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DOWAエコジャーナル

2018.09.03 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その6) 特別管理産業廃棄物かどうかの判断 ~汚泥:排出元施設限定~

廃棄物処理法

廃棄物処理法解説 はじめの一歩シリーズその4その5では、廃油を例に、特別管理産業廃棄物に該当するかどうかを確認する流れについて説明しました。
今回は、「鉛」を含む「汚泥」の場合を例に、どのように確認していくのかについて、説明します。

廃棄物処理法施行令 第2条の4に、特別管理産業廃棄物の定義がされています。

【1】まずは施行令から

廃棄物処理法施行令 第2条の4 第5号ルに「次に掲げる汚泥、廃酸又は廃アルカリ及びこれらの廃棄物を処分するために処理したもの」についての規定があります。

廃棄物処理法施行令 第2条の4 第5号
ル 次に掲げる汚泥、廃酸又は廃アルカリ(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)及びこれらの廃棄物を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)

条文には(1)から(25)まであり、汚泥について成分と施設をもって限定しています。
原文から成分の限定と施設の限定を抜き出すと、以下の表になります。

成分施設の限定
1水銀別表第3の23
2カドミウム別表第3の24
3別表第3の25
4有機燐別表第3の26
5六価クロム別表第3の27
6砒素別表第3の28
7シアン別表第3の29
8PCB別表第3の30
9トリクロロエチレン別表第3の31
10テトラクロロエチレン別表第3の32
11ジクロロメタン別表第3の33
12四塩化炭素別表第3の34
131,2-ジクロロエタン別表第3の35
141,1-ジクロロエチレン別表第3の36
15シス-1,2-ジクロロエチレン別表第3の37
161,1,1-トリクロロエタン別表第3の38
171,1,2-トリクロロエタン別表第3の39
181,3-ジクロロプロペン別表第3の40
19チウラム別表第3の41
20シマジン別表第3の42
21チオベンカルブ別表第3の43
22ベンゼン別表第3の44
23セレン別表第3の45
241,4-ジオキサン別表第3の46
25ダイオキシン類別表第3の47

(1)~(25)までの成分によってそれぞれ、施設の限定に関しての規定がされています。

【2】次に施設限定について

施設の限定について確認するために、廃棄物処理法施行令 別表第3を確認します。

例えば、鉛に関しては、廃棄物処理法施行令 第2条の4第5号ル(3)に基づき、施行令別表第3の25の項を確認します。

廃棄物処理法施行令 別表第3の25
別表第五の三の項の中欄に掲げる施設(汚泥、廃酸及び廃アルカリの処理施設を除く。)を有する工場又は事業場

と規定されていますので、別表第5の3の項を確認します。

水質汚濁防止令別表第一第二十六号イ、ロ及びホ、第二十七号イ、ロ、ヌ及びル、第四十六号イ、ロ及びニ、第四十七号ロからホまで、第四十九号、第五十号、第五十三号、第五十八号(鉛を含有する電気用特殊陶磁器原料又はうわ薬原料の精製業の用に供するものに限る。)、第六十二号ロ(鉛電極又は鉛合金電極を用いて電解を行うものに限る。)、ホ及びヘ、第六十三号ハ及びホ、第六十五号、第六十六号並びに第七十一号の二イに掲げる施設並びに火薬製造業の用に供するトリニトロレゾルシン鉛製造施設並びにこれらの施設を有する工場若しくは事業場から排出される水又はこれらの施設を有する工場若しくは事業場において生じた汚泥、廃酸若しくは廃アルカリの処理施設 鉛又はその化合物

別表第5には、「水質汚濁防止法施行令別表第一」のうちのいくつかの施設と、火薬製造業の用に供する「トリニトロレゾルシン鉛製造施設」と記載されています。

【3】水質汚濁防止法施行令の別表第1を確認

「水質汚濁防止法施行令の別表第1のうちのいくつかの施設」がどのような施設なのか確認します。

長くなりますが、該当部分を抜き出します。

水質汚濁防止法施行令の別表第1

二十六号イ、ロ及びホ

二十六 無機顔料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設
ロ ろ過施設
ホ 廃ガス洗浄施設

第二十七号イ、ロ、ヌ及びル

二十七 前号に掲げる事業以外の無機化学工業製品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ ろ過施設
ロ 遠心分離機
ヌ 廃ガス洗浄施設
ル 湿式集じん施設

第四十六号イ、ロ及びニ

四十六 第二十八号から前号までに掲げる事業以外の有機化学工業製品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 水洗施設
ロ ろ過施設
ニ 廃ガス洗浄施設

第四十七号ロからホまで

四十七 医薬品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ロ ろ過施設
ハ 分離施設
ニ 混合施設(第二条各号に掲げる物質を含有する物を混合するものに限る。以下同じ。)
ホ 廃ガス洗浄施設

第四十九号

四十九 農薬製造業の用に供する混合施設

第五十号

五十 第二条各号に掲げる物質を含有する試薬の製造業の用に供する試薬製造施設
(※第二条各号に掲げる物質を含有する試薬…今回の場合は鉛を含有する試薬)

第五十三号

五十三 ガラス又はガラス製品の製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 研摩洗浄施設
ロ 廃ガス洗浄施設

第五十八号(鉛を含有する電気用特殊陶磁器原料又はうわ薬原料の精製業の用に供するものに限る。)

五十八 窯業原料(うわ薬原料を含む。)の精製業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 水洗式破砕施設
ロ 水洗式分別施設
ハ 酸処理施設
ニ 脱水施設

