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DOWAエコジャーナル

2018.08.01 ネイチャーポジティブ

そうだったのか!マイクロプラスチック問題とは?(2) 〜マイクロプラスチックについて〜

廃棄物処理

【2】マイクロプラスチックの定義

マイクロプラスチックは微小なプラスチックのことを指します。ただ、その大きさに関して公式の定義はありませんが、多くの場合5mm(ミリメートル)以下のプラスチック粒子を指します。(よって、ペットボトルやレジ袋などはマイクロプラスチックには含まれません。)

単位におけるマイクロ(μ)は100万分の1のことですので、1マイクロメートルは、髪の毛の太さのさらに千分の1程度になります。実際にマイクロプラスチックは、マイクロよりさらに小さい、nm(ナノメートル)単位(10億分の1m)のサイズも存在しています。これらは当然、目視できず、電子顕微鏡などでしか確認できないサイズです。

【3】マイクロプラスチックの種類と発生源

マイクロプラスチックはその発生源の違いから大きく2種類に分けられています。

(1)一次マイクロプラスチック(primary microplastics)

一次マイクロプラスチックとは、製品や製品原料として使用する目的のため、微小なサイズで製造されたプラスチックを指します。つまり、「元々小さかったプラスチック」です。

図1には、一次マイクロプラスチックの例を示します。


【図1】一次マイクロプラスチックの例

a)歯磨き粉から採取されたマイクロプラスチック(image courtesy of Joel Baker, scale bar: 40μm)
b)海岸で採取されたレジンペレット(image courtesy of Hideshige Takada, scale bar: 1cm)
【出典】UNEP (2016). Marine Plastic Debris and Microplastics.

写真左側のa)は歯磨き粉です。歯磨き粉には、汚れを擦り取るための研磨剤(マイクロビーズ)が含まれている場合があります。(すべての製品が含まれているわけではありません)。
写真右側のb)はレジンペレットです。レジンペレットはプラスチック製品の原料で、これを溶かし、成型するとプラスチック製品となります。これらもサイズによっては、マイクロプラスチックに該当します。

(2)二次マイクロプラスチック(secondary microplastics)

二次マイクロプラスチックとは、プラスチック製品が自然環境中で劣化し、粉々になることで生じたマイクロプラスチックを指します。つまり「元々大きかったのに摩耗等で小さくなった破片」のことです。海洋に流出したプラスチック製のボトルやビニール袋などのプラスチック製品が、波や紫外線に晒され、劣化することで発生する場合が多いと考えられています。

図2には、二次マイクロプラスチックの例を示します。


【図2】二次マイクロプラスチックの例

英国プリマス付近の海岸線で採取されたマイクロプラスチック
(image courtesy of M. Browne & R. Thompson, Plymouth Univ.)
【出典】UNEP (2016). Marine Plastic Debris and Microplastics.

写真からは、何かのプラスチック製品の破片であることが判ります。

【4】マイクロプラスチックの発生量と世界的な分布

「世界の海洋におけるプラスチック汚染」(PLoS ONE誌)によれば、少なくとも5.25兆個のプラスチック粒子(268,940トンに相当すると推計される)が海洋の表面を浮遊しながら漂っていることが報告されています。

図3は、海洋におけるプラスチックの大きさごとの分布を表しており、右側のカラーバーの色分けは1平方キロメートル当たりのプラスチック粒子の個数を表しています。

左上の図は、0.33mm~1.00mmのサイズのマイクロプラスチックの分布状況です。日本近海では1平方キロメートルに10,000個程度のマイクロプラスチックが浮遊していることになります。
北太平洋、南太平洋、北大西洋、南大西洋、インド洋などの茶色系の濃い色で示された海域にはマイクロプラスチックが多く滞留していることが分かります。

左下の図は、200mm以上のサイズのプラスチックの分布状況です。(これはマイクロプラスチックではありません)。日本近海では1平方キロメートルに100~1,000個程度のプラスチックごみが浮遊していることになります。これらのプラスチックごみが波や紫外線により劣化することで、小さく砕かれ、粒子経の小さなマイクロプラスチックへと変化していきます。

例えば、ペットボトル1本が劣化を繰り貸せば、数多くのマイクロプラスチックになることも容易に想像できます。


【図3】プラスチック分布のモデル解析

【出典】Eriksen et al.,”Plastic Pollution in the World’s Oceans: More than 5 Trillion Plastic Pieces Weighing over 250,000 Tons Afloat at Sea,” PLoS ONE, 9(12): e111913, 2014.

では、これらのマイクロプラスチックはどこからやってきたのでしょうか?

【5】海洋へのプラスチックの流出

一次マイクロプラスチックは、下水処理でキャッチしきれない粒子が海に流出するのが、主な流出原因です。

先に例として示した歯磨き粉の研磨剤の場合は、歯磨きの後に洗面台から排水溝を通じて下水に流れ込みます。その後に下水処理施設へと運ばれて排水処理されますが、粒子径が非常に小さいため、一部は下水処理を通り抜けて河川・海へと流出してしまう場合があります。

一方、二次マイクロプラスチックは、陸上から海へのプラスチックごみの流出が主な原因です。陸上からは年間800万tとも言われるプラスチックごみが海洋に流出しており、二次マイクロプラスチックを発生させています。

