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DOWAエコジャーナル

2025.08.01 リスク管理 廃棄物管理

廃棄物を出荷するにあたり、見落としやすいことはありますか?

DOWAの取組廃棄物処理

Q:廃棄物を出荷するにあたり、見落としやすいことはありますか?

A:

廃棄物を出荷するにあたって事前に廃棄物の成分、性状をご確認いただき、お知らせいただくことになっています。しかしながら見落としがちなのが、周辺環境による廃棄物の性状変化です。廃棄物は温度や湿度、光の有無、時間経過によって性状が変化するものがあります。
代表的な例を上げると、冬場に屋内に保管していた液体の廃棄物を、夜間の氷点下の気温の中運搬したら凍ってしまった……といったようなものです。

■性状変化の例

廃棄物運搬中・保管中の性状変化には以下の様な例があります。

○例1 低温による凍結

皆さんがご存じの通り、水は0℃以下の温度で凍結して氷になります。それは水を主体にした液体廃棄物も例外ではありません。また、「過冷却」と言って、温度が0℃以下になっても水が凍らず、衝撃を与えると一気に凍り始める現象もあり、自社で保管していた時は液体だったのに運搬する時の振動で凍結してしまうということもあり注意が必要です。その他、水以外の液体の中には0℃以上でも凍るものがあります。

凍結は特に冬場に注意しなくてはならず、夜間の運搬中や日の当たらない暗所での保管などを行うと発生しやすいです。

○例2 低温による固体の析出

「析出」と言って、液体の温度が下がると、その液体に溶けていた物質が固体に戻ることがあります。凍結は液体そのものの種類によって凍結する温度が違いますが、析出は溶けている物質の種類やその濃度によって析出温度が変わって来ます。

冬季以外の季節でも一日の寒暖差がある場合に発生することがあります。

夜間輸送時の凍結に注意

○例3 高温による融解

固体の廃棄物が熱によって柔らかくなり、酷いときには液体になってしまうことがあります。夏季に特に注意すべきですが、冬季でも直射日光でさらされたり、運搬車両のエンジン熱によって熱されたりといった要因で温度が上がることがあります。

○例4 高温による沸騰

皆さんご存じの通り水の沸点は100℃ですので、通常であれば水を主体にした廃棄物について沸騰を気にする必要はありません。

しかしながら、液体の中には室温程度で沸騰するものがあり、そういったものが廃棄物中に含まれるとガス発生に繋がります。また、そういった廃棄物は一般的に可燃性であることが多いため、火災の原因にもなります。

○例5 高温による反応

発生したガスで膨張したドラム

液体・固体に限らず、高温にさらされると反応が進む廃棄物もあります。これらの廃棄物は一定温度以上になると急激に反応が進む場合が多く、一度に多量のガスが発生したり、発泡して体積が大きく増えたりと非常に危険な状態になる可能性があります。

○例6 光・空気との反応、時間経過による反応

光にあたると液体だった廃棄物が固体になったり、空気と触れ合うと有毒ガスを発生する廃棄物があります。また、特に何もしなくても廃棄物中の物質が時間経過で反応することもあります。反応の形は様々ですが、液体廃棄物中に固体が発生したり、廃棄物からガスが発生したりします。

これらの反応はゆっくりと進むことが多く、排出時のチェックでは気づけず、運搬後や保管時になってようやく気付くことがあります。一般的に運搬された廃棄物はチェックのために内容物を確認したり、内容物の処理施設への移し替えをしますので、その際に水や空気と接触し、反応することもあります。

■性状の変化が起きるとどのようなトラブルになりますか?

それぞれの性状変化についてトラブルの例を上げます。

  • 低温による凍結や析出:
    ローリーやドラム缶の排出口が詰まり廃液が取り出せず、処理できなくなる。体積が増え、容器が破損する。
  • 高熱による融解:
    トラックの荷台やコンテナの内側に張り付いて廃棄物が取り出せず、処理できなくなる。意図せず廃棄物処理設備に張り付いて機械の故障につながる。
  • 高温による反応:
    急激に体積が膨張して容器が破裂する。多量のガスが発生し、周囲にいた人間が中毒症状を引き起こす。
  • 高温による沸騰:
    急激に体積が膨張して容器が破裂する。多量のガスが発生し、周囲にいた人間が中毒症状を引き起こす。発生したガスに引火し、火災が発生する。
  • 光・空気・時間経過による反応:
    廃棄物が膨張し、容器が破損する。液体廃棄物で反応により固形物が発生する場合、容器やポンプ、配管に詰まって機械の故障につながる。

■対策はありますか?

まずは、排出しようとしている廃棄物が温度や光、時間経過によって性状が変化しないかどうかを事前に確認し、そのことを廃棄物運搬業者、処理業者にお伝えください。性状変化のおそれがある場合、それに適した容器の選定、運搬方法、保管方法、処理方法の選定が必要になります。

例えば、温度低下によって固まってしまう廃棄物であれば、温度が下がらないように発生元から近い処理先を選定し運搬時間を短くすることや、気温の下がる夜間の運搬を避けるなどの工夫でトラブルを回避できる可能性があります。また、空気や水で反応する廃棄物であるならば密閉容器に封入し、開封しないまま処理設備に投入するといった対策が考えられます。

弊社はそのような取り扱いが難しい廃棄物の運搬・保管・処理の実績が豊富にありますので、お困りの際はぜひご相談ください。

峯川 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室 峯川 が担当しました

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