DOWAエコジャーナル > その道の人に聞く 記事一覧 > EUにおけるリサイクル制度および資源効率性(RE)政策の検討状況に関わる最近の動向について その4

その道の人に聞く記事一覧 ▶︎

EUにおけるリサイクル制度および資源効率性(RE)政策の検討状況に関わる最近の動向について その4

公益財団法人 日本生産性本部
主任経営コンサルタント
喜多川 和典(きたがわ かずのり)様

公益財団法人 日本生産性本部

EUでは、省資源、省エネルギー経済を包括的な枠組みとして形成し、その中でEUの産業の付加価値と競争力を高める政策の検討が行われており、経済システムの大きな方向転換の波が訪れようとしています。

その取り組みは、廃棄物の削減・リサイクル・リユースなどを重点に進めてきた、日本の環境政策にも今後影響を及ぼすものと予想されます。

今回のインタビューは、改正のポイント「ソーティングセンター」について、お話を伺いました。

【その4】ソーティングセンターについて

前回、EUの廃棄物枠組み指令改正のポイント「廃棄物の優先順位」について、お話を伺いました。
今回は、ソーティングセンターについてお話いただきました。

ソーティングセンターとは、ソート(分ける)センター、つまり、分別工場と考えて良いのでしょうか。

日本で言う、選別施設に当たるのではないでしょうか。
私もいくつかのソーティングセンター(ソーティングプラントとも言う)を見てきましたが、とあるソーティングセンターでは、様々な家庭ごみが入っていました。家庭ごみが全部一緒に入ってきて、ソーティングセンターで、スチール、アルミ、PET、HDPE、LDPE、PPなどと分けられます。

入ってくるときには逆有償で、出てゆく時にはほとんどのものが有価になって出ていきます。結局、ごみは燃やすより分けた方が得なんですね。

日本だったら、
「こんなに分けるにはエネルギーを使うじゃないか、家庭で分別しようよ、環境教育にもなるよ、それ以外のものは燃やしてしまおうよ。」
といった考えが非常に強いと思います。

家庭ごみの選別なんて採算がとれないのでは?と多くの方から言われるのですが、ヨーロッパではソーティングセンターでの選別が一番経済的に優れていると評価されています。
そして、ほぼすべてのソーティングセンターが民間の所有であり民間によって運営されています。

家庭ごみを分けるって、臭いなどかなり大変そうな気がしますが、本当に分けるんですか?

生ごみも一緒に集めているソーティングセンターは、臭いがすごかったですが、生ごみを別に回収しているところでは、それほどではありません。

ソーティングの効果が一番わかりやすいのはプラスチックのリサイクルです。
金属・ガラス・紙は人の目で分別しても大差なくリサイクル可能ですが、プラスチックの場合、人の目で区別ができないレベルにまで分けて初めて一般的な市場で取引できるフレークまたはペレットになるからです。
そこまで持っていくにはソーティング処理が必要ですから。

下図は、ヨーロッパ各国のプラスチックのリサイクルの率を示した図になっております。
これは「プラスチック・ヨーロッパ(欧州のプラスチック協会)」が毎年出しているデータですけれども、最上位がスイスでほぼ100%のプラスチックをリサイクルしています。一番最下位がマルタですね。

このリサイクル率の低い、空白のトライアングルが、静脈産業の企業にとっての伸びしろといわれております。

プラスチック・ヨーロッパの担当者が、
「このトライアングルが静脈ビジネスにとって美味しいところだ。ヨーロッパにおいてココが残っている限りウエストマネジメント企業はどんどん伸びてゆく、マーケットも伸びてゆけば企業としての成長もある」
と言っていました。
つまりプラスチックのリサイクル率が上位の国々には新しく開拓できる市場が乏しいが、リサイクル率がまだ低い国には静脈産業の人たちのビジネスチャンスがたくさん残っており、そこでの市場の争奪戦が繰り広げられているわけです。

