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DOWAエコジャーナル

2013.12.01 カーボンニュートラル

バイオコークスの研究と未来 その4 将来に向けて

DOWAの取組バイオ燃料対談

井田 民男(いだ たみお)様

近畿大学 理工学部 機械工学科 准教授

近畿大学機械工学科
近畿大学ホームページ バイオコークスプロジェクト
平成23年 新エネ大賞「資源エネルギー長官賞」
平成24年 地球温暖化防止活動環境大臣賞 受賞

地球温暖化抑制に向け、CO2削減の為の様々な取り組みが世界中で行われています。
今回のインタビューは、製鉄に欠かせない石炭コークスの代替として世界的に注目されているバイオマスを原料にしたバイオコークスの開発をされた近畿大学の井田准教授にお話を伺っています。

【その4】 将来に向けて

なるほど、これからは海外なんですね。

最近は、東南アジアへの技術供与の話が非常に多いですね。去年からほとんど海外とのやりとりです。
これからは二国間オフセット・クレジットが導入されてきますから、現地でCO2削減を実現することも日本にとっても意義のあることになりますね。

【参考資料】
環境省ホームページ

二国間オフセット・クレジット制度

ちょうど今年5月に、安倍首相が春に東南アジア各国へ行かれましたが、そのときに、近畿大学が泰日工業大学と学術交流協定に調印しました。
中でもバイオコークスの技術に興味を持たれたと聞いています。国内に余剰しているバイオマスを利用し、資源国家としてビジネスが成立しますから、ASAENのバイオマス・ポテンシャルからすると、環境とエネルギーを両立できるチャンスと感じてくれていると思います。
特にシンガポールはすごいなと感じます。

それに比べて日本は組織決定するまでの動きが遅いというか、投資意欲が薄いという印象ですね。やはり、国内で製造するのはビジネスとして難問が多すぎるということだと思います。

最近の動向を見ていると、これからは、工学の技術者も海外へ出て行かないといけないと感じています。

先生は国内の実証から実用化を経て、現在、東南アジアを中心にバイオコークス実用化に向けご活躍されていますが、将来に向けた研究などについてお聞きしたいのですが。

5年前に大学を離れ3年間、基礎研究や学生教育から離れさせてもらって、バイオコークスの実用化・ビジネス化に専念しました。
そのおかげもあり、一昨年(平成23年)にバイオコークスという国産エネルギーを作ったという内容で新エネ大賞の資源エネルギー庁長官賞をいただき、去年の12月にその技術を使って、豊田自動織機さんがCO2削減の地球温暖化防止活動として環境大臣賞を受賞されました。
やはり、これらの受賞は大きなきっかけで、各方面から後押しをいただきましたね。

現在は、やっと落ち着いてきたので、去年から授業に戻り、学生教育もできるようになってきて、これからは最先端のバイオエネルギー工学を教育へ取り入れることと発展研究へとシフトしていきたいと考えています。

そんなところへ、図らずしも一昨年、学園から「バイオコークス研究所の設立準備の指示」を頂き、2012年の12月にバイオコークス研究所を創設させていただきました。

バイオコークス研究所は、バイオコークスをはじめとする持続可能社会に向けたエネルギー技術の研究が目的です。また、現在、大学がグローバル化を推進している中で、数年後にはMAX 7~80人くらいの留学生を受け入れていくことになると思います。

まだ、私のところには留学生はマレーシアの2名だけなのですが、最近は本当に優秀な留学生が多いと感じますね。
ASEANの大学はまだ教育システムや論文の評価などが遅れているところがあるのですが、学生はグローバルな能力、特にすばらしい英語力を持っています。

また、「自分の国を良くしたい」との意欲の点でも非常にまじめで、彼らも5年後10年後に母国で成果を出してくるだろうと期待しています。
我々教授陣が若いアジアの優秀な人達を育て、東南アジアからノーベル賞の受賞者が出ると嬉しいですね。

学生も東南アジアの発展と共にどんどんと優秀な人材が育ってくるのでしょうね。

研究についてのビジョンはいかがでしょうか?

次の研究課題としては、去年からNEDOの2030年を目指した次世代バイオマスエネルギー事業を皮切りに、バイオマスから石炭を作る研究を始めています。コークスは鉄鋼分野などの狭い範囲でしか使えませんが、CO2の問題を考えると火力発電の石炭の需要に対応することが次の目標です。

世界中のCO2排出量で最も多いのが石炭由来によるもので、約40%を締めていますから、石炭をバイオマスに置き換えることが実用化できれば、バイオコークスの比ではなく温暖化防止に貢献できます。

現状のバイオコークスは発電にはつかえないのですか?

使おうと思えば30%位は使えると思いますが、火力発電所で使っている蒸気タービンは1,200℃の蒸気を使いますからコークスのチャー燃焼だけでは酸素を入れても温度が足りません。
製鉄にコークスを使うのは、「タール(揮発成分)」が不純物になってしまうためで、燃焼温度を上げるだけであれば揮発成分が含まれている石炭を使います。揮発成分は酸素を供給すれば3,000℃くらいまで上げることができます。コークスだけでは作れない温度ですね。
発電の為には、石炭のように揮発成分のラジカル反応が使えるようなバイオマス燃料を作らなければなりません。

バイオコークスとは違ったプロセスで作らないといけないんですか?

バイオコークスを作ってから石炭を作るというプロセスになります。
バイオマスから石炭を造るプロセスが木化・風化・石化というプロセスを踏んでいますからそれ以外の方法は今のところ考えられないですね。

とすると・・バイオコークスに揮発成分をプラスするのですか?

いいえ、バイオコークスの特長は原料の持っている揮発成分も含めたエネルギーが100%変換されて固化されていますから。その揮発成分を残したまま石炭化するという方法になります。

数学で言うと排他的証明というのですが、バイオコークスにはバイオマスの組成全てが含まれていますから、バイオコークスから何を除いたら石炭になるのかということを考えるんですね。
石炭になるのに何が悪さをしているかもわかってきて、それを選択的に取りだすこともできるところまで到達しています。

石炭として100%使えるところまではできましたが、まだいろいろ解決しなくてはならないこともありますから、到達度では85%くらいですかね。
残り15%を解決し実用化の研究へシフトしていきたいと思っています。

最後にお伺いしたいのですが、現在、DOWAエコシステムと共同研究をさせていただいていますが、DOWAという会社は御存知でしたか?

DOWAさんは、金属リサイクルで有名でしたので知っていました。
共同研究のお話を頂いた時には「こちらこそ」という感じでした。それまでお付き合いが無いところから興味を持っていただいて、実験などさせてもらうと新たな発見があって非常に面白いです。

特にウレタン100%でバイオコークスが作れるか?というのは、自分でも「つくれるんだ!」と驚いたくらいです(笑)。廃棄物処理やリサイクルをしている会社ならではの発想ですよね。

さらにDOWAさんグループの廃棄物溶融炉などでバイオコークスが利用できるようになると嬉しいですね。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回で、インタビューは終了です。バイオコークスの製造方法からASEANを含めた国際規模での地球温暖化抑止の重要な解決技術だとわかりました。
今後の井田准教授のますますのご活躍をお祈りします。

2013.12.01 廃棄物管理

「PCB特措法」解説(1) ~制定の背景、目的、処理期限~

PCB

今回から、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特措法」)について解説をしていきます。

【1】PCB特措法が制定された背景は?

ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」)は、昭和29年から国内で生産が開始され、水に溶けない、化学的に安定、絶縁性に優れるといった特性から、電気機器の絶縁油や熱媒体、感圧複写紙等に広く使用されました。

しかしながら、昭和43年に発生した「カネミ油症事件」*1などを契機として、その人体への毒性が社会問題化し、処理の体制が確立する以前、昭和47年に行政指導(当時の通産省)によって製造中止となりました。

その後、昭和49年には、「化学物質の審査及び製造等の規則に関する法律(化審法)」でPCB機器の製造・輸入・使用が原則的に禁止となりました。

そこで、国の主導のうえ処理体制を構築することとし、PCB廃棄物については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)」に基づき一部で処理が行われましたが、施設の設置に際して地域住民の理解が得られず、また全体的には回収や処理のシステムが構築されないままであったため、ほぼ30年の長期にわたりほとんど処理が行われず、長期保管の状態が続くことを余儀なくされていました。

このような長期保管が継続するなか、国内においてはPCB廃棄物の紛失等が発生し、環境汚染の進行が懸念されるとともに、国際的な枠組みとしてPCB等残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants : POPs)*2に関するストックホルム条約(POPs条約)が平成13年に採択され、日本は平成14年に締結しました。平成16年に発効に必要な50カ国目が締結したことを受け、平成16年に発効しました(本条約ではPCBに関して、平成37年までの使用の全廃、平成40年までの適正な処分を求めています)。

このように、PCB廃棄物の処理体制の構築は長年の課題となっており、以上のような背景から、長期において大量に保管されているPCB廃棄物の適正かつ確実な処理の確保・推進を行うため、PCB廃棄物特別措置法が制定されました。

【2】PCB特措法の目的とは?

廃棄物の処理に関する法規制は、従来、廃棄物処理法に基づいて行われていますが、PCB廃棄物については、難分解性、人の健康や生活環境に被害を生ずる恐れがあるという性状や、長期にわたって処分が進んでいないという社会的情勢に鑑み、廃棄物処理法による規制に加えて、処理体制を速やかに整備し確実かつ適正に処分を行う必要があるため、PCB廃棄物特別措置法が制定されました(法第1条・目的等)。

【3】PCB特措法の施行及び改正は?

PCB廃棄物特別措置法は、平成13年7月15日より施行されています。また、政令及び省令に委任された事項を定める命令は、次の通りです(いずれも、法の施行日から施行されています)。

PCB廃棄物特別措置法施行令(平成13年6月22日政令第215号)
処分期間(第2条関係)や都知事が行う事務(第3条関係)について規定。

PCB廃棄物特別措置法施行規則(平成13年6月22日環境省令第23号)
処理したものに含まれるPCB量の基準(第2条関係)、PCB廃棄物処理計画、保管等の状況の届出・公表、改善命令書等の基準・記載事項等細則を規定。

なお、平成24年12月にPCB特措法施行令が一部改正され、施行令で定められたPCBの処理期限が、平成28年7月より平成39年3月31日へと延長されました。

【用語説明】

*1 カネミ油症事件

昭和43年(1968年)、北九州市を中心に西日本において発生し、食用油の製造過程において熱媒体として使用された塩化ビフェニルが、腐蝕したパイプの孔からもれて油に混入し、この油を食用に供した人達に急性毒性による被害を与えたものです。

*2 残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants:POPs)

  1. 環境中で分解しにくい(難分解性)
  2. 食物連鎖などで生物の体内に蓄積されやすい(高蓄積性)
  3. 長距離を移動し。極地等に特関されやすい(長距離移動性)
  4. 人の健康や生態系に対して有害性がある(毒性)

以上のような性質を持つ化学物質であり、一部の国々の取り組みのみでは地球環境汚染の防止には不十分であり、国際的に協調してPOPsの廃絶、削減等を行う必要から、国際的な枠組みとして、平成13年5月、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が採択されました。

堀岡 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部 堀岡 が担当しました

2013.11.01 カーボンニュートラル

バイオコークスの研究と未来 その3 バイオコークスの実用化の課題

DOWAの取組バイオ燃料対談

井田 民男(いだ たみお)様

近畿大学 理工学部 機械工学科 准教授

近畿大学機械工学科
近畿大学ホームページ バイオコークスプロジェクト
平成23年 新エネ大賞「資源エネルギー長官賞」
平成24年 地球温暖化防止活動環境大臣賞 受賞

地球温暖化抑制に向け、CO2削減の為の様々な取り組みが世界中で行われています。
今回のインタビューは、製鉄に欠かせない石炭コークスの代替として世界的に注目されているバイオマスを原料にしたバイオコークスの開発をされた近畿大学の井田准教授にお話を伺っています。

【その3】 バイオコークスの実用化の課題

バイオコークスはどんな用途に使われるのでしょうか?

用途としては基本的に石炭コークスの代替を目指しています。
具体的には、製鉄炉(高炉)や鋳造炉(キュポラ炉)、に使われている石炭コークスの代替ですね。また、廃棄物処理に使われているガス化溶融炉でも使えます。

面白いところでは、ミニSLの燃料として使われた事があります。子どもたちを乗せるミニSLにわざわざCO2を多量に排出する石炭コークスを使うことは無いだろうと思われたんだと思います。

その他、北海道下川町では、ビニールハウスのボイラーの燃料として使われていて、CO2発生ゼロの温室トマトを作っています。

実用化という点ではどうでしょうか?

実用化に向けた実証実験では、国内唯一の鋳鉄溶解炉メーカーの(株)ナニワ炉機研究所さんと行った小型キュポラ炉の実証実験では石炭コークスの40%を代替することに成功しています。

また、(株)豊田自動織機さんと共同で2008年に実際に工場で運用している20t/hの鋳造炉で実証試験を行ったのですが、少なくとも10%以上はバイオコークスで代替できることは確認しました。心配していた工程や品質への影響も無いだけでなく、バイオコークスの熱分解ガスの燃焼効果で、石炭コークスだけの時より炉内温度が上昇し溶解速度が速まったという結果も得られています。

参照:近畿大学NEWS 2008/5月

その後も、(株)豊田自動織機さんでは大阪の森林組合さんが作ったバイオコークスを通常の生産に使用して頂いていて、いろいろなデータをいただいています。
バイオコークスの強度は1,000℃くらいまでは維持できていることや、現状の炉でも20%はバイオコークスに代替することができそうだと伺っています。
他、実際に操業している方からは、他の原材料に比べて「お茶から作ったバイオコークスは鉄がよく溶ける」という感想も聞いていますので、何かお茶特有の要因があるのか調べてみたいとも思っています(笑)。

もう一つ、実証実験から実用化までいっている例では、一般ゴミを溶かす溶融炉の製造メーカのJFEエンジニアリング(株)さんと(株)ナニワ炉機研究所、日本砿研(株)さんと共同実証試験をして、スラグを1,400℃くらいで溶融できるデータが得られています。
JFEエンジニアリング(株)さんと廃棄物処理系のバイオコークスで高温ガス化溶融炉をオペレートする国際特許も出しています。

参照:近畿大学NEWS 2011/5月

実用化も間近という感じですね

日本の企業からは、良い技術であると言うことは理解して頂いているのですが、コストが合わないという点がネックになり、積極的に取り組もうという会社さんは少ないですね。

それと、原料の問題もあります。日本の自動車会社で年間30万トンの石炭コークスを使っています。その20%を代替需要でまかなおうとすると、年間6万トンのバイオコークスが必要になりますが、原料になるバイオマスが足りないのです。
バイオ廃棄物を多く排出するのは飲料メーカーで、例えば、コーヒー豆のカスが8トン/日くらい出ているところもあります。しかし、この程度の量ではビジネス化するには量が足りませんね。

また、コストで見てみますと、現在の国内の鋳物用石炭コークスの価格が5−6万円/トンくらいだったと思うので、生産の現場で使っていただくにはそれ以下の価格でないといけないのですが、国内で作った場合を試算してみると、製造原価の段階で3万~3.5万円/トンくらいかかりますから、市場に流通する時には4~5万円/トン以上になってしまうと思います。

ただし、国内製造はコストのハードルが非常に高くとても難しいのですが、海外、特にASEANの諸国ではものすごく積極的です。

海外ではどうして積極的なのですか?

