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DOWAエコジャーナル

2026.03.02 サーキュラーエコノミー

レアメタルとは何か?

DOWAの取組リサイクル

スマートフォン、パソコン、電気自動車、そして医療機器。私たちの生活を劇的に便利にしているハイテク機器には、必ずと言っていいほど「レアメタル」が使われています。

別記事でレアアースについて解説しましたが、レアアースとレアメタル、なんだか名前が似ていますね。お互いにどのような関係性なのか、またそれぞれの違いは何なのか、分かりやすく解説します。

1. レアメタルは「希少な金属」の総称

レアメタルとは、以下の金属のグループを指します(ただし、どの金属がレアメタルに分類されるかの定義は、国や時代によって変わります)。

  1. 資源の偏在性が高く、我が国にとって地政学的リスクが高い地域に偏っているケースが多い。
  2. レアメタルの市場はベースメタルと比較して小さく、価格のボラティリティが高い。
  3. 製品開発動向により需要が影響を受けやすい。
  4. 他の鉱石の副産物として生産されるレアメタルの供給は、主生産物の供給に左右されるため、副産物の需要動向に応じた供給を行うことが困難。
    (経済産業省「新・国際資源戦略の策定に向けた論点」より)

実はレアメタルという呼称は日本独自の用語で、海外では同じような意味合いの言葉として『マイナーメタル』という呼称が使われています。
(一方で流通量が多い鉄やアルミニウム、銅などは『ベースメタル』と呼びます。)

日本では34種の鉱物(元素としては55元素)をレアメタルとして指定しています。よく混同されるのが「レアアース」との違いです。結論から言うと、「レアメタルに指定されている元素の一部がレアアース」という関係です。次の図の通り、レアメタルという大きなくくりの中にレアアースが含まれています。

図1. レアメタルとレアアースの関係
図2. 周期表(赤塗がレアメタル、青字がレアアース)
表 レアメタル一覧(色付はレアアース)
LiリチウムBeベリリウムBホウ素
C炭素Fフッ素Mgマグネシウム
Siケイ素ScスカンジウムTiチタン
VバナジウムCrクロムMnマンガン
CoコバルトNiニッケルGaガリウム
GeゲルマニウムSeセレンRbルビジウム
SrストロンチウムYイットリウムZrジルコニウム
NbニオブMoモリブデンRuルテニウム
RhロジウムPdパラジウムInインジウム
SbアンチモンTeテルルCsセシウム
BaバリウムLaランタンCeセリウム
PrプラセオジムNdネオジムPmプロメチウム
SmサマリウムEuユウロピウムGdガドリニウム
TbテルビウムDyジスプロシウムHoホルミウム
ErエルビウムTmツリウムYbイッテルビウム
LuルテチウムHfハフニウムTaタンタル
WタングステンReレニウムOsオスミウム
IrイリジウムPtプラチナTlタリウム
Biビスマス

2. レアメタルはどこで使われているか

レアメタルは、元素ごとに特別な性質を持っています。その性質を生かして、私たちの生活の様々なところで使われています。以下にいくつか例をあげます。

クロム:
耐食性があり、ステンレスの材料となります。
チタン:
軽くて強いため、航空機の機体やキャンプ用品など軽くて強い素材が必要な分野につかわれます。
タングステン:
非常に硬く熱に強いため、ドリルの刃などに使われます。
プラチナ:
触媒作用があり、車の排ガスをきれいにする浄化装置に使われます。

3. レアメタルは世界中で取り合いになっている

現在、レアメタルは世界中で取り合いになっています。そうなった背景には以下のような深刻な理由があります。

  1. 産地の偏り:特定の国に埋蔵が集中しているため、政情不安や輸出規制があると、手に入らなくなるリスクがあります。
  2. 需要の増加:脱炭素(カーボンニュートラル)に向けたEVシフトなどにより、バッテリー用のリチウムや軽量素材のチタンなどの需要が膨れ上がっています。

4. 日本の切り札は「都市鉱山」

資源の少ない日本ではレアメタルは海外からの共有への依存度が高い金属です。そんな日本にとって、国際情勢が不安定な状況下でのレアメタル確保は死活問題です。そこで注目されているのが『都市鉱山』です。

私たちの使い古したスマホや家電の中には、実は大量のレアメタルが眠っています。これらを回収して再び資源として使う『都市鉱山』の開発について、DOWAグループは積極的に取り組んでいます。

私たちDOWAグループは世界トップレベルの都市鉱山からのリサイクル技術を保有しており、レアメタルについては以下の13元素を生産しています。

NiニッケルGaガリウムGeゲルマニウム
SeセレンRuルテニウムRhロジウム
PdパラジウムInインジウムSbアンチモン
TeテルルIrイリジウムPtプラチナ
Biビスマス

※2026/3/10修正

峯川 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 峯川 が担当しました

2026.03.02 廃棄物管理

2027年のPCB処理期限後の制度に関する検討が行われました

DOWAの取組PCB廃棄物処理

環境省の「第38回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」が、2025年10月20日に行われました。今回は、その中で議題に上がった「使用中の低濃度PCB含有製品等の届出事項及び方法(案)」の、PCB処理期限である2027年(令和9年)3月末以降の制度的措置の検討内容についてご紹介いたします。

