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DOWAエコジャーナル

2020.10.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その4
平成29年の改正について

土壌汚染対策法

4. 平成29年の法改正について

ここでは、平成29年に公布、平成30年と平成31年に段階施行された平成29年の法改正について説明します。

4-1. 背景

平成22年の改正土壌汚染対策法施行以降、「土壌汚染状況調査」と「土壌汚染対策措置」の実施状況は以下の通りでした。

①法第3条対象のほとんどが一時調査猶予

土壌汚法に基づく状況調査は、法改正により自主調査の申請と一定規模以上の土地の形質変更時の調査により件数が大幅に増加しました。(図1参照)


図1:土壌汚染状況調査 結果報告件数

(出典)環境省「土壌汚染対策法の施行状況と改正法のポイント」(平成30年12月)

法第3条による有害物質使用特定施設の廃止時の土壌汚染状況調査は、廃止件数の約2割にとどまり、ほとんどが一時免除(調査猶予)となっています。また、改正で新たに規定された法第14条の自主調査による申請件数は、全体の調査件数の約5割を占めており、一定の効果があったことがうかがえます。(表1参照)

表1:土壌汚染状況調査件数の内訳

②指定区域の大幅な増加

要措置区域等の「指定区域」指定件数は法改正後大きく増加し、平成21年度以降の累計指定件数は3,210件となっています。(要措置区域は約2割、形質変更時要届出区域は約8割。図2参照)


図2:区域の指定・解除件数の推移

(出典)環境省「土壌汚染対策法の施行状況と改正法のポイント」(平成30年12月)

また、区域指定された後に汚染の除去等の措置を行い、指定が解除された区域の割合は法改正後に減少しています。(表2参照)法改正前は解除の割合が53.6%、改正後は要措置区域が61.5%、形質変更時要届出区域が38.0%となっています。対策が必要な要措置区域では解除割合が増加し、対策が不要な形質変更時要届出区域では解除割合が低下しており、法改正により過剰な対策が抑制され、法による適正な管理が進んだことを示しています。

表2:区域の指定・解除件数の推移

要措置区域で行われた対策も、掘削除去の割合がやや減少しました。(平成18年度85.5%→平成22年~28年度77.6%)

4-2. 平成29年法改正のポイント

~土壌汚染状況調査に関する改正~

改正前 改正後
<法第3条関係>
有害物質使用特定施設の廃止時であっても、工場が操業中等の理由があれば、土壌汚染状況調査が一時免除される。
調査が一時免除されている土地であっても、土地の形質変更を行う場合は、事前に届出をさせ土壌汚染状況調査を行うものとする。
(900m2未満の軽易な工事は対象外)
(平成31年施行内容)
<法第4条関係>
土地の形質の変更時は、土地所有者等による届出→都道府県等による汚染のおそれの判断→調査命令発出→調査結果の報告→工事着手という流れであった。(手続きに時間を要する)
土地の形質変更の届出時に、実施した土壌汚染状況調査結果を報告することができるものとする。その場合、調査に不備がなければ調査命令は出されない。

<ポイント>

  • 形質変更がある場合は、土壌調査が一時猶予される土地においても一時猶予中の土地の土壌汚染状況を把握できるようになった
  • 土地の形質変更時の手続きの簡素化

上記の改正により、土壌汚染の可能性が高いにも関わらず汚染状況の把握が難しかった、調査が一時猶予される土地についても情報を把握することができるようになりました。また、土地の形質変更時の届け出や調査、都道府県等による汚染の確認プロセスが効率化され、迅速で正確な汚染のおそれの判断ができるようになり、土地の所有者等にとっても工事計画が立てやすくなりました。

~汚染の除去等の措置に関する改正~

改正前 改正後
措置に関する内容の届出・確認なし
  • 要措置区域内の措置内容の計画について、都道府県知事等が提出命令を行う。
  • 提出された措置計画の内容が技術的基準に適合しない場合には、都道府県知事等より変更命令を行う。
    (平成31年施行内容)

<ポイント>

  • 要措置区域における措置内容の計画提出義務
  • 都道府県等が措置計画の是正命令を行える

上記の改正により、要措置区域において実施する措置の内容が適正かどうかを、都道府県等が確認することができるようになりました。

~自然由来等の汚染の場合のリスクに応じた規制に関する改正~

改正前 改正後
人為的な汚染も自然由来等の汚染も区別なし
  • 健康被害のおそれがない(一般住民等への汚染の摂取経路がない)土地の形質変更の場合は、予め施工方法等の方針の確認を都道府県知事に受ければ、年1回程度の事後届出でよいものとする。(工事ごとに事前届出の必要がない)
  • 自然由来等による土壌汚染の場合は、都道府県知事へ届け出れば、同一の自然由来等による土壌汚染がある他の区域へ土壌を移動することを可能とする。
    (平成31年施行内容)

<ポイント>

  • 健康被害のおそれがない自然由来等の汚染地での規制緩和
  • 自然由来等の汚染土壌の同一汚染地への仮置き可能に

上記の改正により、自然由来等による土壌汚染かつ健康被害のおそれがない土地で、届出の手続きが合理化され、土地の有効活用等がスムーズに進められるようになりました。

【参考資料】

環境省ホームページ
改正土壌汚染対策法について 平成31年
土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)
中央環境審議会「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申)」平成28年12月12日
中央環境審議会「今後の土壌汚染対策の在り方について(第二次答申)」平成30年4月3日

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2020.09.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その3
平成21年の改正について

土壌汚染対策法

3. 平成21年の法改正について

3-1. 背景

平成15年の土壌汚染対策法施行以降、「土壌汚染状況調査」と「土壌汚染対策措置」の実施状況は以下の通りでした。

①自主調査が91%

土壌汚染状況調査のうち、環境省調べでは87%(平成18年度)が、(社)土壌環境センター調べでは91%(平成19年度)が、土壌汚染対策法や自治体の条例に基づいたものではない「自主調査」でした。(図1、図2参照)


図1:土壌汚染の調査契機(環境省調べ)

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)


図2:土壌汚染の調査・対策契機((社)土壌環境センター調べ)

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)

②掘削除去が87%

土壌汚染対策方法は、土壌汚染事例499件のうち437件が「掘削除去」でした。(図3参照)


図3:土壌汚染対策の実施内容

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)

③汚染土壌のトレーサビリティが取れていない

土壌汚染対策工事で搬出される汚染土壌約300万トンのうち、40%強の約129万トンは土壌汚染対策法や自治体の条例に基づいた対策ではないため、搬出後の追跡管理が明確ではありませんでした。(図4参照)また、汚染土壌の不適切な処理が行われた事例がいくつも発覚しました。


図4:土壌汚染対策により搬出される汚染土壌の全体的な流れ

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)

3-2. 平成21年法改正のポイント

~土壌汚染状況調査に関する改正~

改正前 改正後
  • 有害物質使用特定施設の使用の廃止時
  • 土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき
左記にプラスして、
  • 一定規模(3,000m2)以上の土地の形質の変更の届出の際に、 土壌汚染のおそれがあると都道府県知事等が認めるとき
自主的な調査について規定なし
  • 自主調査において土壌汚染が判明した場合、土地所有者等が都道府県知事等に区域の指定を申請できる(法第14条)