東南アジアでは、パーム椰子やサゴ椰子、PFK、とか、もみ殻、稲わらなどバイオマス廃棄物が、ほぼ「ただ」で大量に手に入ります。例えば、パーム油を作る工場から出るパーム椰子の廃棄物が100トン/日くらい出てきますので、材料には困らない状況ですね。
また、人件費も安いですから、東南アジアだと試算で1万円/トンくらいで製造できます。その価格ならば、日本に輸入しても2万〜3万円くらいで供給が可能になります。

さらに、自国内の需要と供給という点でタイなどはものすごく理にかなっています。
現在、タイとマレーシアで技術供与のプロジェクトを行っているのですが、タイは工業が盛んで石炭コークスの需要があるのですが、国内では石炭が取れないので、主に中国から石炭を輸入しています。100%輸入石炭に頼っているので、高くても輸入せざるを得ません。

一方で、タイはもみ殻の廃棄物が大量に出ていますからバイオコークスが実用化されれば、石炭の半額以下で自国産のコークスが入手できますので、導入に積極的です。タイだけでなくその他のASEAN諸国でも工業が盛んな国で石炭を輸入に頼る国はバイオコークスに大変興味を持っています。

東南アジアでも、インドネシアの場合は、バイオマスはいっぱいあるのですが、自動車産業などの工業が発展していないため、あまり前向きでは無いですね。
ただ、国内にコークスの需要がなくても余剰のバイオマス廃棄物からバイオコークスを製造し、日本などへ輸出して外貨を得るということも可能だと思います。

日本にとっても、東南アジアで作られたバイオコークスが輸入できれば、価格の面でも石炭コークスの代替として利用されてくるとおもいますし、新しい炉の開発につながり、需要が増加すれば安定供給されてくるというメリットもあります。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回は、将来に向けて・・・今後の活動と未来についてお聞きしています。

2013.10.01 カーボンニュートラル

バイオコークスの研究と未来 その2 バイオコークスの特徴

DOWAの取組バイオ燃料対談

井田 民男(いだ たみお)様

近畿大学 理工学部 機械工学科 准教授

近畿大学機械工学科
近畿大学ホームページ バイオコークスプロジェクト
平成23年 新エネ大賞「資源エネルギー長官賞」
平成24年 地球温暖化防止活動環境大臣賞 受賞

地球温暖化抑制に向け、CO2削減の為の様々な取り組みが世界中で行われています。
今回のインタビューは、製鉄に欠かせない石炭コークスの代替として世界的に注目されているバイオマスを原料にしたバイオコークスの開発をされた近畿大学の井田准教授にお話を伺っています。

【その2】 バイオコークスの特徴(原理)

もう少し詳しくバイオコークスについてお聞きしたいと思います。
石炭と石炭コークスの違いについて、少し説明をお願いしてよろしいですか。

ではまず、石炭について説明します。
石炭は植物が光合成をして生成されたリグニンやセルロースなどの高分子物質が「木化」し「風化」して、地中で加熱・加圧されて「石化」したものですが、そのプロセスは、1,000~3,000万年位かけてじっくり行われます。

1,000万年以上もかかっているのですが、石炭は「木」の名残である「木タール」など揮発成分を持っています。「チャー」と呼ばれている炭素部分と「タール(揮発成分)」の2つを持っているのが石炭です。

石炭は、まず揮発成分が気化してガスが燃え、温度が高くなってきて炭素部分が燃えてくるのですが、製鉄に使用する場合には「タール」のタール分が不純物として鉄に悪さをするので取り除く必要があるんですね。

石炭コークスは、コークス炉という装置を用いて石炭を高温で蒸し焼きにして、「タール」の成分を飛ばしてチャー(炭素部分)だけを残したものです。これが「乾留」と呼ばれている工程です。

残された炭素はグラファイトに近い性質なので、融点が無く、軟化点により、高温下で軟化してドローッとしています。その軟化点(粘結性)を利用して固めたものが石炭コークスです。石炭コークスは多孔質な穴が空いた状態の炭素の固まりなんです。

バイオコークスはコークスに近いのですか?

バイオコークスの製造過程は、石炭の生成過程の「石化」までの工程を行っているのに非常に近いです。
植物が初期の石炭性状になるまでの数千万年の変化を数十分で行わせているとも言えますね。

数千万年の変化を数十分で・・・すごいですね。どのような仕組みでそのようなことが起こっているのでしょうか?

一言でいうと、リグニン反応を起こさせて加圧して固めるということをしているのですが・・・説明すると難しいですね(笑)。

ご存じの通り物質は、通常、固体・液体・気体と相変化します。
固体の状態というのは分子と分子がしっかり結合しています。

通常は温度を上げていくと液体になるのですが、液体の状態というのは、分子の結合の形は変わらないで分子と分子の距離が変わって柔らかくなっているという状態になります。
さらに温度を上げていくと、限界が来て分子がちぎれて自由に移動できるようになります。その状態が気体ですね。

一方、バイオマスのような高分子は温度を上げていっても、液体にならずに気化する直前まで焦げながら耐えていて、限界が来ると気化がはじまります。
このときに起きている変化を説明しますと・・・・固体の状態から分子の並びや距離はそのまま維持しながら、分子間の結合力のみが弱くなっていくということが起きています。結合力が弱くなりながらも、限界まで形を変えずに我慢しているような感じですね。

その気化がはじまる温度が250~300℃で、固体の骨格を維持しながら分子間の結びついている力が最も弱くなっている状態です。
その気化が始まる前の180℃くらいで20MPa程度の圧力を加えると、高分子の骨格の形でギューッと高密度化させることができるのです。そして冷却すると180℃の状態で溶けていた繊維成分のヘミセルロースが接着剤の役目をして固まるのですね。
それがバイオコークスです。

それから、なぜ、水分量が10~15%の範囲かと言いますと、バイオコークスの中では、加圧によって導管などの植物の細胞構造はつぶれてしまっていますが、細胞壁自体は、形がつぶされながらも残っていてその内側に水の分子が残っています。その細胞壁の内側に1層だけ水の分子が張り付いた状態になっていなくてはなりません。水分量が多くなって水の分子が2層以上あると加熱による水蒸気の活動が大きすぎて爆発のようなことが起こってしまいます。

バイオコークスの原料はどのようなモノが多いのでしょうか?
得意な原料とか、バイオコークスにしにくい材料などありますか。

バイオコークスはどんなバイオマス原料でも作ることができます。これまで作ったもののいくつかですが、サンプルがあるのでご覧ください。

稲藁、もみ殻、お茶・コーヒー豆(ジュースメーカの産廃)、鉛筆・・・中には綿100%の靴下なども原料として使えました。
バイオコークスは原料が100%そのままの形で圧縮されていますから、臭いをかぐと原料の香りがしますので原料がわかりますよ。

それはお茶、こちらが桜の枯れ葉です。ちょっとカラフルで面白いのが鉛筆を原料にしたものです。


写真:左から 稲わら、りんごの皮、茶殻、桜の枯れ葉

お茶のにおいや、桜の臭い、鉛筆の臭いそのままですね。
見た目も、鉛筆から作られたバイオコークスは鉛筆の塗装がカラフルですね。小学校で集めたのですか?