プラスチックのリサイクル率が低い=ビジネスの伸びしろ、という訳なんですね。

下の図を見ると、国別のエネルギーリカバリーと同時に伸びる材料リサイクルの増減が2006年と2011年を比較して示してあります。
一番上がエストニアです。一番下がスイス、デンマークといったところになっております。

先ほどの図と比べてみますと、上下の関係が反対になります。

なぜなら、リサイクル率がほとんど100%に近いスイスにはもう伸び代が無いわけですから当然変化は少ない。一方でリサイクル率が低ければ伸び代がいっぱいあるわけで変化も多いということですね。

横棒の赤いところが「エネルギーリカバリー」の増減、青いところが「リサイクル」の増減を示しています。
この図を見ていただくとわかりますが、エネルギーリカバリーとリサイクルが一緒に伸びてきています。
つまりこれはソーティングが入ってくるとエネルギーリカバリーとリサイクル率が両方とも一緒に伸びてきているということになります。

もう一つこの図からわかる事は、十分高い利用率に達している国では、リサイクルが伸びてエネルギーリカバリーが減っている、つまり、エネルギーリカバリーからリサイクルへと移っているということです。
そういったところを見ても廃棄物の優先順位に沿ったヨーロッパの政府の思惑通りに進んできているのが見て取れるかと思います。

EUの政策誘導が効いて、埋立からエネルギー回収、リサイクルへと処理方法が変化しているのですね。リサイクル推進のキモは、ソーティングセンターという事ですが、ソーティングセンターではどの様な処理をしているのか、教えていただけませんか。

EUの一般的なソーティング・センターの処理工程では、

  • まず破袋し、中のものを取り出して、
  • 回転篩いにかけて大きさごとに分けて、
  • バリスティック・セパレーターなどを通って破砕し、
  • 風で軽いものを飛ばして、
  • 磁選機で鉄をより分け、
  • さらに非鉄もより分け、
  • 光学選別機による各種樹脂の選別を行い、
  • 最後に各カテゴリーに分けられた廃棄物が圧縮梱包され出て行く

といったことになります。

こうした工程を経て、純度の高い素材を生み出してゆくことになります。

特に最後の光学式選別機に非常に高度な選別技術が使われています。
ベルトコンベアに流れているものに光線を当て、3Dの画像で認識してその成分を解析し、風で飛ばします。
ソーティング・センターは、こういった選別機が無ければ成り立たちません。

現在、光学式選別機の大半がヨーロッパで開発され製造されており、日本は随分と後れを取ってしまっていますが、そうした個別技術ではなく、プラントシステムとしてはまだまだ開発の余地があるので、例えば、日本なら日本、アジアならアジアのごみの実情にあったプラントシステムと考えるならば、日本の企業もヨーロッパ勢と戦える余地は十分あるのではないかと思います。

ここまでお伺いしましたが、家庭ごみの選別が、経済的に成り立っているという点について、まだ腑に落ちません。
ソーティングセンターを取り巻く状況についても、教えてください。

こちらの図が、ソーティングセンターを取り巻く社会状況を示しています。
ソーティングセンターは循環型社会の心臓部と書きましたが、ヨーロッパのソーティングセンターは日本と比べるとかなりの広域から廃棄物を集めます。
ヨーロッパでは家庭系廃棄物分野に民間の廃棄物マネジメント会社がたくさん参入して、自治体の廃棄物処理を丸ごと受託しリサイクルしているというところが、かなりあります。

ヨーロッパでは、複数の自治体が集まってリサイクルシステムを運営するということは結構多いようです。
例えば私の訪ねたドイツの廃棄物処理施設は、フランフルト近くのダルムシュタットという20万人くらいの町なのですが、ダルムシュタットの町だけの廃棄物処理をしているのではなく、周辺の市町村を含めた郡レベルの廃棄物処理を関連市町村が共同出資した公社を共同運営することで実施しています。
なぜ共同運営できるのかといえば、EUの公共調達指令で個別自治体が運営するより効率よくごみ処理の仕組みを運営できるのであれば、共同運営を許すとの欧州裁判所の判例があるためで、複数の自治体の共同運営によって、非常に広範囲からゴミを一か所の処理施設に集中的に集めることが可能なのです。