<ポイント>

  • 3,000m2以上の土地を改変する場合には、30日前までに都道府県知事等に届け出が必要
  • 自主調査で土壌汚染が判明した場合、区域の指定を申請できる

土地所有者等にとっては、自主調査であっても区域の指定を受けることで、法に基づいた管理を受けている土地であることを示せるようになりました。
社会全体にとっては、自主調査結果も自治体が把握することで、より広く土壌汚染に関する情報の収集が可能となりました。

~区域の指定に関する改正~

改正前 改正後
「指定区域」のみ
  • 「要措置区域」・・・土壌汚染の摂取経路があるため、健康被害のおそれがある土地。都道府県知事より土壌汚染の除去等の措置の実施が命令される。土地の形質変更は原則禁止。
  • 「形質変更時要届出区域」・・・土壌汚染の摂取経路がないため、健康被害のおそれがない土地
    土壌汚染の除去等の措置は不要。土地の形質変更は時には都道府県知事へ届け出が必要

<ポイント>

改正前に1種類だった「指定区域」が、汚染の摂取経路を考慮して要措置区域と形質変更時要届出区域に分けられました。

~汚染土壌の搬出に関する改正~

改正前 改正後
規定なし
  • 汚染土壌の搬出前に、都道府県知事等へ運搬計画の届出が義務付け
  • 「汚染土壌管理票」の交付と保存の義務付け
  • 汚染土壌の処理業が許可制に

<ポイント>

  • 汚染土壌を搬出する場合は、搬出する14日前までに、届け出が必要
  • 汚染土壌管理票が義務付け
  • 汚染土壌処理業が許可制に
  • 汚染土壌運搬基準が示される

掘削除去による汚染土壌の搬出は「汚染の移動」であるため、適正に処理されるかどうか管理する必要があります。改正法では、汚染土壌の搬出届出制、運搬の際の管理票の交付義務、処理業の許可制が規定され、汚染土壌のトレーサビリティ確保ができるようになりました。

次回は、平成29年の法改正について説明します。

【参考資料】

環境省ホームページ
土壌環境施策に関するあり方懇談会 平成19年度
中央環境審議会「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)」平成20年12月19日
改正土壌汚染対策法の概要と留意点 平成22年5月18日
土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)

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2020.07.01 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その2
土壌汚染対策法改正の経緯

土壌汚染対策法

1. 土壌汚染法の改正年表

土壌汚染対策法の成立や施行、改正の主要な流れは以下の通りです。

時期 内容
平成14年5月 土壌汚染対策法 成立(22日)、公布(29日)
平成15年2月 土壌汚染対策法 施行
平成21年4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律 公布 (第1回改正)
平成22年2月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令 公布
  • 土壌汚染状況調査や試料採取調査を省略した場合の区域指定
    (第2溶出量基準に適合しない土地とみなす)
  • 形質変更時に届出が必要な土地の規模(3,000m2
平成22年4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律 施行 (第1回改正施行)
平成23年7月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令 公布・施行
  • 形質変更時要届出区域は、状況に応じて「自然由来特例区域」「埋立地特例区域」「埋立地管理区域」の3つの特例区域を設ける
  • 上記土地での土壌汚染状況調査や試料採取調査を省略した場合の区域指定は、単に溶出量基準を満たさない土地とみなす
平成26年8月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令 公布・施行
  • 「1,1-ジクロロエチレン」の地下水基準・第二溶出量基準・土壌溶出量基準の基準値改正
平成28年3月 土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令 公布
  • 特定有害物質に「クロロエチレン」を追加
土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令 公布・施行
  • 地下水基準・第二溶出量基準・土壌溶出量基準に「クロロエチレン」を追加
平成29年5月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律 公布 (第2回改正)
平成30年4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律 施行 (第2回改正 第1段階施行)
平成31年1月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令 公布・施行
  • 形質変更時に届出対象外とする土地の面積を900m2未満とする
  • 臨海部の工業専用地域の特例(工事の事前届出に代えて事後届出を認める)
  • 自然由来等の汚染土壌を同一地層の指定区域間で移動可能とする
  • リスクに応じた規制の合理化を図る
4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律 施行 (第2回改正 第2段階施行)

※上記は、主に土地所有者等に関係する内容を抜粋して掲載しています。

土壌汚染対策「法」はこれまで大きく2回改正が行われています。それ以外にも、土壌汚染対策法施行令や、土壌汚染対策法施行規則が改正されています。

2. なぜ法改正が行われるのか?

土壌汚染対策法は、環境基本法で定められた典型7公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)の中で最後に定められた、比較的新しい法律です。このため、法の施行後も十分な現状把握を行い、見直しが行われています。

次回は平成21年の改正の第1回改正について、次々回は平成29年の第2回改正について説明します。

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2020.05.11 法律

実務者のための土壌汚染対策法基礎 その1
土壌汚染対策法が制定された背景

土壌汚染対策法

1. 土壌汚染とは

土壌汚染とは、土壌中や地下水中に有害物質が基準を超えて存在する状態のことをいいます。土壌汚染対策法上は、有害物質は「特定有害物質」として26種類が指定され、規定された濃度以上に有害物質が存在することを「土壌汚染」といいます。

土壌汚染は、下記のような大気汚染や水質汚染とは異なる性質がいくつかあります。

  1. 特定有害物質は、過去には有害性は認識されていなかったものもあり、その有用性から産業界で特別に管理されることなく使用されていたものが含まれている
  2. フッ素やヒ素、ホウ素、鉛など元々土壌中に存在していた「自然由来」の汚染が存在する
  3. 大気中や水中と異なり、土壌中や地下水中では汚染物質の移動速度は非常に遅く、汚染物質が長くその場にとどまる(汚染物質が蓄積し、時間経過により濃度が減少しない)

上記の性質1)や2)から、土壌汚染には「汚染原因者側に法令違反等の悪意がないケース」や「複数の企業が使用した土地など汚染原因者が不明なケース」、「自然由来などで汚染原因者が不存在のケース」があります。
このため、その土地の土壌汚染は「土地所有者が」調査し対策しなければならないことの根拠を考えるうえで重要になります。詳しくは、本シリーズ記事で今後ご説明します。

性質3)から、土壌汚染は「対策を行わなければ土壌中・地下水中から拡散して消えていくということがない(非常に長い年月が必要)」、「対象範囲に拡散防止策を講じれば、ヒトが汚染物質に晒されることがない」と言う事ができます。これは、土壌汚染への対策措置を考えるうえで重要な性質です。詳しくは、本シリーズ記事の「5:土壌汚染対策措置とは」でご説明します。

2. 土壌汚染対策法が制定された背景

ここでは、土壌汚染対策法が制定された背景や経緯について説明します。

2-1. 汚染発覚件数の急増

土壌や地下水の汚染は外から見て分かることはほぼありません。平成のはじめごろより、企業の工場跡地や過去に規制がなく汚染物質を使用していた事業場の跡地の売買・再開発にあたって、土壌調査で汚染が発覚するケースが増えてきました。平成3年に土壌環境基準が設定されると、基準を超過する事例も多く発覚しました。

土壌汚染が発覚する件数は年々増加し、特に、平成10年ごろより土壌汚染が判明する件数が急増しました。(図1)最新の調査結果である平成30年度には、調査件数が2,362件(うち法の対象事例は1,051件)で、基準不適合だった事例は960件(うち法の対象事例での超過は601件)にものぼっており、土壌汚染は身近な存在であるといえます。


図1:年度別の土壌汚染調査事例

出典:環境省 平成30年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果

2-2. 健康被害の懸念

たとえ有害物質が存在していても、我々が触れることがなければ(土壌汚染対策法では「摂取経路がなければ」という言い方をします)健康被害は起きないので公害問題とはなりません。
大気汚染や水質汚染は、広く拡散し我々が体内に取り込む可能性の高い汚染です。では、土壌汚染や地下水汚染はどうでしょうか?