小学校などでは環境教育の意味からご協力頂いたりしていますが、これは鉛筆工場の残渣を利用しています。プリントや芯がズレたりした、不合格になったものです。
鉛筆の芯は炭素ですが、鉛筆に使われるものは炭素の中でもダイヤモンドの次に高級なグラファイト炭素で、純度が高いので、2,000℃でも燃えないのです。鉛筆をたくさん集めることができたら非常に面白いバイオコークスができると思います。

見せていただいたものは稲藁とかお茶とか単一の原料でできていますが、単一原料でないと作れないのですか?

いろいろな原料が混ざっていても問題ありません。これらは、原料による特性のデータを得る為の試作でもあるので、単一の原料から作成しています。

バイオコークスを作るには、原料が数ミリにクラッシュされていることと水分量が10~15%の範囲である必要がありますので、原料は以下の4つに分類されます。
A クラッシュが必要なもの
B 乾燥をしなければならないもの
C その両方をしなければならないもの
D なにもしなくてよいもの

意外と手間がかかるものが木材です。数ミリにクラッシュしなければいけませんし、木材は水分量が約50%くらいなので、15%まで水分量を落とす手間がかかります。
コーヒーとかお茶殻は水分量が約80%くらいありますがクラッシュする必要はなく乾燥だけで済みます。
もみ殻は、水分量の調整も簡単で粒もちょうどよい大きさなのですが、外殻にシリカの膜があって、そのままではリグニン反応が起きませんでしたので、一度クラッシュさせないといけません。
一番の優等生は、そば殻で、粒の大きさも水分量もぴったりなのでそのまま使えます。

変り種では、原料がバイオマスでは無いのでバイオコークスとは呼べませんが、
DOWAさんと実験した100%ウレタン廃棄物とか、紙やらスポンジやらの混在した一般ゴミのRDFでも作れましたね。
また、先ほどお話しした放射線汚染された稲藁は、重量比で半分くらいは土が混ざっていました。汚染土も一緒に固化して封じ込められるわけです。

バイオコークスは、このサンプルのような円柱形・棒状のものになるのですか?

これの形は製造装置に由来します。筒に材料を詰め込んで、ギューッとプレスをするので円柱形になるのです。
バイオコークスの製造工程は下図のようになります。

  1. 原料充填
    所定サイズの原料を反応容器の上部から充填します。
  2. 圧縮
    油圧シリンダーにより原料を圧縮します。
  3. 加熱
    圧縮した状態で約180℃×約30分の加熱を行います。
  4. 冷却
    圧縮した状態で間接水冷により常温まで冷却します。
  5. 製品排出
    反応容器下部から製品を油圧シリンダーで押出します


こうして描いてしまうと簡単な仕組みに見えてしまいますが、実は、製造装置もなかなか難しい条件をクリアしています。

成功のカギは、製造装置の筒を作ることなのです。
上図のように原料を筒に詰め込んで上から圧縮していくのですが、その時の温度は180℃です。水蒸気を逃がさずに中の空気だけを逃がす筒を作ることが必要なのです。水分を逃がしてしまうと、ただのペレットになってしまいますし、空気が残っていると固めようとしても内部圧で固まりません。

流体力学などから計算して筒の設計はできたのですが、そんな微妙な隙間を持った筒は学内では作れず、近畿大学の地元、東大阪の鉄工所さんにお願いましたら3日ほどで作っていただけました。さすが「東大阪ものづくりの街」ですね。

実用化の初期は1個1個を作る図の様なバッチ式の製造装置でしたが、現在は連続式の装置もできています。サンプルの長い棒状のモノがその装置で作ったものです。


実験と装置の開発が並行して行われているのですね。

私の研究のスタイルとして、わかっている現象を追いかけるのは好きではないんですね。
バイオコークスもそうなのですが、新しい研究をするためには新しい原理の装置をつくらないと新しい答えが出て来ないと思っています。
ちなみに、マイクロフレームを作ったときは、ガス(水素)を通すための髪の毛の太さの銅のパイプを応力集中という理論を用いて作ることが成功のカギでした。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回は、「バイオコークスの実用化の課題」についてお聞きしています。

2013.09.01 カーボンニュートラル

バイオコークスの研究と未来 その1 バイオコークスとは

DOWAの取組バイオ燃料対談

井田 民男(いだ たみお)様

近畿大学 理工学部 機械工学科 准教授

近畿大学機械工学科
近畿大学ホームページ バイオコークスプロジェクト
平成23年 新エネ大賞「資源エネルギー長官賞」
平成24年 地球温暖化防止活動環境大臣賞 受賞

地球温暖化抑制に向け、CO2削減の為の様々な取り組みが世界中で行われています。
今回のインタビューは、製鉄に欠かせない石炭コークスの代替として世界的に注目されているバイオマスを原料にしたバイオコークスの開発をされた近畿大学の井田准教授にお話を伺っています。

【その1】 バイオコークスとの出会い

先生はどのような経緯でエネルギー工学の道に進まれたのですか

私は元々大阪の出身です。高専に行きたかったんですが、当時、高専が長岡と豊橋にしかなかったものですから、大阪から飛び出して豊橋高専に入学し豊橋技術科学大学に進学しました。そこでは生産システム工学とエネルギー工学しかなかったので、エネルギー工学を選専攻しました。

「エネルギー工学」というのはどのようなことを研究されるのですか

エネルギー工学というのは、分子・原子レベルから、地球温暖化の問題まで非常に広範囲の領域があります。
私の在籍していた研究室では微粉炭発電を研究していました。エネルギーの効率化や制御技術などの分野ですね。東工大の学長をされていた岡崎先生が当時助手をされていました。

私はその中で、だいぶ基礎的な「炎」そのものの研究をしていました。ケンタッキー大学での研究期間も含め、「炎」そのものの研究を10年間くらいやっていました。「マイクロフレーム」の研究では、高さ1mm以下の炎を作り出したりしていました。

「炎」の研究の中でバイオコークスに出会われたのですか?

私は、ずっと基礎的研究を中心にやってきていたのですが、その後、近畿大学に移ることになり、それを期に「何か世の中の役に立つ研究をやってみよう・・」と思っていました。

ちょうどそのころ国が「バイオマスニッポン」を立ち上げた頃で、研究室にもバイオマス研究をされている人が多くいて、石炭やバイオマスを液化したりガス化したりして効率を上げるような研究がなされていて、すでに多くの成果も出ていました。

自分が同じことやってもかなわないだろうと思いましたので、誰もやっていなかったバイオマスの「固形化」をテーマにしたのです。
世界で排出されているCO2の約半分は石炭が原因になっていますから、液体燃料やガスの代替を考えることとおなじくらい、石炭の代替燃料を開発できたなら大きな社会貢献になるのではないか思ったわけなのです。

研究室でのバイオマスの研究では私は後発でしたから、バイオコークスができるきっかけがつかめるまでが長かったですね。3年くらいかかりました。
「今更ペレットを作ってどうする…」などと言われたりしながらやっていましたね(笑)

3年というのは結構長いですね?