第六十二号ロ(鉛電極又は鉛合金電極を用いて電解を行うものに限る。)、ホ及びヘ

六十二 非鉄金属製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ロ 電解施設(溶融塩電解施設を除く。)
ホ 廃ガス洗浄施設
ヘ 湿式集じん施設

第六十三号ハ及びホ

六十三 金属製品製造業又は機械器具製造業(武器製造業を含む。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ハ カドミウム電極又は鉛電極の化成施設
ホ 廃ガス洗浄施設

第六十五号

六十五 酸又はアルカリによる表面処理施設

第六十六号

六十六 電気めつき施設

第七十一号の二イ

七十一の二 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する研究、試験、検査又は専門教育を行う事業場で環境省令で定めるものに設置されるそれらの業務の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設

引用が長くなりましたが、特別管理産業廃棄物かどうかを判断する廃棄物(今回は例として)、鉛を含む汚泥が発生する施設が、これらの施設又はトリニトロレゾルシン鉛製造施設に該当するかどうかを確認します。

次回は、濃度による判定基準について説明します。

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2018.09.03 ネイチャーポジティブ

そうだったのか!マイクロプラスチック問題とは?(3) 〜マイクロプラスチックの問題と国際動向について〜

廃棄物処理

【6】マイクロプラスチックの影響

この海洋を漂うマイクロプラスチックがなぜ環境問題となるのでしょうか?

最大の要因は海洋生物がマイクロプラスチックを摂取してしまうことです。

海洋中の魚類、貝類、甲殻類などがマイクロプラスチックを誤飲した事例が報告されています。マイクロプラスチックは体内で消化されないため、粒子経が非常に細かい場合はそのまま体外へ放出されますが、粒子経がある程度大きい場合には消化器官の閉塞などの問題を引き起こし、最悪の場合は個体が死んでしまいます。

また、影響を受けるのは、魚介類だけではありません。「動物プランクトンによるマイクロプラスチック摂取」(Environmental Science & Technology誌)によれば、動物プランクトンもマイクロプラスチックを摂取することが報告がされています。マイクロプラスチックの誤食により脂質代謝に障害が起きるなどの影響が確認されています。

【図5】マイクロプラスチックを摂取した動物プランクトン
緑色に蛍光発光するポリスチレンビーズ(1.7μm-30.6μm)を観察

【出典】Matthew Cole et al., “Microplastic Ingestion by Zooplankton,” Environ. Sci. Technol., 2013, 47 (12), pp 6646–6655, DOI: 10.1021/es400663f

さらにマイクロプラスチックはその表面にPCBs(ポリ塩化ビフェニル)などの残留性有機汚染物質(POPs)を吸着させやすいという性質があります。実際に、日本の沖合海域で採取されたマイクロプラスチックから、海水中の濃度よりも高濃度のPCBsやDDE(ジクロロジフェニルジクロロエチレン)などの有害物質が検出されたという事例も報告されています。有害物が付着したマイクロプラスックを生物が食べてしまうことが起きているのです。

マイクロプラスチックを介した有害物資の生体への移行については、未だ詳細が明らかとはなっておりませんが、食物連鎖を通じて、有害物質がプランクトンから魚類、そして我々人間への蓄積する可能性も指摘されています。

【7】海洋プラスチック・マイクロプラスチックの発生防止へ向けた取組み

1970年代からプラスチックを中心とした海洋ゴミの調査は行われていました(【1】海洋ごみとは?参照)。
しかし、広大な海洋に漂流しているゴミは、誰のゴミか?それを誰がどうやって回収し処理するのか?その費用負担は誰がするの?という点が難題になっています。

その中で大量に存在し、かつ耐久性があり、生態系への被害もあるプラスチック(マイクロプラスチック)に関する国際的な議論が活発となったのは2015年以降です。
2015年のG7エルマウ・サミットにおいて、海洋ごみ問題が初めて首脳宣言に取り上げられました。
海洋ごみの発生予防や回収・処理のための行動を開始すること、マイクロプラスチック汚染の元となるマイクロビーズの自発的な廃止を目指すこと等が合意されました。

その後も、G7サミットや国連環境総会(UNEA)で、海洋プラスチックやマイクロプラスチックの発生防止へ向けた議論が行われてきました。

2018年のG7シャルルボワ・サミットで、カナダ及び欧州各国が自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」に署名しました。「海洋プラスチック憲章」には、プラスチックのリユース・リサイクル目標やプラスチック製品への再生プラスチック材の使用率の増加などが盛り込まれています。
またプラスチック製品のデザイン変革や適切なプラスチックごみの回収・リサイクルを通じて、海洋プラスチックごみ防止に向けた国際的な取組みを推進するものです。

日本は「海洋プラスチック憲章」には署名をしませんでした。プラスチック使用削減の実現には、市民・産業界との調整が必要であり、その準備が足りないため参加を見送ったことが理由として挙げられております。

日本国内では、2018年6月に閣議決定した第4次循環型社会形成推進基本計画の中で、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略(「プラスチック資源循環戦略」)を策定し、これに基づく施策を進めていくことが明記され、プラスチック使用の削減、プラスチックごみの回収・再生利用、バイオプラスチックの実用性向上と化石燃料由来プラスチックの代替促進などに取り組むとしています。

現在は、「プラスチック資源循環戦略」の作成へ向けて、中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会が開催されています。「プラスチック資源循環戦略」は海洋プラスチック憲章の内容をカバーしつつ、2019年のG20までに策定するとしています。

