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EU新循環経済行動計画のポイント その19
気候中立性の前提条件としての循環性

公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)
持続可能な消費と生産領域
主任研究員
粟生木 千佳(あおき ちか)様

公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)

2016年から2017年にかけて、「EUのCE(Circular Economy)政策」について、お伺いしたIGES(Institute for Global Environmental Strategies)の主任研究員 粟生木 千佳 様に、2020年3月11日に発表されたEU新循環経済行動計画(Circular economy action plan(europa.eu))についてお伺いします。

【その19】気候中立性の前提条件としての循環性

今回は、「6.1 気候中立性の前提条件としての循環性」についてお伺いします。
よろしくお願いします。

背景

  • 気候中立性達成のために、循環性とGHG削減のシナジー拡充が必要

以前、気候中立的とは「ネットのGHG排出量をゼロにする」という意味だと教えて頂きました。
EU新循環経済行動計画のポイント その3~イントロダクション(前半)~

循環性とGHG削減のシナジー拡充という事は、資源循環を取るか、温室効果ガスの削減を取るか、という2択ではなく、両立させるための仕組みが必要、という考えがある、という事でしょうか。

はい、私もそのように理解しています。時々、リサイクルするとエネルギーの使用量などが増加し、総合的に温室効果ガスの排出が多くなるのではという質問をお受けしますが、循環とGHG削減を両立させることが各種取り組みを進めるうえでの前提だということです。

方針と施策

  • 気候変動緩和と適応への循環性の影響の体系的測定方法の分析
  • GHG排出削減に対する循環経済の効果を把握するモデルツールの改善
  • 国家エネルギー気候計画の将来改定における循環性の役割強化
  • 循環性に基づく、自然ベースの炭素回収除去には、木材建築、建設材料の鉱物化など製品中の炭素貯蔵と再利用も
  • 炭素循環性促進と炭素回収除去の促進のため、生物多様性目標に留意しつつ、炭素回収除去認証のための規制的枠組みの策定を目指す

■気候変動緩和と適応への循環性の影響の体系的測定方法の分析

気候変動の緩和(気温上昇を小さくするための活動)が資源循環にとってはマイナスに働く可能性があるという認識があるので、影響を体系的に測定する方法を分析する、という事が施策として挙げられているのでしょうか。

すみませんちょっと日本語の順番がおかしいかもしれません。先にも触れたように、循環によって気候変動緩和と適応にマイナスに働く可能性があるため、影響を体系的に測定することが必要で、その方法を検討していくという事です。

■GHG排出削減に対する循環経済の効果を把握するモデルツールの改善

資源循環を促進した場合に、温室効果ガスの排出削減に対してどれくらいの効果があるのかを把握するためのツールを改善させる、という事でしょうか。
循環経済は、資源循環よりもカバーする範囲が広いので、ニュアンスは違うのでしょうか?

はい、そうですね。ここでは2つ論点があると思います。まずは、その効果を把握するためのツールを開発改善していくということ、また、循環経済は、リサイクルを通じた資源循環に加えて、修理や再製造、シェアリングなども含みうるので、それも含めてということかと思います。

■国家エネルギー気候計画の将来改定における循環性の役割強化

気候変動には循環経済を促進すると効果がある(効果がある様な循環経済にする)ので、エネルギー気候計画にももっと盛り込んでいこう、という事でしょうか?

はい、まさにそうです、国家エネルギー・気候計画に循環経済の役割・観点を強化させようという議論が国際社会でも進んでいますね。

■循環性に基づく、自然ベースの炭素回収除去には、木材建築、建設材料の鉱物化など製品中の炭素貯蔵と再利用も

「自然ベースの炭素回収除去」について教えてください。

はい、このセクションの後半は、カーボンリサイクルの議論が中心ですね。
まず、行動計画にある関連の記述を引用すると『炭素の除去には、生態系の復元、森林保護、植林、持続可能な森林管理、炭素農法による隔離などの自然に基づくものと、木材建築における長期貯蔵、再利用、建築材料の鉱物化などの製品における炭素の貯蔵などの循環性の向上に基づくものがあります。』とあるので、生態系の復元や森林保護などを行っていくことや、木材建築をつうじて炭素を固定させることなどを前提としているようです。

「建設材料の鉱物化」というのは、どういう事ですか?
建築材料を木質化して、炭素を社会蓄積(ストック)させるという事でしょうか?

これは、私もまったくの専門外なのですが、CO2の再資源化(カーボンリサイクル)技術の一つで、セメントやコンクリートにCO2を固定化させる技術の事ではないかと思います。サーキュラーエコノミーとの関係で言えば、廃材を使って製造する建設材料へのCO2活用というところにポイントがあるように理解しています。

参考)CO2Mineralisation (CO2 VALUE EUROPE)

■炭素循環性促進と炭素回収除去の促進のため、生物多様性目標に留意しつつ、炭素回収除去認証のための規制的枠組みの策定を目指す

規制的枠組みの策定とあるのは、どういうイメージなのか教えてください。

そうですね、これも、行動計画の内容を引用した方が分かりやすいかと思います。
『生物多様性の目的を十分に尊重した上で、炭素除去と炭素の循環性の向上を奨励するために、欧州委員会は、炭素除去の信頼性を監視・検証するための堅牢で透明性の高い炭素会計に基づく、炭素除去の認証のための規制的枠組みの開発を検討する。』

つまり、上記の様々な炭素回収除去の取組でどの程度、炭素が回収・リサイクルできたかを測定、その値が信頼に値するものかを認定するための制度を整備するということかと理解しています。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


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