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DOWAエコシステムとSDGsの関わり その1
~食品廃棄物の有効利用と再生可能エネルギー創出~

今回は、食品リサイクル事業の取り組みについて、DOWAグループのバイオディーゼル岡山(岡山市)での事業を元に、SDGsに関連する部分に焦点を当ててご紹介します。

キーワード
▶SDGs ▶食品廃棄物 ▶食品ロス ▶気候変動 ▶カーボンニュートラル ▶再生可能エネルギー

●食品リサイクル事業が達成に貢献するSDGs

食品リサイクル事業

① 何をしているの?

食品廃棄物を原料として微生物発酵によってメタンガスを発生させ、それを燃料に発電を行います。

【事業のポイント】

  • ガスを安定して発生させる発酵管理、発酵で生じる排水や残渣の処理、処理に伴う臭気管理が重要です。

② 何に貢献するの?

食品リサイクル事業が貢献するSDGsは「食品廃棄物の有効利用」と「再生可能エネルギー」の創出です。

(1)食品廃棄物の有効利用

Goal 12 つくる責任 つかう責任

12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

Goal 11 住み続けられるまちづくりを

11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間住居計画・管理の能力を強化する。

●どんな課題があるの?

世界で不足する食糧と日本の食品廃棄物

現在、世界では食糧不足による栄養不良となる人が増加し、世界規模で食糧問題が課題視されています。さらに、将来の世界的な人口増加に加え、気候変動対応が不十分だった場合の干ばつなどによる生産への影響によってはさらに深刻な懸念となり得ます。

一方、日本では食料自給率が低く、海外からの輸入に頼っている一方で、かなり多くの食品廃棄物が発生しています。食品リサイクル法における集計によると、2019年度で1,700万t程度(家庭から発生する食品廃棄物は含まない)であり、製造時の加工残さや売れ残りなどが挙げられます。

食べられる食品も廃棄されている

また、食品廃棄物の中でもまだ食べられる食品が捨てられることを「食品ロス」と呼び、その発生量は年間約570万t(2019年度)。当社が食品リサイクル事業を行っている岡山市内だけでも、年間約1万7千tが食品ロスとして廃棄されています。
食品ロスを減らす取り組みは重要ですが、環境負荷を低減させるためには廃棄された食品の有効利用も進めていく必要があります。

日本の食品リサイクルの現状

国は食品リサイクル法を制定し、目標として2024年度までに食品製造業は全体の95%、食品卸売業では75%、食品小売業では60%を再生利用することと決めて削減を推進しています。全体として段階的に再生利用率は向上しており、全体では2020年度で86%です。

しかしながら、リサイクルの取組の進捗は分野によって差があります。食品製造業では非常に高い96%ですが、卸売業や小売業、外食産業はそれぞれ68%、56%、31%(2020年度)であり低調な状況です。

出典:食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針
農林水産省の食品循環資源の再生利用等実施率推計結果より筆者作成

リサイクル率が低い原因

2019年時点で、国の認定を受けているリサイクル業者のうち、飼料化・肥料化事業が8割を占めています。食品製造業から排出される廃棄物は量・性状が安定しているため分別が容易なため、飼料・肥料としてのリサイクルが進んでいます。

一方で、食品小売業や外食産業から排出される廃棄物は衛生上、飼料・肥料に不向きなものも多く、リサイクルが進んでいません。また、包装された状態の食品廃棄物は中身を取り出すことが課題となって敬遠されていることもリサイクル率が上がらない原因と推察されます。

●どう貢献するの?

年間1.5万t以上の食品廃棄物を資源に

DOWAエコシステムの食品廃棄物のリサイクル率の向上の鍵は廃棄物の質や量にあったリサイクルの普及です。
食品リサイクル事業は、今までリサイクルしづらかった食品廃棄物を資源として有効利用でき、年間16,000tを受け入れることができます。現在、コンビニエンスストアやスーパー、ホテルをはじめ幅広いお客様より委託いただき、受け入れ量も拡大してきております。
より幅広い食品廃棄物を受け入れできるよう、今後も対応力を強化していきます。

出典:SDGsへの取り組み | 岡山駅直結のホテルグランヴィア岡山

食品リサイクル事業が食品廃棄物のリサイクルの選択肢の一つとなることで、食品廃棄物の有効活用、リサイクル率の向上に貢献していきます。

また、食品ロス削減の取組みは大切なことですが、発生してしまった食品ロスの環境負荷を低減するために有効利用していくとともに、地域との連携も図っていくことで食糧問題などに対する社会の意識向上に寄与し、食品ロスの直接的な削減にもつながればと考えています。

(2)再生可能エネルギーの創出

Goal 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

13.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に増大させる。

Goal 13 気候変動に具体的な対策を

13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。

Goal 11 住み続けられるまちづくりを

11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間住居計画・管理の能力を強化する。

●どんな課題があるの?

気候変動は全世界の脅威

気候変動は健康や貧困、食料安全、生態系、人間の安全保障などの将来の幅広い脅威として強く懸念されています。主な原因は、人間活動に起因する化石燃料の使用により大気中のCO2などの温室効果ガスが増加したためと考えられています。

将来の許容しがたい気候変動の悪影響を回避するために、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃以内に抑え、できれば1.5℃に抑える努力をすることなどを目標として、すべての国が協調して対応していくために、2015年にパリ協定が発効しました。

再生可能エネルギーの主力電源化の推進

日本は2019年に2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素実質排出量ゼロ)宣言を行い、2020年に2030年の中間目標を2013年度比で46%の削減として設定し、政策を推進しています。

その中でも、電力使用による排出削減のために、再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化を重要な政策の一つとして掲げ、電源構成における再エネ比率を2019年度18%から2030年度36~38%へ引き上げていくことが2021年10月の第六次エネルギー基本計画で示されています。

出典:2030年度におけるエネルギー需給の見通し(資源エネルギー庁)

再生可能エネルギー需要の高まり

一方、企業においてはパリ協定や政府目標に基づきながら、様々なイニシアティブとの連携によって削減への取組みが推進される中で、自社排出だけでなく自社以外のサプライチェーン全体でのGHG削減が求められるようになってきました。特に、大手メーカーにおいてはサプライヤーに製造時の再エネ使用を求める事例も見られるなど、社会的な再エネの需要は一段と高まってきています。

●どう貢献するの?

年間1,600世帯分の再生可能エネルギーを供給

バイオガス発酵発電で創出された電力は、原料が植物等の食品廃棄物であるため、化石燃料由来のCO2が発生しない「再生可能エネルギー」です。現在、食品リサイクル事業では、年間で1,600世帯分(年間約6GWh)の電力供給が可能です。

本事業では、電力小売会社を通じて社会へ供給することで社会の再エネ比率の向上に貢献しています。そして、気候変動対応に繋がります。

エネルギーインフラとして地域の防災力も強化

地域の食品廃棄物を利用するバイオガス発酵発電は、発電効率が気象条件に左右されないだけでなく、災害等の不測の事態であっても安定した電力供給を行うことができます。これは地域の自立分散型のエネルギーシステムの構築に寄与し、地域の防災力の強化など地域の環境や産業政策にも貢献します。

●おわりに

Decade of ActionSDGsは2030年に向けた地球規模の課題に対処するものであり、世界中の政府や企業、市民社会などがSDGsを組み込んで活動しています。達成まで10年をきり、国連は「行動の10年(Decade of Action)」を打ち出し、実際に行動することを求めています。

DOWAグループは、食品リサイクル事業をさらに推進することで、SDGsの目標達成に貢献してまいります。

バイオディーゼル岡山 ホームページ


この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました

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