マイクロプラスチックに関する取り組みもあります。
2016年3月、日本化粧品工業連合会は会員企業に対して、洗い流しのスクラブ製品(研磨剤入の洗顔料など)におけるマイクロプラスチックビーズの使用中止に向けた対応を図ることを要請しています。
また2018年6月には、海岸漂着物処理推進法が改正され、製造メーカーに対してマイクロプラスチックの使用抑制を求めています。

アメリカでは、2015年にアメリカ連邦議会で「Microbead-Free Waters Act of 2015」が可決されており、プラスチック製のマイクロビーズを含んだ、洗い流して使用する化粧品の販売・商取引が禁止されました。最近ではカナダ、オーストラリア、イギリスなどでも、アメリカと同様に国レベルでマイクロビーズの使用を禁止する動きが見られます。

このようにプラスチック・マイクロプラスチックの海洋への流出防止を目的として、その使用を規制・抑制するため各国で具体的な対策が始まっています。

【参考ホームページ】

外務省ホームページ
G7シャルルボワ・サミット 成果文書 健全な海洋及び強じんな沿岸コミュニティのためのシャルルボワ・ブループリント(仮訳)

G7 2018 Official Documents
Charlevoix Blueprint for Healthy Oceans, Seas and Resilient Coastal Communities

森田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 森田 が担当しました

2018.08.01 ネイチャーポジティブ

そうだったのか!マイクロプラスチック問題とは?(2) 〜マイクロプラスチックについて〜

廃棄物処理

【2】マイクロプラスチックの定義

マイクロプラスチックは微小なプラスチックのことを指します。ただ、その大きさに関して公式の定義はありませんが、多くの場合5mm(ミリメートル)以下のプラスチック粒子を指します。(よって、ペットボトルやレジ袋などはマイクロプラスチックには含まれません。)

単位におけるマイクロ(μ)は100万分の1のことですので、1マイクロメートルは、髪の毛の太さのさらに千分の1程度になります。実際にマイクロプラスチックは、マイクロよりさらに小さい、nm(ナノメートル)単位(10億分の1m)のサイズも存在しています。これらは当然、目視できず、電子顕微鏡などでしか確認できないサイズです。

【3】マイクロプラスチックの種類と発生源

マイクロプラスチックはその発生源の違いから大きく2種類に分けられています。

(1)一次マイクロプラスチック(primary microplastics)

一次マイクロプラスチックとは、製品や製品原料として使用する目的のため、微小なサイズで製造されたプラスチックを指します。つまり、「元々小さかったプラスチック」です。

図1には、一次マイクロプラスチックの例を示します。


【図1】一次マイクロプラスチックの例

a)歯磨き粉から採取されたマイクロプラスチック(image courtesy of Joel Baker, scale bar: 40μm)
b)海岸で採取されたレジンペレット(image courtesy of Hideshige Takada, scale bar: 1cm)
【出典】UNEP (2016). Marine Plastic Debris and Microplastics.

写真左側のa)は歯磨き粉です。歯磨き粉には、汚れを擦り取るための研磨剤(マイクロビーズ)が含まれている場合があります。(すべての製品が含まれているわけではありません)。
写真右側のb)はレジンペレットです。レジンペレットはプラスチック製品の原料で、これを溶かし、成型するとプラスチック製品となります。これらもサイズによっては、マイクロプラスチックに該当します。

(2)二次マイクロプラスチック(secondary microplastics)

二次マイクロプラスチックとは、プラスチック製品が自然環境中で劣化し、粉々になることで生じたマイクロプラスチックを指します。つまり「元々大きかったのに摩耗等で小さくなった破片」のことです。海洋に流出したプラスチック製のボトルやビニール袋などのプラスチック製品が、波や紫外線に晒され、劣化することで発生する場合が多いと考えられています。

図2には、二次マイクロプラスチックの例を示します。


【図2】二次マイクロプラスチックの例

英国プリマス付近の海岸線で採取されたマイクロプラスチック
(image courtesy of M. Browne & R. Thompson, Plymouth Univ.)
【出典】UNEP (2016). Marine Plastic Debris and Microplastics.

写真からは、何かのプラスチック製品の破片であることが判ります。

【4】マイクロプラスチックの発生量と世界的な分布

「世界の海洋におけるプラスチック汚染」(PLoS ONE誌)によれば、少なくとも5.25兆個のプラスチック粒子(268,940トンに相当すると推計される)が海洋の表面を浮遊しながら漂っていることが報告されています。

図3は、海洋におけるプラスチックの大きさごとの分布を表しており、右側のカラーバーの色分けは1平方キロメートル当たりのプラスチック粒子の個数を表しています。

左上の図は、0.33mm~1.00mmのサイズのマイクロプラスチックの分布状況です。日本近海では1平方キロメートルに10,000個程度のマイクロプラスチックが浮遊していることになります。
北太平洋、南太平洋、北大西洋、南大西洋、インド洋などの茶色系の濃い色で示された海域にはマイクロプラスチックが多く滞留していることが分かります。

左下の図は、200mm以上のサイズのプラスチックの分布状況です。(これはマイクロプラスチックではありません)。日本近海では1平方キロメートルに100~1,000個程度のプラスチックごみが浮遊していることになります。これらのプラスチックごみが波や紫外線により劣化することで、小さく砕かれ、粒子経の小さなマイクロプラスチックへと変化していきます。

例えば、ペットボトル1本が劣化を繰り貸せば、数多くのマイクロプラスチックになることも容易に想像できます。


【図3】プラスチック分布のモデル解析

【出典】Eriksen et al.,”Plastic Pollution in the World’s Oceans: More than 5 Trillion Plastic Pieces Weighing over 250,000 Tons Afloat at Sea,” PLoS ONE, 9(12): e111913, 2014.

