ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)について、環境省は水道法上の「水質基準」に引き上げるため、水道法施行規則の一部を改正する省令を公布しました。また、公共用水域・地下水におけるPFOS及びPFOAに関する通知も発令しました。
■改正内容
1)水質基準に関する省令(平成十五年厚生労働省令第百一号)の表の二十に追記

2)公共用水域・地下水におけるPFOS及びPFOAに関する改正
公共用水域・地下水におけるPFOS及びPFOAに関する「指針値(暫定)」を「指針値」として、PFOS及びPFOAの合計値で50ng/Lと設定
■施行日
2026年4月1日
■改正の経緯
有機フッ素化合物であるPFOS及びPFOAについては、令和2年から水道水における水質管理目標設定項目に位置付け、暫定目標値(PFOS及びPFOAの合算値で50ng/L以下)を設定するとともに、公共用水域・地下水についても、要監視項目に指定し、PFOS及びPFOAの合計値で50ng/Lという指針値(暫定)を設定しました。
令和6年6月に内閣府食品安全委員会が有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価 評価書 有機フッ素化合物(PFAS)を取りまとめたことを踏まえ、PFOS及びPFOAの取扱い等について検討を進め、令和7年5月8日に、中央環境審議会において「水道における水質基準等の見直しについて(第1次答申)」及び「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次答申)」が答申されたことから、この内容を踏まえ改正する省令を公布しました。
■改正に伴う影響
自治体や水道事業者には水質検査の実施や濃度が基準を超えた場合の改善が義務づけられます。検査は3カ月に1回以上の定期検査を基本とします。
■国内及び諸外国等における飲料水のPFAS規制状況等
飲料水におけるPFASの基準値については、国際的な基準は定められておらず、各国・地域・機関においてそれぞれの考え方に基づいて設定されています。
詳しくは以下の消費者庁ホームページをご覧ください。
(参考)消費者庁ホームページ
「ミネラルウォーター類のPFOS及びPFOAに係る規格基準」に関するQ&A
■最後に
PFOS、PFOAについて、「水道水質・衛生管理小委員会」ならびに「人の健康の保護に関する水・土壌環境基準小委員会」で検討され、今回は水道水の水質基準に新たに設定する省令が公布されました。今後、PFOS、PFOAに関する水質環境基準が検討され、それに続いて排水基準、土壌基準、地下水水質基準等が順次検討されると思われます。
このほか「PFHxS」など「PFAS」の8つの物質を新たに「要検討項目」に位置づけ、水道水からの検出状況等の情報収集、国内外における毒性評価や目標値等の今後の検討状況等について注視する必要があります。
(参考)環境省ホームページ
有機フッ素化合物(PFAS)について | 環境省
この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部 菊地 が担当しました