土壌汚染や地下水汚染は、汚染物質に直接触れる機会は少ないと言えますが、場合によっては我々が汚染物質に晒され、健康被害が出ることがあります。
土壌汚染で健康被害が生じた最も有名な事例としては、1978年に米国で起きた「ラブキャナル事件」が挙げられます。

◆ラブキャナル事件の概要

米国ニューヨーク州のナイアガラの滝近くにあるラブキャナル運河で、1930年代より産廃の投棄が行われ、1950年代には化学メーカーが大量に化学物質を投棄し埋め立てていた(当時は合法)。その後、運河は埋め立てられて土地は化学メーカーから市へ売却され、市はその土地へ住宅や学校などを建設した。

ところが、その後、その土地では大雨が降るたびに悪臭が発生し、流産・死産・住民のがん発覚など様々な健康被害が発覚し始めた。調査の結果、過去に大量に埋められた有害物質が雨によって滲みだし、土壌・地下水・大気を汚染して住民の健康に影響を与えていることが分かった。

米国では、住民の避難や学校の閉鎖などを行い、その土地は国家緊急災害区域に指定されて立ち入り禁止となった。この事件をきっかけに、米国では1986年に汚染状況および緊急性に応じて、汚染サイトを管理し、浄化工事を進める趣旨のスーパーファンド法が施行された。スーパーファンドとは、
有害物質対策信託基金を意味し、環境保護庁(EPA)が浄化する場合には、この基金が使用され、浄化後に潜在責任当事者に求償する。

ラブキャナル事件は、かなり高濃度の有害物質に住民が直接晒され、重大な健康被害が生じた事例です。ここまで重大な被害とならなくても、平成10年以降の土壌汚染の発覚件数の増加とともに、土壌中・地下水中の有害物質に対する健康被害への懸念が日本でも大きくなりました。

2-3. 有識者による検討

上記のように、土壌汚染の発覚とそれに伴う健康被害への懸念が大きくなったことから、土壌汚染に関する法制度を整備するべく検討が始まりました。環境省によって、平成12年より「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」が設置され、学識経験者を中心に、土壌汚染対策と土壌環境保全に必要な内容について検討が進められました。
この検討内容をとりまとめ、平成13年の中央環境審議会へ諮問が提出され、調査検討やパブリックコメントを経た答申をふまえて法案が作成され、平成14年の通常国会へ提出されました。

2-4. 法の施行や改正

土壌汚染対策法の成立から施行、改正については、下記のような変遷を経ています。

時期内容
平成12年12月環境省が「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」 を設置
平成13年10月環境大臣から中央環境審議会に対して「今後の土壌環境保全対策の在り方について」を諮問
平成14年1月中央環境審議会より答申
平成14年2月第154回通常国会へ法案を提出
平成14年5月土壌汚染対策法 成立(22日)、公布(29日)
平成15年2月土壌汚染対策法 施行
平成21年4月土壌汚染対策法の一部を改正する法律 公布(第1回改正)
平成22年4月土壌汚染対策法の一部を改正する法律 施行
平成29年5月土壌汚染対策法の一部を改正する法律 公布(第2回改正)
平成30年4月土壌汚染対策法の一部を改正する法律 施行(第1段階施行)
平成31年4月土壌汚染対策法の一部を改正する法律 施行(第2段階施行)

重要となる経緯は、1.「平成15年の土壌汚染対策法施行」、2.「平成22年の改正土壌汚染対策法の施行(第1回改正)」、3.「平成30年の改正土壌汚染対策法の施行(第2回改正・第1段階施行)」、4.「平成31年の改正土壌汚染対策法の施行(第2回改正・第2段階施行)」です。

土壌汚染対策法は、施行後の実施状況や浮かび上がった課題を基に見直しが行われ、平成22年と平成30年・平成31年に改正法が施行されています。法の施行後5年ごとに課題整理と法の見直しが検討され、まとめた後に改正法が施行されています。

法改正の詳しい経緯と改正ポイントは、次回の記事でご説明します。

次回は、「実務者のための土壌汚染対策法基礎2:土壌汚染対策法改正の経緯」です。

【参考資料】

環境省ホームページ
土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)(※旧法)
土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)(※現行法)
平成30年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果
土壌汚染対策法の一部を改正する法律(平成29年5月19日)について
改正土壌汚染対策法について(平成31年4月1日施行)

公益財団法人日本環境協会ホームページ
土壌汚染対策法の概要

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2020.03.02 法律

法文読解 基礎力養成講座 その2 ~又は・若しくは 例文解説~

前回は、選択される対象が全部並列できる場合には「又は」を用いること、選択の対象に段階がある場合には、小さい方の選択の段階に「若しくは」を用い、大きい方の選択の段階に「又は」を用いること見ましたが、今回は、廃棄物処理法の法文の具体例を見ていきます。一つのポイントは、「又は」を基準に、前の文と後の文を分断して構造を考えることです。

1. 二段階の関係

「(A・B)・C」という二段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB又はC」という表記になります。

【例文】廃棄物処理法 第十四条 第12項
第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物収集運搬業者」という。)又は第六項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処分業者」という。)は、産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。

→(収集・運搬)・(処分)

【例文】廃棄物処理法施行令 第3条第3号
ワ ばいじん若しくは燃え殻又はばいじん若しくは燃え殻を処分するために処理したものの埋立処分を行う場合には、イからホまでによるほか、次によること。

→(ばいじん・燃え殻)・{(ばいじん・燃え殻)を処分するために処理したもの}

「(A・B・C)・D」という二段階の関係を表す場合には、「A、B若しくはC又はD」という表記になります。

【例文】施行令 別表第四の三
別表第五の三の項の中欄に掲げる施設を有する工場若しくは事業場において生じた汚泥、廃酸若しくは廃アルカリ又は指定下水汚泥の焼却施設及び第七条第八号に掲げる施設

→(汚泥・廃酸・廃アルカリ)・(指定下水汚泥)

2. 三段階の接続

三段階以上の場合には、最上位の接続でのみ「又は」を用います。
「{(A・B)・C}・D」という三段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB若しくはC又はD」という表記になります。