では、これらのマイクロプラスチックはどこからやってきたのでしょうか?

【5】海洋へのプラスチックの流出

一次マイクロプラスチックは、下水処理でキャッチしきれない粒子が海に流出するのが、主な流出原因です。

先に例として示した歯磨き粉の研磨剤の場合は、歯磨きの後に洗面台から排水溝を通じて下水に流れ込みます。その後に下水処理施設へと運ばれて排水処理されますが、粒子径が非常に小さいため、一部は下水処理を通り抜けて河川・海へと流出してしまう場合があります。

一方、二次マイクロプラスチックは、陸上から海へのプラスチックごみの流出が主な原因です。陸上からは年間800万tとも言われるプラスチックごみが海洋に流出しており、二次マイクロプラスチックを発生させています。

「陸上から海洋へのプラスチックごみ流出」(Science誌)では、各国の海へのプラスチックごみ流出量が報告されています(図4)。

図4の色の違いはプラスチックごみの流出量の違いを表しており、黄色の国(日本、欧州など)では年間1万トン以上、オレンジの国(米国、インドなど)では年間25万トン以上のプラスチックごみが海洋に流出しています。特にこげ茶色・茶色で表された中国、タイ、インドネシアからは、1ヵ国あたり年間100万トン以上のプラスチックごみが海洋に流出していると報告されています。

これらの地域では、人口増加・経済成長に伴ってプラスチック製品の使用量が増加しているのに対して、プラスチックごみの回収や適切な処理などの廃棄物管理の体制整備が十分でないため、海洋へのプラスチックごみの流出を防ぐことが難しいことが指摘されています。

ところで、日本では、ごみの分別回収・処理の体制が整備されており、プラスチックごみも容器包装リサイクル法により回収・リサイクルがされています。そのため、日本からはプラスチックごみが海に流出する事はないだろうと思いがちですが、日本の海岸にも日本語の書かれているプラスチックごみが多く打ち上げられています。

公園で散乱したごみや、街中でごみ箱から溢れたごみが飛ばされて川に流され、そのまま海に流されたりもしますので、日本は大丈夫、という事でもありません。


【図4】各国のプラスチック廃棄物の流出量に関する推計(数字の単位は百万トン)

【出典】Jenna R. Jambeck et al.,” Plastic waste inputs from land into the ocean,” Science 347, 768 (2015), DOI: 10.1126/science.1260352

次号では、マイクロプラスチックの実際の影響や発生防止へ向けた取組みについて解説します。

森田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 森田 が担当しました

2018.08.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その5) ~特別管理産業廃棄物の判定基準~

廃棄物処理法

廃棄物処理法解説 はじめの一歩 シリーズ、その3では、特別管理産業廃棄物の定義について解説をしました。
その4では、特別管理産業廃棄物の定義の要件の1つである施設限定について解説しました。今回は「判定基準」について解説します。

【1】特定有害産業廃棄物

濃度に関する判定基準が規定されているのは、特別管理産業廃棄物のうちの特定有害産業廃棄物です。

その3 ~特別管理産業廃棄物の定義~ 特別管理産業廃棄物 一覧表 参照

特定有害産業廃棄物については、廃棄物処理法施行令第2条の4第5号に定義されています。具体例として、「廃油」を例として説明していきます。

【2】具体的にみてみましょう ~廃油~

廃棄物処理法施行令 第2条の4第5号ヌに廃油:「次に掲げる廃油及び当該廃油を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)」と書かれています。当該廃油を処分するために処理したものに係る基準は、施行規則に規定するということですので、次に施行規則を確認します。

廃棄物処理法施行規則第1条の2 第12項
令第2条の4第5号ヌの廃油を処分するために処理したものに係る環境省令で定める基準は、当該処理したものが、廃油の場合は廃溶剤(別表第2の9の項から18の項まで、22の項及び24の項の第1欄に掲げるものに限る。)ではないこととし、廃酸又は廃アルカリの場合は当該処理したものに含まれる別表第2の9の項から18の項まで、22の項及び24の項の第1欄に掲げる物質ごとにそれぞれ当該各項の第2欄に掲げるとおりとし、廃油、廃酸又は廃アルカリ以外の場合は当該処理したものに含まれる判定基準省令別表第6の9の項から18の項まで、22の項及び24の項の第2欄に掲げる物質ごとにそれぞれ当該各項の第3欄に掲げるとおりとする。

施行規則は、「廃油を処分するために処理したもの」に係る環境省令で定める基準は、という書き出しになっており、「廃油」についての濃度に関する基準はありません。
つまり、「廃油を処分するために処理したもの」に関しては、濃度基準がありますが、「廃油」についての濃度基準はないということになります。

なお、「廃油」とは、施行令において、12種類の溶剤と定義されていますので、特定有害廃棄物としての「廃油」=「12種類の廃溶剤」ということになります。

<廃棄物処理法施行規則第1条の2 第12項>

(※1)判定基準省令:金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令

【3】(参考)処分するために処理したものとは

廃棄物を処分した際に、発生した残渣などを指します。

【4】まとめ

廃油が特別管理産業廃棄物なのかを判定する流れを、フロー図にまとめました(「施行令で定める廃油(廃溶剤)を処分するために処理したもの」の考え方は前記のとおりです。)。

(※2)特別管理産業廃棄物の廃油に該当するかどうかについては、「引火点が70℃未満の燃焼しやすいもの」という指標があります。環境省の特別管理産業廃棄物の種類にも記載があります。「引火点が70℃未満の燃焼しやすいもの」に関しては、廃棄物処理法、施行令、施行規則に記載はなく、課長通知によって示さています。