■低濃度PCB廃棄物とは

PCB廃棄物は、PCBの濃度により「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」に区分されています。
低濃度PCB廃棄物は、下図の3種類(①低濃度PCB廃油、②低濃度PCB汚染物、③低濃度PCB処理物)に区別されています。

(出典)低濃度PCB廃棄物についての基本情報(環境省)

有害性の観点から、日本国内では2001年にポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下、PCB特措法と省略)が成立・施行されました。この法律に基づき、2027年(令和9年)3月31日を期限にPCB廃棄物を処分することが義務付けられています。

■検討会内で検討された内容

2025年10月20日の第38回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会では、低濃度PCBに関する課題の対応状況などが議題に上がりました。そのうち、「使用中の低濃度PCB含有製品及び同疑い物の届出の義務化」について、中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会(第7回)で示された以下の方針が紹介されました。

  1. 課題
    1. 低濃度PCB廃棄物はPCB特措法に基づき、2027年(令和9年)3月末までに処分が義務付けられているが、処理期限以降も使用中の低濃度PCB使用製品及び同疑い製品(以下、低濃度PCB使用製品等という)について、ストックホルム条約に定める環境上適正な管理及び適正処理を確実に実施する必要がある。
    2. 現在、低濃度PCBを含む使用製品には規制がなく、処理期限以降に、使用機器の寿命等により不要となった低濃度PCB使用製品が、新たな廃棄物として発生することが見込まれ、その適正処理の確保が課題となっている。
  2. 取り組みの基本的な方向性
    1. 新たに発見され、または低濃度PCB使用製品等が不要となった低濃度PCB廃棄物を確実に処理するため、届出を行い一定期間内の処理を義務付けることを基本とした制度的措置の検討を進める。
    2. ストックホルム条約の環境上の適正な管理遵守を履行するため、使用中の低濃度PCB使用製品等からのPCBの飛散流出を防止するために、管理の強化や廃止後の廃棄までのトレーサビリティの確保を基本とした制度的措置の検討を進める。

(出典)第38回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事次第・資料(環境省)

つまり、上記の「基本的な方向性」では、2027年度以降は、PCB廃棄物は適正処理のために届出を行い、一定期間内に処理しなければならないという内容になっています。今後は環境省及び今後開催されるPCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会において検討が継続されます。義務化に向けての詳細が審議されることが予想されるため、引き続き動向を追う必要があります。

PCB廃棄物処理のネットワークを全国に複数保有するDOWAグループとしても、動向をウォッチしていきます。

■DOWAグループのPCB処理ネットワーク

DOWAグループはPCB処理施設を、秋田県・千葉県・岡山県に4施設保有しています。また、積替保管施設も岡山県に保有しています。

DOWAグループのPCB処理の特徴として、大型機器の場合でも、低床トレーラーで運搬可能なサイズ・重量であればそのまま受入可能であることが挙げられます。秋田県(エコシステム秋田)・岡山県(エコシステム山陽)の大型炉で、安全に処理を実施します。また、事前解体を含め、グループで事前調査から収集運搬・処理まで一貫した対応が可能です。

PCBに関する調査や収集運搬・処理でお困りの場合は、お見積りは無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

> お問い合わせはこちら

伊藤 この記事は
エコシステムジャパン株式会社 伊藤 が担当しました

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2026.03.02 カーボンニュートラル

イカロス社ムック『貨物と鉄道2026』に物流部門の取り組みが取り上げられました

DOWAの取組

2026年2月12日に発売された、イカロス出版株式会社(東京都千代田区、社長:山手章弘)のイカロスムック『貨物と鉄道2026』に、当社の物流部門の取り組みが取り上げられました。

本誌では、物流の担い手不足の解決策として注目される鉄道による貨物輸送に着目し、貨物駅、鉄道コンテナを運用する企業の輸送の実態、専用列車などの最先端な貨物鉄道について紹介されています。当社のラウンド輸送の取り組みや、効率的な輸送を実現する鉄道コンテナの特徴などについて、多種多様な写真とともに紹介されています。

> 詳細はこちら

当社グループでは、持続可能な物流体制の構築に向け、動脈物流と静脈物流の連携によるラウンド輸送を2023年から運用しています。
今後もグループ内外との連携を強化し、長距離輸送の鉄道・船舶へのモーダルシフト を推進し、日本の物流業界が直面するドライバー不足や環境負荷の低減などの課題解決に取り組み、社会を支える持続可能な物流体制の構築を通じて、循環のクオリティを追求していきます。

関連ニュース

> DOWAエコシステムと日本製紙が持続可能な物流体制の構築を目指し、ラウンド輸送を強化 ~輸送能力を従来の約3倍に強化~
> DOWAエコシステムとDOWA通運が物流総合効率化法の認定を受けました!