【例文】廃棄物処理法施行令 第6条の5 第3号
ソ イ(1)に規定する燃え殻若しくはばいじん若しくは当該燃え殻若しくはばいじんを処分するために処理したもの又はイ(3)に規定する汚泥若しくは当該汚泥を処分するために処理したものの埋立処分を行う場合には、あらかじめ、環境省令で定める基準に適合するものにし、又は環境大臣が定めるところにより固型化すること。

→〔{イ(1)に規定する(燃え殻・ばいじん)}・{当該(燃え殻・ばいじん)を処分するために処理したもの}〕・〔イ(3)に規定する{(汚泥)・(汚泥を処分するために処理したもの)}〕

【アドバンス】

「{(A・B)・C}・D」という三段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB若しくはC又はD」となりますが、
「{A・(B・C)}・D」という三段階の関係を表す場合にも、「A若しくはB若しくはC又はD」との記載になります。
文の構造は、内容から判断することになりますが、基本的に「{A・(B・C)}・D」という構造にはしないように、予め表現する順序を工夫するのが通例のようです。

■最後に

例文解説は、いかがでしたか?概念として理解しても、実際の条文で考えると、「あれ?どうだったっけ?」と分からなくなる事があります。
「又は」を基準に、前の文と後の文を分断して構造を考える事を忘れずに見ていきましょう!

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2019.12.02 法律

法文読解 基礎力養成講座 その1 ~又は・若しくは~

はじめに

廃棄物処理法には、「A又はB」という表現だけではなく、「A若しくはB」という表現も使われています。「又は」も「若しくは」も、選択的接続詞で、「二つ以上ある事柄のうちどちらを選んでもよいことを表す」ときに使われるのが一般です。日常用語のとしての意味や言葉の機能からいえば、どちらも選択の働きを担う接続詞ですので、日常用語の用法としてその違いを意識している方は少ないのではないかと思います。

しかし、法令用語としては、この二つの用語は厳格に使い分けなければなりません。
法律の世界では意味があって使い分けがされており、厳然たる表記ルールがありますので、この意味を正確に理解しなければ、法律の「構造」を正しく把握することができないことになります。「及び」「並びに」の関係も同様です。

言い換えれば、法律はこのようなルールを知っていることを前提に作成されていますので、廃棄物処理法を理解するためには、使い分けの用例を正しく把握することが出発点になります。なお、公用文表記では、原則、漢字で書くことになっています。

ただし、ルールといっても難しくはありません。極めてシンプルです。
選択される語句に段階がある場合、大きい段階に「又は」を、小さな段階に「若しくは」を使うということに尽きます。

すなわち、
第1に、単一で用いるときは「又は」を使います。
第2に、三つ以上の語を並列に接続するときは、「、」で並列して、最後の部分にだけ「又は」を用います。
第3に、選択される語句に段階があるときは、最も大きい選択に「又は」を使い、それより小さな選択には「若しくは」を使います。

以上から導き出される結論を簡潔に言いますと、「又は」が存在しないところには「若しくは」は出てこないということになります。

以上の点をもう少し詳しくみてみましょう。

1. 又は

AかBのどちらを選んでもよいという意味を表します。
「A又はB」の場合、その意味は、① Aのみ ② Bのみというのが基本の意味であり、英語の「OR」に相当する接続詞ということになります。
並列するものが3つ以上になる場合には、最初は「、」で並列して、最後の部分に「又は」を用いて全体をつなげます。

例:「A、B又はC」

なお、法令用語の使い方としてワンランク上の用法になりますが、「又は」と「及び」の双方の意味を持たせたい場合に、「又は」を使うのか「及び」を使うのかが問題となります。これについては、規定の内容に照らしながら適宜選択することとされていますが、実際には「又は」を用いることが多いとされています。

2. 若しくは

意味は「又は」と同様で、AかBのどちらか一方が選ばれる関係にあることを表します。
「A若しくはB」の場合、その意味は、① Aのみ ② Bのみ ということになります。

3. 「又は」と「若しくは」の使い分け

選択される語句に段階があるときは、最も大きな接続には「又は」を用い、それより小さな接続に「若しくは」を用います。

例:「(A・B)・C)」という二段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB又はC」という表記になります。

例:三段階以上の場合には、最上位の接続でのみ「又は」を用います。
「{(A・B)・C}・D」という三段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB若しくはC又はD」という表記になります。

【参考書籍】

改訂版「公用文 用字用語の要点」廣瀬菊雄著(新日本法規・平成23年)
「注釈 公用文用字用語辞典」川﨑政司著(新日本法規・平成16年)
「法令用語の常識」林修三著(日本評論社・1958年)

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2019.11.01 サーキュラーエコノミー

溶融スラグに迫る その5 ~溶融の課題~

DOWAの取組対談廃棄物処理

北辻 政文(きたつじ まさふみ)教授

宮城大学 食産業学群
宮城大学ホームページ

「スラグ」という言葉は皆さん聞いたことはあると思いますが、どうやって作られていて、どんなものなのか?
素朴な疑問を、溶融スラグの専門家の北辻教授にお伺いしました。

今回は、とうとう最終回です。
溶融の課題などについて、お伺いします。

【その5】~溶融の課題~

前回、溶融の有効性について教えて頂きましたが、今回は溶融の課題についてお伺いしたいと思います。

溶融炉の課題について、まずは、高温で溶融処理をするためのエネルギー源の確保が重要です。
それと、これはすべての産業に共通することですが、地球温暖化対策としてCO2削減が必須になっているので、LCA評価を行い、環境負荷の低減に努めることが重要だと思います。

今、環境問題の一つとして、廃プラスチックの処理が大きな問題になっていますね。特に海洋に大量に捨てられ(流され)、それを海洋動物が食べていた等、様々調査結果が報告されています。このため、プラスチック制のストロー等の使用を取りやめたコーヒーショップやファーストフード店などが注目されています。

また、日本は、中国に大量の廃プラスチックを輸出していたのですが、最近では、もう廃プラスチックはいらないと、中国が断ってきました。このためプラスチックごみの処理に困っています。

日本ではペットボトルをはじめとして、多くのプラスチック系包装を使っていて、使い捨てプラスチック容器の使用量は、アメリカに次いで世界第2位です。


図:人口1人あたりプラスチック容器包装廃棄量

出所:環境省:プラスチックを取り巻く国内外の状況

日本ではペットボトルを1回使ったら使い捨ていますが、ドイツでは洗浄し、5~6回繰り返し使うようです。
プラスチック容器を使う量を減らすことも必要ですが、捨てられたプラスチックの活用についても考えなければいけません。プラスチックは、石油が原料ですので、高エネルギー源となり得ます。
ですので、こうした廃プラスチックを溶融の燃料源にするべきだと考えています。

プラスチックに関しては、流れが変わってきていますね。

LCA的に考えると、もう廃プラスチックを燃料にするしかないですね。
これを溶融炉のエネルギー源として使うことで、溶融炉に対する認知度は今より広がり、同時にランニングコストも減らせますので、溶融炉は今後も増えていくと思います。特に廃プラスチックが漂着している島々では有効になってくると思います。

これまで自分たちで溶融炉を運営していた自治体が、運営するのを止めて閉鎖しています。技術的な問題や、管理が難しいというようなことがあって、外注した方が最終的にも安いという結論になったようです。

この機会に、エコジャーナルの読者に伝えたいことはありますか?

