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DOWAエコジャーナル

2026.02.02 カーボンニュートラル

脱炭素社会の歩き方 ~CFPの第三者検証について(2)

DOWAの取組カーボンニュートラル環境コンサル

排出量取引制度(GX-ETS)が開始されることとなり、CO2などの温室効果ガス(GHG)が、お金と同様の経済価値を持つ社会の実現が、いよいよ現実味を帯びてきました。そんな「脱炭素社会の歩き方」として、数回に分けて、企業のGHG算定にまつわる動きを取り上げていきます。

「製品系」のCFP第三者検証についてご紹介した前回記事に関連して、「システム系」のCFP第三者検証についても知りたいという声を頂きましたので、今回は続編として、システム系のCFP第三者検証について、説明します。

■検証(Verification)と妥当性確認(Validation)

前回記事に記載したように、製品系のCFP第三者検証は、個々の製品のCFP算定結果を対象として実施されますが、システム系のCFP第三者検証は、社内の算定システムやルールを対象として実施されます。製品系が、算定結果そのものに着目するのに対し、システム系は、算定結果を生みだすシステム(仕組み)に着目するのが、大きな違いです。

システム系のCFP第三者検証は、経済産業省・環境省が発行した「カーボンフットプリント ガイドライン」(以下、「CFPガイドライン」)においては、以下のように、“算定ツールに対する妥当性確認”として説明されており、製品系の代替手法として認められています。

なお、CFPの算定結果に対する検証を行わない場合であっても、算定ツールに対する妥当性確認を⾏うことにより、CFP算定結果の妥当性を⼀定程度保証することができる。
– 製品数が膨⼤であったり、検証を実施するコストが負担できない場合等に選択肢になり得る。
(③ 検証実施上の留意事項- I. 検証の⽔準及び⼿法(1/2))

CFPガイドラインにおいて、妥当性確認(Validation)は、「将来の活動に関する宣⾔を裏付ける前提・制約・⼿法の合理性を評価すること」と定義されています。一方、前回記事のとおり、検証(Verification)は、「過去のデータ及び情報に関する記述を評価し、その記述が実質的に正しく、基準に適合しているかどうかを判断するプロセス」と定義されています。

つまり、製品系のCFP第三者検証(=検証/Verification)は、過去に取得されたデータに基づいて導き出されたCFP算定結果の基準への適合を確認するのに対し、システム系のCFP第三者検証(=妥当性確認/Validation)は、将来CFP算定結果を導き出すデータ収集や算定に関するシステムの、基準への適合を確認することと言えます。

システム系のCFP第三者検証(妥当性確認)として提供されているサービスについて、代表的なものを紹介します。

■①CFPガイドライン・ISO14067に基づく妥当性確認

国のCFPガイドラインを基準としたシステム系のCFP第三者検証としては、製品別GHG排出量算定システムを対象とした、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社の事例があります。また、国のCFPガイドラインが準拠している規格である、ISO 14067:2018 Greenhouse gases — Carbon footprint of products — Requirements and guidelines for quantification(温室効果ガス-製品のカーボンフットプリント-定量化のための要求事項及び指針)には、システム系のCFP第三者検証に関する規定(Annex C The CFP systematic approach)があり、テュフズードジャパン株式会社などは、これを基準とした妥当性確認のサービスを提供しているようです。

■②ISO14065に基づくEPDシステム認証

前回記事に記載したように、EPDは、ISO 14025:2006 Environmental labels and declarations — Type III environmental declarations — Principles and procedures(環境ラベル及び宣言− タイプⅢ環境宣言−原則及び手順)やISO/TS 14027:2017 Environmental labels and declarations — Development of product category rules(環境ラベル及び宣言−製品別算定ルールの開発)に基づき、日本では、一般社団法人サステナブル経営推進機構(通称:SuMPO)が運営している環境ラベルプログラムです。

このプログラムでは、個々の製品について第三者検証を受ける以外に、組織内部に算定・検証・公開申請を行うシステムを構築し、それを第三者が認証することで、製品ごとに検証申請の手続きを経ることなく公開申請ができる「EPDシステム認証方式」を選択することができます。

システム認証方式を採用している企業は、現在8社となっており、いずれも画像入出力機器のメーカーとなっています。これは、米国の電子・電気製品に関する環境影響評価制度であるEPEAT(Electronic Products Environmental Assessment Tools)において、オフィス向け複合機についてはEPDの取得が加点対象となることが影響しています。

■③SuMPO CFP包括算定制度

これもSuMPOが運営している制度で、企業が独自で構築したCFP算定ルールや算定システムに対して、SuMPOが妥当性確認を行う制度です。前述のEPDのシステム認証に似ていますが、妥当性確認の基準となるのは、ISO 14025 やISO/TS 14027ではなく、SuMPOがこれらの規格等に基づき、独自に策定した基準となります。

CFP算定ルールのみの妥当性確認を行う「Internal-PCR承認制度」と、算定・検証の仕組み全体の妥当性確認を行う「第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の2種類のサービスが提供されており、料金事例によれば、Internal-PCR承認制度では、新規承認費用450~750万円、更新審査(1回/3年)費用150~210万円、第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度では、新規承認費用750~950万円、維持審査(1回/1年)費用30万円~、更新審査(1回/3年)費用300万円~となっています。

現時点での承認企業は、Internal-PCR承認制度で6社、第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度の承認企業で5社となっており、比較的多様な業種で活用されています。

■おわりに

料金の目安が公開されているのは、③SuMPO CFP包括算定制度のみですが、一般に、システム系のCFP第三者検証は、製品系のCFP第三者検証よりも取得や維持にコスト・労力がかかるため、得られるメリットとのバランスや将来的な計画を踏まえて、製品系にするか、システム系にするかを選ぶことが重要です。

次回は、2025年11月に全面施行された「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」における、GHG排出削減効果の考え方についてのご紹介を予定しています。
再資源化事業等高度化法については、以下についても併せてご覧ください。

> 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律が全面施行されました
> 「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律の一部の施行期日を定める政令」等が公布されました

古屋 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ 古屋 が担当しました

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