2026.03.02 カーボンニュートラル

脱炭素社会の歩き方 ~再資源化事業等高度化法におけるGHG排出削減効果

DOWAの取組カーボンニュートラル環境コンサル

排出量取引制度(GX-ETS)が開始されることとなり、CO2などの温室効果ガス(GHG)が、お金と同様の経済価値を持つ社会の実現が、いよいよ現実味を帯びてきました。そんな「脱炭素社会の歩き方」として、数回に分けて、企業のGHG算定にまつわる動きを取り上げていきます。

今回は、2050年カーボンニュートラルに向けて、脱炭素・GX関連の補助事業が拡充する中、重要な評価基準となっている事業によるGHG排出削減効果の算定に関して、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」(再資源化事業等高度化法)を事例として、説明します。

■認定基準

過去記事で紹介したように、再資源化事業等高度化法は、「脱炭素化」と「資源循環」の取組を一体的に推進することを目的としています。このため、認定申請に際しては、「事業シナリオ」(認定申請を行う事業を実施した際の状況を想定したシナリオ)と「基準シナリオ」(認定申請を行う事業の効果を確認するための基準となるシナリオ)について、GHG排出削減効果と資源循環効果を算定して比較し、下表の認定基準を満たすことを示す必要があります。

類型* GHG排出削減効果 資源循環の効果
類型① 事業シナリオによる基準シナリオからの削減効果が0より大きい 事業シナリオの値が基準シナリオの値より大きい
類型②
類型③ 事業シナリオによる基準シナリオからの削減効果が基準シナリオの排出量の3%より大きい -(事業シナリオの値が算出されていること)

*類型①高度再資源化事業:需要に応じた資源循環のために実施する再資源化事業。広域的な分別収集・再資源化のためのペットボトルの水平リサイクルなど。
類型②高度分離・回収事業:廃棄物(※現時点では廃太陽光電池、廃リチウムイオン電池等または廃ニッケル水素電池等)から高度な技術を用いた有用なものの分離、再生部品/再生資源の回収を行う再資源化事業。PVパネルリサイクルにおけるホットナイフ・ウォータージェット導入など。
類型③再資源化工程の高度化:廃棄物処理施設への再資源化工程効率化のための設備やGHG排出量削減に資する設備の導入。混合廃棄物のAI選別など。

(出典)資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(再資源化事業等高度化法)

■事業シナリオ・基準シナリオの設定

事業シナリオは、計画(リアル)に基づいて設定することができますが、基準シナリオは、事業が無かった場合の仮想(バーチャル)のシナリオになります(考え方としては、ISO14064-2(JIS Q 14064-2)の「ベースラインシナリオ」やJ-クレジット制度の「ベースライン排出量」に近いものとなります)。基準シナリオの設定は、それぞれの効果の算定結果に大きく影響するため、下表のように、設定に当たっての原則と方法が定められています。

類型 基準シナリオの設定の原則 基準シナリオの設定の方法
類型① 当該廃棄物に係る全国平均の処理 文献(国や業界団体の調査等)を基に設定
類型② 当該廃棄物に係る通常の再資源化事業 ガイドラインで具体的に規定(例 廃太陽電池:ハンマー破砕方式で、回収したガラスカレットは路盤材原料として使用)
類型③ 事業実施前/設備更新前(または同種類の通常の設備が導入された事業) 実績値(またはカタログ値)

(出典)温室効果ガス排出量の削減効果・資源循環の効果算出ガイドライン

具体的な例として、類型①の算出シート例(廃プラスチック類の油化事業)で見てみると、基準シナリオ(=廃プラスチックの全国平均の処理)は、環境省 廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環利⽤量実態調査報告書(令和4年度実績)を用いて、焼却76%・素材原料19%・燃料化2%・その他3%、焼却はごみ発電、素材原料は樹脂製造、その他は直接埋⽴とみなす(=実際には発電を伴わない焼却や埋立しないその他(高炉還元など)も含まれるが、典型的/保守的な処理で代表させる)と設定されています。

■事業シナリオ・基準シナリオの算定

基準シナリオが設定できたら、GHG排出削減効果の算定については、「処理/リサイクルプロセスの変化」(範囲A)と「再生品の量的・質的変化」(範囲B)を反映しつつ、両シナリオでのインプット・アウトプットが同量・同質になるように、プロセスを具体化していきます。

下図は、類型①の算出シート例から引用・加筆したものですが、範囲A(事業/基準A)を見ると、事業シナリオでは油・塩酸が、基準シナリオでは電力・ガス燃料・樹脂がアウトプットとなっており、全く異なります。これらを比較できるようにするために、事業シナリオの範囲B(事業/基準B)に、基準シナリオで得られるものと同量・同質の電力・ガス燃料・樹脂を天然資源から製造するプロセスを足し、基準シナリオの範囲Bに、事業シナリオで得られるものと同量・同質の油・塩酸を天然資源から製造するプロセスを足します。

これで、インプット(=廃プラ)とアウトプット(=油・塩酸・電力・ガス燃料・樹脂)がシナリオ間で一致し、比較できるようになります。なお、比較には、廃棄物処理量1t当たりのGHG排出量を用いることになっており、算定対象となるGHGは、CO2・CH4・N2O・HFC・PFC・SF6・NF3の7ガスです。

