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DOWAエコジャーナル

2025.11.04 カーボンニュートラル

脱炭素社会の歩き方 ~Scope3について

DOWAの取組カーボンニュートラル環境コンサル

排出量取引制度(GX-ETS)の開始まで半年を切り、CO2などの温室効果ガス(GHG)が、お金と同様の経済価値を持つ社会の実現が、いよいよ現実味を帯びてきました。
そんな「脱炭素社会の歩き方」として、3回に分けて、企業のGHG算定にまつわる動きを取り上げていきます。今回は、Scope3を説明します。

■Scope3とは

企業活動から排出されるGHGは、下図のように、Scope1(自社からの直接排出)・Scope2(他社から供給されたエネルギーによる間接排出)・Scope3(Scope1・2以外の間接排出)に分けられます。

自社の燃料や電力の消費量データと、物理量ベースの排出原単位(kgCO2e/kWhなど)を元に、比較的正確に計算できるScope1・2とは異なり、Scope3の正確な計算には、取引先が使用している原材料・エネルギーなどの種類や消費量のデータが必要となるため、これまで、Scope3の計算には、会計データと、金額ベースの排出原単位(kgCO2e/円など)が広く用いられてきました。

(出典)サプライチェーン排出量 概要資料

■Scope3算定に用いられる排出原単位

金額ベースの排出原単位は、国立環境研究所が開発した「産業連関表による環境負荷原単位データベース(3EID)」に基づくもので、環境省が提供している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」で提供されている排出原単位も、これに基づいています(下表)。

この排出原単位を使えば、例えば、野菜を100万円生産者から購入した場合、その野菜の栽培などの過程で発生したGHG排出量は4.48tCO2eであることがわかり、会計データから、簡単にGHG排出量を計算することができます。

(出典)サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース Ver.3.5

■金額ベースの排出原単位の課題

このように、金額ベースの排出原単位は、非常に便利なものですが、産業連関表に基づく特性上、日本の“平均的な”製品や素材の排出原単位となり、個々の製品の生産過程の特徴を反映したものとはなっていません。つまり、地元で人手をかけて生産された有機野菜も、化学肥料・農薬・燃料をたくさん使って遠方で生産された野菜も、購入金額が同じであれば、GHG排出量は同じと計算されてしまいます。

下図のように、金額ベースの「二次データ*排出原単位」に頼る場合、企業は活動量である購入金額を減らす(買わない・値引きさせる)しか、Scope3を削減する手段は無いことから、近年、大企業を中心に、Scope3の正確な把握と削減のために、サプライヤー企業に対して、「一次データ*排出原単位」の開示を求めるケースが増えてきています。

(出典)Green x Digital コンソーシアムCO2可視化フレームワークEdition 2.0.1

*一次データと二次データの定義(GHGプロトコル Scope3 Standardに基づく)

(出典)1次データを活用したサプライチェーン排出量算定ガイド Ver.1.0

■一次データ排出原単位

「一次データ排出原単位」とは、サプライヤー企業が、燃料や電力などの消費量データと、物理量ベースの排出原単位(kgCO2e/kWhなど)を元に計算した排出原単位です。
下図に示すように、一次データ排出原単位には、「製品ベース算定」と「組織ベース算定」の2種類があり、現状では、右側の「組織ベース算定」が用いられることが多いようです。

これは、サプライヤー企業が自社のScope1・2・3排出量を算定し、それを総売上高で割るような方法で、算出されたものです。購入側の企業は、この排出原単位に、当該サプライヤーからの購入金額を乗じることで、購入した製品からのGHG排出量を算定することができます。

(出典)Green x Digital コンソーシアムCO2可視化フレームワークEdition 2.0.1

「組織ベース算定」は、算定が比較的容易である反面、製品の種類が多かったり、製品単価の差が大きかったりする場合には、正確な値とはならないという欠点があります。
一方、左側の「製品ベース算定」は、製品のカーボンフットプリント(Carbon Footprint of Product;CFP)に相当するもので、ある製品について、使用される原材料や製造プロセスを特定し、各製造プロセスからのGHG排出量を積み上げて計算されるため、製品に直接紐づいた正確な排出原単位となります。

サステナビリティ情報開示の強化や、CFPが評価される仕組みが広がりを見せる中で、一次データ排出原単位についても、「組織ベース算定」から、「製品ベース算定」への移行する流れが、強くなってきています。

