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その道の人に聞く

EUにおけるリサイクル制度および資源効率性(RE)政策の検討状況に関わる最近の動向について その1

公益財団法人 日本生産性本部
主任経営コンサルタント
喜多川 和典(きたがわ かずのり)様

公益財団法人 日本生産性本部

EUでは、省資源、省エネルギー経済を包括的な枠組みとして形成し、その中でEUの産業の付加価値と競争力を高める政策の検討が行われており、経済システムの大きな方向転換の波が訪れようとしています。

その取り組みは、廃棄物の削減・リサイクル・リユースなどを重点に進めてきた、日本の環境政策にも今後影響を及ぼすものと予想されます。

今回のインタビューは、日本生産性本部の喜多川様に、EUのリサイクル制度と、近年EUで検討されている「資源効率性(RE)」に関する最近の動向について、お話を伺いました。

【その1】EUの廃棄物政策、廃棄物の枠組指令

エコジャーナルでは、日本の廃棄物処理法や、リサイクル法についての解説を行なっていますが、EUのリサイクル制度について触れるのは初めてで、とても楽しみです。
まず最初に、日本生産性本部について、教えていただけますか。

(公財)日本生産性本部は、「生産性向上対策について」の閣議決定(1954年9月24日)に基づき1955年3月1日に設立された(財)日本生産性本部を母胎に、1973年11月12日に同生産性本部から分離独立(社団法人認可1976年12月20日)した(社)社会経済国民会議を1994年4月1日に統合し再発足した非営利の公益財団法人です。

(財)日本生産性本部は、1955年の設立以来、経済活動における人間尊重を基本理念に、
(1)雇用の増大、
(2)労使の協力・協議、
(3)成果の公正分配
からなる運動三原則を掲げ、経営者、労働者、学識経験者の三者構成による中立機関として、産業界を基軸とした運動を通じて日本経済の発展と国民生活の向上に努めてまいりました。

(公財)日本生産性本部は社会経済国民会議のシンクタンク機能を継承しつつ、産業界を中心とした生産性運動をより社会的視座で捉えた運動展開を目指し、「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」、「日本経営品質賞」の創設等のプロジェクトを行っています。

日本生産性本部といえば、ワークライフバランスというイメージがあったのですが、幅広く活動されているのですね。
喜多川様は、どのような業務を行なわれていたのですか?

日本生産性本部と環境政策の関係は、容器リサイクル法、家電リサイクル法、自動車リサイクル法などの各リサイクル法の制定段階から実施に到るプロセスで、国および関連団体などと連携し様々な仕事をしてまいりました。そのプロセスでこれらすべてのリサイクル法に関わる国内外の事情を長期間にわたり詳しく捉えることができたものと思います。

またこれらリサイクルに関わる制度の策定段階では、先行する欧州の制度について詳細に調査し、国内制度の策定に関わる基礎的な情報を集め、その後におけるヨーロッパ制度の変遷についても詳しくウォッチしてきました。

ヨーロッパは、環境先進国といわれる国も多いですよね。
日本とヨーロッパの違い、を「一言」で言うとどんな感じでしょうか?

リサイクル制度に関して言いますと、日本はカテゴリーに特化した制度体系になっており、例えば自動車リサイクル法が制定されると自動車だけを対象としたリサイクル制度として運用する、家電ならば家電のみを対象とし、そのリサイクルプロセスはかなりの部分、特定の廃棄物品目に限定され排他的に管理していくのですが、ヨーロッパの制度はそれほど品目間の垣根を明確に設けていません。

ヨーロッパにも自動車ではELV指令、家電ではWEEE指令など日本の各リサイクル制度に対応する制度がありますが、それらは総合的な廃棄物制度の体系を構成する要素として機能しており、廃棄物制度全体が調和するよう、包括的な廃棄物・リサイクル制度として運用されて行くことを優先しようという軸があるように思います。

日本人の方はとかく、欧州の容器包装のリサイクルに関する実施状況を知りたい、ELV指令の実施状況を知りたいと限定された廃棄物品目に関心を寄せるのですが、ヨーロッパの場合、日本ほどそれらは明確に区切られていません。
どの廃棄物品目のリサイクルを見る場合にも、まずは廃棄物・リサイクル制度全体の動向を見据えていないと、それぞれが関心のある特定の廃棄物品目に関わる状況を正確に理解することができません。

より包括的な制度全体の枠組みですか?

そうですね、まず全体のEU廃棄物制度の枠組みについて説明いたしますと、EUの廃棄物の基本的な法制度は、1975年7月に制定されました廃棄物枠組指令の制定から始まります。
日本の廃掃法は明治時代にその起源がありますで、それと比べますとEUの廃棄物制度は最近構築された枠組みといえます。

廃棄物枠組指令をもとに、有害廃棄物指令、そして、埋立指令、焼却指令というよういくつかの指令がさらにできております。
1999年にできている埋立指令というものに関して言いますと、ヨーロッパの廃棄物制度の中で非常に重要な役割を担っております。これは容器であろうが家電であろうが自動車であろうが、全部が関わる指令です。

埋立指令は「埋立を規制する指令」という事でしょうか。

そうです。具体的に言いますと95年が規準年になりまして、有機廃棄物に関しては、廃棄物の埋め立てを2006年までは-25%、2009年までに半分、2016年までに-65%にするということです。

こういう目標値が定められると、どこの埋立処分場ならまだ埋め立てできるというのでは不釣り合いのため、実質、ヨーロッパでは埋立処分できなくなる方向です。

例えばドイツでは、前処理をしていない有機廃棄物、要するに焼却だったりバイオ処理だったり前処理していないような有機廃棄物は、一切、埋立処分ができない状況になってきています。そして、この有機廃棄物にはプラスチックも含まれます。

最近EUでは、ガラスも埋立禁止が検討されていると聞きます。それくらい「埋立」に対する規制が強まってきています。

日本では埋立地不足が問題になっても、埋立に対する「規制」はないですね。

そうですね、EUでは政策として埋立を規制し、最後の出口を塞ごうとしています。
欧州のリサイクルは、容器指令や廃電気電子機器指令などによって進んでいるんじゃないかと思う日本人が多いのですが、ヨーロッパ人に聞くとそうではなく、むしろ、埋立指令のほうがリサイクルを促進するプレッシャーをより強く醸し出しており、それによって、ヨーロッパのリサイクルが進んでいると誰もが口をそろえてそう言います。

ヨーロッパではここが肝というような法律が日本では意外と欠落しており、そこに全体としてのリサイクル制度に弱い部分があるように思います。

日本は全体のマテリアルフローをコントロールするような制度設計が弱いという事でしょうか。

埋立指令は1999年に制定されましたが、これに加えて、2008年に大きな転換点となる改正がありました。1975年に制定された廃棄物枠組指令というのが非常に抜本的な形で2008年に改正されたのです。この廃棄物枠組指令という制度が、今まさに、ヨーロッパを全体的にリサイクル社会へと引っぱる強い法律として働いているということです。

廃棄物枠組指令の改正は、色々な面で画期的な面があるのですけれど、一番大きなポイントは、家庭系廃棄物に対しリサイクルの強制的な目標値が導入されたという点です。
この廃棄物枠組指令の改正については、次回お話ししましょう。


ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回は、廃棄物枠組指令の改正についてお聞きしています。


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