このようにして事業シナリオと基準シナリオをプロセスに分解・具体化できたら、次に、個々のプロセスの活動量に排出係数を乗じて、GHG排出量を算定していきます。

下表は、類型①の算出シート例から引用したものですが、例えば、基準シナリオの熱回収(No.2)の活動量は0.76tとなっており、前述の文献ベースの処理比率(76%)に基づいていることが分かります。この活動量に、海洋プラスチック問題対応協議会(2019)「プラスチック製容器包装再商品化⼿法およびエネルギーリカバリーの環境負荷評価(LCA)」に基づく発電焼却の排出係数(2,710kgCO2e/t)を乗じて、GHG排出量が計算されています。

このようにして各プロセスの計算結果を積み上げると、事業シナリオのGHG排出量は3,074kgCO2e/t、基準シナリオのGHG排出量は3,621kgCO2e/tと計算され、類型①の認定基準(事業シナリオによる基準シナリオからの削減効果が0より大きい)を満たすことを定量的に示すことができます。

なお、活動量は、取得可能な場合には、1次データ(計測器等を使用した実測データ等)を用いることとされており、排出係数としては、ガイドラインに挙げられているデータベースや文献を用いることができます。

■おわりに

再資源化事業等高度化法については、コールセンターの設置や全国14ヶ所での説明会の開催など、事業者の認定申請を後押しする取り組みが積極的に行われています。認定申請に当たって、算定結果の第三者検証は求められておりませんが、「算出結果は十分な検証・精査を行い、根拠とするインベントリデータ等も含めて妥当性を確認したうえで申請すること」とされており、ガイドラインを十分理解した上で、正確に算定を行うことが重要です。

次回は、DOWAグループのCFP算定の取り組みについてのご紹介を予定しています。
当社の資源循環への取り組みについては、以下についても併せてご覧ください。

> レアアースとは何か? ~私たちの暮らしを支える「産業のビタミン」~
> 動静脈連携~リサイクル金属を確保・活用する資源循環スキームの構築~

古屋 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ 古屋 が担当しました

2026.03.02 カーボンニュートラル サーキュラーエコノミー

環境分野の情報管理 その3 バッテリーパスポート(BP)~EUで2027年から義務化される電池の「身分証明書」~

カーボンニュートラルリサイクル環境コンサル

今回は、環境分野の情報管理についての記事の第3弾として、前回ご紹介したデジタル製品パスポート(DPP)に関連する「バッテリーパスポート」についてご紹介します。

前回の記事:環境分野の情報管理 その2 デジタル製品パスポート(DPP)

■バッテリーパスポートについて(概略)

バッテリーパスポートとは、電池のライフサイクル全体に関わる情報をデジタルで記録・共有するための電子記録です。原材料の調達から製造、使用、リユース・リサイクルまで、バッテリーに関するあらゆる情報を一元的に管理できる仕組みとなっています。
バッテリーに貼られたQRコードを読み取ることで、消費者や事業者がバッテリーに関する様々な情報にアクセスできるようになります。対象となるバッテリーは、LMT(軽輸送手段用)バッテリー、容量2kWhを超える産業用バッテリー、EV用バッテリーです。

前回の記事でご紹介したデジタル製品パスポート(DPP)のうち、バッテリーパスポートはEU域内で早期に(2027年2月18日から)義務化されます。
※Official Journal of the European Union Regulation (EU) 2023/1542 第77条より

■バッテリーパスポートの法的な位置づけ

バッテリーパスポートは、バッテリーのライフサイクル全体の情報を透明化し、環境保護、人権尊重、資源循環の実現を目指す取り組みです。法的には、欧州電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)にルールが定められています。

経緯

前回の記事では、「欧州グリーンディール」でサーキュラーエコノミーへの移行が目指され、「新サーキュラーエコノミー行動計画」でサーキュラーエコノミーにより市民へ持続性の高い製品が供給されることが示され、その製品の要件(DPPを含む)が「エコデザイン規則」で定められていることをご紹介しました。一方、電池について、欧州では、以前から含有する物質の環境影響への懸念等により規制が進められていました。

その後、サーキュラーエコノミーへの対応を含めた形で検討が行われ、2023年8月に電池に関するバッテリーパスポートの実施を含めた欧州電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)が発効しています。そして、2024年8月に定められたエコデザイン規則の先行事例と位置付けられ、実施に向けた作業が進められています。

欧州電池規則

欧州電池規則には、上記のバッテリーパスポートの義務化の他、カーボンフットプリント、デューデリジェンス、リサイクル材料の含有割合などに関する義務などが定められおり、それらの内容は、バッテリーパスポートで表示することになります。

■バッテリーパスポートに含まれる情報

バッテリーパスポートには、製品のライフサイクル全体の様々な情報が含まれます。ただし、誰もがすべての情報を閲覧できるわけではなく、アクセス権限に応じて分類されます。
※詳細は、Official Journal of the European Union Regulation (EU) 2023/1542 第77条や附属書 XIIIに掲載

一般公開情報(誰でもアクセス可能)

  • 製造者に関する情報
  • バッテリーに関する一般的な情報(製造日、重量、容量、化学組成、有害物質など)
  • カーボンフットプリントの情報(ライフサイクル全体のCO2排出量)
  • デューデリジェンスに関する情報
  • リサイクル・再利用に関する情報 など