■おわりに

DOWAグループは、2050年までにカーボンニュートラルを目指すとともに、その通過点として、Scope1・2排出量を1,200千t-CO2(2013年度1,730千t-CO2)まで削減することを、2030年度の中間目標として設定しています。
Scope3についても、対象範囲の設定を行って把握に努め、算定結果を公表しています。今後は、お客様のScope3算定支援やCFP算定支援にも関わることで、従来からの廃棄物のリサイクル・適正処理を通じた循環型社会構築への貢献のみならず、脱炭素社会構築にも貢献していきたいと考えています。

次回は、顧客のみならず、政府の新たな評価軸として広がりを見せ、“攻め”の活用をする企業も増えてきている、CFPの活用事例のご紹介を予定しています。
当社の気候変動への取り組みについては、以下についても併せてご覧ください。

> DOWAホールディングスHP
> DOWAエコシステムの気候変動対策

古屋 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ 古屋 が担当しました

2025.11.04 メールマガジン

DOWAエコジャーナル ~九州地区での拠点拡大 ほか~

いつもお世話になっております。DOWAエコジャーナル 編集部です。
月に1回、資源循環に役立つ情報をニュースレターでご案内しております。

|TOPICS

  • NEWS DOWAエコシステム熊本事業所が竣工 九州地区において環境・リサイクル事業を拡大します
  • 新着記事 環境分野の情報管理 その1 マニフェスト制度
  • 新着記事 太陽光パネルリサイクル法案に関連する大臣記者会見がありました
  • 新着記事 DOWAグループは渡辺選手を応援しています!
  • ほっと一息 実りの秋、心豊かなひとときを

|NEWS DOWAエコシステム熊本事業所が竣工 九州地区において環境・リサイクル事業を拡大します
DOWAエコシステムの熊本事業所が竣工しました。
九州地区の総合リサイクル拠点として事業を展開していきます。

|新着記事 環境分野の情報管理 その1 マニフェスト制度
環境分野では、様々な情報管理が行われており、また将来的な検討も行われています。
今回は、廃棄物の情報管理シリーズの1つとして、マニフェスト制度について解説しました。

|新着記事 太陽光パネルリサイクル法案に関連する大臣記者会見がありました
太陽光パネルのリサイクル制度については、法案が国会へ提出される予定でしたが、環境大臣の会見にて見直しとなる方向性が示されました。引き続き制度検討が続けられることも示されています。

|新着記事 DOWAグループは渡辺選手を応援しています!
DOWAホールディングスは、プロバドミントンプレイヤーの渡辺選手とスポンサー契約を締結しています。
渡辺選手の近況をご報告します。

|ほっと一息 実りの秋、心豊かなひとときを
・三重塔移築100周年記念「温度で味わう日本酒 × フレンチ~三重塔の足跡をたどる~」【ホテル椿山荘東京】
・【箱根小涌園ランタンナイト】<ビュッフェ夕食/後半> 食べ放題・飲み放題付き&ユネッサン・森の湯入り放題~1泊2食付き♪【箱根ホテル小涌園】
・秋のランチビュッフェ ~秋の味覚~【横浜桜木町ワシントンホテル】

今月もDOWAエコジャーナルをお読みいただきありがとうございます!

2025.11.04 サーキュラーエコノミー

11月、リサイクルテックジャパンに出展します!

DOWAの取組リサイクル

2025年11月12日(水)〜14日(金)の3日間、DOWAエコシステムとDOWAエレクトロニクス(東京都千代田区)は、幕張メッセで開催される高機能素材Week2025の「第1回リサイクルテックジャパン」に共同出展します。
本展示会は、リサイクルの技術革新の促進や、リサイクル実現を目指す企業と支援する企業をつなぐことを目的としており、リサイクラーや機械・設備、再生材料、コンサルタント等幅広い業界から製品が出展されます。
記念すべき第1回となる本展示のアドバイザリー委員を、当社代表取締役社長の矢内 康晴が拝命しています。

インタビューはこちら:
「資源循環に取り組む方と出会えるリサイクルテック ジャパンに」 独自の技術と思いが生んだDOWAエコシステムのリサイクル

DOWAエコシステムとDOWAエレクトロニクスは本展示会に共同出展し、グループ内外との動静脈連携による金属資源循環の取り組み、太陽光パネルに含まれる金属資源回収の取り組み、リチウムイオン電池のリサイクル、バイオコークス、機能材料、電子材料等のDOWAエレクトロニクスの製品についてご紹介します。

また、展示会公式セミナー会場に置いて、11/12(水)には「使用済リチウムイオン電池からの安全かつ効率的な資源回収」について、11/13(木)には「イー・アンド・イー ソリューションズの太陽光パネルの長期使用・リサイクル促進に向けた取り組み」について、DOWAグループ社員が登壇します。

> セミナーについて 詳しくはこちら

DOWAグループ社員一同、リサイクルテックジャパンでお待ちしております!