「陸上から海洋へのプラスチックごみ流出」(Science誌)では、各国の海へのプラスチックごみ流出量が報告されています(図4)。

図4の色の違いはプラスチックごみの流出量の違いを表しており、黄色の国(日本、欧州など)では年間1万トン以上、オレンジの国(米国、インドなど)では年間25万トン以上のプラスチックごみが海洋に流出しています。特にこげ茶色・茶色で表された中国、タイ、インドネシアからは、1ヵ国あたり年間100万トン以上のプラスチックごみが海洋に流出していると報告されています。

これらの地域では、人口増加・経済成長に伴ってプラスチック製品の使用量が増加しているのに対して、プラスチックごみの回収や適切な処理などの廃棄物管理の体制整備が十分でないため、海洋へのプラスチックごみの流出を防ぐことが難しいことが指摘されています。

ところで、日本では、ごみの分別回収・処理の体制が整備されており、プラスチックごみも容器包装リサイクル法により回収・リサイクルがされています。そのため、日本からはプラスチックごみが海に流出する事はないだろうと思いがちですが、日本の海岸にも日本語の書かれているプラスチックごみが多く打ち上げられています。

公園で散乱したごみや、街中でごみ箱から溢れたごみが飛ばされて川に流され、そのまま海に流されたりもしますので、日本は大丈夫、という事でもありません。


【図4】各国のプラスチック廃棄物の流出量に関する推計(数字の単位は百万トン)

【出典】Jenna R. Jambeck et al.,” Plastic waste inputs from land into the ocean,” Science 347, 768 (2015), DOI: 10.1126/science.1260352

次号では、マイクロプラスチックの実際の影響や発生防止へ向けた取組みについて解説します。

森田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 森田 が担当しました

2018.08.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その5) ~特別管理産業廃棄物の判定基準~

廃棄物処理法

廃棄物処理法解説 はじめの一歩 シリーズ、その3では、特別管理産業廃棄物の定義について解説をしました。
その4では、特別管理産業廃棄物の定義の要件の1つである施設限定について解説しました。今回は「判定基準」について解説します。

【1】特定有害産業廃棄物

濃度に関する判定基準が規定されているのは、特別管理産業廃棄物のうちの特定有害産業廃棄物です。

その3 ~特別管理産業廃棄物の定義~ 特別管理産業廃棄物 一覧表 参照

特定有害産業廃棄物については、廃棄物処理法施行令第2条の4第5号に定義されています。具体例として、「廃油」を例として説明していきます。

【2】具体的にみてみましょう ~廃油~

廃棄物処理法施行令 第2条の4第5号ヌに廃油:「次に掲げる廃油及び当該廃油を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)」と書かれています。当該廃油を処分するために処理したものに係る基準は、施行規則に規定するということですので、次に施行規則を確認します。

廃棄物処理法施行規則第1条の2 第12項
令第2条の4第5号ヌの廃油を処分するために処理したものに係る環境省令で定める基準は、当該処理したものが、廃油の場合は廃溶剤(別表第2の9の項から18の項まで、22の項及び24の項の第1欄に掲げるものに限る。)ではないこととし、廃酸又は廃アルカリの場合は当該処理したものに含まれる別表第2の9の項から18の項まで、22の項及び24の項の第1欄に掲げる物質ごとにそれぞれ当該各項の第2欄に掲げるとおりとし、廃油、廃酸又は廃アルカリ以外の場合は当該処理したものに含まれる判定基準省令別表第6の9の項から18の項まで、22の項及び24の項の第2欄に掲げる物質ごとにそれぞれ当該各項の第3欄に掲げるとおりとする。

施行規則は、「廃油を処分するために処理したもの」に係る環境省令で定める基準は、という書き出しになっており、「廃油」についての濃度に関する基準はありません。
つまり、「廃油を処分するために処理したもの」に関しては、濃度基準がありますが、「廃油」についての濃度基準はないということになります。

なお、「廃油」とは、施行令において、12種類の溶剤と定義されていますので、特定有害廃棄物としての「廃油」=「12種類の廃溶剤」ということになります。

<廃棄物処理法施行規則第1条の2 第12項>

(※1)判定基準省令:金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令

【3】(参考)処分するために処理したものとは

廃棄物を処分した際に、発生した残渣などを指します。

【4】まとめ

廃油が特別管理産業廃棄物なのかを判定する流れを、フロー図にまとめました(「施行令で定める廃油(廃溶剤)を処分するために処理したもの」の考え方は前記のとおりです。)。

(※2)特別管理産業廃棄物の廃油に該当するかどうかについては、「引火点が70℃未満の燃焼しやすいもの」という指標があります。環境省の特別管理産業廃棄物の種類にも記載があります。「引火点が70℃未満の燃焼しやすいもの」に関しては、廃棄物処理法、施行令、施行規則に記載はなく、課長通知によって示さています。

厚生省環境整備課長通知(平成4年8月13日 衛環第233号)の第2 4(1)

特別管理産業廃棄物である「廃油(燃焼しにくいものとして厚生省令で定めるものを除く。)」とは、廃油のうち焼却を経なければ埋め立てることができないものを焼却処理の技術上の観点から定めることを意味するものであり、当該廃油に対する規制は、火災予防の観点から行われるものではないこと。なお、廃油に係る火災予防の観点からの規制は、従来どおり消防法により行われること。

消防法では、
揮発油類:危険物第4類引火性液体の第1石油類(1気圧下で引火点21度未満)
灯油類及び軽油類:第2石油類(1気圧下で引火点21度以上70度未満)
とされています。