その他、アクセス権限が生じる情報
(ステークホルダー、認証機関等、情報によってアクセスできる者が異なる)

  • 電池の正極、負極、電解液の詳細な構成
  • 部品情報
  • 分解情報
  • 安全対策
  • 性能情報 など

■日本の対応

日本においても、欧州電池規則への対応を含め、蓄電池のサステナビリティ確保に向けた取り組みが進められています。

ウラノス・エコシステム

バッテリーパスポートに含まれる様々な情報は、原材料製造、電池製造、製品製造、リユース、リサイクルなど関連する事業者によって情報が提供され、閲覧できる状態にされる必要があり、国内外で様々な取り組みが進んでいます。

前回の記事でも紹介した通り、日本が推進する「ウラノス・エコシステム」では、自動車・蓄電池業界のデータ連携を担う事業体が設立されており、EUのCatena-Xとの連携も進められています。

ウラノス・エコシステムでは、以下の図のように、国内のバッテリーパスポート(日本版バッテリーパスポート)の情報を集めるために関連する事業者の様々なステークホルダーが関与するための構築を進めています。

(出典)経済産業省:ウラノス・エコシステムの拡大及び相互運用性確保 に向けたトラスト研究会 報告書

電池サプライチェーン協議会(BASC)

電池サプライチェーンの国際競争力強化を推進する団体である「電池サプライチェーン協議会」は、バッテリーパスポートにおいて連携すべき情報を検討し、蓄電池のリユースやリサイクルを始めとするユースケースの確立や拡大を行っています。
なお、電池サプライチェーン協議会には、当社も参画しています。

> 「電池サプライチェーン協議会」に加入しました

■おわりに

バッテリーパスポートは、デジタル製品パスポート(DPP)の一形態として、2027年からEUで義務化されます。上述の通りバッテリーのライフサイクル全体の情報を透明化することになるため、EUへ上市する日本企業も対応が必要になってきます。

バッテリーパスポートをきっかけに、他の製品カテゴリーでもDPPの実装が進んでいきます。環境分野における情報管理の重要性は今後ますます高まっていくと予想されます。

この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました

2026.03.02 その他

熊本県宇城市にて、渡辺勇大選手・嘉村健士コーチによるバドミントン教室を開催しました!

DOWAの取組

2026年2月14日、DOWAグループは、スポンサー契約を締結しているプロバドミントンプレイヤーの渡辺 勇大選手と、渡辺選手のコーチ兼スパーリングパートナーを務める嘉村 健士コーチを熊本県宇城市にお招きし、宇城市バドミントン協会と合同でバドミントン教室を開催しました。

当社は2025年8月に、九州地区における環境・リサイクル事業の拡充を目指し、宇城市内に「DOWAエコシステム 熊本事業所」を竣工しました。

今回の教室は、新拠点の開設を機に、地域の次世代を担う子どもたちの挑戦を応援し、地域社会との絆を深めることを目的として実施したものです。

バドミントン教室には、宇城市を中心に熊本県内のクラブチームに所属する小中学生から48名が選抜され、参加しました。

練習セッションでは、ラリーやネットプレーについて、渡辺選手と嘉村コーチがデモンストレーションを披露した後、各コートを回りながら、参加者へ直接指導しました。渡辺選手と嘉村コーチはスキル面のみならず、「声出そうね!」「相手への思いやりを忘れずに」などとマインド面でも多く指導され、子どもたちは楽しみながら一生懸命練習していました。

イベント後半には、中学生および社会人の代表ペアが一流選手に挑むエキシビジョンマッチを実施しました。世界トップクラスの力強いスマッシュやテクニックを前に参加者からは大きな歓声が上がり、熱気あふれる交流の場となりました。

イベント終了時には、子ども達や保護者の方より「一生の思い出になった」や「バドミントン頑張る」といったお声も頂戴しました。

DOWAグループは、今後もスポーツ支援や地域イベントへの参画を通じて、地域に根差した企業として皆さまとともに地域社会の発展に貢献していきます。

渡辺選手による指導の様子
嘉村コーチ対社会人チームのエキシビジョンの様子
渡辺選手にDOWAエコシステム熊本事業所を見学いただきました
2026.03.02 メールマガジン

DOWAエコジャーナル ~レアアースの解説 ほか~

DOWAエコジャーナル ~レアアースの解説 ほか~

いつもお世話になっております。DOWAエコジャーナル 編集部です。
月に1回、資源循環に役立つ情報をニュースレターでご案内しております。

|TOPICS

  • 新着記事 レアアースとは何か? ~私たちの暮らしを支える「産業のビタミン」~
  • 新着記事 一般廃棄物の「灰」事情 その6 焼却灰からの有価金属回収試験
  • 新着記事 廃棄物処理法施行規則の改正について ~委託契約書の項目が変更になります~
  • 新着記事 脱炭素社会の歩き方 ~CFPの第三者検証について(2)
  • 新着記事 リチウムイオン電池の適正処理・リサイクル制度
  • 新着記事 DOWAグループが応援する渡辺選手が国際大会に出場されました!
  • ほっとひと息 新春のひととき、心温まる特別な時間をお届けします
  • ホワイトペーパー 自治体と連携したリチウム蓄電池の適正処理とリサイクルの推進