うーん、そうですね。
「環境ロスをなくしましょう。」ですかね。

環境ロスですか? スラグをもっと使いましょう、という事ですか?

いやいや、一番言いたいのは、「ごみを出さない社会にしましょう」ってことです。
ごみがないのが、理想ですよね。
江戸時代はたかだか150年前ですが、そのころの人口って何人くらいだと思います?

今の日本が1億3千万人くらいなので、半分くらいの6,000万人くらいでしょうか。

そんなに多くありません。2,500万人ぐらいから2,700万人くらいだったと言われています。今の人口の5分の1くらいです。明治からの150年で人口は5倍に増えたってことです。それでは、江戸時代、1603年から1868年の265年間で、何人くらい増えたと思いますか?

江戸時代は安定していたと聞くので、1,000万人が2,500万人くらいになったのでしょうか。

それほどの変動はありません。江戸時代の日本の人口は、ほとんど増えなくて2,500〜2,700万人で推移しています。大きな戦争(戦さ)もありませんでしたので、それによる人口の増減もありませんでした。

変わってないのですか?

江戸時代の間、ほとんど人口が増えていないのです。
鎖国だったので、食料や物が国内で循環した、いわゆる自給自足社会だったわけです。私は江戸時代に行ったことがないので分からないのですが(笑)、文献によると、江戸時代に「ごみ」なかったそうです。不要物は出るけど全てがリサイクルされていたようです。

例えば鼻をかんだ鼻紙でさえ、回収する人がいたようです。また、当時は、ガスはありませんので薪や炭で煮炊きや風呂を沸かしていました。そうするとこれらを燃やした灰が大量に残ります。今では焼却灰は厄介者ですが、当時の灰はアルカリ性だから、農家が畑(酸性土壌)にかぶせるといいネギが採れることを知っていましたので、喜んで持ち帰った様です。深谷ネギとかですね。また着物を染める時にもアルカリ性にするため灰を使っていました。

それから長屋、今でいうアパートですね、長屋が一番もうかったのは家賃収入ではなく、たい肥収入だそうです。長屋には共同のトイレがありますので、皆さんそこで排泄します。江戸時代は、牛肉や豚肉を食べないので、農耕用の家畜を除くとたい肥は手に入りませんでした。このため人の排泄物は貴重な窒素源だったのです。
そして、たい肥を専門に買いに来る人がおり、大名屋敷の排泄物がもっと高値で取引されたという笑い話もありました。それは、大名は高価な美味しいもの食べているので、排泄物も良いのだという話なんですけどね。

それから、当時、江戸(東京)は100万人都市で、当時の世界トップクラスの人口でしたが、世界で最もきれいな都市でした。光化学スモッグもありませんでした。それは調理を全て炭でやっていたから煙が出なかったからだそうです。そして、灰は農家や染屋が使ってと、100%リサイクルされていた。前述のように排泄物も川に流さず、たい肥にしていたので、川もきれいだった。

一方、産業革命で栄えた大都市のロンドンは、「霧の街」と言われましたが、これは空気が汚れていることを示しています。「霧」はその核となる物質に水分が集まって発生しますので、江戸とは大きく異なっていました。

江戸時代の人口から考えると、日本で養える人口は3,000万人くらいかなと思います。日本は輸入量が多いので、特に食べ物がごみになるのを減らす必要があると思っています。
家庭ごみの60%が生ごみ(厨芥類)です。食料自給率は約40%ですから、生ごみのほとんどが海外から来ている事になります。このため、自給率を上げることが、リサイクルの観点からも重要です。

ここで、問題です。今朝何食べましたか?

パンと牛乳です。

パンですか、自給率の点からはあまりよくないですね。米粉パンなら良かったのですが。
この資料は、農林水産省が出している自給率に関するものです。

牛乳の自給率って何%だと思います?これで見ると50%ですね。
国内の牛から搾乳しているのにもかかわらず、自給率が低いのは家畜のエサがほぼ輸入だからです。エサの90%は輸入です。

同様に醤油は日本食を作るのに欠かせませんが、大豆が中国産大豆なので、自給率はほとんど0%です。ごま油もほぼ100%輸入です。

自給率が高い品目をなるべく食べる、つまり、青物魚と葉物の野菜をたくさん食べると日本の食料自給率が上がり、江戸時代に近づけるかもしれません。やはり生活全体を見直すことと、特に食生活を見直すことによって、ごみ問題も解決できると考えています。

8月に公表されたIPCCの「気候変動と土地」では、世界の食料システムにおける食料の生産・製造前後の活動に関する排出量を含めると、人為起源の温室効果ガスの21~37%を占めると推定していました。食品ロスの削減、植物ベースのバランスの取れた食生活等によって削減できる、温室効果ガスは、年間0.7~8ギガトンとも推定されていました。近年の温室効果ガスの排出量は約40〜50Gt/年ですので、結構なインパクトがあります。

フードロス対策で、宴会で30・10運動をしていますね。

<乾杯後30分間>は席を立たずに料理を楽しみましょう、
<お開き10分前>になったら、自分の席に戻って、再度料理を楽しみましょう、
と呼びかけて、食品ロスを削減するものですね。飲み会の時の食品ロスがすごいんですよね。ほとんど手を付けずに終わってしまう事もありますのでもったいないですね。

農林水産省ホームページ 平成29年度 外食時の「おいしい食べきり」全国共同キャンペーン

アメリカの大きなスーパーマーケットでは、フードバンクに協力をして、賞味期限が切れる前日ぐらいの食品は全て回収して、無償で福祉施設などに配布しています。このためスーパーからは廃棄がないので、処理コストを削減でき、結果的にはいいことですね。
それでは商品が売れないんじゃないかとも思いますが、そんなことはないそうです。福祉施設等へ、食べ物を配布しますので、CSRの観点からも評価されます。そこがフードバンクへの協力を始めたからか、他の会社でもフードバンクに協力するところが増えてきています。

また、日本人にはこの取り組みが合っているような気がします。私たちは食事の前に「いただきます」、最後に「ご馳走様」と言いますが、これを言うのは日本人だけです。英語には正しく訳せません。食べ物の命をいただき、料理を作ってくれた方に感謝のご馳走様ですので、私たちは食べ物を最も大事にしている国民であると言えるでしょう。

因みに、一番ごみを出す人はどのような方かわかりますか。
独身の一人暮らしの女性が一番ごみを出すそうです。

ちゃんと料理するからでしょうか。

いやその逆で、料理をしないからだそうですよ。
スーパーの閉店前になると、お総菜コーナーでは半額だとか、賞味期限が短い乳製品とかが割引されています。会社帰りでお腹は空いているし、いっぱい買っちゃうのですが、結局、食べきれなくなり、捨ててしますそうです。時には、賞味期限が切れちゃったから封を切らずに、そのまま捨てることも多いのだそうです。
同じ独身でも男性は、買っても食べきるので、ごみは出ないそうです。