(※3)燃焼しやすい廃油で特別管理産業廃棄物に該当し、さらに、溶剤の成分を含むため、特別有害産業廃棄物に該当する、という場合もあります。

<参考>
廃棄物処理法施行規則 別表第2(第1条の2関係)

第1欄 第2欄
9 トリクロロエチレン 試料1リットルにつきトリクロロエチレン1ミリグラム以下
10 テトラクロロエチレン 試料1リットルにつきテトラクロロエチレン1ミリグラム以下
11 ジクロロメタン 試料1リットルにつきジクロロメタン2ミリグラム以下
12 4塩化炭素 試料1リットルにつき4塩化炭素0.2ミリグラム以下
13 1,2−ジクロロエタン 試料1リットルにつき1,2−ジクロロエタン0.4ミリグラム以下
14 1,1−ジクロロエチレン 試料1リットルにつき1,1−ジクロロエチレン十ミリグラム以下
15 シス−1,2−ジクロロエチレン 試料1リットルにつきシス−1,2−ジクロロエチレン4ミリグラム以下
16 1,1,1−トリクロロエタン 試料1リットルにつき1,1,1−トリクロロエタン三十ミリグラム以下
17 1,1,2−トリクロロエタン 試料1リットルにつき1,1,2−トリクロロエタン0.6ミリグラム以下
18 1,三−ジクロロプロペン 試料1リットルにつき1,三−ジクロロプロペン0.2ミリグラム以下
22 ベンゼン 試料1リットルにつきベンゼン1ミリグラム以下
24 1,4−ジオキサン 試料1リットルにつき1,4−ジオキサン五ミリグラム以下

【関連リンク】
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則
金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令

東京都ホームページ
特別管理産業廃棄物の判定基準

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2018.08.01 リスク管理 廃棄物管理

PCB汚染物の判定基準は?

PCB

Q:特別管理産業廃棄物のPCB汚染物に該当するかどうかは、どう判定するのですか?

A:

判断基準に関する通知によって判断します。

■微量のPCBが混入した廃電気機器

廃電気機器に関しては、環境省による課長通知「重電機器等から微量のPCBが検出された事案について」(平成16年2月17日環廃産発040217005)において、
「機器毎に測定した当該廃重電機器等に封入された絶縁油中のPCB濃度が処理の目標基準である0.5mg/kg以下であるときは、当該廃重電機器等は、PCB廃棄物に該当しないものであること」とされています。

すなわち、非意図的に微量のPCBが混入した廃電気機器等に関しては、廃電気機器に封入されている絶縁油の濃度によって、低濃度PCB汚染廃棄物か、そうでないかを判定する事になります。

■低濃度PCB汚染物

環境省による課長通知「低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について(通知)」(2019年3月28日)において、低濃度PCB汚染物に該当するかどうかの判断基準が示されました。

対象形態卒業基準PCB汚染物ではないことの判断基準分析方法
廃油当該廃油に含まれるもの0.5mg/㎏以下同左・告示第192号(注2)別表第二
・告示第192号別表第三の第一
・簡易測定法マニュアル(注3)
廃酸、
廃アルカリ
当該廃酸、廃アルカリに含まれるもの0.03mg/L以下同左・環境庁告示第13号(注4)
廃プラ付着し、又は封入されたもの0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと同左・告示第192号別表第三の第二
・告示第192号別表第三の第三
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法(注5)を準用
金属くず付着し、又は封入されたもの0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと同左・告示第192号別表第三の第二
・告示第192号別表第三の第三
陶磁器くず付着したもの0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと同左・告示第192号別表第三の第二
・告示第192号別表第三の第三
紙くず塗布され、又は染み込んだもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・告示第192号別表第四
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用
木くず、
繊維くず
染み込んだもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・告示第192号別表第四
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用
コンクリートくず付着したもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・環境庁告示第13号
汚泥染み込んだもの検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・環境庁告示第13号
含有濃度0.5mg/kg以下
(注1)
・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用
その他検液中の濃度が0.003mg/L以下同左・環境庁告示第13号

例外的に、
塗膜くずや少量の低濃度PCB汚染油が染み込んだもの(紙くず、木くず、繊維くず等)で、PCBを含む油が自由液(※)として明らかに存在していない場合で、PCBの含有濃度が0.5mg/kg以下の場合には、
低濃度PCB汚染物に該当しない。と判断することとされています。

(※)自由液:PCBを含む油が染み込んだり付着した廃棄物から、PCBを含む油が染み出したり脱離して、液体状態として確認できるもの

また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第2条の4第5号ル(9)において定められている特定の工場又は事業場で排出される汚泥、廃酸又は廃アルカリについては、今まで通りの運用となります。

■参考:卒業基準(PCB処理物)

廃棄物処理法施行令(第2条の4第5項ハ)、廃棄物処理法施行規則(第1条の2第4項)では、PCB処理物に関する濃度基準(いわゆる卒業判定基準)が規定されています。

  • 廃油 0.5mg/kg
  • 廃酸・廃アルカリ 0.03mg/L
  • 廃プラスチック類・金属くず・陶磁器くず(洗浄設備を用いて処分・再生したもの)
    洗浄液試験法 0.5mg/kg、拭き取り試験法 0.1μg/100cm2、部材採取試験法 0.01mg/kg
  • 金属くず・陶磁器くず(分離設備を用いて処分・再生したもの)
    拭き取り試験法 0.1μg/100cm2、部材採取試験法 0.01mg/kg
  • 上記以外 0.003mg/L

※廃棄物処理法での規定内容は以上の通りですが、実際の運用については自治体により異なる場合もあります。

堀岡 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部 堀岡 が担当しました

2018.07.02 ネイチャーポジティブ

そうだったのか!マイクロプラスチック問題とは?(1) 〜海洋ごみとは?〜

廃棄物処理

【1】海洋ごみとは?