※本イベントへのご入場には来場登録が必要となります。
> 来場登録はこちらから:入場用バッジ登録フォーム

開催概要

【名称】
高機能素材Week2025「第1回リサイクルテックジャパン」
【会期】
2025年11月12日(水)~14日(金)10:00-18:00(最終日のみ17:00まで)
【会場】
幕張メッセ 第4ホール
DOWAエコシステムブース場所:21-40
【出展内容】
  • 動静脈連携による金属資源循環の取り組み
  • 太陽光パネルに含まれる金属資源回収の取り組み
  • リチウムイオン電池のリサイクル
  • バイオコークスの紹介
  • 機能材料、電子材料等のDOWAエレクトロニクスの製品紹介

イベントリンク

> リサイクルテックジャパンについて 詳しくはこちら
> DOWAエコシステムのブースについて 詳しくはこちら
> DOWAエレクトロニクスのブースについて 詳しくはこちら

更に、高機能セラミックス展には、DOWAサーモテックが出展します!
> DOWAサーモテックのブースについて 詳しくはこちら

2025.11.04 カーボンニュートラル サーキュラーエコノミー

環境分野の情報管理 その2 デジタル製品パスポート(DPP) ~EUが推進する「製品の一生を見える化」する仕組み~

カーボンニュートラルリサイクル環境コンサル

今回は、環境分野の情報管理についての記事の第2弾として、EUがサーキュラーエコノミーへの移行のために推進している「デジタル製品パスポート(DPP)」についてご紹介します。

前回の記事:環境分野の情報管理 その1 マニフェスト制度

■DPPについて(概略)

デジタル製品パスポート(DPP)は、製品のライフサイクル全体にわたる情報を電子上で提供するデータセットです。製品が何から作られて、どうリサイクルされるべきかなどの情報がデジタルで見える化されるため、製品のライフサイクル全体の情報を追跡できます。

※具体的な情報要件は委任法で規定

DPPは、EUのエコデザイン規則(ESPR)による規制ですが、日本の製品であっても、EUに上市する場合にはDPPにアクセスするためのQRコード等を製品へ付与する必要があります。エコデザイン規則によれば、製品カテゴリーごとの委任法によってDPPが義務化されることになっており、例えば電池は、バッテリー規則により「バッテリーパスポート」として2027年から実装が義務化される予定です。

■なぜEUでDPPが定められたのか

DPPの目的を探るためには、サーキュラーエコノミー(CE)に関するEUの政策を確認する必要があります。

2019年:欧州グリーンディール

EUは「欧州グリーンディール」という成長戦略を提示しました。気候中立、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行、有害物質が無いこと等の環境課題への対応策を備えた社会への変革を目指しています。また、2015年に策定されていたサーキュラーエコノミー行動計画を刷新すること等、循環経済モデルへの移行の差し迫った対応が必要であることが強調されています。

> ※EUROPEAN COMMISSION The European Green Deal 前文より

ポイント:欧州グリーンディールでは、サーキュラーエコノミーへの移行を目指している

2020年:新サーキュラーエコノミー行動計画

欧州グリーンディールで示されたサーキュラーエコノミーへの移行を加速させるため、「新サーキュラーエコノミー行動計画」が出されました。この新計画の中では、気候中立とのシナジーを図るとともに、サーキュラーエコノミーは市民にとって、効率的で手ごろで長持ちし、再利用、修理、高クオリティなリサイクルのために設計された、高品質・機能的で、安全な製品を提供するとしています。

> ※EUROPEAN COMMISSION A new Circular Economy Action Plan (1. INTRODUCTION)より

ポイント:「新サーキュラーエコノミー行動計画」では、サーキュラーエコノミーは市民に持続可能性の高い製品を提供するとしている

参考:DOWAエコジャーナル EU新循環経済行動計画のポイント その道の人に聞く

2024年:エコデザイン規則(ESPR)