厚生省環境整備課長通知(平成4年8月13日 衛環第233号)の第2 4(1)

特別管理産業廃棄物である「廃油(燃焼しにくいものとして厚生省令で定めるものを除く。)」とは、廃油のうち焼却を経なければ埋め立てることができないものを焼却処理の技術上の観点から定めることを意味するものであり、当該廃油に対する規制は、火災予防の観点から行われるものではないこと。なお、廃油に係る火災予防の観点からの規制は、従来どおり消防法により行われること。

消防法では、
揮発油類:危険物第4類引火性液体の第1石油類(1気圧下で引火点21度未満)
灯油類及び軽油類:第2石油類(1気圧下で引火点21度以上70度未満)
とされています。

(※3)燃焼しやすい廃油で特別管理産業廃棄物に該当し、さらに、溶剤の成分を含むため、特別有害産業廃棄物に該当する、という場合もあります。

<参考>
廃棄物処理法施行規則 別表第2(第1条の2関係)

第1欄 第2欄
9 トリクロロエチレン 試料1リットルにつきトリクロロエチレン1ミリグラム以下
10 テトラクロロエチレン 試料1リットルにつきテトラクロロエチレン1ミリグラム以下
11 ジクロロメタン 試料1リットルにつきジクロロメタン2ミリグラム以下
12 4塩化炭素 試料1リットルにつき4塩化炭素0.2ミリグラム以下
13 1,2−ジクロロエタン 試料1リットルにつき1,2−ジクロロエタン0.4ミリグラム以下
14 1,1−ジクロロエチレン 試料1リットルにつき1,1−ジクロロエチレン十ミリグラム以下
15 シス−1,2−ジクロロエチレン 試料1リットルにつきシス−1,2−ジクロロエチレン4ミリグラム以下
16 1,1,1−トリクロロエタン 試料1リットルにつき1,1,1−トリクロロエタン三十ミリグラム以下
17 1,1,2−トリクロロエタン 試料1リットルにつき1,1,2−トリクロロエタン0.6ミリグラム以下
18 1,三−ジクロロプロペン 試料1リットルにつき1,三−ジクロロプロペン0.2ミリグラム以下
22 ベンゼン 試料1リットルにつきベンゼン1ミリグラム以下
24 1,4−ジオキサン 試料1リットルにつき1,4−ジオキサン五ミリグラム以下

【関連リンク】
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則
金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令

東京都ホームページ
特別管理産業廃棄物の判定基準

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2018.08.01 リスク管理 廃棄物管理

PCB汚染物の判定基準は?

PCB

Q:特別管理産業廃棄物のPCB汚染物に該当するかどうかは、どう判定するのですか?

A:

判断基準に関する通知によって判断します。

■微量のPCBが混入した廃電気機器

廃電気機器に関しては、環境省による課長通知「重電機器等から微量のPCBが検出された事案について」(平成16年2月17日環廃産発040217005)において、
「機器毎に測定した当該廃重電機器等に封入された絶縁油中のPCB濃度が処理の目標基準である0.5mg/kg以下であるときは、当該廃重電機器等は、PCB廃棄物に該当しないものであること」とされています。

すなわち、非意図的に微量のPCBが混入した廃電気機器等に関しては、廃電気機器に封入されている絶縁油の濃度によって、低濃度PCB汚染廃棄物か、そうでないかを判定する事になります。

■低濃度PCB汚染物

環境省による課長通知「低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について(通知)」(2019年3月28日)において、低濃度PCB汚染物に該当するかどうかの判断基準が示されました。

対象形態卒業基準PCB汚染物ではないことの判断基準分析方法
廃油当該廃油に含まれるもの0.5mg/㎏以下同左・告示第192号(注2)別表第二
・告示第192号別表第三の第一
・簡易測定法マニュアル(注3)
廃酸、
廃アルカリ
当該廃酸、廃アルカリに含まれるもの0.03mg/L以下同左・環境庁告示第13号(注4)
廃プラ付着し、又は封入されたもの0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと同左・告示第192号別表第三の第二
・告示第192号別表第三の第三
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法(注5)を準用
金属くず付着し、又は封入されたもの0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと同左・告示第192号別表第三の第二
・告示第192号別表第三の第三
陶磁器くず付着したもの0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと同左・告示第192号別表第三の第二
・告示第192号別表第三の第三
紙くず塗布され、又は染み込んだもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・告示第192号別表第四
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用
木くず、
繊維くず
染み込んだもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・告示第192号別表第四
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用
コンクリートくず付着したもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・環境庁告示第13号
汚泥染み込んだもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・環境庁告示第13号
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用
その他検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・環境庁告示第13号

例外的に、
塗膜くずや少量の低濃度PCB汚染油が染み込んだもの(紙くず、木くず、繊維くず等)で、PCBを含む油が自由液(※)として明らかに存在していない場合で、PCBの含有濃度が0.5mg/kg以下の場合には、
低濃度PCB汚染物に該当しない。と判断することとされています。

(※)自由液:PCBを含む油が染み込んだり付着した廃棄物から、PCBを含む油が染み出したり脱離して、液体状態として確認できるもの

また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第2条の4第5号ル(9)において定められている特定の工場又は事業場で排出される汚泥、廃酸又は廃アルカリについては、今まで通りの運用となります。

■参考:卒業基準(PCB処理物)