「海洋ごみ」と聞くと、砂浜に散らかっているペットボトル、発泡スチロール、ビニール袋などのプラスチックごみ、流木や漁具(漁網や浮きなど)をイメージする方が多いと思います。(写真1)
しかし、このような砂浜のごみは「海洋ごみ」のごくごく一部であり、「海洋ごみ」の多くは海流や風の影響を受けながら海洋中を漂流しています。(当然、海底に沈むごみもあります)

【写真1】流れ着いた海洋ごみ
(環境省:漂流・漂着ごみに係る国内削減方策モデル調査総括検討会報告書

流木等は海を漂流する間に分解されますが、プラスチック製の容器や漁具は長持ちするように(分解されないように)作ってあるので、漂流中に分解されません。分解されないので自然に還らず、回収されない限りは海洋を漂流して、海洋中にプラスチックごみが蓄積されていってしまいます。

(1)海洋ごみの影響

海洋ごみの影響として真っ先に思いつくのは、砂浜の景観の悪化ではないでしょうか。砂浜に散乱しているごみは清掃をすれば、きれいになりますが、もっと深刻な問題として指摘されているのは、海洋生物に与える影響です。
例えば、魚がカラフルなプラスチック片を餌と間違えて食べてしまったり、漁網や釣り糸等に魚や海鳥が絡まってしまうといった問題です。


【写真2】プラスチック被害にあった生きもの

[左・中]Figure 7.1 Examples of entanglement by fishing debris: a) a entangled seal (John Vonderlin via Flickr); b) a sea turtle entangled in a ghost net, (Doug Helton, NOAA/NOS/ORR/ERD)
[右]Figure7.4 Plastic in the gut of laysan albatros chick, Green Island, Papahanaumokuakea Marine National Moument in the Northwestern Hawaiian Island. (Photographer Claire Fackler NOAA National Marine Sanctuaries)
(出典:UNEP MARINE PLASTIC DEBRIS AND MICROPLASTICS Global lessons and research to inspire action and guide policy change

確かに釣りで使うルアー(図参照)は、言うなれば、「魚に食べてもらうための派手なプラスチック」です。魚が飲み込むことは大いにありえます。


【写真3】ルアー

(2)調査状況

このような海洋ごみ(特にプラスチック)の調査は、UNESCOの石油類による海洋汚染調査の一環として日本では1976年から始まりました。定期的に気象庁が日本の周辺海域に浮遊しているプラスチックごみのモニタリング調査を行っており、海面浮遊汚染物質(プラスチック類)の観測結果は気象庁のホームページで紹介されております。

図1は海洋ごみ調査のために船を走らせて、目視により確認できた浮遊プラスチックの量から平均的な分布を示したものに、日本近海の海流の流れを合わせた図です。
これより海洋ごみは、日本や中国の近海に多く、黒潮などの海流に乗って移動していることが判ります。

【図1】航走100kmあたりの発見個数で示した浮遊プラスチック類の平均的な分布(1981~2010年の30年平均)より作者作成
【出典】気象庁ホームページ「海洋の健康診断表 総合診断表 第2版」

また世界の海洋ごみについては、世界経済フォーラム報告書で、プラスチック容器包装材を中心に少なくとも年間800万トンものプラスチックが海洋に流出しており、現在海洋には1億5000万トン以上のプラスチックが存在していると推計されています。
また本報告書によれば、海洋へのプラスチック流出量は増加傾向にあり、このまま何も対策が講じられない場合には2050年には海洋中のプラスチックの重量が魚の重量を上回るといった報告もされております。

【参考】世界経済フォーラム報告書
Ellen MacArthur Foundation, “The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics,” 2016.1.19, p.17.

このように、海洋のプラスチックごみ問題は日本だけでなく世界的に広く認識されています。加えて、海洋プラスチックごみによる環境問題の議論が進むにつれて、プラスチックごみの中でも微小なサイズであるマイクロプラスチックが注目されるようになり、2014年頃から国際的な会議の場で、海洋中のマイクロプラスチックの存在量や環境への影響が取り上げられるようになりました。

次号では、マイクロプラスチックについて解説します。

森田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 森田 が担当しました

2018.05.08 リスク管理 廃棄物管理

蛍光灯の安定器にPCBが使われているかは、絶縁油を抜き取って調査しないといけないのですか?

PCB

Q:蛍光灯の安定器にPCBが使われているかどうかは、蛍光灯の安定器からPCBを抜き取って、個別に調査しないといけないのですか?