2024年には、エコデザイン規則が制定されました。エコデザイン規則の前文によれば、現状はEU市場へ上市される製品に以下の課題があるとしています。

  • 持続可能性を高めることを保証する要件が存在しない
  • ライフサイクル全体の持続可能性を高めるような製品設計がされていない

エコデザイン規則は、この製品設計やライフサイクルの過程における持続可能性を高めるエコデザイン要件の枠組みを定めるための規定になります。

> ※Official Journal of the European Union Regulation (EU) 2024/1781 前文(2)より

ポイント:エコデザイン規則によって、製品の持続可能性を高めるための「エコデザイン要件」を規定する

エコデザイン要件は、製品が一定の性能レベルになるための「性能要件」と特定の物質や環境指標などを含む「情報要件」で構成されています。DPPは、バリューチェーン全体に情報を提供でき、トレーサビリティを向上させる、つまり「情報要件」に含まれる重要なツールとして規定されています。

> ※Official Journal of the European Union Regulation (EU) 2024/1781 前文(32)より

ポイント:DPPはエコデザイン要件の情報部分を担うために規定されている

つまり、サーキュラーエコノミーへの移行による持続可能性の高い製品提供を達成するためにエコデザイン規則が定められており、DPPはそのエコデザインを情報面から支えるツールといえます。

■企業の影響

日本の多くの企業にも影響が考えられます。その理由は以下の通りです。

EU域内で上市された製品は、日本製も対象になる

上述の通り、段階的にEU域内では日本製品を含めてDPPの実装が義務化されます。現在は電池など一部カテゴリーで実装の動きが進んでいますが、最終的にはほぼすべての製品を対象とすることが想定されています。

該当製品のサプライチェーン全体についての情報提供が必要になる

DPPには製品のサプライチェーン全体の情報を掲載する必要があります。そのため、製品の部品等を提供する企業で、仮にEU域内で販売していなくても、サプライチェーンのどこかでEUと接点があれば、DPPに関連する情報を提供することになる可能性があります。なお、求められる具体的な情報については、各製品カテゴリーの委任法で規定される予定です。

■DPPの実装に関する動き(データ共有プラットフォーム)

上述の通り、DPPを実装するためには、自社が持っている製品情報だけでなく、ライフサイクル全体の情報が必要になります。そのため、サプライチェーン全体での情報共有が必要となります。

例えば電池を例にとると、原料採掘(金属等)、製錬、前駆体製造、正極材・負極材製造…と、製造に様々な段階があり、複数の企業が関わります。電池を使用した「車」で見れば、より多くの企業が関わる事にもなります。1社単独ではDPPへの対応は難しいことから、企業・組織間のデータ共有を目的としたプラットフォームが作られてきており、DPPの構築にも貢献すると考えられています。

①EUの例

Catena-X

Catena-Xは自動車向けのデータスペースです。以下のIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の資料でも紹介されているように、自動車産業のサプライチェーン全体で情報を共有できるプラットフォームになります。
DPPの基盤としても機能しており(参考:Catena-x HP)、日本を含めた様々な企業のDPPが統合されています。

(出典)独立行政法人情報処理推進機構(IPA) データスペース入門

②日本の例

ウラノス・エコシステム

(出典)経済産業省ウェブサイト

ウラノス・エコシステムは日本が進めるデータ連携の取組です。経済産業省の資料では、このように説明されています。

産学官で連携して、企業や業界、国境を越えて、データを共有して活用するための仕組みについて、アーキテクチャの設計、研究開発・実証、社会実装・普及を行う取組を総称して、「Ouranos Ecosystem(ウラノス エコシステム)」と命名し推進。

(出典)独立行政法人情報処理推進機構(IPA) ウラノス・エコシステムの取組について

自前のシステムを作るのではなく、政府等が認定した各業界・分野のプラットフォームを組み合わせて利用される「エコシステム」です。
自動車・蓄電池業界の企業間でのデータ連携システムを運営する事業体が設立されており、Catena-Xとの連携も進められています。

■おわりに

デジタル製品パスポート(DPP)はEUがサーキュラーエコノミーへ移行する上で重視している取り組みです。先行して進められている電池等でのDPPを筆頭に、日本企業にも影響する内容になっています。

環境分野において、情報管理は重要です。有害物の情報は無害化処理をするために必須ですし、素材の詳細な情報が効率的なリサイクルにつながります。
デジタル技術を活用したDPPにより、これまでよりも緻密で多様な情報を内包した形で管理が実施されれば、無害化・リサイクルの高度化が進むことが期待されます。

