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法規と条例

法文読解 基礎力養成講座 その1
~又は・若しくは~

はじめに

廃棄物処理法には、「A又はB」という表現だけではなく、「A若しくはB」という表現も使われています。「又は」も「若しくは」も、選択的接続詞で、「二つ以上ある事柄のうちどちらを選んでもよいことを表す」ときに使われるのが一般です。日常用語のとしての意味や言葉の機能からいえば、どちらも選択の働きを担う接続詞ですので、日常用語の用法としてその違いを意識している方は少ないのではないかと思います。

しかし、法令用語としては、この二つの用語は厳格に使い分けなければなりません。
法律の世界では意味があって使い分けがされており、厳然たる表記ルールがありますので、この意味を正確に理解しなければ、法律の「構造」を正しく把握することができないことになります。「及び」「並びに」の関係も同様です。

言い換えれば、法律はこのようなルールを知っていることを前提に作成されていますので、廃棄物処理法を理解するためには、使い分けの用例を正しく把握することが出発点になります。なお、公用文表記では、原則、漢字で書くことになっています。

ただし、ルールといっても難しくはありません。極めてシンプルです。
選択される語句に段階がある場合、大きい段階に「又は」を、小さな段階に「若しくは」を使うということに尽きます。

すなわち、
第1に、単一で用いるときは「又は」を使います。
第2に、三つ以上の語を並列に接続するときは、「、」で並列して、最後の部分にだけ「又は」を用います。
第3に、選択される語句に段階があるときは、最も大きい選択に「又は」を使い、それより小さな選択には「若しくは」を使います。

以上から導き出される結論を簡潔に言いますと、「又は」が存在しないところには「若しくは」は出てこないということになります。

以上の点をもう少し詳しくみてみましょう。

1. 又は

AかBのどちらを選んでもよいという意味を表します。
「A又はB」の場合、その意味は、① Aのみ ② Bのみというのが基本の意味であり、英語の「OR」に相当する接続詞ということになります。
並列するものが3つ以上になる場合には、最初は「、」で並列して、最後の部分に「又は」を用いて全体をつなげます。

例:「A、B又はC」

なお、法令用語の使い方としてワンランク上の用法になりますが、「又は」と「及び」の双方の意味を持たせたい場合に、「又は」を使うのか「及び」を使うのかが問題となります。これについては、規定の内容に照らしながら適宜選択することとされていますが、実際には「又は」を用いることが多いとされています。

2. 若しくは

意味は「又は」と同様で、AかBのどちらか一方が選ばれる関係にあることを表します。
「A若しくはB」の場合、その意味は、① Aのみ ② Bのみ ということになります。

3. 「又は」と「若しくは」の使い分け

選択される語句に段階があるときは、最も大きな接続には「又は」を用い、それより小さな接続に「若しくは」を用います。

例:「(A・B)・C)」という二段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB又はC」という表記になります。

例:三段階以上の場合には、最上位の接続でのみ「又は」を用います。
「{(A・B)・C}・D」という三段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB若しくはC又はD」という表記になります。

【参考書籍】

改訂版「公用文 用字用語の要点」廣瀬菊雄著(新日本法規・平成23年)
「注釈 公用文用字用語辞典」川﨑政司著(新日本法規・平成16年)
「法令用語の常識」林修三著(日本評論社・1958年)


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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