研究を始めて3年くらいはありきたりの結果しか出なかったですね。
高分子のエネルギー変換は液化・ガス化などの事例から通常300~400℃に近い温度帯で行われると思われていたので、300~400℃の温度帯で実験をしていましたが、なかなか思うような結果が得られず悩んでいました。

最初は温度を上げていく途中に実験している筒から中身が飛び出し噴火する様なことの繰り返しで、それがどのような条件で何が起きているのか調べて論理的に予測していきました。
それで、それまで300℃近辺の温度帯で実験を繰り返してきたものを一気に180℃まで下げろと指示をしました。その時は「何を考えているんだ!」と学生に猛反対されましたね。
やってみると、思ったことに近い反応が起こったんです。

バイオコークスは180℃プラスマイナス20℃、さらに水分量も10~15%という狭い幅の中でないと作ることができません。それがなかなか結果が出なかった理由で、バイオコークスの特許の基本になっています。
今は、なぜそのような温度・湿度で無いといけないのか、そこでどのような反応が起こっているかもほぼわかっています。温度帯がわかってから2年くらいかかりました。

バイオコークスとはどのようなモノなのでしょうか?
例えば一般の木質ペレットなどとは何が違うのですか?

一般の木質ペレットは間伐材、廃材などをチップにして単純に固めたりしたモノで、少し語弊があるかもしれませんが、イメージとしては扱いやすい「薪」です。燃焼温度や耐熱強度もそれなりですね。

一方、バイオコークスの原料は、固める時に加圧・加熱することで炭素が高密・高純度になるというイメージでとらえていただけばいいかと思います。

石炭コークスに近い耐熱強度を得ることができるので、製鉄の高炉やキュポラ(溶解炉)などで使うことができます。

これまで、製鉄炉や熔解炉では化石燃料に頼らざるを得なかったのですが、バイオマスで製鉄ができるようになれば、大幅なCO2削減ができます。

概ね1tの石炭コークスを燃焼させると3t強のCO2が発生しますが、バイオコークスは100%バイオマスですからCO2は0(発生させない)換算になります。(右図)
それをCDMによるCO2経済効果に換算すると
CO2削減効果=3,300円/t-C→10,560円/t-バイオコークス となり、約7,000円/tのCO2削減効果となります。(右図) 全量をバイオコークスに置き換えることはできませんが、何割かをバイオコークスに代替するだけで、CO2削減になります。

また、硫黄酸化物の発生がないので、酸性雨の抑制につながります。(右図)

バイオコークスのメリットは、まずCO2の削減ですが、バイオコークスそのものが持っている特長として、エネルギーの有効利用と管理が非常に楽であるというメリットがあります。

エネルギーの有効利用というのは、原料の歩留まり率が100%ということです。
バイオコークスの固形化技術は、低温固化ですので灰などの残渣が出ませんし、揮発成分も閉じ込めていて、元の原料が持っているエネルギーを100%維持していますから非常に効率のよい固形化になります。

また、原料にもよりますが、概ねどんな原料でも、1.4くらいの比重になりますから、お茶殻や木などの原料だと容積比で1/7~1/14くらいまで減容化されます。稲藁は密度が小さいので1/140くらいに減容化されます。

さらに、バイオコークスだと減容化されると同時に、高強度で安定した性状となることで管理がしやすく、輸送や保管コストが削減できることになります。

この減容化に着目して、バイオコークスは放射線で汚染された稲藁や森林の枝葉、農作物残渣を安全に長期間保管するためにも使うことができます。

製造工程での加熱温度が低いので、放射性物質の飛散がありませんし、残渣も出ません。

また、固形化後は硬く高強度で、高湿度にも強く水にも溶けず腐敗もしませんし、燃える心配もないので長期間の保管に向いています。

放射線で汚染された植物性廃棄物をバイオコークスにして300年くらい保管しておけば、放射線量も1/1,000程度になりますから燃料としてできるようになるわけです。

減容化の特長だけでも、バイオコークスは利用価値がありますね。燃料なのに燃える心配が無いというのはどういうことですか。

燃える心配がないとうよりも、火がつきにくいといった方がわかりやすいですね。例えば、バイオコークスをバーベキューの炭の赤くなっている上に載せても火はつきません。600℃くらいの温度でないと火がつきません。コークスというのは通常800~1,000℃程度に暖まった炉に投入されて、還元剤の働きをしながら炉の温度を引き上げる燃料です。確か、鉄の溶解温度が純鉄で1,500℃ちょっとだったと思います。

特長というか石炭コークスの代替に使える理由に、1,000℃を越えるような高温下でも強度を維持していることがあります。強度を維持して形状を保っていることが、製鉄に使える条件です。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回は、「バイオコークスの特徴」…バイオコークスの組成、固形化プロセスなど、詳しい内容をお聞きしています。

2013.06.01 法律

契約と印紙税について

廃棄物処理法

契約と印紙税の疑問にお答えします。

Q.収集運搬契約(第1号の4文書)かつ継続取引基本契約(第7号文書)にあたる契約書が第1号の4文書として判断された場合、契約金額が10,000円未満でも非課税ではなく、200円の印紙が必要なのはどうしてですか?

A.

さっそく印紙税法(現行法)の別表1 課税物件表を確認してみましょう。

ただし、ここでは、パンフレットや手帳の早見表に載っている簡易版の課税物件表ではなく、印紙税法の最後の方に載っている正式版の別表1を確認することが、非常に重要になります。

【参考資料】

印紙税法

なぜなら、正式な表には、非課税物件の「除外規定」が載っているからなのです。

それでは、正式な表から必要な部分を抜粋してみましょう。

図1- 契約金額が1万円未満なのに、非課税物件にならないのはどんなケース?


画像クリックで拡大

このように、「除外規定(通則3イ)に該当すると、契約金額が1万円未満でも、非課税物件ではない」ということが分かりました。

次に、この除外規定(通則3イ)の内容を調べてみましょう。

図2- 除外規定(課税物件表の適用に関する通則3イの規定が適用されることによりこの号に掲げる文書となるもの)って、なに?


画像クリックで拡大

最後に、ご質問のケースに戻って考えてみましょう。

「収集運搬契約(第1号の4文書)かつ継続取引基本契約(第7号文書)にあたる契約書が第1号の4文書として判断された場合」ということは非課税文書の除外規定(通則3イ)に該当しますので、「契約金額が10,000円未満」であれば、第1号文書の「10万円以下のもの」として取り扱われます。

したがって、印紙税額は「200円」ということになります。

【参考資料】

e-Govホームページ
印紙税法

DOWAエコジャーナル 環境便利帳
産業廃棄物の収集運搬・処理の委託契約書に貼付する印紙税額
チェックシートと一覧表

大原 この記事は
メルテック株式会社 大原 が担当しました

2011.09.01 法律

リサイクル法解説 「家電リサイクル法」

リサイクル

容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法。リサイクルに関してはさまざまな法律がありますが、そのうちの家電リサイクル法について、詳しくご紹介いたします。

■家電リサイクル法とは

家電リサイクル法とは「特定家庭用機器再商品化法」の通称です。
1998年(平成10年)に公布され、2001年(平成13年)に完全施行されました。
家電リサイクル法は経産省と環境省の管轄で、家電リサイクル法の中で出てくる主務省とは、経産省と環境省、主務大臣とは経産大臣と環境大臣を指します。

■特定家庭用機器とは

エアコン、ブラウン管・液晶・プラズマテレビ、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機です。
2001年の本格施行以降、2011年までの間に2回、対象となる機器が追加されています。

  • 2001年(本格施行時) エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機の4品目でスタート
  • 2006年 電気冷凍庫が電気冷蔵庫の区分に追加
  • 2009年 液晶式テレビ及びプラズマ式テレビ、衣類乾燥機が追加

■家電リサイクル法の目的は (法第1条)

