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オーストラリアのメルボルン、ウィンダム地区の住民に優しいごみ処理事情

ごみ処理に関して、日本に帰った時によく感じることはごみの分類の仕方が細かすぎることと、ごみの出し方が面倒くさいことです。それはたぶん現在住んでいるオーストラリアのメルボルンのごみ処理システムが合理的で、捨てる側に負担を感じさせない形、つまり住民に優しいごみ処理システムになっているからではないかと思います。
メルボルンでも地域によって差がありますが、メルボルンの西部にあるウィンダム地区について、ごみ処理システムの詳細をお伝えします。

一般ごみとリサイクル用ゴミ箱

オーストラリアの各州都は東京の23区のようになっていますが、23区でいう「区」は「自治体(Council)」と呼ばれます。ここではこの自治体を「地区」と呼ぶことにして進めていきたいと思います。

さて、オーストラリアでは、ごみ処理など住民の生活に密接に関わる行政は各地区によって多少異なります。ウィンダム地区の各家庭には、市役所から2つのタイプのゴミ箱が支給されます。一つは一般ごみ、もう一つはリサイクル用のゴミ箱です。

一般ごみ用のゴミ箱は、黄色の蓋がついていてサイズは140ℓ。ただし今後は、出すごみの量を減らすように、サイズを一回り小さくした赤い蓋のゴミ箱(120ℓ)に徐々に置き換えられることになっています。

リサイクル用のゴミ箱には青い蓋が付いていて、ここにはプラスチック、ガラス、紙などを入れることができます。集まったごみはリサイクルセンターに持って行かれ、そこで業者がさらに細かく選別してリサイクルしていきます。写真の情報は市役所から配られるもので、余分なものをこのごみ箱に入れないよう指示しています。

オプションとして配布される植物性廃棄物のゴミ箱

ウィンダム地区はメルボルンの郊外にあるので一戸建ての家が多く、たいてい庭が付いています。そうした家庭では、希望すれば刈った芝生や剪定した木の枝葉など「植物性廃棄物」用のごみ箱を利用することができます。1年につき約6,000円で回収に来てくれます。
このゴミ箱には、キッチンから発生する野菜くずを入れることもできます。回収した植物性廃棄物は業者が引き取り肥料などに作り変えられます。

一般ごみの回収は毎週、そして、リサイクルとグリーンごみの回収は隔週ごとに交互に行っています。このカレンダーは青がリサイクル回収日、緑が植物性廃棄物の回収日を示しています。

生ごみを処理する「コンポスト」への助成金

野菜くずなど生ごみを処理するには、グリーンのゴミ箱に入れるほかに、コンポストを利用することもできます。ウィンダム地区当局はコンポストの利用を奨励するため、コンポストの値段の一部を助成金として支払ってくれます。

コンポストには、生ごみや植物性廃棄物を上から入れて堆積させ、そこからできる肥料を集めて使うタイプと、ミミズと土の入った容器の中に野菜のくずを入れ、それを食べたミミズから出される糞を肥料として使うタイプがあります。コンポストは少なからず悪臭を放つので、普通は庭の片隅に置きます。

電気製品と古着の処分は指定された引取り所で

小型の電気製品と古着を処分するには、コミュニティセンターなどが指定されていて、そこに置かれた箱に投函して処分します。

廃棄箱には「あなたの衣服に第2の人生を与えてください」という標語が書かれています。ただし、写真でわかるように、投入箱は投棄された古着などがすでに溢れているし、衣類以外の物も置かれているので、改善が必要だと感じさせられますね。

コンピューター関係廃棄物には専用廃棄箱設置

ウィンダム地区には図書館を備えた「コミュニティ学習センター」があり、その一角にデジタル関係の廃棄物(プリンターのカートリッジ、手のひらに乗るサイズのバッテリー、CD、携帯電話、電球)を分別して捨てる廃棄箱が用意されています。

オーストラリアでは図書館の利用者が多いので、この廃棄ボックスは図書館を訪れるとき、ついでにデジタル廃棄物を処分でき便利です。また鮮やかな色分けと廃棄物の絵が描かれているので分別が楽にできます。

粗大ごみの処理

いらなくなった大き目の家具や、冷蔵庫・洗濯機などの大型家庭用電気製品、また切り倒した木の幹や大枝などは各家庭が地区当局に電話して予約すると、引取りに来てくれます。この引取りは各家庭につき年3回可能です。

粗大ごみの廃棄が年に3回以上必要な時は、直接ごみ処理場に持って行って処分します。この処分には地区当局から無料のチケットが年に数枚支給されますが、チケットを使いきってしまった場合は、ごみ処理場の入口で料金を払えば処分することができます。

まとめ

オーストラリア、メルボルンのウィンダム地区では、いくつかのごみ処理方法が用意されていて、その中から適した方法を選んでごみを処分します。家庭でもごみの分別が必要ですが、それほど細かく分別する必要はなく、回収後に業者がさらに細かい分別を負担してくれます。

また、ごみのトラックが各家庭を回って回収してくれるので、この点でもゴミ出しが楽です。ごみの不法投棄を少なくするには、住民に優しい処理システムが必要なのだと感じさせられます。

【参考サイト】
About Waste and Recycling
WASTE & RECYCLING GUIDE

この記事は
オーストラリア在住のフリーランスライター
Setsuko Truong が担当しました

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