|新着記事  レアアースとは何か? ~私たちの暮らしを支える「産業のビタミン」~
最近、「レアアース(希少土類)」という言葉をよく耳にしませんか?
今回は、見えないところで現代社会を支えているレアアースについて解説します。

|新着記事  一般廃棄物の「灰」事情 その6 焼却灰からの有価金属回収試験
第47回全国都市清掃研究・事例発表会にて、焼却灰からの有価金属回収の取組みを発表しました。
内容のポイントを、記事で紹介しています。

|新着記事  廃棄物処理法施行規則の改正について ~委託契約書の項目が変更になります~
2025年4月に廃棄物処理法施行規則を改正する省令が出され、2026年1月より一部施行されています。
改定内容のポイントについて、解説いたします。

|新着記事  脱炭素社会の歩き方 ~CFPの第三者検証について(2)
企業のGHG算定にまつわる内容を複数回に分けて掲載します。
今回は、システム系のCFP第三者検証についてご紹介します。

|新着記事  リチウムイオン電池の適正処理・リサイクル制度
近年、LIB由来の火災やLIBリサイクルの重要性が高まっていることから、制度の改訂も進んでいます。
制度を中心に、LIBの適正処理・リサイクルについてご紹介します。

|新着記事  DOWAグループが応援する渡辺選手が国際大会に出場されました!
DOWAホールディングスは、プロバドミントンプレイヤーの渡辺選手とスポンサー契約を締結しています。
インドオープン等の国際大会に出場されています!

|ほっとひと息  やわらかな春の気配を感じるひととき
・春のランチビュッフェ2026【ホテル椿山荘東京】
・春のディナービュッフェ2026【ホテル椿山荘東京】
・箱根小涌園 学旅キャンペーン【箱根小涌園】
・全室リニューアル記念 THE FUJITA MEMBERS 限定宿泊プラン販売中【仙台ワシントンホテル】

|ホワイトペーパー  自治体と連携したリチウム蓄電池の適正処理とリサイクルの推進
リチウム蓄電池およびリチウム蓄電池を使用した製品の適正処理や再資源化について、DOWAエコシステム株式会社のこれまでの事業内容や、自治体と連携した独自の取り組みなどをご紹介します。
※本論文は全国都市清掃会議の機関誌「都市清掃」第78巻 第388号に掲載された内容です。

今月もDOWAエコジャーナルをお読みいただきありがとうございます!

2026.03.02 その他

花開く季節を迎える、心ほどける時間

藤田観光からのおすすめ

春の森 Bosco di primavera

【ホテル椿山荘東京 イル・テアトロ(イタリア料理)】

旬の鰹や蛍烏賊に葉わさびのジェノベーゼなどを合わせたランチの前菜は、まるで春の庭園。ディナーのパスタはリコッタやアーティチョークを包んだパッケリに旬のアサリを添え、ライムと桜の香りがアクセント。締めくくりのデザートまで、春の恵みを堪能しにイル・テアトロにお越しください。

春の森 Bosco di primavera

夜景ビュー確約&ロゼスパークリングで特別なひとときを。プリザーブドフラワー「プティメゾン」付きのアニバーサリープラン

【横浜桜木町ワシントンホテル】

Karendo「プティメゾン」とロゼスパークリング付きの特別プランで、みなとみらいの夜景を望む客室で大切な人と特別なひとときを。翌朝は5階DINING&BAR「BAYSIDE」で和洋中約40メニューの朝食ビュッフェをお楽しみください。

スペシャルデープラン~横浜が誇る夜景とプティメゾンが彩る特別な日~朝食ビュッフェ付き

【春休みユネッサンファミリープラン】★ユネッサン・森の湯入場付き★ ◇夕食はバーベキューで楽しもう♪◇(朝夕食付)

【藤乃煌 富士御殿場】

★『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』の公開を記念して箱根小涌園ユネッサンと藤乃煌 富士御殿場で様々なコンテンツがお楽しみいただけます。
是非この機会にご利用してみてはいかがでしょうか♪
★こちらのプランは1泊2食・ユネッサン&森の湯入場付き、夕食は《BBQスタイル》です。

【春休みユネッサンファミリープラン】★ユネッサン・森の湯入場付き★ ◇夕食はバーベキューで楽しもう♪◇(朝夕食付)

  • 藤田観光 ホームページ
  • 藤田観光とDOWAは同じ創業者に源を発します。
  • ホテル椿山荘東京 ホームページ
2026.02.02 カーボンニュートラル

脱炭素社会の歩き方 ~CFPの第三者検証について(2)

DOWAの取組カーボンニュートラル環境コンサル

排出量取引制度(GX-ETS)が開始されることとなり、CO2などの温室効果ガス(GHG)が、お金と同様の経済価値を持つ社会の実現が、いよいよ現実味を帯びてきました。そんな「脱炭素社会の歩き方」として、数回に分けて、企業のGHG算定にまつわる動きを取り上げていきます。

「製品系」のCFP第三者検証についてご紹介した前回記事に関連して、「システム系」のCFP第三者検証についても知りたいという声を頂きましたので、今回は続編として、システム系のCFP第三者検証について、説明します。