A:

安定器に添付された銘板に記載されている「メーカー、型式・種別、製造年月日」等の情報をメーカーに問い合わせる事でPCB使用安定器か、PCB不使用安定器かを判別できます。
(詳細については、メーカーのホームページに記載がある場合もありますので、ご確認ください)

■廃安定器の仕分けフロー

■分別

銘板を確認して、廃安定器を、PCB使用安定器とPCB不使用安定器とに分別する事で、JESCOへの処理委託数量を削減する事ができ、日本のPCB廃棄物の早期処理の実現にも寄与します。

■取り外し(分解・解体)

コンデンサ外付け安定器の分解・解体は原則禁止ですが、目視により、膨張、腐食、油にじみ等コンデンサの形状及び性状に変化が生じていない事が確認できた場合には、生活環境保全上の支障防止措置を実施した上で、コンデンサの取り外しができる事とされています。そして、コンデンサ取り外し後の残部材(トランス部)は、PCB濃度分析を行い、適正に処理の委託を行います。
コンデンサ充填剤固定型安定器の分解解体によるコンデンサの取り外しは一切禁止されていますので、ご注意ください。

解体可能な安定器の種類、解体の方法、解体の際に求められる生活環境保全上の支障を防止する措置については、「ポリ塩化ビフェニルが使用された廃安定器の分解又は解体について(通知)」に記載があります。作業中の飛散による環境汚染対策や安全な作業環境の確保にご留意ください。

【参照ホームページ】

一般社団法人日本照明工業会ホームページ
PCB使用照明器具に関する情報 パンフレット(PDF)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)ホームページ
廃安定器の仕分けの徹底・促進について

環境省ホームページ
ポリ塩化ビフェニルが使用された廃安定器の分解又は解体について(通知)(平成26年環産発第14091618号)

堀岡 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部 堀岡 が担当しました

2018.04.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その4) ~特別管理産業廃棄物の排出元施設限定~

廃棄物処理法

前回、特別管理産業廃棄物の定義の概要について説明しました。
今回は、特別管理産業廃棄物の排出元施設限定について説明します。

【1】まず施行令をチェック

特別管理産業廃棄物の排出元施設限定について規定されている、廃棄物処理法施行令第2条の4の確認をします。

廃棄物処理法施行令第2条の4には、それぞれの特別管理産業廃棄物毎に成分、排出元施設について記載されていて、別表も合わせると非常に長い条文です。長いというだけで心が折れそうになりますが、順に見ていくしかありません。がんばりましょう。

長い条文をどうやって読んでいけばいいのかのイメージが掴めるように、エコジャーナル読者の皆様に馴染みが深いと思われる「廃油」を例として、以下説明していきます。

【2】廃油の規定を例に

廃棄物処理法施行令 第2条の4第5号ヌに廃油:「次に掲げる廃油及び当該廃油を処分するために処理したもの」についての規定があります。

条文には(1)から(12)まであり、廃溶剤について成分と施設をもって限定しています。原文から成分の限定と施設の限定を抜き出すと、以下の表になります。

<成分の限定> <施設の限定>
(1) トリクロロエチレン 別表第3の11の項
(2) テトラクロロエチレン 別表第3の12の項
(3) ジクロロメタン 別表第3の13の項
(4) 四塩化炭素 別表第3の14の項
(5) 1・2 -ジクロロエタン 別表第3の15の項
(6) 1・1 -ジクロロエチレン 別表第3の16の項
(7) シス- 1・2 -ジクロロエチレン 別表第3の17の項
(8) 1・1・1 -トリクロロエタン 別表第3の18の項
(9) 1・1・2 -トリクロロエタン 別表第3の19の項
(10) 1・3 -ジクロロプロペン 別表第3の20の項
(11) ベンゼン 別表第3の21の項
(12) 1・4 – ジオキサン 別表第3の11の項

(1)~(12)までの成分によってそれぞれ、施設の限定に関しての規定が異なっています。

【3】トリクロロエチレンを含む廃油を例に

成分によって異なる施設の限定について確認するために、廃棄物処理法施行令 別表第3を確認することになります。
例として、(1)のトリクロロエチレンに関して説明します。

トリクロロエチレンに関しては、別表第3の11の項を確認します。

廃棄物処理法施行令 別表第三の一一の項
水質汚濁防止法施行令(昭和四十六年政令第百八十八号)別表第一(以下「水質汚濁防止令別表第一」という。)第十九号ト及びチ、第二十三号の二、第四十一号ロ、第四十七号ニ、第五十号、第五十一号ホ、第六十六号、第六十七号、第七十一号の二イ並びに第七十一号の五に掲げる施設並びにトリクロロエチレンによる表面処理施設

別表第3の11には、「水質汚濁防止法施行令の別表第一」のうちのいくつかの施設と、「トリクロロエチレンによる表面処理施設」が記載されています。

したがって、今度は「水質汚濁防止法施行令の別表のうちのいくつかの施設」について確認をしなければいけません。長くなりますが、該当部分を抜粋します。

【4】水質汚濁防止法施行令の別表第1をチェック

第十九号ト及びチ
十九 紡績業又は繊維製品の製造業若しくは加工業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ト 染色施設
チ 薬液浸透施設
第二十三号の二
二十三の二 新聞業、出版業、印刷業又は製版業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 自動式フイルム現像洗浄施設
ロ 自動式感光膜付印刷版現像洗浄施設
第四十一号ロ
四十一 香料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設
ロ 抽出施設
第四十七号ニ
四十七 医薬品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ニ 混合施設(第二条各号に掲げる物質を含有する物を混合するものに限る。以下同じ。)
第五十号
五十 第二条各号に掲げる物質を含有する試薬の製造業の用に供する試薬製造施設
第五十一号ホ
五十一 石油精製業(潤滑油再生業を含む。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
ホ 潤滑油洗浄施設
第六十六号
六十六 電気めつき施設
第六十七号
六十七 洗濯業の用に供する洗浄施設
第七十一号の二イ
七十一の二 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する研究、試験、検査又は専門教育を行う事業場で環境省令で定めるものに設置されるそれらの業務の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
イ 洗浄施設
第七十一号の五
七十一の五 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン又はジクロロメタンによる洗浄施設(前各号に該当するものを除く。)

