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廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その9)
~排出事業者責任(2)~

【1】排出事業者の義務

産業廃棄物の排出事業者が廃棄物の処理を委託する場合には、主に以下の義務が課せられます。

① 保管基準の順守
② 委託基準の順守
③ マニフェストの交付(処理終了後の回付による処理の確認を含む)
④ 処理状況の確認

一般廃棄物の処理を委託する場合には、産業廃棄物の処理を委託する場合とは、課される義務が異なります。
それぞれを以下にまとめました。

  事業系一般廃棄物 産業廃棄物 罰則 両罰規定
保管基準 未規定 必要 改善命令に従わなかった場合、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはその併科 両罰
委託基準 許可業者に委託 必要 必要 5年以下の懲役若しくは1000万円の罰金またはこの併科 両罰
事業の範囲に含まれることを確認する 必要 必要 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこの併科 両罰
契約は書面で行う 未規定 必要 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこの併科 両罰
特別管理一般廃棄物・特別管理産業廃棄物の情報を書面で通知する 必要 必要
マニフェストの交付 未規定 必要 1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金
処理状況の確認 未規定 必要 (不法投棄・不適正処理が行われた場合に)措置命令に従わなかった場合、5年以下の懲役若しくは1000万円の罰金またはこの併科 両罰

表 一般廃棄物と産業廃棄物に関する排出事業者責任

事業系一般廃棄物については、廃棄物処理法 はじめの一歩(その2)〜事業系一般廃棄物の定義〜にて解説しておりますので、ご確認ください。

両罰規定:実行行為者(個人)が罰せられるだけでなく、事業者(法人)に対しても罰金刑が科せられます。

【2】義務と努力義務

①保管基準、②委託基準、③マニフェストの交付については、排出事業者の3大義務ともいわれ、違反行為を罰せられる、いわゆる「直罰」が規定されています。

一方、④処理状況の確認については、処理状況を確認しないことそのものに対しての罰則はなく、条文も「努めなければならない」とされております(12条7項)。
ただし、この規定は、排出事業者責任の本質を示すもので、単なる努力義務を定めたものではないと言われています。
万が一、処理を委託した廃棄物が、不適正処理されたり、不法投棄された際に、排出事業者が措置命令の対象となるかどうかの判断材料ともなりますので、注意が必要です。また、この措置命令が出された場合、措置命令に従わない場合には罰則が規定されています。

【3】最後に

例えば、御社が廃棄物の処理を処理業者に委託する際に、委託する廃棄物は一般廃棄物だと判断したため、廃棄物処理の委託について書面で契約せず、引き渡した際にマニフェストも交付しなかったとします。でも、その廃棄物が一般廃棄物ではなく産業廃棄物だった場合には、どうなるでしょうか。

委託義務違反(所定の事項を記載した書面で委託契約を締結する)と、マニフェスト交付義務違反に該当します。また、許可業者に委託する、という委託義務違反に該当している可能性もあります。

廃棄物の定義や、一般廃棄物と産業廃棄物の定義については、運用上迷うケースもあると思いますが、正しく理解して、判断に迷う場合には、所轄の行政に相談することも重要です。


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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