■検証(Verification)と妥当性確認(Validation)

前回記事に記載したように、製品系のCFP第三者検証は、個々の製品のCFP算定結果を対象として実施されますが、システム系のCFP第三者検証は、社内の算定システムやルールを対象として実施されます。製品系が、算定結果そのものに着目するのに対し、システム系は、算定結果を生みだすシステム(仕組み)に着目するのが、大きな違いです。

システム系のCFP第三者検証は、経済産業省・環境省が発行した「カーボンフットプリント ガイドライン」(以下、「CFPガイドライン」)においては、以下のように、“算定ツールに対する妥当性確認”として説明されており、製品系の代替手法として認められています。

なお、CFPの算定結果に対する検証を行わない場合であっても、算定ツールに対する妥当性確認を⾏うことにより、CFP算定結果の妥当性を⼀定程度保証することができる。
– 製品数が膨⼤であったり、検証を実施するコストが負担できない場合等に選択肢になり得る。
(③ 検証実施上の留意事項- I. 検証の⽔準及び⼿法(1/2))

CFPガイドラインにおいて、妥当性確認(Validation)は、「将来の活動に関する宣⾔を裏付ける前提・制約・⼿法の合理性を評価すること」と定義されています。一方、前回記事のとおり、検証(Verification)は、「過去のデータ及び情報に関する記述を評価し、その記述が実質的に正しく、基準に適合しているかどうかを判断するプロセス」と定義されています。

つまり、製品系のCFP第三者検証(=検証/Verification)は、過去に取得されたデータに基づいて導き出されたCFP算定結果の基準への適合を確認するのに対し、システム系のCFP第三者検証(=妥当性確認/Validation)は、将来CFP算定結果を導き出すデータ収集や算定に関するシステムの、基準への適合を確認することと言えます。

システム系のCFP第三者検証(妥当性確認)として提供されているサービスについて、代表的なものを紹介します。

■①CFPガイドライン・ISO14067に基づく妥当性確認

国のCFPガイドラインを基準としたシステム系のCFP第三者検証としては、製品別GHG排出量算定システムを対象とした、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社の事例があります。また、国のCFPガイドラインが準拠している規格である、ISO 14067:2018 Greenhouse gases — Carbon footprint of products — Requirements and guidelines for quantification(温室効果ガス-製品のカーボンフットプリント-定量化のための要求事項及び指針)には、システム系のCFP第三者検証に関する規定(Annex C The CFP systematic approach)があり、テュフズードジャパン株式会社などは、これを基準とした妥当性確認のサービスを提供しているようです。

■②ISO14065に基づくEPDシステム認証

前回記事に記載したように、EPDは、ISO 14025:2006 Environmental labels and declarations — Type III environmental declarations — Principles and procedures(環境ラベル及び宣言− タイプⅢ環境宣言−原則及び手順)やISO/TS 14027:2017 Environmental labels and declarations — Development of product category rules(環境ラベル及び宣言−製品別算定ルールの開発)に基づき、日本では、一般社団法人サステナブル経営推進機構(通称:SuMPO)が運営している環境ラベルプログラムです。

このプログラムでは、個々の製品について第三者検証を受ける以外に、組織内部に算定・検証・公開申請を行うシステムを構築し、それを第三者が認証することで、製品ごとに検証申請の手続きを経ることなく公開申請ができる「EPDシステム認証方式」を選択することができます。

システム認証方式を採用している企業は、現在8社となっており、いずれも画像入出力機器のメーカーとなっています。これは、米国の電子・電気製品に関する環境影響評価制度であるEPEAT(Electronic Products Environmental Assessment Tools)において、オフィス向け複合機についてはEPDの取得が加点対象となることが影響しています。

■③SuMPO CFP包括算定制度

これもSuMPOが運営している制度で、企業が独自で構築したCFP算定ルールや算定システムに対して、SuMPOが妥当性確認を行う制度です。前述のEPDのシステム認証に似ていますが、妥当性確認の基準となるのは、ISO 14025 やISO/TS 14027ではなく、SuMPOがこれらの規格等に基づき、独自に策定した基準となります。

CFP算定ルールのみの妥当性確認を行う「Internal-PCR承認制度」と、算定・検証の仕組み全体の妥当性確認を行う「第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の2種類のサービスが提供されており、料金事例によれば、Internal-PCR承認制度では、新規承認費用450~750万円、更新審査(1回/3年)費用150~210万円、第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度では、新規承認費用750~950万円、維持審査(1回/1年)費用30万円~、更新審査(1回/3年)費用300万円~となっています。

現時点での承認企業は、Internal-PCR承認制度で6社、第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度の承認企業で5社となっており、比較的多様な業種で活用されています。

■おわりに

料金の目安が公開されているのは、③SuMPO CFP包括算定制度のみですが、一般に、システム系のCFP第三者検証は、製品系のCFP第三者検証よりも取得や維持にコスト・労力がかかるため、得られるメリットとのバランスや将来的な計画を踏まえて、製品系にするか、システム系にするかを選ぶことが重要です。

次回は、2025年11月に全面施行された「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」における、GHG排出削減効果の考え方についてのご紹介を予定しています。
再資源化事業等高度化法については、以下についても併せてご覧ください。