引用が長くなりましたが、トリクロロエチレンを含む廃油が発生する施設が、これらの施設と表面処理施設に該当すれば、特別管理産業廃棄物(特別有害廃棄物)であり、以上の検討の結果、特別管理産業廃棄物に該当しなければ、(普通)産業廃棄物ということになります。

【5】施設の限定に関しての確認の流れ

【6】さいごに

特別管理産業廃棄物の定義については、条文の参照が多いので非常にとっつきにくいと感じますが、法令は整理されて記載されているため、半日程度時間を確保して、心を落ち着けて該当箇所を順に確認して行けば、理解は難しくないと思います。

次回は、特別管理産業廃棄物の判定基準について説明します。

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2018.03.01 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その3) ~特別管理産業廃棄物の定義~

廃棄物処理法

■法での定義

特別管理産業廃棄物は、廃棄物処理法にて定義され、処理基準が設けられる等、通常の廃棄物よりも厳しい規制が行われています。

廃棄物処理法 第2条(定義)

第5項 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。

政令で定められている具体的な内容については、一覧表でご確認ください。

特別管理産業廃棄物
排出元施設限定あり 判定基準あり
廃油 揮発油類、灯油類、軽油類(難燃性のタールピッチ類等を除く)
廃酸 著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸
廃アルカリ 著しい腐食性を有するpH12.5以上の廃アルカリ
感染性産業廃棄物 医療機関等から排出される産業廃棄物であって、感染性病原体が含まれ若しくは付着しているおそれのあるもの
特定有害産業廃棄物 廃PCB等 廃PCB及びPCBを含む廃油
PCB汚染物 PCBが染みこんだ汚泥、PCBが塗布され、又は染みこんだ紙くず、PCBが染みこんだ木くず若しくは繊維くず、PCBが付着し、又は封入されたプラスチック類若しくは金属くず、PCBが付着した陶磁器くず若しくはがれき類
PCB処理物 廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したものでPCBを含むもの
廃水銀等 ①特定の施設において生じた廃水銀等
②水銀若しくはその化合物が含まれている産業廃棄物又は水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀
指定下水汚泥 下水道法施行令第13条の4の規定により指定された汚泥
鉱さい 重金属等を一定濃度を超えて含むもの
廃石綿等 石綿建材除去事業に係るもの又は大気汚染防止法の特定粉じん発生施設が設置されている事業場から生じたもので飛散するおそれのあるもの
燃え殻 重金属等、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの
ばいじん 重金属等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの
廃油 有機塩素化合物等、1,4-ジオキサンを含むもの
汚泥、廃酸又は廃アルカリ 重金属等、PCB、有機塩素化合物等、農薬等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの

出所:環境省ホームページ 特別管理廃棄物の一覧より一部抜粋、一部追記

環境省ホームページ
特別管理廃棄物規制の概要

次回は、「排出元施設」限定について説明します。

上田 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 上田 が担当しました

2018.01.09 リスク管理 廃棄物管理

微量PCB汚染機器である変圧器の絶縁油の交換について

PCB

Q:微量PCB汚染機器である変圧器の絶縁油を新油に交換すれば、無害化した事になるのですか?

A:

微量PCB汚染(含有)電気機器の絶縁油を単に新油に交換しただけでは、無害化されたことにはなりません。

無害化の方法として、A)課電自然循環洗浄と B)焼却または洗浄処理があります。課電自然循環洗浄が適応できるかの判断についてフローチャートにまとめました。
ご確認ください。

A)課電自然循環洗浄

電路に接続された使用中の微量PCB含有電気機器に対しては、「微量PCB含有電気機器 課電自然循環洗浄実施手順書」に従って洗浄(絶縁油を新油に交換し、一定期間の課電)を行うことによって無害化できます。

本方法により洗浄が完了した電気機器についてはPCB非含有機器として継続使用することができます。
ただし本方法は、機器の銘板の絶縁油量が2,000L以上かつ、絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kgを超え5mg/kg以下の機器に対してのみ適用されるものです。

油量が2,000L未満の場合や、PCB濃度が5mg/kgを超える使用中の機器に対しては、仮に手順書に準拠して洗浄を行ったとしても無害化されたことにはなりませんので、特に注意が必要です。
また、新油との交換のために抜油した絶縁油については、低濃度PCB廃棄物として焼却(または分解)により無害化処理を行う必要があります。

B)焼却または洗浄による無害化処理

使用中の微量PCB含有電気機器でも油量や濃度が手順書の適用条件を満たさない場合や、既に電路から取り外された廃電気機器に対しては低濃度PCB廃棄物として、絶縁油・筐体ともに、焼却または洗浄により無害化処理を行う必要があります。