情報管理についての記事は今後も続く予定ですので、ぜひご覧ください。

この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました

2025.11.04 国際動向

エルサルバドルごみ事情 その1 国と法律の概観

海外ごみ事情

今回から3回に分けて、中南米エルサルバドルでのごみ事情についてご紹介します。
第1回目はエルサルバドルという国の概要とごみ処理の概要についてご紹介します。

国概要

皆さんは、エルサルバドルという国をご存じでしょうか。海外事情に詳しい方なら、「治安の悪い中米の国」というイメージを持っているかもしれません。

エルサルバドルは中米にあり、九州のおよそ半分の面積に、約603万人が暮らしています。1970年代から続いた内戦は1992年に終結しましたが、その後もギャング抗争が絶えず、「世界で最も治安が悪い国」と呼ばれることさえありました。

転機となったのは2019年。当時37歳という若さで大統領に就任し、自らを「世界で最もクールな独裁者」と称するナジブ・ブケレ氏の政権誕生です。彼は徹底したギャング撲滅政策を推し進め、4万人を収容できる巨大刑務所の建設は日本でもニュースとなりました。その結果、2015年には人口10万人あたり105人だった殺人による死者数が、2024年にはわずか1.9人まで激減。現在では、南北アメリカ大陸でカナダに次ぐ治安の良い国とされています。

劇的に治安が改善した一方で、エルサルバドルのGDPの約25%は、国外(主にアメリカ)に暮らす約250万人の移民からの送金に依存しています。こうした背景から政府は経済政策にも力を入れています。ビットコインを法定通貨に採用したり、観光促進にも力を入れています。世界でも良好なサーフィンスポットであることを活かし、「サーフシティ」としてブランド化しインフラ整備を進めるほか、旧市街、美しい火山、高品質なコーヒー豆などの豊かな観光資源を世界に発信し、より魅力的な国づくりを目指しています。

エルサルバドル人は明るくダンスが好きで、そして真面目な方々ばかりです。道端ですれ違う時は、「Buenos días!(おはよう)」「Que te vaya bien!(よい一日を!)」と挨拶します。都会であっても、知らない人同士でも関係ありません。

それでは中米のフレンドリーな国、エルサルバドルのごみ事情をご紹介します。

写真:サーフシティ
写真:ププサ(エルサルバドル人が誇る国民食。トウモロコシ粉や米粉でチーズや豆、肉などの具材を包んで平たく伸ばし、鉄板で焼いたもの。日本のおやきと少し似ている。)

エルサルバドルのごみ処理の概観

エルサルバドルでは2020年に廃棄物総合管理及びリサイクル促進法(以下、廃棄物管理法、注1)が制定され、それを踏まえ2022年には廃棄物に関する国による調査報告書(注2)が公表されており、いずれもインターネットで確認することができます。廃棄物管理法の中では、循環経済のアプローチを導入する必要性が言及されており、廃棄物管理の優先順位は「発生抑制 → 再使用 → リサイクル → 資源回収(エネルギー回収) → 環境的に適正な最終処分」と定められています。さらに「拡大生産者責任(EPR)」が明記され、生産者は製品ライフサイクル全体に責任を持つことが義務付けられています。廃棄物は「一般」「有害」「特殊(E-waste、タイヤ、建設廃材など)」に大別され、さらに有機・無機や資源化の可否でも分類されます。罰則規定、市民参加制度、環境教育など多岐にわたる内容が含まれています。

廃棄物は自治体ごとに収集・処分を行い、多くは民間企業や非営利団体と連携しています。調査報告書によると、2020年時点では、国全体の一般廃棄物発生量は約 4,226トン/日と推測されており、収集量は約 3,001トン/日で、収集率の全国平均は約71%です。収集率には都市部と農村部で差があり、最も収集率が高いサンサルバドル県で約80%ですが、農村の多い県では50%程度に留まっています。収集されずに不適切に処理されたものは森林や河川、海洋を汚染していると言及されています。

第2回目は、首都サンサルバトルと農村地域のごみ事情比較をご紹介します。

注1:
Ministerio de Medio Ambiente y Recursos Naturales (MARN). Decreto Nº 527.- Ley de gestión integral de residuos y fomento al reciclaje. 2020年
注2:
Ministerio de Medio Ambiente y Recursos Naturales (MARN). Diagnóstico Nacional de Residuos. 2022年