> 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律が全面施行されました
> 「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律の一部の施行期日を定める政令」等が公布されました

古屋 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ 古屋 が担当しました

2026.02.02 サーキュラーエコノミー

レアアースとは何か? ~私たちの暮らしを支える「産業のビタミン」~

DOWAの取組リサイクル

最近、ニュースや新聞で「レアアース(希土類)」という言葉をよく耳にしませんか?国際情勢などで輸入が制限される度に大騒ぎになっているので、なにやら重要そうな資源であるとは感じるのですが、具体的にどんなものなのかを知る機会は意外と少ないものです。

今回は、見えないところで現代社会を支えている「レアアース」の正体と、なぜこれほどまでに注目されているのかを分かりやすく解説します。

1. レアアースとは「17種類の元素」の総称

まず、レアアースとは特定の物質の名前ではありません。レアメタルと呼ばれる希少元素、その中でも元素周期表にある「スカンジウム」「イットリウム」の2つの金属と、「ランタノイド」と呼ばれる15種類の金属、合計17種類の金属を総称してレアアースと呼びます。
具体的には次の周期表の赤枠で囲まれた元素になります。

図1:周期表
表1:レアアース一覧
Scスカンジウム
Yイットリウム
Laランタン
Ceセリウム
Prプラセオジム
Ndネオジム
Pmプロメチウム
Smサマリウム
Euユウロピウム
 
Gdガドリニウム
Tbテルビウム
Dyジスプロシウム
Hoホルミウム
Erエルビウム
Tmツリウム
Ybイッテルビウム
Luルテチウム

なかなか耳にしない記号・名前ばかりだと思いますが、聞いたことのあるものはあったでしょうか?

2. なぜ「産業のビタミン」と呼ばれるのか?

レアアースは、鉄やアルミニウムのように身の回りで大量に使われる金属ではありません。しかし、ほんの少しだけ鉄などの中に加えるだけで、製品の性能を大幅に向上させる力を持っています。

人の体で例えると、ビタミンはタンパク質ほどの量は必要ではありませんが、人体を元気にするために絶対に必要なものですよね?そのような性質から、レアアースは『産業のビタミン』という異名を持っています。

3. レアアースはどこで使われているの?

ではレアアースは具体的にどのような場所で使われているのでしょうか?
意外にも、皆さんの身の回りのいろいろなところで使われています。以下にいくつか例を示します。

  • 磁石
    皆さんが使用しているエアコン、洗濯機などを動かすモーターやパソコンのハードディスク、電気自動車のモーター、風力発電機には、レアアース(ネオジム、ジスプロシウムなど)を使った強力な磁石が必要不可欠です。
  • スマートフォンのディスプレイ
    テレビやスマホの画面を鮮やかに発光させる「蛍光体」としてレアアース(テルビウム、ユウロピウムなど)が使われています。
  • 光学ガラス
    カメラのレンズの屈折率を高め、小型化・高性能化を可能にしているのもレアアース(ランタンなど)です。

4. 「レア」だけど「珍しくない」?

「レアアース(珍しい土)」という名前から、ダイヤモンドのように地球上にほとんど存在しないものだと思われがちです。
しかし、実は地中の存在量自体はそれほど少なくありません。例えば「セリウム」というレアアースは、銅と同じくらいの量が地殻中に含まれていると言われています。

では、なぜ「レア」なのか? それは「まとまった量を採掘できる場所が限られているから」、そして「取り出すための工程が非常に複雑でコストがかかるから」です。

5. レアアースについての「日本の挑戦」

現在、レアアースには大きく2つの課題があります。

1. 環境負荷

採掘や精製の過程で強酸などの化学薬品を使用するため、環境対策を徹底しないと周辺環境を汚染するリスクがあります。

2. 産地の偏り

世界の供給の多くを特定の国(主に中国)に依存しているため、国際情勢によって価格や供給が不安定になりやすいリスクを抱えています。

こうした中、日本では、南鳥島付近の海底にある「レアアース泥」からの採掘技術の研究や、製品をリサイクルしてレアアースを取り出す『都市鉱山』の活用など、世界をリードする取り組みが進んでいます。

6. 『都市鉱山』からレアアースを回収せよ!DOWAの使命

これまでの説明の通り、レアアースは、私たちが便利に生活するために欠かせない存在です。
しかしながら、現時点で日本にはレアアースを生産できる天然の鉱山はありません(南鳥島のレアアース泥はまだ開発中)。そのせいで、国際情勢によりレアアースの輸入が滞ると、私たちの生活が脅かされることになるのです。

そこで私たちDOWAグループが注目しているのが『都市鉱山』です。
都市鉱山とは、有用な金属が使われている電化製品が都市部に多く集まっていることを鉱山に見立てた言葉です。

DOWAグループはこの都市鉱山、具体的には皆さんが廃棄した家電製品などからレアアースを含むネオジム磁石を取り出す取り組みを進めています。

> 秋田県でネオジム磁石回収の実証試験を開始します

持続可能な社会の実現に向けて、DOWAグループは資源循環の高度化に取り組んでまいります。

峯川 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 峯川 が担当しました