【参考資料】

経済産業省ホームページ
「微量PCB含有電気機器課電自然循環洗浄実施手順書」を改正しました

環境省ホームページ
微量PCB含有電気機器 課電自然循環洗浄実施手順書」改正及び意見募集(パブリックコメント)の結果について
PCB早期処理情報サイト

堀岡 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部 堀岡 が担当しました

2017.01.07 廃棄物管理 法律

廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その2) 〜事業系一般廃棄物の定義〜

廃棄物処理法

一般廃棄物と産業廃棄物はどのように定義されるのか。

「事業活動により生じる廃棄物は全て産業廃棄物では?」と考えてしまいがちですが実際は、異なります。
細かい例外はありますが、詳しくは以下の図1でご判断ください。

図1:事業系一般廃棄物の判断基準

表1 産業廃棄物品目一覧

品目「業種指定」有無
1燃え殻「業種指定」なし
2汚泥
3廃油
4廃酸
5廃アルカリ
6廃プラスチック類
7ゴムくず
8金属くず
9ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず
10鉱さい
11がれき類
12ばいじん
13産業廃棄物を処分するために処理したもの
14紙くず「業種指定」あり
(表2参照)
15木くず
16繊維くず
17動植物性残渣
18動物性固形不要物
19動物のふん尿
20動物の死体

表2 特定の条件下のみ廃棄物として判断される廃棄物一覧

品目業種条件
1紙くず建設業建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る)
パルプ、紙又は紙加工品製造業
新聞業新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る
出版業印刷出版を行うものに限る
製本業
印刷加工業
全業種ポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る
2木くず建設業建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る)
木材又は木製品の製造業家具の製造業を含む
パルプ製造業
輸入木材の卸売業
物品賃貸業
全業種貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む)
ポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る
3繊維くず建設業建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る)
繊維工業衣服その他の繊維製品製造業を除く
全業種ポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る
4動植物性残渣食料品製造業原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物に限る
医薬品製造業
香料製造業
5動物系固形不要物と畜場と畜場においてとさつし、又は解体した牛、馬、豚、めん羊、山羊に限る
食鳥処理場食鳥処理場において食鳥処理をした食鳥、鶏、あひる、七面鳥などに限る
6動物のふん尿酪農業畜産農業に係るものに限る
養豚業
養鶏業
食用牛生産業 など
7動物の死体酪農業畜産農業に係るものに限る
養豚業
養鶏業
食用牛生産業 など

廃棄物処理法に基づく「産業廃棄物」には「業種及び条件の指定」という考え方があり、例えば同じ食品系の廃棄物でも、食品工場からの廃棄物とレストランからの廃棄物では取り扱い方が異なります。業種及び条件が指定されている食料品工場の製造工程からの残渣は産業廃棄物です。一方、業種及び条件が指定されていないスーパーやレストランなどから排出される売れ残りや食べ残しなどは事業系一般廃棄物です。

※「業種及び条件の指定」は、昭和40年代の高度経済成長期に、経済成長等に伴って廃棄物のうち量的に増大し、また質的に変化することで市町村で処理することが困難となったものを、昭和46年の公害国会で制定された廃棄物処理法において「産業廃棄物」と定義し、原則として排出事業者の責任において処理するという考え方に基づき導入されたものです。
先程の例でいうと、食品工場の製造工程から排出される残渣は、継続的に大量に排出されることが想定されるため、「産業廃棄物」とされたものと考えられます。

ただし、廃棄物処理法では、事業者から排出される廃棄物が、一般廃棄物に該当する場合であっても、市町村長が事業者に対し、自家処理等を求めることができるとされています。このため、各自治体により、事業系一般廃棄物をどのように処理するかについての判断は異なります。詳しくは、各自治体にご確認ください。

清水 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 清水 が担当しました

2016.11.01 ネイチャーポジティブ リスク管理

環境アセスメント入門 その2

DOWAの取組環境コンサル

【3】アセスの流れと内容

アセス手続きの流れは、法アセスでは図1のようになります。条例アセスの流れは自治体によって異なりますが、概ね法アセスに準じたものとなっています。また、生活アセスは法と比べて簡略化されており、自主アセスは案件ごとの対応となります。

各アセスの基本的な流れは概ね同様ですので、以下に要点を説明します。


出典:環境アセスメント制度のあらまし(環境省)

図1 法アセス手続きの流れ

まず事業者は、事業計画検討段階において、施設の位置・規模等の複数案(A案:敷地北側に5haの処分場を設置、B案:敷地南側に3haの処分場を設置 等)に対する環境への影響をそれぞれ簡易的に予測評価し、比較検討を行います。

事業計画(複数案)の概要、地域特性の文献調査結果、複数案の簡易的な予測評価結果などをとりまとめた報告書を「配慮書」といい、これに対して住民・自治体・国などから意見を受け、事業計画策定の参考とします。

事業計画が決定した後、事業者は、事業計画(影響要因)と地域の特性(環境要素)を整理し、「影響が予想される項目」=「アセスを実施する項目」を選定し、項目ごとに調査・予測・評価の手法を検討します。

事業計画の概要、地域特性の文献調査結果、アセスの選定項目、調査・予測・評価の手法などをとりまとめた報告書を「方法書」といい、これに対して住民・自治体・国などから意見を受け、必要に応じて選定項目の追加、調査手法の変更などの修正を行います。

アセスの項目・手法が確定したら、それに従って調査・予測・評価を実施します。
大気質や動植物など、季節の変動がある環境要素は四季の調査が必要となるため、排ガスを排出する事業や山林の造成を伴う事業などでは、1年以上の調査期間が必要です。

現地調査完了後、事業計画と調査結果のデータに基づき環境影響予測についてのシミュレーション等を実施し、その予測結果を評価します。評価は、環境基準等との比較や、環境保全措置が適切に採用されているか等により行います。