この記事は
エコジャーナルサポーター 藤井 が担当しました

2025.11.04 その他

紅葉の彩りとともに、特別な時間を

藤田観光からのおすすめ

イヤーエンドビュッフェ~東京雲海と森のオーロラの祝福~

【ホテル椿山荘東京】

とびきりの美食と夜景で祝う、一年のフィナーレ!!
お客様の目の前で仕上げるサーロインローストビーフや鰤しゃぶなど、多彩な美味が一堂に会するビュッフェです。記念日ディナーや、ご家族やご友人との特別な会食にぜひご利用くださいませ。

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【秋冬旅/お日にち限定】名物 三河屋鍋&和牛・旬の食材を楽しむ会席料理(夕朝食付き)

【箱根小涌園 三河屋旅館】

紅葉のベストシーズン到来。庭園の美しい紅葉を堪能しながら秋の味覚満載のお料理をお楽しみください。紅葉の名所「蓬莱園」の散策もお勧めです。

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1日1室限定「ゆりかもめ30周年記念コラボルーム」販売開始

【東京ベイ有明ワシントンホテル】

ゆりかもめ30周年を記念し、引退車両の運転台を設置した特別客室を2025年10月15日より期間限定で販売しております。

「ゆりかもめコラボルーム」誕生!

  • 藤田観光 ホームページ
  • 藤田観光とDOWAは同じ創業者に源を発します。
  • ホテル椿山荘東京 ホームページ
2025.11.04 エコぺディア

ネイチャーポジティブ

ねいちゃーぽじてぃぶ

これまでの人間の経済活動が自然及び野生生物に対してネガティブな影響を与えていることを認識した上で、自然資源の持続可能な利用へと移行し、自然について考慮された投資を促進することなどにより、生物多様性の損失を止めて、回復方向へ反転させること。

2021年のG7における成果文書の1つ「G7 2030年自然協約」や、2022年に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」等でネイチャーポジティブについて言及されており、近年注目が高まっている。

「生物多様性民間参画ガイドライン(第3版)」(環境省)では、「生物多様性を保全することは、事業ポートフォリオの多様化と同様に、生物資源に依存しているビジネスのリスクと不確実性を低減し、事業活動のレジリエンスを高めることに直結して」いるとされており、事業活動にも関連する点が記載されている。

日本では、2030年のネイチャーポジティブ実現のため、目標の1つとして「30by30目標」(陸と海の30%以上を保全する)が定められている。

(出典) 環境省 地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)

> G7 2030年自然協約
> 昆明・モントリオール生物多様性枠組(暫定訳)
> 生物多様性民間参画ガイドライン(第3版)

2025.11.04 エコぺディア

サーキュラーエコノミー

さーきゅらーえこのみー

資源をできるだけ有効活用することで効率的に循環させ、廃棄物発生などの環境への負の影響が抑制された経済システムのこと。循環経済とも呼ばれる。資源を採取して製品を作り、使用後に廃棄される一方通行型の経済システム「リニアエコノミー」と対比的に言及される。

環境に関する取り組みでは3Rが有名だが、環境省の資料によれば、サーキュラーエコノミーは3Rの取組に加えて、資源投入量・消費量を抑えること、ストックを有効活用すること、付加価値を生み出す経済活動であることが含まれる(令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書を参考に記載)。

> 令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

(出典) 環境省 令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

サーキュラーエコノミーの取組の方向性を取りまとめた「成長志向型の資源自律経済戦略」(経済産業省)によれば、2020年に50兆円であったサーキュラーエコノミー関連市場は2030年に80兆円、2050年に120兆円を目指すとされ、成長機会としても捉えられている。

> 成長志向型の資源自律経済戦略

2025.10.01 サーキュラーエコノミー

DOWAエコシステム熊本事業所が竣工 
九州地区において環境・リサイクル事業を拡大します

DOWAの取組リサイクル

8月27日(水)、DOWAエコシステム(株)(東京都千代田区 社長:矢内 康晴)は、九州地区への環境・リサイクル事業のさらなる拡充に向けて熊本県宇城市に建設を進めていたDOWAエコシステム熊本事業所の竣工式を執り行いました。竣工式には、熊本県副知事や宇城市長をはじめとする行政・地元関係者や施工関係会社、地元メディアなどから総勢150名以上が参加し、事業の安全と繁栄を祈願する神事と新工場の見学会を実施しました。熊本事業所は本年10月から順次操業開始を予定しています。

事業所敷地内には、アクトビーリサイクリング(株)(熊本県水俣市塩浜町278番地6 資本金:2億円 代表取締役:清水 伸幸 )熊本工場(以下、アクトビーリサイクリング) と、エコシステムリサイクリング(株)(埼玉県本庄市仁手1781番地 資本金:3億円 代表取締役:中島 教夫)熊本工場(以下、エコシステムリサイクリング)の2工場を併設しています。

アクトビーリサイクリングでは、家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)や小型家電のリサイクル事業を水俣工場に続いて宇城市にも展開いたします。家電リサイクルの過程で発生する鉄や銅、アルミ等は単一素材として回収し、リサイクル・再資源化を行っています。

エコシステムリサイクリングでは、九州地方への集積が進む半導体や電子部品産業の製造工程から発生する工程スクラップや基板等の表面にメッキされた貴金属を、アルカリ・酸処理等で回収する貴金属リサイクル事業を展開します。今後、顧客のリサイクルニーズを踏まえて、回収した貴金属を精製し金や銀へとリサイクルする貴金属精製工程の稼働も検討しています。

また、DOWAエコシステム初の事業として、家電4品目のリサイクルの工程で出てくるプラスチックを原料とするペレット成形をスタートするほか、九州エリアで発生する素材としての再生が不可能な廃プラスチックを原料とするRPF(Refuse Plastic Fuel、固形燃料)の製造も展開予定です。製造したRPFは、廃棄物発電施設や製紙会社での使用を想定しているほか、地産地消を目指して熊本県内での顧客獲得に向けて動いていきます。

さらには、将来的に大量排出が見込まれるリチウムイオン電池、太陽光パネルのリサイクルなど新規事業展開も検討し、九州地区における環境・リサイクル事業の拡充を進めていきます。

熊本県宇城市は九州の中央に位置しており、九州全域を対象にリサイクル原料の集荷を行うことができます。今後、家電リサイクルと貴金属リサイクルを主軸として、九州地区の総合リサイクル拠点としてDOWAのリサイクル事業を展開していきます。

DOWAエコシステムは、国内外における環境・リサイクル事業の強化を通じて、持続可能な社会の構築にこれからも貢献していきます。

DOWAエコシステム熊本事業所外観
テープカットの様子
見学会の様子
地元メディアにも取り上げていただきました。

関連リンク

熊本県宇城市にリサイクル事業拠点を新設~九州地区における環境・リサイクル事業を拡充~
九州地区において環境・リサイクル事業を拡大 ~熊本県宇城市にエコシステムリサイクリング熊本工場を新設~

2025.10.01 サーキュラーエコノミー

環境分野の情報管理 その1 マニフェスト制度

廃棄物処理廃棄物処理法

環境関連の世界では、産業廃棄物処理におけるマニフェスト制度をはじめとして、様々な情報管理が行われてきました。今回は、環境分野の情報管理の1つとして、マニフェスト制度を紹介します。

■マニフェスト制度とは

マニフェスト制度は、廃棄物処理法で定められた制度です。産業廃棄物の処理を他者に委託する際には、排出事業者、処理業者、収集運搬業者は、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の記載、送付などの運用を行う必要があります。

以下の引用文にもある通り、マニフェスト制度は排出事業者が産業廃棄物を委託する際に、処理の流れを自身で確認し、処理責任を確保し、不適正な事案が生じたら迅速に原因究明をすることが目的とされています。

産業廃棄物管理票制度(以下、マニフェスト制度)とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)に基づき産業廃棄物を排出する事業者が、その産業廃棄物の収集運搬又は処分を他人に委託する場合、その産業廃棄物の処理の流れを自ら確認し、処理責任を確保すること、産業廃棄物の不法投棄等の不適正事案の迅速な原因究明等を目的とした制度である。

(出典) 電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップに基づくマニフェスト制度の運用状況の総点検に関する報告

マニフェスト(紙)

■マニフェスト制度の仕組み

マニフェストは7枚綴り(積替用は8枚綴り)になっており、排出事業者、収集運搬業者、処分業者がそれぞれを記入、送付することで適正処理を担保します。運用については、以下の記事にて紹介しておりますのでご覧ください。