フードロス対策って家庭のイメージでした。子供がいるから食材を切らしたらいけないと思って、冷蔵庫いつもパンパンにしていて、「料理しないまま賞味期限が切れちゃったわ」というパターンを想像していました。

それもあるでしょうけど、いくら買おうが、つまりインプットがいくらあろうが、子どもが食べるというアウトプットがあれば大丈夫です。食べきれないほどに買ってしまうことが良くないことです。

食品の話をしましたので、最後に料理の話をします。
私の研究室名は「建設材料学研究室」と言います。「材料」がついています、もちろんコンクリートや土等の土木材料を意味しますが、学生たち「料理・材料学研究室」と呼んでいます。

本学の太白キャンパスは、食産業学部ですので研究棟の5階にはだれでも利用できる調理場があって、そこで定期的に研究室で料理をしています。

特に、美味しいお好み焼きの作り方を、研究室の学生に伝授しています。お好み焼きとコンクリートの作り方は、同じ粉ものですので非常に似ています。コンクリートを練り混ぜる順番は先にセメントと砂を混ぜ(空練り)、その後に水を入れます。つまり個体同士は混ざりやすいけど個体と液体は混ざりにくいので、液体は最後に入れます。

お好み焼きを作るとき、粉にいきなり水を入れダマを作っていませんか?またコンクリートは、練り混ぜ水が少ないほど良くなります。もんじゃ焼きのようなコンクリートは、最悪です。しかし水が少ないと硬くて練れませんね。そこでコンクリートには空気(AE)を入れて柔らかくします、同じようにお好み焼きには長芋を入れ空気を導入します。そうして出来上がったお好み焼きは、ワークアビリティーが良く、おいしいものになるのです。

私もお好み焼きが好きですが、お好み焼きとセメントに共通点があるとは!次にお好み焼きを作るときは、物性特性を考えながら作りたいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
インタビューは、今回でおしまいです。
聞いたことはあるけど、分かっているようで、分かっていないような、「スラグ」に焦点を当ててお話いただきました。
スラグといっても、鉄鋼スラグと溶融スラグとは違うカテゴリー分けをされていること、スラグはクリスタルグラスと同じしくみで重金属を閉じ込めていること、地球規模の視点で見たときに、日本は資源のインプットが圧倒的に多いので廃棄物として国内に蓄積してしまうことなど、沢山のことを教えていただきました。
ありがとうございました。

2019.11.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その11) ~排出事業者責任(4)~ 処理が適正に行われるために必要な措置とは

廃棄物処理法

前回は、不適正処理・不法投棄が行われた際の「支障の除去等の措置命令」対象者について説明しました。今回は、その要件の一つである「処理が適正に行われるために必要な措置」について説明します。

【1】支障の除去の措置命令の対象者について(再確認)

不法投棄や不適正処理が行われ生活環境保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる場合、行政から支障の除去等の措置を講ずるようにとの措置命令が出されます。

しかし、処分者等に措置命令を出しても諸事情から、処分者等のみでは支障を除去することが困難か、又は講じても十分でない場合で、かつ、廃棄物の排出事業者が適正な処理料金を負担していないとき、最後まで適正処理が行われるための必要な措置を講じていないときなど、排出事業者に支障除去等の措置を採らせることが適当である場合には、「相当な範囲」で措置命令の対象となります。(廃棄物処理法第19条の6)

詳しくは、はじめの一歩(その10)~排出事業者責任(3)~不適正処理・不法投棄が行われた際の「支障の除去等の措置命令」対象者 をご確認ください。

「適正な処理料金を負担していないとき」や「最後まで適正処理が行われるための必要な措置を講じていない場合」とありますが、そうならないために、排出事業者は何をしなければならないのでしょうか。具体的に確認していきます。

【2】適正な処理料金とは?

  • 適正な対価を負担していない場合には、処理業者が適正な処理をできないため、不法投棄や不適正処理が行われる可能性が高くなりますので、処理状況について十分な注意が必要です。
  • 適正な対価を負担していない場合とは、一般的に行われている方法で処理するために必要とされる処理料金からみて著しく低廉な料金で委託する場合をいいます。
  • 地域における産業廃棄物の一般的な処理料金の半値程度又はそれを下回るような料金で処理委託を行っている排出事業者については、当該料金に合理性があることを示すことができない場合、適正な対価を負担していないことになります。
  • 適正な料金については、廃棄物の種類や量、処理方法、地域等によって異なりますが、食品リサイクル法の登録再生利用事業者は料金を公示していること、優良産業廃棄物処理業者は料金の提示方法を公表していることが、参考になります。
  • 委託先の選定に当たって、合理的な理由なく、適正な処理料金か否かを把握するための措置(例えば、複数の処理業者の見積もりをとること、委託する産業廃棄物と同種の事業系一般廃棄物の市町村での処理料金の確認)等を講じていない場合にも、措置命令の対象(法第 19条の6)になる可能性があります。

出所:「排出事業者責任に基づく措置に係る指導について(通知)」
環廃産発第1706201号 平成29年6月20日付け環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知

ポイント

●適正な処理料金か否かを把握する
(把握する手段)

  • 複数の処理業者の見積もりをとる
  • 食品残渣、廃紙などの自治体の清掃工場でも処理をしているような廃棄物は、自治体の処理料金を確認する

【3】最後まで適正処理が行われるための必要な措置とは?

廃棄物処理法 第12条第7項
産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

「最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置」について、環境省通知に記載があります。

  • 排出事業者が委託した産業廃棄物の処理状況を確認する方法としては、まず、当該処理を委託した産業廃棄物処理業者の事業の用に供する施設を実地に確認する方法が考えられます。
    また、優良産業廃棄物処理業者に処理委託している場合等、委託先の産業廃棄物処理業者がホームページ等で公表している処理の状況や事業の用に供する施設の維持管理の状況により、当該産業廃棄物の処理が適正に行われていることを間接的に確認する方法も考えられます。
  • 排出事業者責任を果たし、適正処理を確保するためには、委託先の施設の外観や情報を単に見るだけといった形式的な確認ではなく、委託した産業廃棄物の保管状況や実際の処理行程等について、処理業者とコミュニケーションをとりながら実地確認を行うことや、公開されている情報について、不明な点や疑問点があった場合には処理業者に回答を求めることなど、法に基づき適正な処理がなされているかを実質的に確認することが重要です。
  • なお、処理状況の確認については、公益社団法人全国産業資源循環連合会が実地確認のためのチェックリスト(建設廃棄物適正処理推進プログラムチェックリスト、産業廃棄物処理業廃棄食品実地確認チェックリスト)を作成しているので、参考にしてください。
    (全産連ホームページ:実地確認チェックリスト
  • 処理状況の確認を行っていない排出事業者については、措置命令(法第 19条の6)の要件である「法第 12条第7項等の規定の趣旨に照らし排出事業者等に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき」に該当する可能性があるため、留意する必要があります。

出所:「排出事業者責任に基づく措置に係る指導について(通知)」
環廃産発第1706201号 平成29年6月20日付け環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知

