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土壌汚染調査技術管理者試験問題の解説(6)

■平成23年度土壌汚染調査技術管理者試験の解答及び解説(その6)

今まで拝読頂きました方々、本当にありがとうございました。誠に勝手ながら、今回の掲載で平成23年度土壌汚染調査技術管理者試験の解説を最後とさせて頂きます。
最後は、要措置区域等外へ搬出時の認定調査に関する問題を解説させていただきます。是非、ご参照ください。

【関連リンク】

環境省ホームページ
技術管理者制度
技術管理者試験問題

【問題18】

法の掘削後調査(認定調査)における試料採取に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。

  1. 土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地の土壌を含むロットの試料採取は、100m3ごとに行う必要がある。
  2. 土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地の土壌の試料採取等は、900m3ごとに行う必要がある。
  3. 土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地の土壌の試料採取等は、5,000m3ごとに行う必要がある。
  4. 土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地で、第一種特定有害物質の場合は、ロットごとに採取された5点の土壌のうち任意の1点の土壌を試料とする。
  5. 土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地で、第二種及び第三種特定有害物質の場合は、ロットごとに5点の土壌を採取し、それぞれ同じ重量混合し、1試料とする。

【解答】

3

【解説】

要措置区域等において土壌を掘削する際に認定調査を実施する場合は、区域指定後の土地利用状況、特定有害物質の取り扱い状況、基準不適合土壌の浄化、土地の造成(盛土、埋め土、浄化土埋め戻し等)などの情報を収集し、改めて汚染のおそれを区分する必要があります。認定調査時の試料採取の頻度は、当該おそれ区分に基づき下表のとおりとなります。

表:汚染のおそれ区分と試料採取頻度
区分 試料採取頻度 対象となる土壌
①汚染のおそれがない土地
(基準不適合土壌が存在するおそれがないと認められる土地)
試料採取の必要なし 浄化等済土壌又は認定調査で基準適合とされた土壌により埋め戻された土壌又は盛土であって、埋め戻し又は盛土後も新たな汚染が生じていないといえる土壌
②汚染のおそれが少ない土地
(基準不適合土壌が存在するおそれが少ないと認められる土地)
900m2ごとの調査
または
900m3ごとの調査
以下のa.又はb.に該当する土壌
a.搬入時に5000m3以下ごと(汚染のおそれのない場合)又は900m3以下ごと(前段に該当しない場合)の調査を行い、その結果が土壌溶出量基準及び土壌含有量基準に適合した埋め戻し土壌又は盛土であって、埋め戻し又は盛土後も新たな汚染が生じていないといえる土壌
b.区域指定に係らない物質を対象とする土壌であって、区域指定後も新たな汚染が生じていないといえる土壌
③汚染のおそれが比較的多い土地
(①及び②に掲げる土地以外の土地)
100m2ごとの調査
または
100m3ごとの調査
区分①②に該当しない土壌
a.区域指定に係る物質を対象とする土壌
b.搬入時に上記の調査がなされていない土壌
c.区域指定後に汚染原因行為が認められる範囲にある土壌
d.区域指定後に新たな汚染が生じていないといえない土壌

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン改訂版p435 表5.10.4-1 汚染のおそれ区分
※浄化等処理施設において浄化等済み土壌であることが確認されたもの(不溶化処理された土壌は含まない)

上表より、土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地では試料採取は不要のため、もっとも不適当なものは選択肢3となります。

【補足】

建物建築前の残土調査の実施について

土壌に関する法令には、「土壌汚染対策法」や「環境確保条例」の他に「残土条例」が存在します。
「土壌汚染対策法」や「環境確保条例」では、基本的に特定有害物質の使用廃止時や3,000m2以上の土地改変時を契機として、当該土地で使用していた特定有害物質のみが法対象となります。

一方、「残土条例」では、建物新築等の工事において発生する残土を「残土条例」が制定されている自治体(例えば千葉県、栃木県、岐阜県など)にある処分場に持ち込むには、特定有害物質全項目等の分析が必要となります。残土の排出場所が、土壌汚染対策法や環境確保条例による土壌調査の義務が発生しない場合であっても、分析が必要になります。

仮に、残土を分析して特定有害物質が基準を超過した場合は、汚染土壌として処分をしなければいけなくなります。汚染土壌の処理先が決まるまで、残土が持ち出せない等、工期延長せざるを得ない場合もあります。当初見込んでいなかった、汚染土壌の処分費用や工期の延長により工事費が増加し、建設計画に悪影響を及ぼす可能性もあります。

このため、建物や設備を新しく建築する際に残土を排出する可能性のある場合には、土壌汚染対策法や環境確保条例の規制の有無に関わらず、事前に残土処分先での残土条例の有無を確認した上で、残土条例を踏まえた土壌調査を実施することをお勧めします。


四戸 この記事は
ジオテクノス株式会社
四戸 が担当しました

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