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DOWAエコジャーナル

2025.09.01 リスク管理

熱中症対策;熱中症判定AIカメラを導入してみました

DOWAの取組

8月最終週末に災害級の暑さとなりました。9月の気温も、全国的に平年より高く、残暑が厳しいようです。

皆様、熱中症対策には頭を悩ませていることと思いますが、今回は今年度から強化された労働安全衛生規則の内容と弊社現場での試験的なAI導入事例を紹介します。

■2025年6月、改正労働安全衛生規則が施行され、職場での対策が義務化されました。

Q)
義務化の内容は?何をしなければならないのか?
A)
「WBGT28度以上又は気温31度以上」の環境下で、
「連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業に従事する場合に、
熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、
その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することにより、
熱中症の重篤化を防止するための、
「体制整備」、「手順作成」、「関係者への周知」が事業者に義務付けられました。

熱中症防止、重篤化防止のポイントは、以下3点とされています。

  1. 見つける!
    自覚症状の自己申告だけでなく、職場でも、熱中症の症状がある作業者を積極的に把握するように努めることが大切です。例えば、単に各職場へWBGT計を設置するだけでなく、指数により休憩基準を明確化するなどの管理基準を明確にすることが有効です。また、管理者による熱中症予防職場巡視(顔色の確認・声かけ等)も有効です。
  2. 判断する!
    熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に、適切な対処を取れる判断基準をもつことが大切です。例えば、「熱中症の症状が現れたら、躊躇せず救急隊を要請する」と基準を設け、周知徹底することも有効です。
  3. 対処する!
    特に、重篤化を防止する対策を迅速に取ることが大切です。例えば、現場に近い場所に休憩場所を整備し経口補水液等を設置することや、症状による対処一覧を整備することが有効です。

【参照】 厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について

■熱中症判定顔認証システムの導入事例
 ~熱中症の症状がある作業者の把握のために~

熱中症の症状がある作業者を積極的に把握するために、弊社では、「カオカラ」による顔認証システムを試験導入しました。

カオカラって何?

【名称】
カオカラ
【製造会社】
株式会社ポーラメディカル
【製品詳細】
ホームページより抜粋
顔の変化をAI解析し、リスクを見える化するシステム「カオカラ」。
管理者・作業員に気づきを与え、迅速な対策を取れるよう、開発・実証試験を重ね、2024年より製品販売スタート。
ポーラ・オルビスグループの化粧品開発で培った顔解析技術を活用し、誰でも直感的にリスク把握できる製品が現場の暑熱対策を支えます。WBGT(暑さ指数)にも対応。
※本機器は熱中症の治療、診断、予防を目的としたものではなく、医療機器ではありません

弊社でのトライアル導入レポート!

本製品の特徴に「タブレット等のカメラで測定し、作業員の顔の変化(顔色/表情/発汗)とWBGTの情報を統合して、体調を即時評価することができる」とありましたので、昨年、都内の弊社現場で、本製品をトライアル導入しました。

【期間】
2024.07.24~09.02のうち、休工日除く 計24日間
【場所】
東京都某所
【対象者】
16名

試験運用してみた所感を、簡単に以下にレポートします。

  • WBGT 値と計測結果に若干の相関性がみられたことで,熱中症対策においてカオカラは有用な指標となることが分かしました。
  • ただ、今回はデータ数が少なく、今後、より⾧期的な試験期間を設ける必要もあります。
  • 従業員が即時で視覚的に体調を把握でき,かつ管理者も容易に管理できます。
  • 個人別に体調変化を示す機能があれば、従業員により関心をもって取り組んでもらえる可能性が高いと感じました。

なお、現場からは以下のような意見・感想がありました。

  • 非接触で測定できるので、衛生的です。
  • タイベック等を着用したまま測定できるため、気軽に確認することができます。
  • 3秒で測定完了するため、忙しくても「測定しよう」という気持ちになれます。
  • 判定結果が4段階の色で表示されるため、直感的に、危険かどうかが分かります。
  • 客観的に結果が分かるので、自己判断でなく、社員同士で相互に休憩を促しやすいです。
  • AIなので、今後の学習により精度UPが期待できます。

■さいごに

まだまだ、弊社でも熱中症対策には課題が残ります。読者皆様の職場での事例などがあれば、是非教えていただければ幸いです。

毛利 この記事は
DOWAエコシステム 企画室 毛利 が担当しました

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