廃棄物処理法施行令(第2条の4第5項ハ)、廃棄物処理法施行規則(第1条の2第4項)では、PCB処理物に関する濃度基準(いわゆる卒業判定基準)が規定されています。

  • 廃油 0.5mg/kg
  • 廃酸・廃アルカリ 0.03mg/L
  • 廃プラスチック類・金属くず・陶磁器くず(洗浄設備を用いて処分・再生したもの)
    洗浄液試験法 0.5mg/kg、拭き取り試験法 0.1μg/100cm2、部材採取試験法 0.01mg/kg
  • 金属くず・陶磁器くず(分離設備を用いて処分・再生したもの)
    拭き取り試験法 0.1μg/100cm2、部材採取試験法 0.01mg/kg
  • 上記以外 0.003mg/L

※廃棄物処理法での規定内容は以上の通りですが、実際の運用については自治体により異なる場合もあります。

堀岡 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部 堀岡 が担当しました

2018.07.02 ネイチャーポジティブ

そうだったのか!マイクロプラスチック問題とは?(1) 〜海洋ごみとは?〜

廃棄物処理

【1】海洋ごみとは?

「海洋ごみ」と聞くと、砂浜に散らかっているペットボトル、発泡スチロール、ビニール袋などのプラスチックごみ、流木や漁具(漁網や浮きなど)をイメージする方が多いと思います。(写真1)
しかし、このような砂浜のごみは「海洋ごみ」のごくごく一部であり、「海洋ごみ」の多くは海流や風の影響を受けながら海洋中を漂流しています。(当然、海底に沈むごみもあります)

【写真1】流れ着いた海洋ごみ
(環境省:漂流・漂着ごみに係る国内削減方策モデル調査総括検討会報告書

流木等は海を漂流する間に分解されますが、プラスチック製の容器や漁具は長持ちするように(分解されないように)作ってあるので、漂流中に分解されません。分解されないので自然に還らず、回収されない限りは海洋を漂流して、海洋中にプラスチックごみが蓄積されていってしまいます。

(1)海洋ごみの影響

海洋ごみの影響として真っ先に思いつくのは、砂浜の景観の悪化ではないでしょうか。砂浜に散乱しているごみは清掃をすれば、きれいになりますが、もっと深刻な問題として指摘されているのは、海洋生物に与える影響です。
例えば、魚がカラフルなプラスチック片を餌と間違えて食べてしまったり、漁網や釣り糸等に魚や海鳥が絡まってしまうといった問題です。


【写真2】プラスチック被害にあった生きもの

[左・中]Figure 7.1 Examples of entanglement by fishing debris: a) a entangled seal (John Vonderlin via Flickr); b) a sea turtle entangled in a ghost net, (Doug Helton, NOAA/NOS/ORR/ERD)
[右]Figure7.4 Plastic in the gut of laysan albatros chick, Green Island, Papahanaumokuakea Marine National Moument in the Northwestern Hawaiian Island. (Photographer Claire Fackler NOAA National Marine Sanctuaries)
(出典:UNEP MARINE PLASTIC DEBRIS AND MICROPLASTICS Global lessons and research to inspire action and guide policy change

確かに釣りで使うルアー(図参照)は、言うなれば、「魚に食べてもらうための派手なプラスチック」です。魚が飲み込むことは大いにありえます。


【写真3】ルアー

(2)調査状況

このような海洋ごみ(特にプラスチック)の調査は、UNESCOの石油類による海洋汚染調査の一環として日本では1976年から始まりました。定期的に気象庁が日本の周辺海域に浮遊しているプラスチックごみのモニタリング調査を行っており、海面浮遊汚染物質(プラスチック類)の観測結果は気象庁のホームページで紹介されております。

図1は海洋ごみ調査のために船を走らせて、目視により確認できた浮遊プラスチックの量から平均的な分布を示したものに、日本近海の海流の流れを合わせた図です。
これより海洋ごみは、日本や中国の近海に多く、黒潮などの海流に乗って移動していることが判ります。

【図1】航走100kmあたりの発見個数で示した浮遊プラスチック類の平均的な分布(1981~2010年の30年平均)より作者作成
【出典】気象庁ホームページ「海洋の健康診断表 総合診断表 第2版」

また世界の海洋ごみについては、世界経済フォーラム報告書で、プラスチック容器包装材を中心に少なくとも年間800万トンものプラスチックが海洋に流出しており、現在海洋には1億5000万トン以上のプラスチックが存在していると推計されています。
また本報告書によれば、海洋へのプラスチック流出量は増加傾向にあり、このまま何も対策が講じられない場合には2050年には海洋中のプラスチックの重量が魚の重量を上回るといった報告もされております。

【参考】世界経済フォーラム報告書
Ellen MacArthur Foundation, “The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics,” 2016.1.19, p.17.

このように、海洋のプラスチックごみ問題は日本だけでなく世界的に広く認識されています。加えて、海洋プラスチックごみによる環境問題の議論が進むにつれて、プラスチックごみの中でも微小なサイズであるマイクロプラスチックが注目されるようになり、2014年頃から国際的な会議の場で、海洋中のマイクロプラスチックの存在量や環境への影響が取り上げられるようになりました。

次号では、マイクロプラスチックについて解説します。

森田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 森田 が担当しました

2018.05.08 リスク管理 廃棄物管理

蛍光灯の安定器にPCBが使われているかは、絶縁油を抜き取って調査しないといけないのですか?

PCB

Q:蛍光灯の安定器にPCBが使われているかどうかは、蛍光灯の安定器からPCBを抜き取って、個別に調査しないといけないのですか?