ポイント

●処理施設の現地確認をする

  • 施設の外観を見るだけでなく、委託した産業廃棄物の保管状況や実際の処理行程等について、処理業者とコミュニケーションをとりながら実地確認を行う

●産業廃棄物処理業者がホームページ等で公表している処理の状況や施設の維持管理の状況で確認する

  • 不明な点や疑問点があった場合には処理業者に回答を求める

【4】最後に

廃棄物処理法に基づく排出事業者責任について説明すると、適正な価格かどうかをどうやって把握するのか分からない、現地確認は実施しているがこれでいいのか不安であるというお話を、多くお伺いしました。

ただ、「排出事業者責任に基づく措置に係る指導について(通知)」においても

廃棄物処理法第3条において、事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならず、また、当該廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めなければならないとする排出事業者責任を定めている。
排出事業者は、その廃棄物を適正に処理しなければならないという重要な責任を有しており、その責任は、その廃棄物の処理を他人に委託すれば終了するものではない。

とされており、把握するのが難しいからという理由で排出事業者責任が減免されるものではありません。
平成29年の不適正処理を契機に公表された、「産業廃棄物処理業〔廃棄食品 肥料化〕実地確認チェックリスト」では、廃棄物の受入から再生品の販売等の年間取扱量の数字に整合性はあるかどうかを、確認する際のポイントとして記載されているので、この点も参考になると思います。

参考リンク
「行政処分の指針について(通知)」(平成 30年3月 30日付け環廃産発第 18033028号 環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長通知)を参照してください。

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2019.10.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その10) ~排出事業者責任(3)~ 不適正処理・不法投棄が行われた際の「支障の除去等の措置命令」対象者

廃棄物処理法

不適正処理や不法投棄が行われ、生活環境保全の観点から支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる場合、どのような措置を取ることができるのでしょうか?廃棄物処理法の規定を確認していきます。

【1】措置命令対象者(第19条の5)

不適正処理や不法投棄が行われて(条文に則して言えば、処理基準又は保管基準に適合しない保管・収集・運搬・処分が行われて)、「生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる」場合、このような不適正処理や不法投棄を行った本人、委託基準に適合しない委託をした排出事業者、マニフェストに関する法の定めに違反した処理会社(運搬会社や処分会社)・排出事業者等に対して、必要な限度において支障除去等の措置を命ずる「措置命令」が出されます。

「支障の除去等の措置命令」対象者(廃棄物処理法 第19条の5)

第1号
不適正処理・不法投棄を行った者
第2号
委託基準に反して委託した者
第3号
マニフェストに関する義務違反をした者
  • マニフェストを交付しない者
  • 規定された記載事項を記載せず、又は、虚偽の記載をしてマニフェストを交付した者
  • マニフェストを送付せず、又は、規定された記載事項を記載せず、若しくは、虚偽の記載をしてマニフェストの写しを送付した者
  • マニフェストを回付しなかった者
  • マニフェスト、マニフェストの写しを保存しなかった者
  • マニフェスト確認義務に反し、適切な措置を講じなかった者
第4号
第3号(マニフェスト関連)違反が下請人によるものだった場合の元請人
第5号
第1号から第4号に掲げる者に対して、不適正処理又は違反行為を要求、依頼、そそのかし、助けた者
罰則:
五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金又は併科

不適正処理や不法投棄によって生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、まずは、「廃棄物の山」に一定の措置を講じて、「支障」を除去しなければなりません。
そのために、上に示すような対象者(処分者等)に対して、支障の除去等の措置を必要な限度において命ずるのが「措置命令」ということになります。
ただし、不適正処理や不法投棄は計画的なものであることも多く、処分者等の手元には、廃棄物を撤去する費用が残されていない場合がほとんどです。

排出事業者も措置命令の対象となり得ますが、上記のとおり、委託基準に適合し、マニフェストについて法に違反していない排出事業者は、措置命令の対象とはなりません。

措置命令を受けた者が履行しない場合等には、生活環境に悪影響を生じさせている廃棄物を撤去するために、一定の要件の下に、行政代執行が行われることもあります(第19条の8)。
「行政代執行」とは、支障の除去などの措置命令が履行されない場合、行政が一旦支障を除去し、その費用を後で請求するという仕組みなのですが、廃棄物処理法の第19条の8は、行政代執行法の特例として、簡易迅速な手続により代執行を行うことを可能としています(法19条の8では、行政代執行法2条「不履行を放置することが著しく公益に反する」という要件を不要としています。)。
なお、処分者等に費用を請求しても回収することが難しいことも少なくなく、結果として、廃棄物の撤去・処分費用の多くを税金で賄っています。

【2】排出事業者に対する措置命令(第19条の6)

排出事業者が、委託基準等を遵守している場合でも(したがって、第19条の5の措置命令は出せない場合でも)、排出事業者責任の観点から、一定の要件を充足している場合には、排出事業者に対して、措置命令を出せる規定が2000年に追加されました。

1.と2.の両方に該当する場合には、委託契約書やマニフェストの取扱いが適正な排出事業者であっても、支障の除去等の措置命令の対象となります。(廃棄物処理法第19条の6)

  1. 法第19条の5による措置命令対象者の資力その他の事情からみて、支障の除去等の措置を講ずることが困難であるか、または、実施しても不十分な場合
  2. 以下のいずれかに該当する場合
    • 排出事業者が適正な処理料金を負担していないとき
    • 不適正処理が行われることを知っていた、又は知ることができたとき
    • 第12条第7項・第12条の2第7項(排出事業者は産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない)の趣旨に照らし、支障除去等の措置を採らせることが適当であるとき

罰則:五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金又は併科

上の【1】で説明した処分者等に措置命令を出しても、諸事情から処分者等のみでは、支障の除去等の措置を履行することが困難か、不十分な場合(1.)で、かつ、廃棄物の排出事業者が、適正な処理料金を負担していないときや最後まで適正処理が行われるための必要な措置を講じていない場合には、「相当な範囲」で措置命令の対象となります。

【3】最後に

第19条の6の排出事業者に対する措置命令の規定は、排出事業者責任が反映された一つの規定と理解されており、「委託基準など廃棄物処理法を順守していても、支障の除去などの措置命令が出される可能性がある」ということになりますので、実務上、注意が必要です。

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2019.10.01 サーキュラーエコノミー

溶融スラグに迫る その4 北辻先生のご経歴 ~スラグの魅力~

DOWAの取組対談廃棄物処理

北辻 政文(きたつじ まさふみ)教授

宮城大学 食産業学群
宮城大学ホームページ

「スラグ」という言葉は皆さん聞いたことはあると思いますが、どうやって作られていて、どんなものなのか?
素朴な疑問を、溶融スラグの専門家の北辻教授にお伺いしました。

【その4】北辻先生のご経歴 ~スラグの魅力~

先生が、溶融スラグについて研究されるきっかけを教えてください。

一般にコンクリート工学の専門家は工学部卒業の先生が多いと思いますが、私は農学部出身で、学位も博士(農学)です。なぜ農学の出身者がコンクリートをやるのかとよく言われますが、農林水産省もダムを造ります。

田んぼに水を引くのもダムで溜めた水を引きますし、河川から堰(農林水産省では頭首工(とうしゅこう))言いますが、そこから水を引く施設も必要です。それらの多くは、コンクリートや土質材料で作られています。すなわち農業基盤もコンクリートで造られています。そうすると、農業分野でもコンクリート系の学問が必要になるのです。

コンクリート材料が専門といっても農学系ですから工学系のコンクリート工学とは少し違うことをやりたいと思っていました。それで、博士論文をまとめる時に、「環境」や「リサイクル」という概念は農学系が強いのではないかと思うようになり、キーワードとして必然的に入ってきました。その中で、このごみ溶融スラグは1つのテーマとしてまとめています。

農業とごみのリサイクルというのは、接点がなさそうですが

農業では、有機系の廃棄物をリサイクルして、有機肥料を作地に還元します。また、土壌環境についても詳しく学びます。リサイクルを行う上で、重要な環境安全性の評価は、土壌環境基準が用いられています。

一方、リサイクルが必要である理由は、前回もお話ししましたが、日本は資源が少ないので大量の物を輸入しており、最終的に日本の中に物が蓄積される構造になっているということです。

例えばアメリカの輸入量は3憶トン、輸出量も3憶トンで、インプット、アウトプットがほぼ同じです。しかし、日本や台湾は、輸入量が輸出量に比べてとても大きく、どうしても廃棄物が大量に出てしまいますので、リサイクルを考えることが極めて重要になります。

建設業は、これまで社会インフラを造ってきましたが、新しく造るという時代は20世紀で終わり、これからはそれを維持管理する時代になってきました。その中で私は大量の資材を使う建設業は、リサイクルできない物や最終的になるごみといった廃棄物を処理できる器があるのではないかと、言い換えると建設業はそういう物の受け入れ口としての役割がこれからあるだろうと考えていました。

ただし、建設材料として使うには、無機系でなければなりません。腐敗したり臭いがしたら困まるので、無機化したものである必要があります。そうした中で、このごみ溶融スラグは、建設資材として考えた場合、極めて有効なリサイクル材と考えられます。

今後、日本では人口が減っていくし、皆さんがあまりごみを出さないように気を付けてきていますので、ごみの発生量そのものは減るかもしれません。以前は国民一人当たり一日に排出するごみの量は1.3キログラムくらいありましたが、今は1キログラムを切っているくらいに減っています。しかし一方では、人の寿命が延びて長生きするので、ごみが極端に減るということではないだろうと感じます。

たとえば1人1日1キログラムのごみを出すと計算すると仙台市では1000トンのごみが毎日出ているということになります。減ったと言っても排出量全体としては多いです。

それから、生ごみが家庭ごみの60%なので放っておくと腐ってしまい衛生的に良くありません。ということで燃やすなり溶融化するなりの熱処理は必要です。

日本では生ごみは腐ってしまうので、衛生的な環境を維持するためには、焼却などが必要なのですね。

日本の風土は、高温多湿なので生ごみは腐敗してしまいます。それに、ハエがたかり衛生面でも良くないので法律で燃やすということになり、灰にして埋め立てる。ということが長年続いてきました。清掃法という法律ができ、明治以降そうなりました。

アメリカやヨーロッパは、ごみは燃やさないでそのまま直接埋め立てをしているところが多いです。それは、アメリカやヨーロッパは乾燥しているので、生ごみを直接埋め立てても、衛生面で問題ないということだと思います。

物を燃やして300~800℃になると、ダイオキシン(塩素と炭素の化合物)が発生します。これはベトナム戦争の際に造られた化学兵器で人類が作った最悪の物質と言われています。
昔は大学や、小中学校、家庭でもごみを燃やしていました。我々の大学にも焼却炉がありましたが今では使われていません。それはなぜだと思いますか?

塩素は漂白剤で使われています。紙(炭素)は塩素で漂白しているので、燃やすとダイオキシンが出やすいのです。その2でもお話ししましたが、溶融する時は1200℃と非常に高温にしますので、ダイオキシン対策としても有効です。
さらに、もう1つあります。

もう1つ!

もう1つ、溶融が必要とされている理由としては、ごみを燃やしても、灰を埋める場所がなくなったので、灰の減容化が必要になってきた、ということもあります。

昔は空いている土地がたくさんあって、埋める所も確保できて良かったのですが、最近、特に大都市近郊では、地価が著しく高騰し、もう処分場を作る場所がない!という状態になっています。さらに埋め立て地や焼却炉が住宅が近くにできると、地価が下がるとのクレームもあるようです。

東京でも夢の島など海洋埋め立てをしていますが、これ以上海面埋め立て地を確保することが難しくなっていますね。
ごみは、燃やすことで減容化になっていますが、それをさらに減らしたいということで溶融化が選択されています。

溶融によって、どれくらい容積が減るのですか?

溶融すると、灰の半分ぐらいになります。容積が半分になるという事は、処分場の寿命が倍になるという事です。

まとめると、溶融化の最大のメリットはダイオキシンの発生抑制といった環境の安全を守ること、それから埋め立て処分場の延命化と、そして資源としてリサイクルをするということです。

ダイオキシンの発生抑制と、処分場の延命化と、リサイクルですね。

西暦2000年は、循環型社会形成推進基本法という、循環社会を構築しようという法律ができ、環境元年とも言われています。そして、建設リサイクル法、家電リサイクル法など各種リサイクル法が施行されて、資源循環の流れが飛躍的に進みました。市民が出している家庭ごみもリサイクルできるので、この「溶融」という技術は、非常に良いことだと溶融炉の建設が一気に増えました。

岩手県釜石市で試験的にごみを溶融する炉ができたのが昭和54年くらいですので、溶融の歴史はまだまだ20~30年くらいです。

溶融スラグの力学的な性能は全く問題ないですし、有害物質も溶出しません。だから、私は、溶融スラグは高品質な材料であると考えており、スラグが建設現場で使われていても全く抵抗ありません。しかし講演で「溶融スラグです、どうぞ見てください、容器のふたを開けていいですよ」って言うと、みんな臭いをかぐんです。臭いんじゃないかって、ごみだから。

一方、鉄鋼スラグは100年くらいの歴史があって、スラグの使用実績もあるので、あちこちで使われていますが、溶融スラグの歴史は20〜30年とまだまだ若いので利用が制限されています。
鉄鋼スラグは生コンのJISになっていますが、溶融スラグまだ認められていないので、プレキャストコンクリート製品(二次製品)のみ利用ができます。私は、同じコンクリートなので、プレキャストだろうが生コンだろうができた構造物は同じだと思っています。
生コンは2億トンが生産され、建築構造物のビルやマンション、土木の防潮堤、トンネル工事などに使われています。今、溶融スラグの生産量が80万トンを超えてきたので、今後のことを考えると、やはり生コンで使われる事が必要です。

それで、最近の研究では溶融スラグを使って生コンクリートを作って、それを使って、みんなに大丈夫だねって信頼を持ってもらいたいと思っています。

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次回は、溶融の課題についてお伺いします。