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DOWAエコジャーナル

2025.12.01 国際動向

エルサルバドルごみ事情 その2 各地のゴミ処理の現状

海外ごみ事情

エルサルバドル第2回目は、首都サンサルバドルと農村地域のごみ事情についてご紹介します。

サンサルバドル市のごみ収集の現状

筆者が暮らす首都サンサルバドル市の外国人が多く住むエリアでは、ごみの収集は週4回あり、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみもすべて同じ日に収集されます。そのためか、ごみの分別は浸透しておらず、友人のエルサルバドル人に聞いても分別している人も一部いますが、多くは分別していないようです。収集スタイルは、袋のまま道端に置く(これがほとんど)、欧米のような大きなごみ箱で出す、鉄製のごみ置き場を設置する、様々です。

いくつかの収集場所の収集作業の様子を確認すると、日本と同じようなごみ収集車に数人の担当者が乗っており、収集場所ではすべてのごみを機械的にごみ収集車に入れるのではなく、プラスチック、アルミ缶、ペットボトルと紙は分けて袋に入れ、車の脇にぶら下げて走行しています。

以前暮らしていたコンドミニアムでは、各階にダストシュートや分別用のごみ箱が設置され、民間業者がアルミ缶・ペットボトル・紙を有償、ガラス瓶を無償で回収していました。現在のコンドミニアムでは分別ルールはなく、共用のごみ箱にまとめて捨てますが、一部の住民は自主的に資源ごみを分けて置いています。筆者自身も、収集担当者が分別しているのはわかっているので、分別して分かりやすく透明袋に入れて捨てています。

写真:道端の回収スペース
写真:道端の回収スペース
写真:収集の様子

チャラテナンゴ県チャラテナンゴスールでのごみ処理の現状

チャラテナンゴ県はエルサルバドルと隣国ホンジュラスとの国境にある県で、エルサルバドル最高峰エルピタル山や、国内最大の人造湖であるセロングランデ貯水池、広大な自然保護区がある農村地域です。農村地域ではごみの回収率が低いことからか不法投棄も多く、下水道普及率が低いため、公衆衛生上の問題や土壌・水質汚染が生じています。

チャラテナンゴスールでは、ごみの分別(生ごみ・無機廃棄物・ガラス瓶・金属)が義務化され、通知が出されており、その内容はソーシャルメディアを通じて周知されています。定期的に啓発キャンペーンも実施されていますが、市民の分別意識は依然として低く、ポイ捨ても課題です。

写真:チャラテナンゴスールの通知(2025年1月25日付)

同地域には堆肥化プラントと最終処分場が整備されており、周辺自治体からのごみも受け入れています。運営は自治体及び委託を受けた非営利団体が担当しています。中間処理の過程で分別された有機廃棄物は堆肥化され農家に、ペットボトル、紙、アルミ缶、ガラス瓶はリサイクル業者に販売されています。埋立地では5人の担当者が、搬入ごみから再利用可能な資源を分別しています。浸出水はピットに貯留し、蒸発処理されます。乾季は雨がほとんど降らないので、これも可能なのかと推測します。

写真:堆肥化プラント
写真:中間処理場所での分別や圧縮
写真:最終処分場

エルサルバドルのこのような最終処分場では関係者以外は立入禁止で、埋立地の横にスラムが形成され、埋立地から収集したごみを売って生計を立てているような人々はいないようです。

第3回目は、エルサルバドルのリサイクル最前線についてご紹介します。

この記事は
エコジャーナルサポーター 藤井 が担当しました

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