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その道の人に聞く

環境格付融資と環境リスクについて―(その2)

株式会社日本政策投資銀行
事業開発部 CSR支援室長
竹ケ原 啓介 様

竹ケ原様は、株式会社日本政策投資銀行で、土壌汚染やリサイクルなど環境ビジネス動向に関する調査、環境格付け融資制度の創設などに従事し、2005~2008年秋まで2度目のドイツ勤務をされて現職に付かれています。
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今回は、竹ケ原啓介様インタビューの2回目です。

前回は、「日本政策投資銀行」の概要についてお話しいただきました。
今回は、ドイツの環境政策についてのお話しをお聞きしています。

竹ケ原さんが環境と関わるきっかけとなったドイツ勤務となると、言葉や文化の違いで結構大変そうですね。

日本とドイツは産業構造が非常に似ていて、国際的に強い企業は機械や自動車などの製造業ですからもっぱらライバル関係です。名のある会社の多くは既に一度は日本市場に足を踏み入れたことがあるんです。このうち、うまくいっているところは黙っています。日本でも有名な髭剃り(シェーバー)メーカーや化粧品メーカーなどしっかりとマーケットシェアを確保しているところなどですね。彼らは、日本市場で成功し、その重要性が分かっていますが、わざわざ成功のノウハウをバラす必要がありませんから、黙って聞いていますね(笑)。
一方、いろいろ言うのは1度日本に進出しようとして失敗した会社です。そういう会社は声高に日本市場の特殊性を訴えて「日本のマーケットは閉鎖的なマーケットで仕事にならん!これからは中国だ!」など・・・(笑)。
こんな感じですから、日本への直接投資の働きかけなどといっても、打率は本当に低い。そもそもアポイントを取って会ってもらうまでが大変で、ほとんどが門前払いなんです。

門前払いっていうのは国際的なんですね(笑)。

ただ唯一例外のセクターがあって、それが「環境」だったんです。
廃棄物リサイクルや新エネルギーを扱う企業だったのですが、当時はまさにドイツが「環境」に大きく舵を切って、これらの分野が急成長していた時期でした。
94~95年というと、容器包装リサイクル法が入って「DSD(デュアルシステム・ドイチュラント(Duales System Deutschland AG))」という会社が作られたのが93年です。また、「再生可能エネルギーの買い取り法」が入って始めて「フィードインタリフ(FIT)」が初めて導入されたのが90年。環境政策を他国に先駆けて整備し、まず国内マーケットを育て、そこでイノベーションを誘発させ、後発の国のマーケットも取り込もうという作戦(今は「エコロジカルな産業政策」と称していますが‥‥)が始まった時期で、勢いのある環境系の企業が数多く生まれていました。

彼らから見ると当時の日本は未開拓のマーケットでした。産業公害対策(エンドオブパイプ)は終わっているけれども、エネルギー効率や「ファクターX(新旧製品の環境効率比)」のような発想とか効率的リサイクルの仕組みの導入はこれから。まして土壌汚染に至っては、規制もなくタブー視されていた時代でした。環境を巡るビジネスの展開は、ある程度「社会の熟度」に比例するところがあるので、当時の日本は、そのマーケット規模の大きさやまじめな国民性をなども含めて、潜在的に極めて有望なマーケットとみなされていました。

そのため、かれら環境企業は喜んで私と会ってくれていろいろな話を聞かせてもらえました。正直言いますと、そのときまで、環境の事はあまり知らず、彼らのやっていることに「目から鱗」の状態でした(笑)。

「環境」というのは仕事に、ビジネスになる。現にその世界が目の前に広がっている。そして、それが政策と表裏一体で進んでいる。ということに気づかされたんです。それが最初にドイツに行ったときの強烈な原体験でした。

それで金融と環境を結びつける事ができたのですね。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
この続きは、竹ケ原様インタビューの(その3)として、次号のジャーナルでお届けします。
次回の主な内容は、「日本での間接金融における「環境」へのアプローチの創出」についてのお話しをお届けします。

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