家電リサイクル法は、特定家庭用機器の小売業者及び製造業者等による廃家電の収集・運搬・再商品化等を、適正かつ円滑に実施するための措置を講じ、廃棄物の減量・適正処理と再生資源の有効利用等をすすめることで、生活環境の保全と国民経済の健全な発展に寄与することを目的に施行されました。

家電リサイクル法成立までの経緯

家電リサイクル法が施行されるまで、家庭で不要となった家電製品は、その大部分が粗大ごみとして埋め立てられていました。
家電製品には鉄やアルミなどの金属類をはじめ有用な資源が多く含まれています。
最終処分場不足が深刻になってきていましたので、廃棄物の減量、資源の有効利用の観点から、廃棄物のリサイクル推進の新たな仕組みを構築するために制定されました。

■再商品化等とは(法第3条)

再商品化等とは再商品化と熱回収のことを指します。

  • 再商品化とは・・・部品や材料を製品の部品・原料として利用したり、製品の部品・原料として利用する人に有償・無償で譲渡できる状態にすること
  • 熱回収とは・・・再利用できない部分を熱を得るために自ら利用したり、熱を得ることに利用する人に有償・無償で譲渡できる状態にすること

再商品化等は、家電リサイクル法における「リサイクル」の事です。
つまり、家電リサイクル法でのリサイクルは、マテリアルリサイクル、またはサーマルリサイクル、と定義されています。

■誰がどんな責務を負うか

家電リサイクル法では小売業者・消費者・製造業者に対し、以下のような責務を負わせています。

  • 排出者は廃家電を小売業に引き渡す際、廃家電の収集・運搬料金及びリサイクル料金を支払わなければなりません。
    (法第6条)
    リサイクル料金は、メーカーによって異なりますが、料金は公表されています。
    http://www.rkc.aeha.or.jp/img/price/ryoukin2013.pdf
  • 家電量販店などの小売業者は過去に販売した対象機器や買換時に引取りを求められた対象機器を排出者(消費者)から引き取らねばなりません。
    (法第9・10条)
  • 小売業者は引き取った廃家電を、その廃家電を引き取るべき製造業者等に引き渡さなければなりません。
    (法第10条)
  • 製造業者は自らが過去に販売・輸入した対象機器を引き取らねばなりません。
    (法第17条)
  • 製造業者は廃家電を引き取ったときは遅滞なく再商品化等をしなければなりません。
    (法第18条)
  • 製造業者は引き取った対象機器のリサイクルを実施するにあたり下記のリサイクル率を達成しなければなりません。
    • エアコン:70%
    • ブラウン管テレビ:55%
    • 液晶・プラズマ式テレビ:50%
    • 冷蔵庫・冷凍庫:60%
    • 洗濯機・乾燥機:65%
    また、フロン類を使用している機器はフロンを回収・破壊しなければなりません。
    (法第18条第2項、施行令 第2・3条)
  • また、引き取る際には特定家庭用機器廃棄物管理票を作成し、排出者に管理票の写しを交付しなければなりません。
    (法第43条)

出典:環境省HP 家電リサイクル法の概要
http://www.env.go.jp/recycle/kaden/gaiyo.html

■罰則

家電リサイクル法では悪質な行為に対し、罰則が設けられています。
罰則を対象別にまとめたのが以下の表です。
小売業者、製造業者、指定法人に対して罰則が定められています。

対象 内容 罰則額
小売業者 主務大臣からの料金を変更する旨の命令(勧告の後に発せられる)に従わなかった者。 50万円以下
小売業者 主務大臣から引取り・引渡しをすべき旨の命令(勧告の後に発せられる)に従わなかった者。 50万円以下
小売業者・製造業者 再商品化等業務や資産の状況に関する報告の要望に対し、報告をしない・あるいは虚偽の報告をした者。 20万円以下
小売業者・製造業者 事務所・工場・事業場などへの立ち入り・検査を拒み、妨げ、忌避した者。 20万円以下
製造業者 主務大臣からの料金を変更する旨の命令(勧告の後に発せられる)に従わなかった者。 50万円以下
製造業者 主務大臣から引取り・再商品化をすべき旨の命令(勧告の後に発せられる)に従わなかった者。 50万円以下
製造業者 帳簿に虚偽の記載をしたり、帳簿の保存をしなかった者。 20万円以下
指定法人 主務大臣の許可をうけず再商品化等業務の全部を廃止した者。 30万円以下
指定法人 帳簿に虚偽の記載をしたり、帳簿の保存をしなかった者。 30万円以下
指定法人 再商品化等業務や資産の状況に関する報告の要望に対し、報告をしない・あるいは虚偽の報告をした者。 30万円以下
指定法人 指定法人事務所の立ち入り・検査を拒み、妨げ、忌避した者。 30万円以下

■家電リサイクルの実施状況

廃家電が引き取られた台数は、年々増加傾向にありました。
平成21年・平成22年は家電エコポイントの影響で、引取台数が急増しました。

■家電リサイクル法に基づく立入検査

家電リサイクル法第53条に基づく小売業者への立入検査の件数と指導件数が公表されています。立入検査件数は増加傾向、立入検査を実施したうち指導を実施した件数は高止まり傾向にあります。
また、指導の内訳は、「管理票の取り扱いについて」がほぼ半数を占めています。

■適正な処理の確保

平成22年10月「使用済物品の適正な処理の確保について」の通知が発出されました。

「産構審・中環審家電リサイクル合同会合(第19回)」資料9
http://www.meti.go.jp/policy/kaden_recycle/whats_new/onegai.html

経産省・環境省 いらなくなったテレビは適正に排出を(チラシ)
http://www.meti.go.jp/policy/kaden_recycle/whats_new/flyer.pdf

■関連リンク

蔵石 この記事は
DOWAエコシステム 海外事業推進部 蔵石 が担当しました

2011.02.01 廃棄物管理

汚染土壌を掘削すると廃棄物が混ざっていました。

土壌浄化環境コンサル

Q1. 汚染土壌を掘削すると廃棄物が混ざっていました。
これは、汚染土壌?廃棄物?

A1

所管の自治体(都道府県、土対法の政令指定都市)に相談しながら、扱いを決める必要があります。

環境省が公表したパブリックコメントに対する考え方では、汚染土壌にコンクリートくずが混入している場合、「廃掃法に規定する廃棄物に該当するものがあると考えられる場合、当該汚染土壌については、汚染土壌対策法に基づく規制のほか、廃棄物として廃掃法に基づく規制も併せて課せられることとなります。現場から搬出されるものが、全体として汚染土壌又は廃棄物のいずれかに整理できれば土壌汚染対策法又は廃掃法のみの規定の適用を受け、いずれにもよりがたく汚染土壌と廃棄物が混合されたものであれば、両法の規定の適用を受けることとなり、これのいずれによるべきかは、現場から搬出されるものの状態に応じ、個別に判断されることとなります。」と説明されています。

出典)環境省HP:平成21年10月22日 汚染土壌処理業の許可の申請の手続等に関する省令の制定及び本省令に係る土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令案に対する意見の公募(パブリックコメント)の結果について(お知らせ)

これを図にすると以下のようになります。

汚染土壌か廃棄物のどちらかという判断の際の考え方

  1. 汚染土壌に対する廃棄物の割合
    汚染土壌に対する廃棄物の量については、基準やガイドラインはないものの、廃棄物が多ければ「廃棄物に整理」されますし、判断が難しい場合には、「いずれにもよりがたく、両法の規定を受ける」こととなります。
  2. 廃棄物と汚染土壌が分別できるか
    分別できるかについて、例えば、燃え殻や炭がら、微細なスラグなどは、汚染土壌から分離することが困難ですので、この場合は廃棄物として扱うべき場合もあると考えます。
  3. 混入している廃棄物の有害性
    廃棄物と一言で言っても、多岐に渡り、コンクリートがらや岩石もですが、稀に、薬品瓶や注射針などが含まれる場合もありますので、分析をするなど取り扱いに配慮が必要です。

これらが、総合的に判断されることとなります。

Q2. 土壌汚染対策法では、廃棄物が混ざっていても汚染土壌が含まれていれば分別等処理施設に持ち込めるのではないですか?