産廃マニフェストの運用解説

■マニフェスト制度の成立過程

1991年には、特別管理産業廃棄物に対してはじめてマニフェストが導入され、その後1997年に産業廃棄物全体に広がりました。「環境省五十年史」によれば、廃棄物の排出量が増大していることや、不法投棄の社会問題化が背景にあったとされています。以下は、「環境省五十年史」から、廃掃法改正に関する部分を引用しています。

1991年の改正は、廃棄物処理施設整備緊急措置法の改正とともに行われた(平成3年法律第95号)。このときの廃掃法の改正は、廃棄物の排出量の増大等により、最終処分場等の処理施設の確保が困難になり、また、不法投棄が社会問題化したことなどから、廃棄物処理体制の拡充強化を図ったものであり、①廃掃法の目的への廃棄物の減量化、再生利用の付加、②事業者、国民を含めた各主体の責務の強化、③廃棄物処理の計画化(市町村の一般廃棄物処理計画、都道府県の産業廃棄物処理計画、市町村長による多量一般廃棄物排出事業者の一般廃棄物減量化計画作成の指示、都道府県知事による多量産業廃棄物排出事業者の産業廃棄物処理計画の作成の指示)、④特別管理廃棄物制度の導入と特別管理産業廃棄物に対する廃棄物管理票制度(マニフェスト制度)の採用、⑤廃棄物処理業者の規制の強化(許可の更新制の導入と、収集運搬業と処分業の区分)と処理施設の規制の強化(設置についての届出制から許可制への移行)、⑥廃棄物処理施設の整備推進のための廃棄物処理センター制度の創設、⑦廃棄物の不法投棄等を防止するための罰則の強化などがあげられる。

(出典)環境省五十年史(記録編-03-1)

■電子マニフェスト制度

紙マニフェストではなく、電子マニフェストによる運用も進んでいます。
電子マニフェストを導入すると、紙マニフェストを交付する代わりに、情報処理センターを介してネットワーク上でやり取りすることができます。

食品廃棄物の不正転売事案を受けて、2020年4月からはPCB廃棄物を除いた特別管理産業廃棄物を年間50t以上排出する事業者に対して、電子マニフェストの使用が義務化されています。
また、2027年4月からは、処分業者は電子マニフェストによる最終処分の報告時、処分方法や再資源化に関する情報等を合わせて報告することが義務化されます(2025年4月公布「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令」より)。

情報処理センター(JWネット)の公開情報によれば、2024年度の電子化率は62.1%ということですので、既に半数以上が電子化されていることになります。
紙だと郵送していた部分が短縮され、かつマニフェストA票とその他写しとの突合せをする必要もなくなっているため、情報管理がしやすくなっています。また、処理の過程が電子上で透明化されるとともに迅速に共有されることで、トレーサビリティも向上しています。

■法の規定

廃棄物処理法において、マニフェスト制度は以下の通り規定されています。条文内の「産業廃棄物管理票」がマニフェストのことを指します。

第十二条の三
その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。第十二条の五第一項及び第二項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。

(出典)廃棄物処理法

また、マニフェスト制度には罰則があります。廃棄物処理法第27条の2によれば、罰則は以下の通りです(排出事業者に関連するもののみを掲載)。

事例 罰則内容 該当条文
マニフェストを交付していない 一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金 第27条の2第1項
マニフェストの法定記載事項を記載していない 第27条の2第1項
マニフェストに虚偽の記載をしている 第27条の2第1項
マニフェストを保存していない 第27条の2第5項
電子マニフェストを虚偽登録している 第27条の2第9項

マニフェスト交付時のミスは、拘禁刑や罰金などの重い罰則につながります。また、産業廃棄物の不適切な処理が行われ、生活環境の保全上支障が生じた(または生ずる恐れがある)場合に、もし排出事業者が該当の産業廃棄物に関するマニフェストの違反をしていた場合には、排出事業者が支障の除去等を行う措置命令の対象となります(廃棄物処理法第19条の5)。

産業廃棄物を日常的に出している工場では、毎日のようにマニフェストが発行されますし、マニフェストの記入は作業のように感じるかもしれませんが、法定事項の記載漏れなどの記載ミスが、そのまま法律違反につながるため、注意を怠らないようにする必要があります。

■おわりに

マニフェストは、産業廃棄物分野における情報管理において、重要な役割を果たしています。最近では、脱炭素や高度なリサイクルのため、環境分野におけるトレーサビリティの重要性が言われ始めていますが、マニフェスト制度はそのような取組の先駆けのようにも思われます。

実際の記入方法やミスしやすい箇所等については別の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。

この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました

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