最近、ニュースや新聞で「レアアース(希少土類)」という言葉をよく耳にしませんか?国際情勢などで輸入が制限される度に大騒ぎになっているので、なにやら重要そうな資源であるとは感じるのですが、具体的にどんなものなのかを知る機会は意外と少ないものです。
今回は、見えないところで現代社会を支えている「レアアース」の正体と、なぜこれほどまでに注目されているのかを分かりやすく解説します。
1. レアアースとは「17種類の元素」の総称
まず、レアアースとは特定の物質の名前ではありません。レアメタルと呼ばれる希少元素、その中でも元素周期表にある「スカンジウム」「イットリウム」の2つの金属と、「ランタノイド」と呼ばれる15種類の金属、合計17種類の金属を総称してレアアースと呼びます。
具体的には次の周期表の赤枠で囲まれた元素になります。
| Sc | スカンジウム |
| Y | イットリウム |
| La | ランタン |
| Ce | セリウム |
| Pr | プラセオジム |
| Nd | ネオジム |
| Pm | プロメチウム |
| Sm | サマリウム |
| Eu | ユウロピウム |
| Gd | ガドリニウム |
| Tb | テルビウム |
| Dy | ジスプロシウム |
| Ho | ホルミウム |
| Er | エルビウム |
| Tm | ツリウム |
| Yb | イッテルビウム |
| Lu | ルテチウム |
なかなか耳にしない記号・名前ばかりだと思いますが、聞いたことのあるものはあったでしょうか?
2. なぜ「産業のビタミン」と呼ばれるのか?
レアアースは、鉄やアルミニウムのように身の回りで大量に使われる金属ではありません。しかし、ほんの少しだけ鉄などの中に加えるだけで、製品の性能を大幅に向上させる力を持っています。
人の体で例えると、ビタミンはタンパク質ほどの量は必要ではありませんが、人体を元気にするために絶対に必要なものですよね?そのような性質から、レアアースは『産業のビタミン』という異名を持っています。
3. レアアースはどこで使われているの?
ではレアアースは具体的にどのような場所で使われているのでしょうか?
意外にも、皆さんの身の回りのいろいろなところで使われています。以下にいくつか例を示します。
- 磁石
皆さんが使用しているエアコン、洗濯機などを動かすモーターやパソコンのハードディスク、電気自動車のモーター、風力発電機には、レアアース(ネオジム、ジスプロシウムなど)を使った強力な磁石が必要不可欠です。 - スマートフォンのディスプレイ
テレビやスマホの画面を鮮やかに発光させる「蛍光体」としてレアアース(テルビウム、ユウロピウムなど)が使われています。 - 光学ガラス
カメラのレンズの屈折率を高め、小型化・高性能化を可能にしているのもレアアース(ランタンなど)です。
4. 「レア」だけど「珍しくない」?
「レアアース(珍しい土)」という名前から、ダイヤモンドのように地球上にほとんど存在しないものだと思われがちです。
しかし、実は地中の存在量自体はそれほど少なくありません。例えば「セリウム」というレアアースは、銅と同じくらいの量が地殻中に含まれていると言われています。
では、なぜ「レア」なのか? それは「まとまった量を採掘できる場所が限られているから」、そして「取り出すための工程が非常に複雑でコストがかかるから」です。
5. レアアースについての「日本の挑戦」
現在、レアアースには大きく2つの課題があります。
1. 環境負荷
採掘や精製の過程で強酸などの化学薬品を使用するため、環境対策を徹底しないと周辺環境を汚染するリスクがあります。
2. 産地の偏り
世界の供給の多くを特定の国(主に中国)に依存しているため、国際情勢によって価格や供給が不安定になりやすいリスクを抱えています。
こうした中、日本では、南鳥島付近の海底にある「レアアース泥」からの採掘技術の研究や、製品をリサイクルしてレアアースを取り出す『都市鉱山』の活用など、世界をリードする取り組みが進んでいます。
6. 『都市鉱山』からレアアースを回収せよ!DOWAの使命
これまでの説明の通り、レアアースは、私たちが便利に生活するために欠かせない存在です。
しかしながら、現時点で日本にはレアアースを生産できる天然の鉱山はありません(南鳥島のレアアース泥はまだ開発中)。そのせいで、国際情勢によりレアアースの輸入が滞ると、私たちの生活が脅かされることになるのです。
そこで私たちDOWAグループが注目しているのが『都市鉱山』です。
都市鉱山とは、有用な金属が使われている電化製品が都市部に多く集まっていることを鉱山に見立てた言葉です。
DOWAグループはこの都市鉱山、具体的には皆さんが廃棄した家電製品などからレアアースを含むネオジム磁石を取り出す取り組みを進めています。
持続可能な社会の実現に向けて、DOWAグループは資源循環の高度化に取り組んでまいります。
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 峯川 が担当しました