A2

土壌汚染対策法では「分別等処理施設」は「汚染土壌に混在している岩石、コンクリートくずその他の物を分別し、又は汚染土壌の含水率を調整するための施設」とされています。

「分別等処理施設」は、あくまでも“汚染土壌”対策法に規定される施設ですので、パブリックコメントに対する考え方にもあるように、処理しようとしているものが、“汚染土壌”として扱うべきか、“廃棄物”として扱うべきか、もしくは、“両法の規定を受けるべき”なのかについての判断はなされる必要があります。

小堤 この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部 小堤 が担当しました

2011.01.06 法律

リサイクル法の費用負担について

リサイクル

■各種リサイクルに関する法律

ゴミの法律は明治33年の汚物清掃法から始まり、昭和29年には清掃法が、昭和45年には廃棄物処理法が制定されています。
一方で、リサイクルの法律は新しく、「循環型社会元年」と呼ばれる平成12年に、3R(スリーアール)の考え方が取り入れられた基本的枠組みを定めた循環型社会形成推進基本法が制定されました。現在は、循環型社会形成推進基本法の下に、各種リサイクルに関する法律が制定されています。

法律 正式名称
容器包装リサイクル法 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律
家電リサイクル法 特定家庭用機器再商品化法
食品リサイクル法 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律
建設リサイクル法 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
自動車リサイクル法 使用済自動車の再資源化等に関する法律
資源有効利用促進法 資源の有効な利用の促進に関する法律
グリーン購入法 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律

廃棄物の処理と同じように、危険物や有害物質へ対応した適正なリサイクルをするためには費用がかかります。今回はその費用負担について考えます。

■リサイクルの費用負担

下の表のとおり、家電や自動車のリサイクル費用は直接消費者から徴収しますが、パソコンや容器包装はメーカーが費用負担します。ただし、メーカーが費用負担するといっても、その分は価格上乗せをすることができますので、間接的には消費者が負担していることになります。

  直接費用負担 費用徴収方式
家電リサイクル法 購入者 廃棄時(後払い)
自動車リサイクル法 購入者 購入時(前払い)
建設リサイクル法 発注者 廃棄時(後払い)
資源有効利用促進法
(パソコン)
メーカー 価格上乗せ
容器包装リサイクル法 メーカー 価格上乗せ
食品リサイクル法 メーカー 価格上乗せ

現在、多くの先進国や途上国において、廃家電等の電子機器のリサイクルに関する法律について施行・検討されています。例えば家電リサイクルに関して、EUのWEEE指令では、リサイクルまでを製造者の責任範囲として製造者がリサイクル費用を負担し、消費者は廃棄時にお金を払いません。中国版家電リサイクル法では、廃家電は有価で扱われます。これに対し、日本の家電リサイクル法では、消費者が廃棄時に直接費用負担する方式であり、これは世界的には珍しい方式でもあります。

■費用徴収方法についてのデメリット

ここで、それぞれの費用徴収方法についてのデメリットを見てみましょう。

購入時
(前払い)
  • 将来の廃棄時の適性なリサイクル費用が分からないのに、費用を設定しなければならない。
  • 想定外のルートに流れる場合、払い損になってしまう
廃棄時
(後払い)
  • 法施行前のかけこみ不法投棄や、廃棄時の不法投棄の恐れがある。
価格上乗せ
  • 上乗せされたリサイクル費用が不明確になる。
  • 消費者にリサイクル意識が芽生えにくい。

このように、どの費用徴収方法にもデメリットがあるため、一概にはどの方式が良いとは言えないようです。また、想定外のルートで不適正な流通が存在することや、リユースとリサイクルの基準が不明確なこと、中古部品市場までカバーできていないこと、廃棄時だからといって適正なリサイクル費用であるかは分からないことなど、その他の課題もあります。

■不適正な流通の防止とリユースの促進のための取組み

次に、特に問題となっている不適正な流通の防止とリユースの促進のための取組みを紹介します。経済産業省、環境省、中古情報機器協会などが、対象品目別にガイドラインを策定しています。

策定者 策定 対象 ガイドライン 参考HP
経済産業省・環境省 2008年 家電 小売業者による特定家庭用機器のリユース・リサイクル仕分け基準作成のためのガイドライン 経済産業省HP:http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g80922a06j.pdf
環境省HP:http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10203
中古情報機器協会
(RITEA)
2009年 パソコン 国内利用および海外輸出時におけるPCのリユース・リサイクル仕分け基準のガイドライン http://www.ritea.or.jp/pdf/090304_1.pdf(PDF)
中古情報機器協会
(RITEA)
2010年 携帯電話 携帯電話のリユース・リサイクル仕分け基準および使用済携帯電話のデータ消去取扱いのガイドライン  
経済産業省・環境省 策定中 自動車 使用済自動車判別ガイドライン (骨子案)
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004689/004_03_00.pdf(PDF)

このような中、平成22年10月21日に環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長・産業廃棄物課長より、各都道府県・政令市廃棄物行政主管部(局)長宛に、「使用済物品の適正な処理の確保について」という通知が出されました。これは、一般家庭から排出される家電製品等の使用済物品を収集運搬する者への苦情や廃棄物処理法違反の疑いなどに関する内容です。
環境省HP:http://www.env.go.jp/hourei/add/k018.pdf

以上のように、リユース(中古品)やリサイクルの流通ルートは日本国内にとどまらず、中国や東南アジアなどに展開されているため、グローバルな視点での検討が必要となります。望ましい循環型社会の形成に向けて、今後も様々な検討がなされることと思います。

この記事は
DOWAエコシステム リサイクル事業部 池田 が担当しました

2010.12.01 廃棄物管理 法律

産廃マニフェストの運用解説

廃棄物処理法

排出事業者が委託した産業廃棄物の処理が適正に実施されているかを確認して管理をすることは不法投棄などによる環境汚染を防ぐためにとても大切です。その為、産業廃棄物廃棄物を引き渡す際には産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が「廃棄物処理法の第12条の3」により定められています。

マニフェストには使用する媒体、委託する運搬経路などにより様々な種類があります。まず、マニフェストには産業廃棄物が処分場所に直接運搬される場合に使用する「直行用」と、処分場所に直接運搬せずに積替え又は保管を経由する場合に使用する「積替え用」と2種類あります。そして、複写式の伝票を使用する紙マニフェストとJWNETの情報処理センターを利用して登録する電子マニフェストがあります。

今回はマニフェストについて排出事業者が気をつけるべきポイントを、「直行用」の紙マニフェストの運用を例に説明します。

1. マニフェストの流れ

紙マニフェストは7枚つづり(積替え保管用は8枚つづり)となっており、下記の通りA票~E票でそれぞれ保管者などが異なります。

マニフェスト
種類
対応内容保管者
A票排出時、「運搬の受託」欄記載後にA票を切り取り、排出事業者が保管する排出事業者
B1票収集・運搬業者が保管する収集・運搬業者
B2票収集・運搬業者が運搬完了後に排出事業者へ返送する排出事業者
C1票中間処理業者が保管する中間処理業者
C2票中間処理業者が中間処理完了後に収集・運搬事業者へ返送する収集・運搬業者
D票中間処理業者が中間処理完了後に排出事業者へ返送する排出事業者
E票中間処理業者が最終処分の完了を確認し、排出事業者へ返送する排出事業者