A:

安定器に添付された銘板に記載されている「メーカー、型式・種別、製造年月日」等の情報をメーカーに問い合わせる事でPCB使用安定器か、PCB不使用安定器かを判別できます。
(詳細については、メーカーのホームページに記載がある場合もありますので、ご確認ください)

■廃安定器の仕分けフロー

■分別

銘板を確認して、廃安定器を、PCB使用安定器とPCB不使用安定器とに分別する事で、JESCOへの処理委託数量を削減する事ができ、日本のPCB廃棄物の早期処理の実現にも寄与します。

■取り外し(分解・解体)

コンデンサ外付け安定器の分解・解体は原則禁止ですが、目視により、膨張、腐食、油にじみ等コンデンサの形状及び性状に変化が生じていない事が確認できた場合には、生活環境保全上の支障防止措置を実施した上で、コンデンサの取り外しができる事とされています。そして、コンデンサ取り外し後の残部材(トランス部)は、PCB濃度分析を行い、適正に処理の委託を行います。
コンデンサ充填剤固定型安定器の分解解体によるコンデンサの取り外しは一切禁止されていますので、ご注意ください。

解体可能な安定器の種類、解体の方法、解体の際に求められる生活環境保全上の支障を防止する措置については、「ポリ塩化ビフェニルが使用された廃安定器の分解又は解体について(通知)」に記載があります。作業中の飛散による環境汚染対策や安全な作業環境の確保にご留意ください。

【参照ホームページ】

一般社団法人日本照明工業会ホームページ
PCB使用照明器具に関する情報 パンフレット(PDF)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)ホームページ
廃安定器の仕分けの徹底・促進について

環境省ホームページ
ポリ塩化ビフェニルが使用された廃安定器の分解又は解体について(通知)(平成26年環産発第14091618号)

堀岡 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部 堀岡 が担当しました

2018.04.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その4) ~特別管理産業廃棄物の排出元施設限定~

廃棄物処理法

前回、特別管理産業廃棄物の定義の概要について説明しました。
今回は、特別管理産業廃棄物の排出元施設限定について説明します。

【1】まず施行令をチェック

特別管理産業廃棄物の排出元施設限定について規定されている、廃棄物処理法施行令第2条の4の確認をします。

廃棄物処理法施行令第2条の4には、それぞれの特別管理産業廃棄物毎に成分、排出元施設について記載されていて、別表も合わせると非常に長い条文です。長いというだけで心が折れそうになりますが、順に見ていくしかありません。がんばりましょう。

長い条文をどうやって読んでいけばいいのかのイメージが掴めるように、エコジャーナル読者の皆様に馴染みが深いと思われる「廃油」を例として、以下説明していきます。

【2】廃油の規定を例に

廃棄物処理法施行令 第2条の4第5号ヌに廃油:「次に掲げる廃油及び当該廃油を処分するために処理したもの」についての規定があります。

条文には(1)から(12)まであり、廃溶剤について成分と施設をもって限定しています。原文から成分の限定と施設の限定を抜き出すと、以下の表になります。

<成分の限定> <施設の限定>
(1) トリクロロエチレン 別表第3の11の項
(2) テトラクロロエチレン 別表第3の12の項
(3) ジクロロメタン 別表第3の13の項
(4) 四塩化炭素 別表第3の14の項
(5) 1・2 -ジクロロエタン 別表第3の15の項
(6) 1・1 -ジクロロエチレン 別表第3の16の項
(7) シス- 1・2 -ジクロロエチレン 別表第3の17の項
(8) 1・1・1 -トリクロロエタン 別表第3の18の項
(9) 1・1・2 -トリクロロエタン 別表第3の19の項
(10) 1・3 -ジクロロプロペン 別表第3の20の項
(11) ベンゼン 別表第3の21の項
(12) 1・4 – ジオキサン 別表第3の11の項

(1)~(12)までの成分によってそれぞれ、施設の限定に関しての規定が異なっています。

【3】トリクロロエチレンを含む廃油を例に

成分によって異なる施設の限定について確認するために、廃棄物処理法施行令 別表第3を確認することになります。
例として、(1)のトリクロロエチレンに関して説明します。

トリクロロエチレンに関しては、別表第3の11の項を確認します。

廃棄物処理法施行令 別表第三の一一の項
水質汚濁防止法施行令(昭和四十六年政令第百八十八号)別表第一(以下「水質汚濁防止令別表第一」という。)第十九号ト及びチ、第二十三号の二、第四十一号ロ、第四十七号ニ、第五十号、第五十一号ホ、第六十六号、第六十七号、第七十一号の二イ並びに第七十一号の五に掲げる施設並びにトリクロロエチレンによる表面処理施設

別表第3の11には、「水質汚濁防止法施行令の別表第一」のうちのいくつかの施設と、「トリクロロエチレンによる表面処理施設」が記載されています。

したがって、今度は「水質汚濁防止法施行令の別表のうちのいくつかの施設」について確認をしなければいけません。長くなりますが、該当部分を抜粋します。

【4】水質汚濁防止法施行令の別表第1をチェック

第十九号ト及びチ
十九 紡績業又は繊維製品の製造業若しくは加工業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ト 染色施設
チ 薬液浸透施設
第二十三号の二
二十三の二 新聞業、出版業、印刷業又は製版業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 自動式フイルム現像洗浄施設
ロ 自動式感光膜付印刷版現像洗浄施設
第四十一号ロ
四十一 香料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設
ロ 抽出施設
第四十七号ニ
四十七 医薬品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ニ 混合施設(第二条各号に掲げる物質を含有する物を混合するものに限る。以下同じ。)
第五十号
五十 第二条各号に掲げる物質を含有する試薬の製造業の用に供する試薬製造施設
第五十一号ホ
五十一 石油精製業(潤滑油再生業を含む。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ホ 潤滑油洗浄施設
第六十六号
六十六 電気めつき施設
第六十七号
六十七 洗濯業の用に供する洗浄施設
第七十一号の二イ
七十一の二 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する研究、試験、検査又は専門教育を行う事業場で環境省令で定めるものに設置されるそれらの業務の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設
第七十一号の五
七十一の五 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン又はジクロロメタンによる洗浄施設(前各号に該当するものを除く。)

引用が長くなりましたが、トリクロロエチレンを含む廃油が発生する施設が、これらの施設と表面処理施設に該当すれば、特別管理産業廃棄物(特別有害廃棄物)であり、以上の検討の結果、特別管理産業廃棄物に該当しなければ、(普通)産業廃棄物ということになります。

【5】施設の限定に関しての確認の流れ

【6】さいごに

特別管理産業廃棄物の定義については、条文の参照が多いので非常にとっつきにくいと感じますが、法令は整理されて記載されているため、半日程度時間を確保して、心を落ち着けて該当箇所を順に確認して行けば、理解は難しくないと思います。

次回は、特別管理産業廃棄物の判定基準について説明します。

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2018.03.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その3) ~特別管理産業廃棄物の定義~

廃棄物処理法

■法での定義

特別管理産業廃棄物は、廃棄物処理法にて定義され、処理基準が設けられる等、通常の廃棄物よりも厳しい規制が行われています。

廃棄物処理法 第2条(定義)

第5項 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。

政令で定められている具体的な内容については、一覧表でご確認ください。

特別管理産業廃棄物
排出元施設限定あり 判定基準あり
廃油 揮発油類、灯油類、軽油類(難燃性のタールピッチ類等を除く)
廃酸 著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸
廃アルカリ 著しい腐食性を有するpH12.5以上の廃アルカリ
感染性産業廃棄物 医療機関等から排出される産業廃棄物であって、感染性病原体が含まれ若しくは付着しているおそれのあるもの
特定有害産業廃棄物 廃PCB等 廃PCB及びPCBを含む廃油
PCB汚染物 PCBが染みこんだ汚泥、PCBが塗布され、又は染みこんだ紙くず、PCBが染みこんだ木くず若しくは繊維くず、PCBが付着し、又は封入されたプラスチック類若しくは金属くず、PCBが付着した陶磁器くず若しくはがれき類
PCB処理物 廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したものでPCBを含むもの
廃水銀等 ①特定の施設において生じた廃水銀等
②水銀若しくはその化合物が含まれている産業廃棄物又は水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀
指定下水汚泥 下水道法施行令第13条の4の規定により指定された汚泥
鉱さい 重金属等を一定濃度を超えて含むもの
廃石綿等 石綿建材除去事業に係るもの又は大気汚染防止法の特定粉じん発生施設が設置されている事業場から生じたもので飛散するおそれのあるもの
燃え殻 重金属等、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの
ばいじん 重金属等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの
廃油 有機塩素化合物等、1,4-ジオキサンを含むもの
汚泥、廃酸又は廃アルカリ 重金属等、PCB、有機塩素化合物等、農薬等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの

出所:環境省ホームページ 特別管理廃棄物の一覧より一部抜粋、一部追記

環境省ホームページ
特別管理廃棄物規制の概要

次回は、「排出元施設」限定について説明します。

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2018.01.09 リスク管理 廃棄物管理

微量PCB汚染機器である変圧器の絶縁油の交換について

PCB

Q:微量PCB汚染機器である変圧器の絶縁油を新油に交換すれば、無害化した事になるのですか?

A:

微量PCB汚染(含有)電気機器の絶縁油を単に新油に交換しただけでは、無害化されたことにはなりません。

無害化の方法として、A)課電自然循環洗浄と B)焼却または洗浄処理があります。課電自然循環洗浄が適応できるかの判断についてフローチャートにまとめました。
ご確認ください。

A)課電自然循環洗浄

電路に接続された使用中の微量PCB含有電気機器に対しては、「微量PCB含有電気機器 課電自然循環洗浄実施手順書」に従って洗浄(絶縁油を新油に交換し、一定期間の課電)を行うことによって無害化できます。

本方法により洗浄が完了した電気機器についてはPCB非含有機器として継続使用することができます。
ただし本方法は、機器の銘板の絶縁油量が2,000L以上かつ、絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kgを超え5mg/kg以下の機器に対してのみ適用されるものです。

油量が2,000L未満の場合や、PCB濃度が5mg/kgを超える使用中の機器に対しては、仮に手順書に準拠して洗浄を行ったとしても無害化されたことにはなりませんので、特に注意が必要です。
また、新油との交換のために抜油した絶縁油については、低濃度PCB廃棄物として焼却(または分解)により無害化処理を行う必要があります。

B)焼却または洗浄による無害化処理

使用中の微量PCB含有電気機器でも油量や濃度が手順書の適用条件を満たさない場合や、既に電路から取り外された廃電気機器に対しては低濃度PCB廃棄物として、絶縁油・筐体ともに、焼却または洗浄により無害化処理を行う必要があります。

【参考資料】

経済産業省ホームページ
「微量PCB含有電気機器課電自然循環洗浄実施手順書」を改正しました

環境省ホームページ
微量PCB含有電気機器 課電自然循環洗浄実施手順書」改正及び意見募集(パブリックコメント)の結果について
PCB早期処理情報サイト

堀岡 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部 堀岡 が担当しました