方法書の内容に調査・予測・評価の結果などを加えたアセス報告書(案)を「準備書」といい、法アセスでは電話帳並の厚さになります。
準備書は、方法書と同様に住民・自治体・国などの意見を受け、修正(追加調査、再予測など)を行い、とりまとめた最終報告書を「評価書」といいます。

評価書の縦覧終了をもって、アセス法において着工が許可されます。

なお、「アセス」=「現地調査」だと考え、現地調査終了から1~2週間後に準備書が手元に届くと誤解されている場合がありますが、現地調査は基本的にサンプリング作業であり、その測定・分析結果が出るまでに数週間、それらの結果を基に予測・評価を行い、準備書が完成するまでには、数ヶ月の期間を要します。

【4】アセスの項目

アセスを実施する項目は、【3】で記載したように、事業計画(影響要因)と地域の特性(環境要素)を勘案することにより選定します。影響要因は事業の各段階によって異なり、例えば「工事中」は造成、建設機械の稼働、工事車両の走行などが、「存在・供用時」は施設の稼働、関係車両の走行などが項目として挙げられます。環境要素は「生活環境」と「自然環境」に分かれ、「生活環境には大気質、水質、騒音などが、「自然環境」には動物、植物、景観などが挙げられます。

アセスの技術指針(技術指針等を定める主務省令)では、対象事業ごとに影響要因と環境要素からなる、一般的な選定項目が公表されています。これは「参考項目」と呼ばれ、これを参考に選定項目を検討します。例えば、焼却施設に係る生活アセスにおいて、施設排水の排出による水質は参考項目となっていますが、計画施設がクローズド・システムで施設排水の排出がないということであれば、水質を選定する必要はありません。

法アセスにおける最終処分場の参考項目を表2に、生活アセスにおける最終処分場の参考項目を表3に示します。生活アセスでは影響要因・環境要素から「工事中」と「自然環境」が除外されており、項目が法・条例アセスと比較して少なくなっているのが分かります。

表2 法アセスにおける最終処分場の参考項目(画像クリックで拡大PDF)

※「廃棄物の最終処分場事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成10年、厚生省令)より作成

表3 生活アセスにおける最終処分場の参考項目

※「廃棄物処理施設 生活環境影響調査指針」(平成18年、環境省)より作成

【5】アセスに掛かる費用・期間

アセスに掛かる期間は、地域特性(貴重な動植物の有無、住民の反対運動など)、前倒し調査の実施、管轄行政の対応によって大きく変動します。法・条例アセスに必要な期間の目安はおよそ3~4年です。

また、生活アセスの場合は、動物・植物が調査対象でなく、配慮書手続きや方法書の縦覧等の手続きが簡略化されています。最終処分場や焼却処理施設の生活アセスでは2~3年程度かかります。破砕施設の生活アセスの場合は騒音・振動など四季調査が必要なく、手続きもいっそう省略されるため、半年程度の期間で終了できる場合もあります。

アセスに掛かる費用は、計画地へのアクセス、選定項目、調査手法(頻度、地点数)などによって大きく変動します。したがって、費用は一概にいうことはできませんが、概ね法・条例アセスが億円、生活アセスが千万円のオーダーとなるケースが多くなります。

前倒し調査:アセスに要する期間は、基本的に行政手続き期間と調査・予測・評価を実施し書類を作成する期間とに分けられます。行政手続き期間は上限が法令で規定されており、監督省庁または自治体がそれに基づき審査を行います。この期間を事業者の都合で大幅に短縮してもらうことは困難です。調査についても、項目によって適切な調査期間(大気質は四季ごとに1週間、騒音・振動は秋季の平日24時間 等)があるため、予測・評価にあたって問題がないことを説明できなければ期間を短縮することはできません。前倒し調査は、事業者がアセス期間を短縮する目的で、方法書審査によるアセス項目・手法の確定前から現地調査を開始してしまう方法です。この方法ならば調査を早めに開始した分だけアセス期間が短縮されますが、方法書の審査で追加調査を指示された場合、調査が二度手間となるだけで、期間が短縮されないリスクがあります。なお、行政手続き期間については、環境省から各自治体宛に、短縮を図るよう通達が出されています。

【6】イー・アンド・イー ソリューションズのアセス業務サービス

イー・アンド・イー ソリューションズでは、アセス法やアセス条例が施行される以前の創業(1972年)以来、一貫してアセス業務を行っています。最近では、再生可能エネルギー関連や廃棄物処理施設に係るアセスについてご相談をいただくことが多く、現在は洋上風力発電所に係る法アセス、最終処分場に係る条例アセス、焼却施設に係る生活アセスなどを実施中です。

日本国内で実施されたまたは実施中である洋上風力発電所に係る法アセス7件のうち、3件は弊社が実施しています。

アセス審査会は各項目を専門とする大学教授など10名程度で構成され、事業者はアセス審査会において説明および質疑応答への対応を行わなければいけません。従って、アセスをスムーズに実行するためには大気、水質、生態系などそれぞれの環境要素ごとのに最新の知識や経験を持った専門家が必要です。弊社ではそのような専門家が多数在籍し、様々なアセスに関して対応しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

【参考資料】

環境省ホームページ
環境アセスメント制度のあらまし(平成24年、環境省)
廃棄物処理施設 生活環境影響調査指針(平成18年、環境省)
技術指針等を定める主務省令

松崎 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ 松崎 が担当しました