さらに最近は共同設立した清掃(廃棄物処理)公社の公社債を民間にも売るようになりました。
民間に売る、というのは、民間の廃棄物管理企業が、例えば、49%の公社債を取得し、経営に参加できることを意味します。
民間が参入するとさらなる効率を求め、隣の郡と抱き合わせでより広範囲を管理するようになります。そうなると、ソーティングセンターを適切に配置し、より多くのゴミを効率よいロジスティックで収集・処理することができるため、ソーティング・センターの経営状況が益々よくなっていきます。

大量のごみを集めて物量を確保するのがポイント、という事ですね。

以前、ドイツ東部にあるのソーティング・センターの社長に話を聞きました。
機械による選別が始まったのはDSD(ドイツの「容器包装リサイクル協会」のような組織)が始まった1990年代に入ってからで、容器包装のリサイクルから始まりました。
その話はこうでした。

  • 機械による選別処理が始まった当時はスチールとアルミくらいしか分けない小規模なものだった。
  • その後、PETとガラスを分けたらPETがよい値で売れた。
  • 次にHDEPE・LDPEを分けたらこれらも売れた。さらに紙パックも分けるようになった。
  • このように細かく選別すると資源として安定供給するために大量のごみが必要になり、今ではソーティングセンターの生き残り条件は、以前の年間3万tから10万t以上と言われるようになった。
  • 大量処理すればPP、PSなどに分けても一定量確保できるのでこれらも分けた。この頃には光学選別機は10か所以上になり、処理ラインは2,000mを超えた。
  • しかし、投入量に対する処分廃棄物はわずか20%にまで下がり、有価売却できるごみが増え、ごみの処分費が減少し結果収支は改善した。

このソーティングセンター社長の話には、リサイクル率を上げたいとか、環境保護云々とは全く言っていないんです。100%経済のためです。
その結果、焼却処理・エネルギー回収に対し、ソーティング・センターがコストで勝ったんですね。

経済競争が成り立っていたからソーティング・センターが育ったということなんです。
これを後押ししたのは容器包装指令でもなければ、そういったリサイクルを促そうといった制度ではなくて、埋立処分の入口をドンドン狭めていったヨーロッパの政策が後押ししたのです。
埋立禁止の措置が取られたり、高い埋立税がかけられるようになりました。
結果として、ソーティングセンターの競争相手は焼却施設だけになり、それに対してはソーティングが有利だったということが言えます。

ソーティング・センターに公的な補助金が投入されたという話は聞いたことがありません。もしかしたら、そういうこともあったかもしれませんが、例外的なことだと思います。
基本は、単純に経済原理の中で、一番安いところはどこ?と排出事業者あるいは家庭ゴミを、ドコに持っていったら安く処理してくれるの?と考えた場合、それがソーティングセンターだったという単純な理由です。

埋立規制によって、経済競争のバランスを誘導しているんですね。

日本ではこういったソーティングを行おうとすると、すぐに出てくるのは市民の責任です。
ごみの分別は市民がやらなきゃダメだよね、環境教育のためにも、ということになります。けれども、一所懸命分けたゴミが、自治体のところでは一緒になっているケースもあると聞きます。
自治体は焼却炉を運営しているので、そこに投入するゴミの量が減ってしまうと困るので、やっぱり燃やしていますといったことがたくさんあるわけです。

発生源分別ということを、今一度日本は再評価してみないといけないんじゃないかと思うのです。ソーティング技術がドンドン進んでゆくヨーロッパと、精神主義の日本の発生源分別。
牛乳パックを洗うのは日本人ぐらいだと思うのに、それらの紙パックは本当にリサイクルできているのか、検証してみる必要があるのではないかと思うところがあります。

日本でもソーティングに関する試験的な施設がありますが、本格的なソーティング・センターは日本にありません。
ペットボトルのリサイクル施設でも選別をしていますが、これは残渣を生み出すための選別であり、ヨーロッパのソーティングセンターはリサイクルできるもの、つまり売れるものを生み出すための選別なので両者は大く異なります。
ヨーロッパの選別は、高濃度のものを得るための選別なので非常にポジティブな選別と言えるでしょう。

日本では、発生源分別をしていますが、そのままリサイクルできないケースがたくさんあります。
例えばペットボトル。
キャップがあります、HDPEや塩ビのボトルも含まれている場合がある。
市民が分けてくるものは100%じゃないですね。
ですので、必ずソーティング処理が必要になります。ただし、この場合のソーティング処理は、処分する廃棄物を生み出すための選別で、ネガティブな選別のためにエネルギーをかけてやる選別です。

こういう現実と産業・ビジネスの創出機会というものを考えると、市民が分けないほうが良いのではないかとも考えられます。ヨーロッパでは「混合収集+機械によるソーティング処理」というのが最も安価で最も高いリサイクル率を実現できる方法として広まってきましたので。

日本ではリサイクルといえば、「混ぜればゴミ、分ければ資源」です。ヨーロッパに旅行した時、ごみの分別をしていない地域は環境意識が低いな、と思った事がありますが、ごみ収集の後に分けていて、その方が効率がいいとはびっくりです。

また、運搬方法で言いますとソーティングの場合、混合状態で一遍に運搬できますので、運搬効率がいいのです。発生源分別だと分けて運ぶ必要がありますので、運搬も少量多品目になりますから、運搬効率は落ちます。

さらには、市民の分別は、特に大都市の単身世帯が多いところだと、完全ではありませんので、燃えるごみ、燃えないごみとして出されるゴミに、リサイクルできるようなペットボトルやプラスチックのゴミ、ガラス・金属も入ってきます。

現状の家庭ごみの流れでは、それらのリサイクルできるごみが、通常のごみに入ってきてしまった場合、リサイクルされることはほとんどありません。そして私個人の考えですけれども、日本で発生源分別という言葉のカムフラージュによって、多くの分別されなかったゴミが焼却処分や埋立処分されているのではないかと考えています。

つまり人為にたよっているがゆえにリサイクルの機会を失っているリサイクル可能なごみがたくさんあり、その量は欧州のソーティング方式で処理される場合より結果的に多くのごみがリサイクルされずに焼却されたり埋立処分されたりしているのではないか。これはちょっと見逃されている問題ではないかと思います。

発生源分別は素晴らしい取り組みであると思いますが、冷静にこうしたポイントを事実に基づき考えるのもまた必要ではないかと思います。焼却炉も埋立地も今よりずっと減らせるわけですし。

一方、ソーティングされる場合、全てのごみのひとつひとつに対して、リサイクルできるかどうかのチェックをしますし、選別技術が進歩すれば進歩するほどリサイクル率は向上します。
例えば廃プラに関してですが、ヨーロッパの容器包装の「その他プラ」は本当にきたないです。それでも選別によって高品質なリサイクルを行っています。それに比べ、日本人はかなりきれいな「その他プラ」を出しているのに、ミックスプラのまま低品質なリサイクルがされていたりします。

また、「静脈のメジャーを育てよう」ということを経済産業省も環境省も言ってますが、やはりそれには日本国内の仕組みが外国にも魅力のある技術や設備を備えていなければ、静脈企業が国際的に展開していく力は育ちにくいと思います。今の日本に海外に売りに行けるようなソーティング・プラントや技術は非常に少なく、ガス化溶融炉などの燃焼系・熱処理系の技術は海外で歓迎されないだけでなく、コストの高い技術として採用されることは難しいのが現状です。

日本では当たり前である「ごみの分別」が、EUのソーティング方式に比べて経済性・リサイクルの効率が悪いのでは、というお話にとても驚きました。ゴミの分別をする事を、環境意識が高い指標の様に思っていたりもしますが、全く違う考え方で、効率を上げている国があるのであれば、日本もそこから学ぶべきかもしれませんね。


ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回は、RE(資源効率)政策についてお話をお伺いしています。


※ご意見・ご感想・ご質問はこちらのリンク先からお送りください。
ご氏名やメールアドレスを公表する事はありません。

▲このページの先頭へ

ページの先頭に戻る