※中間処理業者は2次マニフェストを発行し、最終処分業者への処分を委託します。
2次マニフェストでの処分完了を確認し、上記E票を発行します。

排出事業者はマニフェストに必要事項を記入し、収集・運搬業者へ廃棄物を引き渡す時点でA票以外を運搬業者に渡し、その後、運搬・中間処理・最終処分が完了した時点でB2票、D票、E票の返送を受け取ります。

図:マニフェストの流れ(直行用マニフェスト)(筆者作成)

2. 産業廃棄物を引き渡すときに排出事業者が記載すること

排出する廃棄物がきちんと処理されているかについての管理と照合は、排出時に交付するマニフェストの記載情報を元に行います。そのため、マニフェストを交付する際には、記載するべきことを、漏れなく、間違えずに、記載をすることが非常に重要です。

  1. マニフェストを交付する日付(産業廃棄物を引き渡しする日付)
  2. 必要に応じてマニフェスト管理のための番号を記入
  3. マニフェストを交付する担当者の氏名を記入
  4. 排出事業者の会社名・住所・電話番号
  5. 排出事業者と排出事業場が異なる場合は、事業場名・住所・電話番号
  6. 委託する産業廃棄物の種類・法分類(普通or特管 該当する法分類にチェックする)
  7. 委託する産業廃棄物の体積・重量・個数(m3/t/ドラム缶数/フレコン数等)
  8. 委託する産業廃棄物の具体的な荷姿(ローリー/ダンパー/ドラム缶/斗缶/パレット/コンテナ等)
  9. 委託する産業廃棄物の具体的な名称
  10. 委託する廃棄物が特別管理産業廃棄物に該当する場合、特別管理産業廃棄物に該当する有害物質の種類(Pb、Cn等) 無い場合は【無し】
  11. 契約書に基づき処分方法を記入
  12. 運搬や処分をする際に注意することがあれば記載。
    行政によっては他県から廃棄物を持ち込むときに事前協議が必要な場合があります。事前協議の受理番号、受理日付をこの欄に記入するよう行政から指導を受ける場合もあります。
  13. 一次マニフェストの場合は記入不要。
  14. 委託契約書に基づき最終処分業者名・住所・電話番号を記載。
    欄内に記載が困難な場合は「委託契約書記載の通り」にチェック。
  15. 委託契約書に基づき運搬委託業者名・住所・電話番号を記入
  16. 委託契約書に基づき処分委託事業場名・住所・電話番号を記入
  17. 委託契約書に基づき処分委託業者名・住所・電話番号を記入
  18. 照合確認欄に各票の返却期限日を記入して、返却を受けた際に活用しましょう。

マニフェスト記入のポイント

  • 記入漏れや誤記載が無いようご注意ください。
    (上記図の⑥「種類(普通の産業廃棄物)」、「種類(特別管理産業廃棄物)」欄のチェックなどは見落としがちです)
  • 搬出前に、収集・運搬業者や処理業者名があっているかご確認ください
    (別業者向けに準備したマニフェストと混同しないようご注意ください)
  • 1台の車両に複数の種類の廃棄物を合い積みする場合には、廃棄物の種類ごとに発行ください

3. マニフェストの返却と保存の義務

排出事業者様が発行した後のマニフェストの写しの送付を受けるまでの期間・保管期限については(表1)のように定められております。
期間内に写しの送付を受けたかをチェックし、返却されたマニフェストを保管することは排出事業者の義務とされています。

表1. マニフェストの管理に関する期間

排出事業者の手元にある票の種類 役割 写しの送付を受けるまでの期間 保存期間
交付日から 委託した業務の
終了日から
受領日から
普通 特別管理
A票 排出事業者控え 5年間
B2票 収集運搬終了確認 90日以内 60日以内 終了から10日以内
D票 処分終了確認
E票 最終処分終了確認 180日以内

※交付日から写しの送付を受けるまでの期間。例えば、普通産業廃棄物で交付から85日目に処理が終了した場合は5日以内に返送を受けなければいけません。

4. 返送を受けたマニフェストを確認するポイント

戻ってきたマニフェストの確認はどのようにしていますか?ここでは委託した廃棄物が適正に処理されたかどうか、マニフェストで確認をするポイントをご説明いたします。

廃棄物の引渡し時に確認すること マニフェストの必要な箇所に記載したか(漏れ・ミスがないか)
マニフェストを収集運搬委託業者に渡したか
“全ての票(A票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票)”の「運搬の受託」欄に実際に現場で引取りをした運搬担当者が収集運搬委託会社名・氏名を記載したか確認
A票を切り離して収集運搬委託業者から受け取ったか
受け取ったA票をファイルに保管
交付後に進捗を確認すること B2票 返送期限を越えていないか(普通産業廃棄物:交付日から90日以内、特別管理産業廃棄物:交付日から60日以内)
D票 返送期限を越えていないか(普通産業廃棄物:交付日から90日以内、特別管理産業廃棄物:交付日から60日以内)
E票 返送期限を越えていないか(交付日から180日以内)

注意

  • 返送期限が近づいてもマニフェストが返送されない場合は、控えのA票の記載事項を元に、委託した処理業者に状況を問い合わせましょう。
  • 返送期限が過ぎてもマニフェストが戻ってこない場合は速やかに運搬又は処理会社に確認をして状況を把握し、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な処置を講じる必要があります。
返送を受けたら確認すること B2票 収集運搬が委託契約内容どおりに実際に行われたか「運搬の受託」欄を確認
運搬・処分の受託欄に収集運搬・処分受託会社名・担当者氏名が記載されているか。
「運搬終了年月日」が記載されているか
「運搬終了年月日」から10日以内にマニフェストが返却されているか
D票 中間処分が委託契約内容どおりに実際に行われたか「処分の受託」欄を確認
運搬・処分の受託欄に収集運搬・処分受託会社名・担当者氏名が記載されているか。
「処分終了年月日」が記載されているか
「処分終了年月日」から10日以内にマニフェストが返却されているか
E票 最終処分を行った場所が委託契約内容どおりに実際に行われたか「最終処分の場所」欄を確認
収集運搬・処分及び最終処分受託会社名・担当者氏名が記載されているか。
「最終処分終了年月日」が記載されているか
「最終処分終了年月日」から10日以内にマニフェストが返却されているか

チェック!
マニフェストの「照合確認欄」を活用していますか? B2表・D票・E票がそれぞれ返送されたらA票の「照合確認」欄に受領日を記入して確認しましょう。期日以内に返送されているかの確認に便利です。

5. マニフェスト交付報告について

紙マニフェストを交付した排出事業者は、4月1日から翌年3月31日までの1年間の全てのマニフェストの交付等の状況に関する報告書を作成して、4月1日から6月30日までに排出事業者の所在地を管轄する都道府県知事又は政令市長に提出する必要があります。

報告書は環境省が作成した書式(様式第3号)がありますが、都道府県等で独自の書式を定めている場合もありますので管轄する都道府県のホームページ等で御確認ください。

※電子マニフェストを運用している場合は、データを入力しておけばJWNETを運営している日本廃棄物処理振興センターがまとめて報告を行いますので報告の必要はありません。

この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました