、②実際に処理するPFOS含有廃棄物の分解効率が99.999%で、管理目標値を達成していること、です。①、②の要件を満たす技術であれば、焼却以外の分解処理を排除するものではないとしていますが、現状では焼却処理が基本となると思われます。

要件の目標値は次表の通りで、分解率に至っては99.999%以上(含有量50mg/kg以上の場合)と非常に高い処理能力が求められています。

①分解率
含有量50mg/kg以上 99.999%以上
含有量50mg/kg未満 確認不要
②管理目標値の一例 ※1
排ガス 60ng/m3N
廃水 1μg/L ※2
残さ 5μg/kg-dry
③フッ化水素排出濃度
排ガス 5mg/m3N

※1 投入する廃棄物中のPFOS等及びPFOA等の濃度を10,000mg/kgとした場合の管理目標値の一例
※2 水処理設備後の場外への排水ではなく、洗浄設備等から排出される水処理前の廃水

この要件については、処理開始前だけでなくPFOS含有廃棄物の性状や混焼条件などの変更によって投入条件が再設定される場合おいても確認する必要があります。また、処理期間中についても排出濃度が目標値に適合しているかどうかの確認が必要であり、処理期間の長短に応じて実施頻度が定められています。

この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 山野 が担当しました

2021.02.01 廃棄物管理 法律

広域認定制度とは

廃棄物処理法

廃棄物の広域的な処理を行うことによりリサイクルを促進するための規制緩和として、廃棄物処理法第9条の9(一般廃棄物の広域的処理に係る特例)及び第15条の4の3(産業廃棄物の広域的処理に係る特例)で定められる特例です。

広域認定制度の目的

広域認定制度は、拡大生産者責任に則り、製造事業者等自身が自社の製品の再生又は処理の行程に関与することで、効率的な再生利用等を推進するとともに、再生又は処理しやすい製品設計への反映を進め、ひいては廃棄物の適正な処理を確保することが目的とされています。

※製造事業者等とは、当該製品の製造、加工、販売等の事業を行う者です。

広域認定制度の申請対象者

申請対象者は、主に製品の製造・加工事業者が想定されています。

  • 輸入製品などの販売のみを行っている事業者については、本制度の目的を達成できる場合に限って申請の対象となります。
  • 法人・個人ともに本制度の対象となります。
  • 製造事業者等で構成されていると認められる社団法人、組合その他これらに類する団体(法人であるものに限る。)も認定を受けることができます。

広域認定制度の対象

認定されたメーカーが製造した製品が廃棄物となったものが対象となります。

  • 対象の廃棄物がOEMによって生産された製品であっても、申請することは可能です。ただし、製造事業者等(委託元)が単独で申請する場合、製造事業者等(委託元)が製造受託者(OEM企業)に対して当該製品の設計等に関与しており、製造事業者等が当該認定に係る処理を行うことにより、再生又は処理しやすい製品設計へ反映させることが可能であることが必要です。

広域認定制度のメリット

広域認定制度として認定されると、

  • 産業廃棄物の収集運搬業
  • 一般廃棄物の収集運搬業
  • 産業廃棄物の処分業
  • 一般廃棄物の処分業

の許可が不要となります。

ただし、廃棄物処理施設の設置の許可は必要です(廃棄物処理法における施設の基準に適合する必要があります)ので、ご注意ください。

(出典)広域認定制度の概要(環境省HP)

詳しくは、環境省ホームページをご覧ください。

環境省ホームページ
広域認定制度関連
広域認定制度申請の手引き

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2021.01.08 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その7
土壌汚染状況調査の流れ

土壌汚染対策法

3. 土壌汚染状況調査の流れ

土壌汚染状況調査は、調査範囲や調査対象物質などをやみくもに決めるのではなく、資料に基づいて汚染リスクを判断しながら調査内容を決めていきます。

3-1. 資料調査

その土地の地歴などの資料調査、周辺への聞き込み調査、現地調査により、試料採取をする物質の種類の特定と土壌汚染のおそれの区分を行います。対象とする特定有害物質は、第一種特定有害物質の場合は、分解生成物が含まれる場合もあります。

土壌汚染のおそれの区分とは、試料を採取する範囲を決めるために行います。区分によって、試料採取の単位区画の大きさが下表のように変わります。土壌汚染のおそれが多い場所は細かく単位区画(メッシュ)を区切って試料採取を行うこととなります。

表:土壌のおそれの区分と単位区画

区分1:土壌汚染のおそれが「ない」 試料採取等の必要なし 山林、従業員居住施設、グラウンド等
区分2:土壌汚染のおそれが「少ない」 900m2の単位区画で試料採取等を行う 事務所、倉庫、中庭、有害物質使用特定施設と繋がっていない場所等
区分3:土壌汚染のおそれが「比較的多い」 100m2の単位区画で試料採取等を行う 有害物質使用特定施設、有害物質使用特定施設と繋がっている配管、(配管でつながっている施設含む)等


図:土壌汚染のおそれの区分と単位区画の例

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(環境省)

図のピンク色の部分は土壌汚染のおそれが「比較的多い」と認められる土地を含む単位区画なので、10mメッシュごとに1点試料を採取します。
黄色の部分は、土壌汚染のおそれが「少ない」と認められる土地を含む単位区画なので、30mメッシュごとに1点(あるいは5点混合)で試料採取することとなります。

3-2. 試料採取による調査

3-1.の調査で決定した単位区画ごとに試料採取を行い、調査対象物質が含まれるかどうかを調べます。どの調査を行うかも特定有害物質の種類ごとに決められています。

表:特定有害物質と試料採取等の方法

特定有害物質 試料採取等の方法
第一種特定有害物質
(揮発性有機化合物)
土壌ガス調査
または土壌ガス調査を省略して行われる深さ10mまでの土壌溶出量調査
第二種特定有害物質
(重金属等)
土壌溶出量調査および土壌含有量調査
第三種特定有害物質
(農薬等)
土壌溶出量調査

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(環境省)より筆者作成

「表層土調査」では、地表から50cm~1m程度の土壌を採取して調査します。これにより、土地のどこに汚染があるかの平面分布状況を大まかに把握します。

次に、汚染が判明した場所で、「詳細調査」を行います。詳細調査では、地表から10mまたは第一帯水層までの土壌をボーリング調査して、汚染の深度方向の分布を確認します。地下水があれば地下水汚染の有無も確認します。

4. 調査結果の報告

土壌汚染状況調査終了後は、調査結果をもとに報告書を都道府県知事等へ提出します。土壌汚染対策法に基づく調査命令が出された場合は、この報告はしなければなりません。また、法第14条により区域指定の自主申請をする場合も、調査結果の報告が必要です。

報告する内容も土壌汚染対策法で決められており、土壌汚染状況調査結果の他に、「土地所有者等について」「対象土地の所在地等について」「廃止した有害物質使用特定施設について」「指定調査機関について」などが含まれます。

指定調査機関は、法第3条第1項、法第3条第8項、法第4条第2項、法第4条第3項、法第5条第1項に基づいた土壌汚染状況調査と、法第16条第1項に基づく土壌の調査を実施する唯一の機関です。

【参考資料】

環境省ホームページ
土壌汚染状況調査の流れ

公益財団法人日本環境協会ホームページ
土壌汚染状況調査の実施方法について

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2020.12.01 リスク管理

PFOSってなに?

PFAS

1. PFOSとは

ペルフルオロオクタンスルホン酸(以下、PFOS(ピーフォス))は有機フッ素化合物であり、その撥水性、撥油性、耐熱性や耐薬品性等で優れた性質を有するため、様々な分野で使用されてきました。
しかしながら、化学的に安定であるため環境中に残留し易く、生物蓄積性、長距離移動性も認められたことから環境汚染物質として注目されました。

図:PFOS構造式

平成21年(2009年)には残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下、POPs条約)において「PFOS又はその塩」附属書B(製造、使用、輸出入の制限)に追加されました。

日本国内においても平成22年(2010年)に化学物質審査規制法(以下、化審法)の第一種特定化学物質に指定され一部の用途を除く製造・輸入・使用が禁止となり、平成30年(2018年)には全面的に禁止されました。

PFOSの処理に関しては、平成22年(2010年)にはPFOS含有廃棄物を適正に処理するために、環境省が「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」(平成23年(2011年)3月改訂)を公表し、DOWAエコシステムグループでも平成23年(2011年)より処理を開始しています。

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2. PFOSの用途

様々な用途の中でもPFOS等は消火薬剤、特に泡消火薬剤に界面活性剤として多く使用されていました。製品中の含有率としては最大でも2%程度です。

PFOS含有泡消火薬剤は、化審法のエッセンシャルユース規定(例外的に認められる用途:代替物質がなく、健康影響がないことが条件)に該当しないため、本来は使用禁止となるものでした。
しかしながら、既に相当数量が全国に配備されていること、その使用方法から短期的な代替製品への交換は困難であることから、表示や保管等について技術基準に従って取扱えば、継続して使用できることが認められました。

そのため等、PFOSが化審法第一種特定化学物質へ追加されてから令和2年(2020年)で10年が経過するものの、日本国内においてはPFOS含有泡消火薬剤が依然として配備されています。昨年度、環境省が実施したPFOS含有泡消火薬剤の全国在庫調査によると、少なくとも338.8万L(PFOS量として17.82t)が全国に残存しています。

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こういった状況に対して、環境省をはじめ関係省庁や関連団体が連携し、PFOS等を含まない消火薬剤への交換を推進しています。

来月は、PFOSの規制状況についてご説明します。
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PFOS処理はおまかせください(6.8MB)

この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 山野 が担当しました