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その道の人に聞く

環境格付融資と環境リスクについて―(その1)

株式会社日本政策投資銀行
事業開発部 CSR支援室長
竹ケ原 啓介 様

「その道の人に聞く」お二人目のインタビューは、日本政策投資銀行の竹ケ原啓介様にお話しをお聞きしました。
竹ケ原様は、株式会社日本政策投資銀行で、土壌汚染やリサイクルなど環境ビジネス動向に関する調査、環境格付け融資制度の創設などに従事し、2005~2008年秋まで2度目のドイツ勤務をされて現職に付かれています。
今回は、大手町にある竹ケ原様のオフィスにお邪魔し、お話しをお聞きしました。
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まずは、「日本政策投資銀行」という組織が、あまり一般にはなじみが無いと思うので、簡単にご説明いただけますか?

「株式会社日本政策投資銀行(DBJ)」は、政府が100%の株式を所有する特殊会社として、2008年10月に設立されました。前身は「日本開発銀行」と「北海道東北開発公庫」と言う2つの政府系金融機関を母体に設立された特殊法人でしたが、昨年10月に株式会社となり、民営化しました。前身機関から培ったネットワークや金融ノウハウ、産業調査力などを活かして、お客様のニーズに合わせた金融サービスを提供しています。また、昨年秋からの世界的な金融・経済危機に対応するために、危機対応業務なども実施しています。

最近、特に京都議定書以降、政府もCO2の削減を推進していますが、そのようなこととも大きく関わっているんですか?

DBJの業務は、その前身組織が戦後の産業復興を担ったのに始まり、都市開発、ベンチャーなどの新規産業育成、産業再生など時代の要請に応じて大きく変容してきましたが、実は、首尾一貫して重要な課題であったのが「環境」です。

1970年代の前半、いわゆる激甚な公害の時代、日本の設備投資の約2割が公害防止投資、つまり排煙脱硫装置とか水質汚濁防止装置などのいわゆるエンドオブパイプに関する設備投資だったのですが、この当時のDBJ(旧開発銀行)の融資も約2割が公害防止投資向けでした。これを皮切りに、過去40年間に渡って、我々は環境分野で約3兆円の投融資を行ってきた歴史があります。
最近「環境金融」という言葉が流行し始めていますが、私たちの意識の中では「環境金融」は一貫して行ってきたテーマということです。公害防止に始まり、省エネ投資から風力発電などの新エネルギー・再生可能エネルギーへの展開、また、廃棄物リサイクルや土壌汚染・環境リスクなど、時代によって重点は変わりましたが、この分野への投融資を積み重ねることで、「環境」というテーマは親しみやすいもの、馴染みのあるものになっていると思います。

なるほど・・・・・

さらにいえば、「政投銀」は政府系金融機関として、「何故、政府系の銀行が必要なのか」という自らの存在意義を常に問われ続けてきた歴史があります。このため、行員の多くが「公共財」や「外部性」による市場の失敗をどう補完すべきかといった抽象度の高い議論で揉まれてきた経験を持っていることも環境問題との親和性を高めているといえるかも知れません。市場の失敗のために効率的な資源配分ができなくなることが環境問題の本質ですから、DBJ行員にはなじみのあるテーマなのです。

その中で竹ケ原さんは、その「環境金融」に携わっておられるんですね。
私についてお話しすると、途中までは普通の銀行員としてキャリアパスを積んでいたつもりなんです。環境との関わりのきっかけは、ドイツでの勤務でした。実はドイツへは2回赴任しています。1回目は1994~1997年で、そのときは、対日投資の促進、つまり海外の企業に日本へ直接投資をしてもらうための情報提供などが主な任務でした。当時は貿易不均衡で輸入を広げるためにわざわざ公用車に外車を使うなどしていた時代で、日本企業は海外に積極的に投資・進出し業績を伸ばしている一方で、欧米から日本へ投資や進出してくる企業が少なく、この不均衡を修正するという政策目的の一翼を私たちは担っていました。

具体的に何をしていたかというと、ドイツ語圏の企業に対し、日本のマーケットに興味は無いかと説明して回っていました。「日本市場の魅力はかくかくしかじか、これだけの進出メリットがあります。ついては、当行からも有利な政策融資による支援があります」云々、そんなセールスをしていたんです(笑)。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
この続きは、竹ケ原様インタビューの(その2)として、次号のジャーナルでお届けします。
次回の主な内容は、エピソードを交えてドイツの環境政策についてのお話しをお届けします。

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